あの禪院直哉が、こんなにデレるはずがない。 作:masuda028
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
これやから「最強」やなんや言われとるお坊ちゃんは困るわ。
俺がわざわざ泥を被って、この死に損ないみたいな顔した女(そよか)に「生」の火を灯してやったっちゅーのに。
「さ、悟?」
間抜けな面して五条悟が飛び込んできよった。
しかも、俺がせいらの姉妹(ふたご)の手にせっかく「格付け」の証を刻んどるところに、割って入りおって。
「においを上書きしないと!!」
(……はぁ? 何をトチ狂ったこと抜かしとんねん。匂いの上書き? 獣か自分は)
目の前でそよかを抱き寄せとる五条の姿は、どう見ても余裕のある強者のそれやない。
自分の所有物が他人に汚されたと怯える、ただのガキや。
七海が冷めた目で間に入ってくるが、俺はフンと鼻を鳴らした。
「おーおー邪魔者共。俺はせいらに頼まれて、その女とわざわざ文化祭を周ってやってたんやで? そんな恐い顔で睨むんわ、お門違いやろ」
これは事実や。せいらとの「買い物デート」という報酬のために、俺はプロの仕事を完遂したんや。
七海の正論を適当にいなしながら、俺はわざと五条を煽るように笑ってやった。
「フン。まぁええわ。俺はわかったからな、お前らがわからんその女の心の内が。
意外と俺みたいな男が、お前が好きになる男なのかもしれんぞ? ……だとしたらおもろいな?」
そよかが怯えたような顔をしよる。そうや、その顔や。
ぐちゃぐちゃに掻き乱されて、理屈やなくて感情で動かざるを得ん時の、女のえぇ顔や。
「そよかだって、恋する乙女の顔する!! 俺見たから!! 沖縄の夜に!! しっかりとこの目で!!」
……あかん。五条がサングラスを外して、マジなトーンで叫び出しよった。
自分の女を自慢したいんか、それとも俺にマウント取りたいんか。
いずれにせよ、あまりに直球すぎてこっちが寒気するわ。
(……っていうか、せいら。見てたか。
お前の姉妹(ふたご)、ちゃんと『生きた人間』の顔にして返してやったで。
五条の奴が暑苦しすぎて引いとるけど、まぁ、あれぐらいの方がせいらの姉妹には丁度えぇんやろ)
真っ赤になっとるそよかを見て、俺はミッション完了を確信した。
これで今度の「買い物」は、せいらを一日中独占できるっちゅーわけやな……。
──
【禪院直哉のセルフコメンタリー】
「おい。今すぐ五条のあの叫びをログから消せ。
『沖縄の夜に!』やと? 誰がそんな生々しい惚気を聞きたい言うたんや。
俺はな、あくまで専門家(自称)として、そよかの心の鍵をこじ開けてやっただけや。五条がヘタレとるから、俺がちょっと背中押したったんやろがい。感謝しろや。
……え? 『舌を出そうとしてた』?
節穴か自分。あれはな、口内が乾燥したから湿らせようとしただけや。頬擦りもそうや。冬の乾燥肌対策や。変な色眼鏡で見るなや、雑種が。
だいたい、五条の奴が『においの上書き』とか抜かしとる時、正直『きっしょ……』って思ってたんは内緒や。
最強の男が、女一人のことであないに取り乱すとか。……まぁ、せいらが相手やったら、俺も一瞬ぐらいは……いや、なんでもない。忘却しろ。
とりあえず、これでせいらとの約束は守った。
次回の買い物、せいらが何着ても『綺麗や』って言うたる準備はできとる。文句あるか?」