STARWARS バクトゥールの地で【脚本風版】 作:バケツ頭 小説もどき家
過去の大戦の苦い記憶! クローン戦争での激しい戦いは、人間とバルラの間に禍根を残していた。外縁部の小競り合いに耐えかねたバクトゥール人の女王は帝国元老院に支援を要請。その見返りとして自治権の一部と領地を手放した。
帝国軍の駐留を受け入れたバクトゥールの月タヴィムでは、帝国軍とバクトゥール星系防衛軍の管理の下、人々が暮らしていた・・・
ガイバグ人
◇◇タヴィム
爆音を立てながら田舎道を走行する大型トラクター。
スピーダーバイクに跨り、待機していたスカウトトルーパーの二人組は、トラクターが通り過ぎるとバイクを走らせる。
つかず離れずの距離を保つ両者。
ザルケル(ガイバグの子供):
バキューン! バキューン!
ジャルミク(ガイバグ人のトラクター運転手):
こら、やめろ。
後ろのスカウトトルーパーに向けて玩具の銃を向ける息子を叱るジャルミク。ザルケルはクスクスと笑い、前を向く。
ジャルミク:
……何かやっちまったか?
ミラーで後ろを確認しながらハンドルを右に切るジャルミク。
顔を見合わせ、右に曲がるスカウトトルーパー。
ため息をつき、トラクターを停止させるジャルミク。
ジャルミクが運転をやめると、スカウトトルーパー達はトラクターの後方で停止する。
スカウトトルーパー(女):
やっぱり停まった。私が行く。
スカウトトルーパー:
イエッサー。
一人のスカウトトルーパーがバイクから降り、近づいてくるのをミラーで確認するジャルミク。
ダッシュボードから身分情報が入った端末を取り出し、ため息をつく。
ジャルミク:
よし、あった。
息子の手に握られたライフルの玩具に気がつくジャルミク。
ジャルミク:
……おっと、それはマズイな。少し預かるぞ。
助手席の息子からブラスターのおもちゃを取り上げるジャルミク。
ザルケル:
(両手を伸ばしながら)あー、パパー〜
ジャルミク:
今は我慢しろ、ザルゲル。あとで返すから。
息子の頭を撫でるジャルミク。
窓がノックされた。
窓越しに立つスカウトトルーパー。ジャルミクは急いで窓を開け、愛想の良い笑顔を浮かべる。
ジャルミク:
どうも。
スカウトトルーパー(女):
どうも。
ジャルミク:
何かありましたかね?
スカウトトルーパー(女):
それはこっちの台詞よ。エンジン停まっちゃったの?
ジャルミク:
……え?
スカウトトルーパー(女):
エンジンよ。凄い音を立ててたから、さっきから様子をみていたの。
ジャルミク:
いや、なんともありません
安堵と自分への呆れがこもった溜息を吐くジャルミク。
ジャルミク:
停まったのは、あなた達に停められるかなと思ったからです。エンジンの故障じゃない。
スカウトトルーパー(女):
本当?
ジャルミク:
ええ。まぁ、古いのと調子悪いのは確かですが。
助手席の方をちらりと見るジャルミク。
助手席の窓に映り込むもう一人のトルーパー。いつの間にバイクから降りてきたトルーパーはライフルに手を添え、じっと車内を見つめている。
ジャルミク:
……まだ故障するほどではないですよ。
スカウトトルーパー(女):
そう、ならいいけど……。
反対側のトルーパーと目を合わせ、ヘルメットの耳部分に手を当てる女性スカウトトルーパー。肩をすくめた後、ライフルの玩具を指さす。
スカウトトルーパー(女):
そのライフルは何?
ジャルミク:
え? (トルーパーの視線の先に気がつく)ああ、コレですか。玩具ですよ、息子のね。
息子の頭を撫でて愛想よく笑ってみせるジャルミク。
スカウトトルーパー(女):
よこしてくれる?
頷き、ライフルに手を伸ばすジャルミク。
スカウトトルーパー:
ゆっくりとだ。妙な真似はするな。
睨むようにジャルミクを見るスカウトトルーパー。
ジャルミク:
わかってますよ。
ジャルミクは銃身を掴み、女トルーパーの方にライフルを差し出す。
ジャルミク:
ほら、ただの玩具ですよ。
スカウトトルーパー(女)
分かってるわ。確認の為よ。
ライフルのセレクターや、プラズマセルのカートリッジを触る女トルーパー。それらが動かない事が分かると仲間にライフルを向けてトリガーを引いた。
「ピュン」という安っぽい電子音。
スカウトトルーパー(女):
ただのオモチャよ。
スカウトトルーパー:
……そのようですね。
玩具をジャルミクに返す女トルーパー。
スカウトトルーパー(女):
ごめんなさい。最近、物騒だから。
ジャルミク:
お気になさらず。
その後、身分証のスキャンを終えると、二人のトルーパーはバイクに戻っていく。
強張らせていた肩の力を抜くジャルミク。
スカウトトルーパーはバイクを発進させ、トラクターの横で停まる。
バイザーを上げる女トルーパー。緑色の瞳がジャルミクを見つめる。
スカウトトルーパー(女):
そのエンジンだけど、やっぱり早いうちに修理に出したほうがいいわ。
ジャルミク:
ええ、そうします。わざわざ、どうも。
笑みを浮かべ、バイザーを閉じる女トルーパー。
二人のスカウトトルーパーが前に消えていくと、ジャルミクは再びトラクターを動かした。
◇◇ タヴィムの町 デヴァン
町の外周の巨木の上に建てられた見張り台、倒木の一部を並べたバリケード、砲塔が欠けたAATやバラバラになったバトルドロイド。
崩れかけ、自然に還りつつある建造物や残骸の先にある木製の家々。
ジャルミク:
ただいま。
自宅のドアを開けるジャルミク。
アルジャ(ジャルミクの妻):
おかえりなさい。
夫を出迎えるアルジャ。優しい表情に穏やかな瞳。その表情の変化は人間には殆ど認識できない。
抱擁するアルジャとジャルミク。
ドタバタと家の中に入っていくザルケル。
ジャルミク:
おい、ママにただいまは?
ザルケル:
ただいまー!
ジャルミク:
(微かに笑いながら)あいつめ。
アルジャ:
(笑みを浮かべた後、ジャルミクの目を見る)そういえばウォッチャーさんが来てるわ。
ジャルミク:
ウォッチャーさんが? いつから?
アルジャ:
あなたが出てからすぐよ。……しばらく帰ってこないって言ったんだけど、あなたが帰るまで待ってるって聞かなくて。
ジャルミク:
あの人は頑固だからな。(表情を緩ませる)アルジャ、迷惑かけて悪いな
アルジャ:
いいのよ。
ザルゲルをアルジャに任せると、ジャルミクは居間に向かう。
バンサの革の絨毯にソファー。
冬を越すための暖房機。壁に掛けれた魚の模型。優しい暖色のランプ。
ソファーに座りながら投影機に浮かび上がったホログラムを見つめる老いた男。
ジャルミク:
ウォッチャーさん。
ジャルミクが声を掛けると、男は後ろを振り返る。琥珀色の瞳がジャルミクを見つめる。
ウォッチャー:
ああ、ジャルミク。遅かったじゃないか。(半分程になった酒のボトルを掲げながら)すまんが、いただいてるよ。飲んでから言うのはアレだが、開けて良かったかな?
ジャルミク:
ええ、いいですよ。いつ開けるか決めかねていたところですから。
棚からグラスを取り出し、ソファーの前のテーブルに置くジャルミク。
ジャルミク:
して、ナブー危機時に詰められたワインの味は?
ウォッチャー
悪くない。少し甘すぎる気もするが。
と、ボトルをグラスに傾ける。
「どうも」
菓子の食べカスが浮いている液体を気にせずにジャルミクは啜る。
ジャルミク:
それでウォッチャーさん、前言ってた仕事の件は?(ワインを啜る)
いつから勤務を?
ウォッチャー:
ああ、あれか……駄目だった。
ジャルミク:
駄目?(グラスを置く)……どうして? 星系政府軍から内定を貰っていたはずでしょう?
ウォッチャー:
のはずだったんだかな……急に心変わりしたそうだ。どうやら培養器育ちの老いぼれを教官として雇うつもりはないらしい。
ジャルミク:
そんな……。
ウォッチャー:
まぁ、いいさ。薄々そんな気がしていたから。それに星系政府軍が帝国軍に吸収されちまったら、どのみち俺はお払い箱になってただろうしな。俺の人生はいつもこうだ。土壇場でうまくいかない。
ウォッチャーは投影機のホログラムを見つめる。
ウォッチャー:
うまくいっていたのはあの頃だけ……。
白い装甲服を着込んだクローントルーパーと、各々の装備に身を固めた民兵達。そして彼らの前に立ち、控えめな笑みを浮かべているローブ姿の女性ジェダイ。その中にはウォッチャーとジャルミクの姿もあった。
ウォッチャー:
この頃が懐かしい……。
言及されていませんが、スカウトトルーパー(女)はファマです。