お前女だったのか⁉ by陰キャぼっちな私【百合】   作:荒井竜馬

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第12話 百合マンガを読んでから幼馴染を意識し過ぎてしまう

「本屋の漫画コーナーなんて久しぶり」

 

 私は電車に乗って少し大きな街にある本屋へと向かった。

 最寄り駅にも本屋はあったけど、おそらく私が買おうとしている本はないだろうと考えて、遠くの大きな本屋に向かうことにした。

 ……仮に置いてあったとしても、高校から近い場所で買う勇気はないしね。

 

「漫画ってこんなにたくさんあるんだ」

 

 私はスマホの画面に映っている漫画の表紙を見ながら漫画を探すが、漫画の数が多すぎて目的の漫画を中々見つけることができずにいた。

 そもそも、これって少年漫画なの? 少女漫画なの?

 女の子がメインだから少女漫画なのかな?

 私はそんなことを考えながら漫画を探す。他の客とすれ違う際、私は無意識のうちにスマホの画面をぱっと隠していた。

 

 な、なんで隠したんだろ。べつに、えっちな物を買いに来てるとかでもないのに。

 私はなんとも言えない恥ずかしさと少しのドキドキを感じながら、こそこそと目的の漫画を探していた。

 

「えっと、何かお探しですか?」

 

「あひゃあっ!」

 

 すると、突然後ろから声を掛けられた。

 緊張していたということもあって、私はふいに掛けられた声に驚いて変な声を出してしまった。

 そして、驚きすぎたあまり持っていたスマホを投げてしまった。

 しかし、それを見た店員さんが急いで手を前に出してくれたおかげで、スマホは店員さんの手のひらに着地した。

 

「おっとと。すみません、急にお声がけしてしまって」

 

「い、いえ! こっちこそ、スマホを投げちゃってすみません」

 

 私は心臓をバクバクさせながら、店員さんの手のひらに乗っているスマホを回収しようとする。

 すると、私のスマホに目を落した店員さんが何かに気づいたような声を漏らした。

 

「あ、こちらの本をお探しなんですか?」

 

「え、えっと……は、はい」

 

 私は耳を熱くさせて俯く。

 わ、私が百合漫画を買おうとしていることを知られてしまった!

 いや、べつにバレてもいいんだけど、なんかこう形容しがたい恥ずかしさがある。

 

「ご案内しますね。えっと、百合コーナーだから、こっちですね」

 

 しかし、店員さんは特に表情を変えることなく、私を案内してくれた。あまりにも反応がなかったことに少し驚きながら、私は店員さんの後に続く。

 

「こちらになります」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 店員さんはそう言うと、私にスマホを返して何事もなかったかのように別のコーナーにトコトコと向かって行った。

 あれ? 私が思っている以上に百合漫画を買うのって普通のことなのかな?

 私はあまりにも普通の対応をしてくれた店員さんを見て、そんなことを考えた。

 それから、ちらっと視線を案内してくれた本棚の方に向ける。

 

「百合コーナーってことは……え、これ全部百合漫画?」

 

 私は本棚にずらっと並ぶ漫画を一つ手に取って、表紙を確認する。

 すると、ただ女の子が二人一緒にいるだけのシンプルな表紙をしていた。見つめ合う感じとか、意味深な視線を向けていること以外は。

 

「……」

 

 それから、私は何冊かの漫画の表紙とタイトルなんかを確認して、数冊の漫画を本棚から引き抜いた。

 せっかく遠くまで来たのに、一冊だけ漫画を買って帰るのは交通費が勿体ない。

 そんなことを考えただけで、別に意味深な帯のワードとか、火照っている女の子の表紙に惹かれたわけではない。

 ライトな日常系をゆりちゃんの家で観たことがあったせいか、恋愛要素多めな百合漫画を手に取っていた。

 最後に本日の目的である漫画を一冊手に取って、レジへと向かったのだった。

 

 

 そして、買ってきた数冊の漫画を読み終えた私は、ベッドにうつ伏せで倒れ込んだ。

 それから、枕に顔を埋めて声にならない声を出して悶える。

 

「ああああぁぁ」

 

 滅茶苦茶よかった! 凄い面白くて、きゅんとなったり泣きそうになったり、百合漫画って凄い!

 久しぶりに漫画を読んだからか、初めて読んだ衝撃的なジャンルだからかは分からないが、私は見事に百合漫画にハマってしまったみたいだった。

 そんなこんなでベッドの近くに百合漫画を積んで、数度読み返していたらいつの間にか日が暮れてしまっていた。

 

「想像していたよりもガッツリ恋愛してたなぁ、漫画のキャラクターたち」

 

 ゆりちゃんの家で百合アニメを見せてもらっていたから、なんとなく百合というものを理解しているはずだった。

 でも、実際に読んでみて分かったけど、私が知っているのは百合のごく一部の部分だったらしい。

 ていうか、なんでゆりちゃんは百合がこういうのだって教えてくれなかったんだろう。

 

「あっ」

 

 ゆりちゃんのことを考えた瞬間、昨日百合ちゃんに抱きしめられたことを思い出してしまった。

 私は身をよじって言葉にならない声を漏らす。

 

「ただフラフラしちゃただけで、あれはハグじゃないから……」

 

 私は自分を言い聞かせるようにそう言って、熱くなってしまった耳の温度を無視する。

 百合漫画を読んでしまったせいか、私は余計なことばかりを考えてしまっていた。

 本来は意味がない行動の意味とか、色々と考えてしまっている。

 

「明日からゆりちゃんと会ったとき……どんな顔をすればいいの?」

 

 私は百合漫画を読む前よりも、ゆりちゃんのことを強く意識してしまっていた。

 ゆりちゃんが私のことをどう思っているのかを考えると、どうしても百合的な展開を考えてしまう。

 これじゃあ、ゆりちゃんの二の舞だ!

 

 その日の夜。私は悶々としてしまって、中々寝つけなかったのだった。

 

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