Isolated Days―搾取された先にある誠の生き方―   作:完結の陽炎

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第19話:複利の未来

榊野学園の卒業式。

大衆が惜別の涙を流し、青き日々の終わりを惜しむ。

そんな喧騒も、誠と言葉にとっては単なる通過点に過ぎない。

校舎に漂う湿っぽい感傷は、二人にとって解析不能なノイズ。

誠は周囲の視線を背景グラフィックとして淡々と処理。

言葉は桂家の令嬢という役割を完璧に演じきった。

そうして余計な干渉を未然に防ぐファイアウォールを維持したまま、二人は学園というシステムを脱出する。

 

言葉が進学先に選んだのは、図書館情報学の最高峰とされる難関大学。

そこは単に本を愛でる者のための場所ではない。

情報の真偽を見極め、膨大なアーカイブから『真理』という稀少資源を抽出するための魔導図書館。

不動産と経営コンサルのプロである両親も、この進路を強力に後押しした。

娘の知の独立こそが、桂家の資産を守る最強の防壁になる。

言葉はそこで、古典籍の保存から情報の地政学までを貪欲に吸収していく。

誠が安全に思考を広げる『聖域』を構築するための準備期間だ。

 

言葉が情報の深淵を覗いている間。

誠は調理補助という泥臭い労働の現場に身を投じた。

母との同居を維持し、生活コストを極限まで最小化。

彼は四年にわたる知の潜伏を開始する。

 

理不尽な上司、非効率なオペレーション、現場に渦巻く人間の業。

 

誠はその社会経験を生きたデータとして収集。

自分の中に現実への耐性パッチをインストールしていく。

搾取されないための武器は『知』のみ。

仕事が終われば図書館や書店へ消え、調理現場で削られた精神を情報の海で中和する。

手取りの数パーセントをつみたて投資に回した。

四年後の二人の居住空間を確保するための資金。

一文字の誤差もなく積み上げていった。

 

やがて四年のコンパイル時間は終了。

誠の通帳には複利の恩恵を受けた自由への軍資金が残る。

 

言葉は情報の門番として社会への実戦配備へと向かった。

だが、現実は甘美な物語ではない。

公立図書館に採用された言葉を待っていたのは、知を軽視する利用者の非論理的なノイズだった。

理不尽なクレーム、司書を単なる本の貸出係としか認識しない組織の低解像度な視線。

社会のシステムはそう簡単には最適化されない。

 

しかし、彼女はもう、かつての弱気な少女ではない。

 

(私の職務は情報のレガシーとアーカイブの最適化。それ以外の、組織の不手際から生じる感情的フォローは管轄外です)

 

事務的に、冷徹に。

彼女は心のシャッターを下ろす術を完全に掌握していた。

 

ある日の午後。

二人は駅前の喧騒を避けた喫茶店で落ち合った。

琥珀色の液体を前に交わされるのは、極めて実務的な拠点構築の議論だ。

 

「誠くん、住む場所の条件はありますか?」

 

「生活圏内に公共図書館があること。知の供給路として、精神の均衡を保つための燃料だから」

 

言葉の脳内データベースは迅速だ。

そこから一つの最適解を抽出する。

 

「大学図書館の近隣はどうでしょう。私の母校であれば手続きの最適化が可能です。地下書庫には、手つかずの古典も眠っています」

 

誠は記憶の中にある書架の風景を反芻するように頷く。

彼らが求めているのは流行の街ではない。

情報のノイズを遮断し、純度の高い知を反芻できる聖域だ。

 

 

後日、誠は言葉の父の書斎を訪れた。

重厚なマホガニーの扉の向こう側。

外界の喧騒を完全に遮断した思考の硬殻。

言葉の父が、その支配者として椅子に深く身を沈めている。

 

「椅子と机、この基準は洋室と和室で変わりますか?」

 

誠の問いは、機能への最適化を求めていた。

言葉の父は眼鏡の奥の鋭い眼光を少しだけ和らげた。

 

「和室は視点が低くなり、地に足をつけた思考を促すが、長時間の演算には腰への負荷がかかる。洋室であれば、椅子が君の身体を支える『外骨格』になる。どちらが正解かではなく、君がどの『高度』で思考を回したいかだ」

 

書斎とは、社会が規定する時間軸から脱獄するための場所。

効率という名の搾取から離れ、自らのルールのみに従う王の空間。

誠はその設計思想を深く脳に刻んだ。

 

「娘は私に似て頑固だ。だが、君と出会ってから、彼女の頑固さは『知の誠実さ』へと昇華された。この部屋の思想は好きに使え。君が言葉を守り抜くための『城壁』を築くなら、私は惜しみなく知恵を貸そう」

 

「ありがとうございます。お義父さん」

 

「……まだ早いかな。だが、そう呼ばれるのも、合理的な未来を思えば悪くない」

 

二人の間に流れる空気。

それは言葉を介さずとも対等な気配。

知という共通言語で交わっていた。

 

「もう成人したので、お酒が飲めますよ」

 

「そうか。もうそんな歳になったのか」

 

言葉の父には息子がいない。

酒を酌み交わす語らいは初めての経験だ。

重厚なクリスタルグラスに注がれた琥珀色の液体。

氷の鳴る音が、張り詰めていた空気を緩やかに解いていく。

 

「心ちゃん、榊野学園を選ばなかったのは賢明な判断ですよ。あの母校は、心ちゃんの可能性を狭くする。お姉ちゃんの事例を知ったからこそもあるでしょうね」

 

「……言葉があの榊野学園に入学したいと言ったとき、私は反対した。娘があの学園で収まりきらないことはわかっていた」

 

「ええ、そうでしょうね。事実、一年生の頃は孤立して、地獄を味わったと本人が言ってましたから。普通の学園で普通の生活がしたい、という夢を叶えたかったと」

 

言葉の榊野学園に賭けた思い。

それは箱入り娘としての息苦しさに対する反抗。

あるいは解放を求めての必然といえた。

起こるべくして起きた道といえる。

だからこそ父は複雑な気持ちだった。

厳格であればあるほど、娘が自由を求めて進学先を選んだ。

つまり、娘の孤立は父の厳しい教育が原因ともいえた。

純粋ゆえに、持てる者と持たざる者のコンプレックスから生まれる。

そんな排除のメカニズムを、当時の言葉は知らなかったのだ。

 

「娘が君と出会ったのは?」

 

「二年生の進級で同じクラスとなり、そして同じ図書委員を選んだ時です」

 

クラス編成は学園システムによる偶然。

だが図書委員への就任は、二人それぞれの戦略的な選択だった。

言葉にとって、前年に学級委員として搾取されたことへの反省から導き出した聖域の確保。

誠にとっても、学園祭という動乱でリソースを枯渇させたことへの先手な回避論だった。

 

「私にとって、良い意味で誤算だったのは、君のような存在が榊野学園にいたことだろうな」

 

「榊野学園で、知的な対話ができたのは、言葉と清浦の二人だけでした」

 

清浦舞の娘である刹那との交流。

それ以外の環境不全。

羊のように振る舞う狼としての演技を強いられた窮屈な日々。

 

「だからこそ、言葉は大学で、適した環境を選びました。二度と同じエラーを繰り返さないように。住居の選定もその延長線上です。流行や見栄ではなく、自分たちが維持するために、必要な知の供給路を最優先する。それは言葉なりの『最適化』だと思っています」

 

誠はグラスを手に取り、その香りを静かに愉しんだ。

アルコールの刺激の奥にある、熟成された知の結晶のような深いコク。

こうして酒の席も佳境に入った頃。

 

「私の父について知られているとは思いますが、顔合わせした際、言葉を警戒してくれました。不貞な真似はしないとは思いますが、万が一のときは、ご協力ください」

 

その名が出た瞬間、書斎の空気は一変した。

欲望に対してのみ誠実な、理性という制御系を欠いた本能の塊。

言葉の父は、娘の静寂を脅かすノイズを断じて許さないと誓った。

不動産という力は、住まう者の安寧を守る盾であるべきだと。

もしその者が暴発するなら、持てるすべての資本と人脈を動員して、その居場所を社会から消去するとまで断言した。

 

「ありがとうございます」

 

「礼には及ばん。これは、一人の男としての、そして『父親』としての契約だ」

 

グラスの中で、大きな氷がカチリと澄んだ音を立てて溶ける。

その音は、桂家の書斎という高密度の静寂において、唯一許された時間のリズムであった。

 

 

時間が経過して書斎を辞す。

すると、そこには待ち構えていた桂心の姿があった。

静寂な姉とは対照的な、動を重んじる妹。

 

「お義兄ちゃん、お姉ちゃんをよろしくね!」

 

「まだ早い、とお義父さんに叱られるぞ。……それより、メモ術は使いこなせているようだね」

 

誠が取り出したのは、クラフト紙のメモ帳と、遅延も許さないノック式のペン。

アイデアを逃さないための実戦的な武具だ。

 

「あれれ? そのメモ、色付きなの?」

 

「クラフト紙だ。真っ白な紙は綺麗すぎて、汚れがノイズとして目立つ。この色なら、思考を荒っぽく叩き込めるからね」

 

「なるほどね! 私は可愛いデザイン重視だけど……やっぱり誠くんは徹底してるなぁ」

 

誠は心の個性を否定しない。

その高揚感こそが思考の燃料になると彼女を肯定した。

その姿を横で見ていた言葉が、慈しむように微笑む。

 

心が自分の部屋は招いてきた。

そこで見せてもらったのは、彼女が筆跡で綴るオリジナル小説だった。

 

「へえー、心ちゃんは小説を書くのか」

 

「お姉ちゃんが司書なら、私は作家。……お姉ちゃん、選んだ本の『背表紙の並び』だけで、その日の精神状態を分析されちゃうんだよ?」

 

「……心、それは大げさよ。私はただ文脈を整理しているだけだから」

 

言葉は困ったように、しかし頬を微かに桜色に染める。

かつての歪なコンプレックスはもうない。

そこにあるのは、互いの境界線を尊重し合う、知としての敬意だ。

 

「心ちゃん。作家って、儲かるの?」

 

「儲かってたら苦労しないよ。経済だけで測るなら、この営みは最大の非効率だからね」

 

「そりゃそうだ」

 

「だから『心』という社会的なダミーデータを使って、別でリソースを稼ぐの。そうして確保した資金で、誰にも侵されない『私』という作家の聖域を守る。誠くんが料理や投資で自分の思考を守っているみたいにね」

 

心にとって、小説を書くという行為はあまりに崇高で、剥き出しの魂そのもの。だからこそ、表層の自分と、姉ですら計り知れない深淵を明確に切り分け、二重構造の防壁を築いていた。

 

「心ちゃん、そうなると君にとっての『ダミーデータとしての仕事』とは、具体的に何を指すんだ?」

 

誠の問いに、心はいたずらっぽく、しかし冷徹な光を瞳に宿して答えた。

 

「今はまだ『学生』っていう、一番安全な遊び(シミュレーション)の中にいるけどね。でも、短期のアルバイトなんかはもう始めてるよ。お父さんは『まだ早い』って反対するけど、そこは私の交渉の見せ所。『これからの不確実な時代における適応能力の模索』とか、『時間の流動性を肌で知るための社会実験』とか、お父さんが納得せざるを得ない『もっともらしい論理(ロジック)』をぶつけて説得したの。その交渉自体が、私にとっては最高のゲームだからね」

 

彼女の言葉には、誠の防御とは異なる攻勢の響きがあった。

さらに心は意志を示す。

 

「それが巡り巡って、私という作家の土台や触媒になるんだよ。だから、社会に時間を搾取されているなんて微塵も思わない。むしろ、こっちから社会の理不尽や滑稽さを、創作のための素材として一方的に『採取(ハック)』し返しているの。ただ奪われるだけで済ませるほど、私はお人好しじゃないよ。私の人生というシステムに侵入してきたノイズは、全部物語の燃料に変えて、私の世界の一部として統治してやるんだから」

 

これを聞いた誠は、背筋に冷たい震えを感じた。

それは恐怖ではなく、その構造の圧倒的な強硬さへの畏怖だった。

 

(まだ学生なのに、底知れないな心ちゃん。俺の学生時代なんて、あの劣悪な環境から自己を『防衛』し、『回避』することで精一杯だった。だが心ちゃんは違う。ノイズを遮断するのではなく、それを創作のネタとして逆に『搾取』し、利用し尽くしているのか)

 

誠の戦略は、公(社会)と私(聖域)を完全に切り離し、外部の毒から自己を『隔離』して保つことにある。

それに対し、心の戦略は真逆だ。

彼女は公というノイズの海に自ら飛び込み、そこにある悪意や不条理を全て私という『表現の糧』へと変換し、従わせている。

外部からの圧力があればあるほど、彼女の物語は強固に、豊かに昇華されてしまうのだ。

 

「心ちゃん、ちょっと聞いてもいいかな?」

 

「うん、答えられることなら何でもどうぞ」

 

「最終的に就職で稼ぐ社会要求に対し、心ちゃんはどうやって対処するんだ?」

 

「誠くん、その質問は『社会というシステムにどう組み込まれるか』っていう前提だよね?」

 

「まあそうだな」

 

心はノートパソコンから操作して画面を表示させる。

そこにある人生設計を見せてくれた。

心の指が画面の一角を指し示す。

そこには公務員の行政職あるいは大手企業の事務職。

極めて保守的で背景に溶け込みやすい職種が並んでいた。

 

「誠くん、社会が求める『稼ぐ能力』って、実は『扱いやすさ』とセットなんだよ。だから、あえて『代替可能な歯車』のふりをする道を選ぶ。定時で帰れて、責任の所在がマニュアル化されていて、組織のノイズが予測可能な場所。そこは私にとっての給油所であり、創作のための観測所。社会要求には、その程度の解像度で応えておけば十分なんだよ」

 

「不採用だった場合は?」

 

「それも創作の燃料となるから歓迎するよ。むしろ心という演じた自分が、周りと比べてどのような私という創作になるのか。それを観測できていいからね。もし不採用の場合のルートはこっち」

 

さらに画面を見せてくれた。

心の指がトラックパッドを滑らかに弾くと、画面のレイアウトが一変した。

 

プランB:フリーランス・ゴーストライター(実務特化型)

プランC:匿名型コンテンツ・アグリゲーター

 

表舞台から完全に姿を消した情報の潜伏ルートが緻密に描かれていた。

 

「自営業って確定申告めんどくさそうだな」

 

「それも含めて、私という作家は大喜びの複利だよ」

 

「本当になんでも創作のネタにするんだな。でも書くことを商売にして、純度が濁らないのか?」

 

「商業ライターの『心』と、作家の『私』という魂は別だよ」

 

魂の切り売りをするつもりはないと断言する。

創作の核として安売りセールは一切しない。

 

「だから、純度が濁る心配なんて最初からしていないの。私の『書く』という行為は、完全にマルチスレッド化されているから」

 

心は悪戯っぽく微笑む。

画面上のプランCのさらに奥。

パスワードで保護された隠しフォルダを軽く叩いた。

そこにあるのは心の核となる誰にも見せてない作品群たちだ。

 

「商業ライターとしての私は、クライアントが望む分かりやすくて、耳ざわりのいい、低解像度な文章を生成する高性能なスクリプト。依頼主のニーズに合わせ、いかにも人間らしい感情をシミュレーションして納品。それは単なる実務のルーチンで、私の魂とは一切の接点を持たない、ただの経済活動なんだよ」

 

「そんなこと可能なのか? そんな割り切れるものだろうか?」

 

「できるよ、というより、ネットで実際に検証しているから」

 

心は短期バイトだけではない。

Webライティングでの実験も行っている。

デジタルとアナログの使い分けに抜かりがない。

 

「心ちゃんは社会から『作家』として認知される必要すらない、としているのか?」

 

「うん! 社会人の私は聖域の維持費を稼ぎ出す。そして、誰にも知られない場所で、私は私という世界を書き換える。社会の承認を求める必要がないから、純度はむしろ高まり続けるよ」

 

「アウトプットして発散したいという作家の業については? 内面だけでずっとため込んでいけるものなのか?」

 

「欲誠くん、それは『承認』と『表現』を混同しているよ」

 

心は画面を閉じ、こちらを真っ直ぐに見つめた。

その瞳には、子供特有の無邪気さと、老練な学者のような冷徹さが同居している。

 

「私という作家が一番恐いのは、他者の評価で、自分の表現が汚されること。誰かに読まれ、褒められ、あるいは叩かれる。その瞬間に、私は他人のためのものに成り下がってしまう。それは表現者として、耐えがたい死の停滞なんだよ」

 

彼女は席を立ち、窓の外を見下ろした。

街道を行き交う群衆、名前も知らない記号のような人々。

 

「私の欲望は、発散することじゃない。『完成』させること。現実で起きた不条理や、お姉ちゃんと誠くんが紡いだ奇跡、そして私自身が感じた震え。それらを一文字の誤差もなく、完璧なアーキテクチャとして記述し、保存する。誰に見せるためでもなく、ただそこに『在る』という事実のために」

 

「……誰にも読ませないのか?」

 

「読ませるよ。ただし、私が選んだ『観測者』だけ。例えば誠くん。例えばお姉ちゃん。私の深淵を理解し、その純度を損なわないでいられる数少ない人にだけ、鍵を開けてあげる。それで十分じゃない?」

 

心は再びこちらを向き、指先を唇に当てた。

 

「どうしても外の世界に吐き出したいときは、匿名の『防護服』を着て、砂漠に水を撒くように放流するだけ。誰が書いたか分からない、でも誰かの中で感化する物語。私の名前が付いていないからこそ、それは誰の所有物にもならず、純粋に侵食できる。社会の承認なんて、そんな自由な営みに比べたら、ただの足枷に過ぎないよ」

 

その様子を傍らで見ていた言葉。

見た目は愛嬌のある可愛い妹。

だがその実態は異質な才覚に目覚めた一人の人間。

 

(心は、もう私の知る妹では測れない)

 

司書としての言葉にとって、世界は整理され、分類されるべきアーカイブである。

だが、目の前の桂心という存在は、図書館のどの分類棚(NDC)にも収まらない。

自分と誠が、社会という嵐から身を隠すため強固な潜水艦を建造したのだとすれば、

心は嵐そのものを動力源に変えて空を飛ぶ、未知の航空機のようなものだ。

 

今の心は、怒りすらも必要としない。

彼女にとって他者の悪意は、物語を彩る安価な顔料に過ぎないのだ。

 

(私は情報の門番として、不純なノイズを弾き、誠くんとの聖域を守ることに生涯を捧げる。でも心は……彼女はノイズを愛し、それを栄養に、誰も見たことのない極彩色の地獄と天国を書き換えていくのね)

 

妹の瞳の奥に、自分と同じ桂家の業。

それを遥かに超越した創造主としての傲慢なまでの知性を見た。

そこにあるのは、血縁という甘いレッテルではない。

一個の完成された個への畏敬となっていった。

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