【脚本風版】STARWARS スターバードとニューオーダー 作:バケツ頭 小説もどき家
◇◇ニモラ小惑星帯。
真上を通り過ぎる小惑星の陰がコックピットを暗くし、近くで衝突する岩石の破片がレイシールドで弾かれる。
カイ・デレヴィン(ARC-130ガンナー):
……ダンクファリック。
スキャナーの探査範囲から消えないTIE編隊。
苛立つ、カイ。
操縦桿を握りしめ、微かに笑うタラ。
カイ・デレヴィン:
あいつら、まだ彷徨いてやがる。いい加減煩くて仕方がねぇ……。
タラ(ARC-130パイロット):
落ち着いて。まだ見つかった訳ではないわ。
コックピットに浮かぶ木彫りのペンダント。モニターのケーブルにくくりつけられた御守りを見て、ため息をつくタラ。
スキャナーは依然としてTIE編隊を捉え続けている。
カイ:
だけど、このままじゃ嗅ぎつけられるのも時間の問題だ。奴らに見つかってみろ。スターデストロイヤーとそのお仲間達が大挙してやってくるぜ。クローキング装置がない限り、振り切れないぞ。
タラ:
だからって何もできないわ。動いたら直ぐにバレるわよ。私達は逃げ切れても輸送船の連中は帝国軍から逃げ延びれないでしょうね。ここは辛抱強く待つしかないわ。あと少しで彼等も母艦へ戻るはず。
カイ:
だといいが。
弱い電子ノイズがヘルメットに響く。
小さな通信ウィンドウが開くと、タラの目が鋭く細められた。
ラディオン船長(オープンチャンネル):
……こちらラディオン。避難民の子供が体調を崩している。ジェネレーター出力も低下中。指示を……。
タラ:
止めて! 通信を切って!
緊張する空気。
不気味な沈黙。
カイ:
TIE編隊が進路変更! 近づいてくる!
タラ:
気づかれた!
◇◇
小惑星帯の中を進む数機のTIE。
不鮮明な電波をシステムが捉えると、パイロットは増幅装置のつまみを回す。
通信:
……こちらラディオン──。
ヘイル:
イェーガーリーダー。不明瞭な電波を傍受しました。
イェーガー1(中隊長)
ああ、確認した。
追跡システムが電波の発信地点を割り出す。
イェーガー1:
近いぞ。小惑星帯の中からだ。
機体を反転させるイェーガー1、それに続くヘイル達。
TIEは楔型の陣形で進む。
しばらくすると、モニターに不規則な形状の反応が浮かび上がった。岩の影に隠れている物体。解析ソフトが断片的な金属反応を捉える。
イェーガー2:
船影を確認。識別コードなし……構造から見て民間船、それも旧型。間違いないターゲットだ。
その直後、複数のマーカーがHUDに映し出された。
ヘイル:
スターファイターを確認。ARC-170です。
イェーガー1:
確認した。
イェーガー3
こちらに向かってきます!
イェーガー1:
全機、狩りの時間だ。交戦許可。
TIE編隊は瞬時に隊形を変更し、弧を描くようにARC-170へと向かっていく。
正面からレーザーを浴びせ合い、真横を通り過ぎるスターファイター。TIEは被弾面積が小さく、170は偏向シールドが備えられている。両者は有効弾を与えられず、ドッグファイトにもつれ込む。
独特なロック音を響かせる照準コンピューター。
後部銃座からの射撃を躱しながらヘイルは短くトリガーを引く。
反乱軍パイロット:
あああああ──!!
ヘイル:
一機撃破。
イェーガー1:
良くやった、イェーガー7。
イェーガー3:
見事だ。
イェーガー4
時代遅れの旧式機め。最速の我らに敵うわけがない。(照準コンピューターのロック音)貰った。
反乱軍パイロット:
うぉぉ──。
散らばり、逃げ惑う反乱軍スターファイター。
彼等とは別方向に逃げていく輸送船をイェーガー1は見逃さない。
イェーガー1
輸送船が別行動を取ろうとしている。7番は俺に続け、あれを追尾するぞ。
ヘイル:
了解。
ヘ操縦桿を引き寄せ、自機をイェーガー1の後方へ滑り込ませるヘイル。イェーガー1が操るTIEアドバンスド×1と距離を適度に離す。少しのコース変更が命取りにならないように。
急速に近づく二機のTIE。
難民船を追尾しながら、警戒を緩めることなく機体を動かすヘイル。
TIEアドバンスド×1の高性能照準コンピューターがプロトン魚雷の照準を合わせていく。
イェーガー1:
プロトン、発射準備完了。イェーガー7、援護しろ。
ヘイル:
了解。
イェーガー1から離れ、援護位置につくヘイル。
イェーガー1
……発射。
難民船に向けて放たれるプロトン。発射管から放たれた2発の魚雷は赤い光を放ちながら難民船へと向かう。
だが、その時コース上に小惑星が高速で通りかかった。
小惑星に命中する魚雷。その爆発に巻き込まれてもう一発も消えた。
イェーガー1:
クソッ!
あり得ない妨害に苛立ちを露わにするイェーガー1。
イェーガー1:
7番、こちらの残弾数はゼロだ。お前がやれ。
ヘイル:
了解。
操縦桿を握り締めるヘイル。照準コンピューターを調節し、狙いを《ラディオン》に定める。
しかし、その時、輸送船から思いもよらぬ通信が飛び込んできた。
ラディオン:
こちらラディオン――帝国軍パイロット。お願いだ。家族が乗っている。見逃してくれ……。
オープンチャンネルからの通信。ヘイルの手が一瞬止まった。通信の声は、切迫し、かすれていた。
イェーガー1:
「チャンネルをローカルにしろ。準備ができ次第撃つんだ
ラディオン:
子供も乗っているんだ! 頼む!
呼吸が荒くなるヘイル。照準コンピューターは既にロックを終えていた。
イェーガー1:
何やってる! 撃て! 攻撃しろ。
照準コンピューターのロックが外される。
ヘイルは機首を上げ、プロトン魚雷を放った。
ターゲットの遥か上を通り過ぎていく魚雷。
ヘイル:
……残弾ゼロ。
イェーガー1:
ええい!!
イェーガー1はレーザーを乱射して難民船と距離を詰めた。レーザーはシールドに阻まれ、難民船は超空間へと消えていく。
イェーガー1:
畜生……逃げられた! ありえん!
重い息を吐くヘイル。
イェーガー1:
何故外した?! どういうつもりだ!
◇◇インペリアル級スターデストロイヤー『トニトルス』
ハンガーに吸い込まれるように向かっていくラムダ級シャトル。
ランディング・ギアがハンガーデッキに下ろされ、空気の震えるような沈黙が走った。昇降ランプが音を立てて下りていく。その影の中から、ゆっくりと姿を現す一人の士官。
黒の制服に身を包み、軍帽の庇の下から覗く緑の瞳。肌は白く。口元には微かな緊張が滲んでいたが、歩みに迷いはない。
全速力で向かってくるマウスドロイド。
女士官は自分のブーツに当たって倒れたドロイドを見て笑みを浮かべた。
ドロイドを立て直してやると、音を鳴らしながら逃げるように去っていくドロイド。
彼女が顔を上げると、眼の前にはパイロットが立っていた。女士官は表情を強張らせる。
標準的なTIEパイロットスーツ。しかし、彼のスーツやその手に抱えるヘルメットには青いラインが入っていた。
ヘイスティン:
トニトルスへ、ようこそ。ヘイル少尉。歓迎するよ。
差し出される手。ヘイルは再び表情を微かに崩し、握手に応じた。