あの禪院直哉が、こんなにデレるはずがない。 作:masuda028
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
眩い光が、瞼の裏まで焼き尽くしよった。
全身をバラバラにされたようなあの痛みが、嘘みたいに霧散していく。それどころか、細胞の一つ一つが活性化して、これ以上ないほど身体が軽い。
「なんやこれ? ……どないしたん?」
顔を上げれば、そこには魔法少女みたいな格好をしたせいらが、今にも倒れそうな顔色で立っとった。あのアホ、また無理しよって……。
「おいおい、なんや随分可愛らしい格好しとるのに顔色がごっつ悪いやんけ」
「わたしは──大丈夫だから。すぐるとちゃんと話し合って」
そう言うて、せいらは力なく笑いおった。
……わかっとる。話し合い、やろ?
せやけどな、男同士の話し合いっちゅーもんは、理屈やなくて「拳」でするもんや。
「ほんの少し痛い目みよか? なぁ夏油」
俺は立ち上がり、軽く拳を掲げた。
呪霊に頼らんと、一対一の殴り合いやったら、俺に勝てる奴なんぞこの世におらへん。
傑の野郎、せいらの容態に気を取られとるな。……甘いわ。
「ふにゃあ」
せいらが倒れ込んだ、その一瞬。
傑の意識が完全に逸れた。
──最速の「1/24秒」や。
俺の術式で研ぎ澄まされた一撃が、あいつの無防備な顔面にクリーンヒットしよった。
「…………」
崩れ落ちる傑。足元に転がったその姿を見下ろして、俺は小さく息を吐いた。
「はぁ……これで俺の勝ちってことでえぇんかいな」
部屋には誰も来えへん。静まり返ったホールで、俺は上着を脱いで、倒れたせいらの身体にそっとかけてやった。
抱き上げたあいつの身体は、驚くほど軽くて温かい。
「……最後は俺が連れて帰ったるわ。傑、お前はそこで寝とれ」
床に転がっとる「正夫」を鼻で笑い飛ばし、俺はせいらを抱き抱えて歩き出した。
内ポケットのお守りが、心臓の鼓動に合わせて熱を持っとる。
勝負はついた。次は俺の番や。
──
【禪院直哉のセルフコメンタリー】
「おい、夏油!! 見たか今のカウンター!!
誰が負け犬や! 最後に立っとるんはこの俺や!!
お前の呪霊操術も、愛のシステムも、せいらの『なおちゃんを治したい』っちゅー真っ直ぐな想いの前には無力やったな! ざまぁないわ!!
……せやけど、せいらのあの格好。
魔法少女みたいなフリフリの服着て、お師匠様(白猫)とかいうのを降ろしおって。
あんな姿、他の雑種どもに見せてたら、俺は全員フリーズさせとったところや。
俺が抱き上げた時のあいつの顔、ごっつ白うて心配したけどな……。
傑の野郎、せいらが倒れた瞬間に目が泳ぎおった。
『隙あり』やなんて言葉、俺の辞書にはあらへん。俺の辞書にあるんは『最速』の一文字だけや。
せいらの心配をするんは勝手やけど、目の前の敵から目を離すなんて、特級の名が泣くで?
これで『次夫』の条件、力ずくで認めさせたようなもんやろ!
せいらを抱きかかえて部屋を出る時のあの優越感……一生忘れへんわ。
夏油。お前はそのまま、せいらがくれた『話し合いの結果』っちゅー名の床の冷たさを噛み締めとけ!
……さて、せいら。
お前が目を覚ましたら、何が食べたいか真っ先に聞いたる。
お前の言う通り『話し合い』は終わったぞ。……俺の完勝でな!」