あの禪院直哉が、こんなにデレるはずがない。   作:masuda028

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※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。


第二十二話 男同士の話し合い

 眩い光が、瞼の裏まで焼き尽くしよった。

 全身をバラバラにされたようなあの痛みが、嘘みたいに霧散していく。それどころか、細胞の一つ一つが活性化して、これ以上ないほど身体が軽い。

 

「なんやこれ? ……どないしたん?」

 

 顔を上げれば、そこには魔法少女みたいな格好をしたせいらが、今にも倒れそうな顔色で立っとった。あのアホ、また無理しよって……。

 

「おいおい、なんや随分可愛らしい格好しとるのに顔色がごっつ悪いやんけ」

 

「わたしは──大丈夫だから。すぐるとちゃんと話し合って」

 

 そう言うて、せいらは力なく笑いおった。

 ……わかっとる。話し合い、やろ?

 せやけどな、男同士の話し合いっちゅーもんは、理屈やなくて「拳」でするもんや。

 

「ほんの少し痛い目みよか? なぁ夏油」

 

 俺は立ち上がり、軽く拳を掲げた。

 

 呪霊に頼らんと、一対一の殴り合いやったら、俺に勝てる奴なんぞこの世におらへん。

 

 傑の野郎、せいらの容態に気を取られとるな。……甘いわ。

 

「ふにゃあ」

 

 せいらが倒れ込んだ、その一瞬。

 

 傑の意識が完全に逸れた。

 

 ──最速の「1/24秒」や。

 

 俺の術式で研ぎ澄まされた一撃が、あいつの無防備な顔面にクリーンヒットしよった。

 

「…………」

 

 崩れ落ちる傑。足元に転がったその姿を見下ろして、俺は小さく息を吐いた。

 

「はぁ……これで俺の勝ちってことでえぇんかいな」

 

 部屋には誰も来えへん。静まり返ったホールで、俺は上着を脱いで、倒れたせいらの身体にそっとかけてやった。

 抱き上げたあいつの身体は、驚くほど軽くて温かい。

 

「……最後は俺が連れて帰ったるわ。傑、お前はそこで寝とれ」

 

 床に転がっとる「正夫」を鼻で笑い飛ばし、俺はせいらを抱き抱えて歩き出した。

 

 内ポケットのお守りが、心臓の鼓動に合わせて熱を持っとる。

 

 勝負はついた。次は俺の番や。

 

──

 

【禪院直哉のセルフコメンタリー】

 

「おい、夏油!! 見たか今のカウンター!!

誰が負け犬や! 最後に立っとるんはこの俺や!!

お前の呪霊操術も、愛のシステムも、せいらの『なおちゃんを治したい』っちゅー真っ直ぐな想いの前には無力やったな! ざまぁないわ!!

……せやけど、せいらのあの格好。

魔法少女みたいなフリフリの服着て、お師匠様(白猫)とかいうのを降ろしおって。

あんな姿、他の雑種どもに見せてたら、俺は全員フリーズさせとったところや。

俺が抱き上げた時のあいつの顔、ごっつ白うて心配したけどな……。

傑の野郎、せいらが倒れた瞬間に目が泳ぎおった。

『隙あり』やなんて言葉、俺の辞書にはあらへん。俺の辞書にあるんは『最速』の一文字だけや。

せいらの心配をするんは勝手やけど、目の前の敵から目を離すなんて、特級の名が泣くで?

これで『次夫』の条件、力ずくで認めさせたようなもんやろ!

せいらを抱きかかえて部屋を出る時のあの優越感……一生忘れへんわ。

夏油。お前はそのまま、せいらがくれた『話し合いの結果』っちゅー名の床の冷たさを噛み締めとけ!

……さて、せいら。

お前が目を覚ましたら、何が食べたいか真っ先に聞いたる。

お前の言う通り『話し合い』は終わったぞ。……俺の完勝でな!」




ここまでご覧いただきありがとうございました。
本エピソードは本編の炎陽編●9 の内容です。

旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅
https://syosetu.org/novel/391078/
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