内容的にカクヨムも小説家になろうもアウトな予感がしたので、こちらに投下しました。
何も考えずに読んでいただければ幸いです。
続編はあるかもしれませんし、ないかもしれません(一応完結にしてあります)
高校生・
近所の公園で、フリフリの服を着た幼馴染み・美堂カイリが、何かと戦っていたのだ。
「うあんッッ!!」
何かの攻撃をモロに受け、公園の入り口近くまで吹き飛ばされてしまうカイリ。
タケルはカップアイスを買ったことも忘れ、倒れているカイリに思わず駆け寄る。
「お、おいっ! 大丈夫か!?」
彼が呼び掛ければ、カイリはゆっくりと目を開ける。
「え……? 何で、タケルが……?」
「それはこっちのセリフだよ! お前何やってるんだよ!?」
タケルの視線が自然とカイリの体の方に向く。
吹き飛ばされたときに出来たのであろう、手足には無数の擦り傷。だが、傷よりもタケルの目に留まったもの。
それは、カイリが着用している服だった。
パステルピンクのレオタードの上から、パステルイエローのボレロを纏い、花びらを繋ぎ合わせたような形をした桜色のスカートを穿いている。それらにはフリルやレースが満遍なく配され、少々ガーリーが行き過ぎた感すら見る者に与える。
ガーリー。それはまるで。
「え、魔法、少女……?」
その単語を吐き出した後、タケルは否定するように頭を大きく振る。
いやいやまさか俺の幼馴染みが魔法少女なんていうフィクションの産物になっている訳が……。
「おーほっほっほ! こんな所まで飛ばされてたのねぇ、ざぁこざぁこのよわよわ魔法少女さん」
高笑いと共に公園の奥から現れた存在に、タケルは思わず息を飲んだ。
バザバサとした黒いロングヘアに金色の瞳。そして緑色の肌。
「タケル逃げて! アイツは
「あらあらぁ、泣けるわねぇ。あなたみたいなざぁこ☆魔法少女なんかがアタシに勝てる訳なんてないのにねぇ? それとも、彼氏の前で辱められたいのかしらぁ?」
「ちょっ、タケルは彼氏とかじゃなくて、単なる幼馴染みというか何というか、べべ、別に嫌いって訳じゃないけど、その、アレよ、アレ!」
凄まじい勢いで挙動不審になり始めたカイリの姿を、生暖かく見守るタケル。どうやら大体察したらしい。
タケルはカイリを庇うように、彼女の前に立つ。
「え……タケル……?」
「あらぁ、まさか彼女を守ろうとするつもり? 止めときなさいな。あなたみたいな一般ピープルがアタシのような誇り高き処女悪魔に勝てる訳がないんだから」
挑発するように、ねちっこく言葉を紡ぐ処女悪魔。
「そ、そんなのやってみなきゃ分からないだろ、この痴女!!」
痴女。グラビアアイドルですら水着姿で逃げ出すような、抜群過ぎるセクシーダイナマイト(死語)ボディ。それを覆っているものは蛇革のような素材で出来たマイクロビキニのみ。
公衆の場に出るのに相応しくなさすぎる姿は、痴女と言われても仕方がない。
だが、痴女という言葉を耳にした瞬間、処女悪魔の態度が豹変した。
「ちちち、ち、痴女!? あ、あ、アタシが、痴女!?!?」
思い切り動揺している。想定外の挙動に、タケルもカイリも唖然としている。
「そそそ、そんなっ、誇り高き処女悪魔であるアタシが、ちち、ちっ、痴女だなんてッ! そんな、ははは、はしたない言葉を投げ付けられるなんてッッッ!!」
緑色の顔を真っ赤にしながら、悶絶しているように体をくねくねと動かす。
『処女悪魔』という名前は伊達ではないらしい。
だが動揺から脱したとき、処女悪魔の瞳には殺意が浮かんでいた。
「……こんなアタシのことを痴女だなんて言っちゃう愚か者は、殺して八つ裂きにしてあげなきゃ」
「いや、だって、どっからどう見ても痴女だろ!?」
「タケルはちょっと黙って!」
いつの間にやら立ち上がっていたカイリが、タケルの腕を引っ張る。
「……さあ、どうやって殺してあげようかしらぁ」
狂気の表情に、タケルの背筋に冷たいものが走る。
「タケル、このままじゃ私達二人とも殺されちゃう」
カイリの囁くような、しかしタケルの耳にきっちりと届く声。
「だから、お願い! 私と『契約』して。本当は、巻き込みたくなかったんだけど」
「け、『契約』ってなんだよ?」
処女悪魔のプレッシャーに後退しつつ、タケルはカイリに問い掛ける。
「お願い、私を信じて」
「あはは、決めたぁ。両手足と首を胴体から切り離してバラバラにしちゃお☆」
時間がない。
「タケル、お願い!」
「あははははは! 死ねぇぇぇ!!」
処女悪魔が地面を蹴り、跳躍した。
「分かった、『契約』する!」
タケルの言葉に、カイリは彼の手を強く握った。
そして、カイリは高らかに唱える。
「コピュレーション・リンク!!」
瞬間、白い光が二人を包み込む。
「レアーナ・ンチンティー!!」
呪文を詠唱したと同時に、タケルの体がピンク色の光に覆われていく。
そして光が収束したと同時にタケルの姿は消え、代わりにカイリの手にはピンク色の杖が握られていた。
先端がハート状になっており、ハートの中には金色の宝石が二つ浮いている。全体的にピンク色をしており、無機質な素材であるにも関わらず、時折、生きているかのように脈打っている。
(な、何だ? 何が起こったんだよ!?)
「タケル、あなたの力、借りるね!」
小さく呟くと、飛びかかってきた処女悪魔を飛び退いて躱すカイリ。
華麗に着地すれば、杖の先を処女悪魔に向けて言い放つ。
「これでもう、あなたの好きにはさせないわ! 魔法少女マジカル☆ビドーが、正義の名においてあなたを倒します!!」
「おのれぇ! 杖を持った程度で調子に乗るとはこのざこざこ☆くそざこ魔法少女め!!」
処女悪魔が忌々しげに言い放つ。
そんな遣り取りを、タケルはまるで他人事のように聞いていた。他人事というよりは、状況が飲み込めていないと言った方が正確かも知れない。
(い、一体何が起こったんだ!? 『契約』って、何だよ?)
改めて確認すれば、例の緑肌の処女悪魔と魔法少女なタケルの幼馴染みの姿が、視界の端と端に入ってくる。自分の姿は、見えない。
(もしかして、俺……)
ようやく、タケルは気付いた。
(カイリが持ってる杖にされたのか!? つか、ちゃんと元に戻れるのかコレ!?!?)
状況を飲み込めた途端に、全身を肌触りの良い布で包み込まれているような感覚がやってくる。
『包み込まれている』よりも『掴まれている』と表現した方が正確そうだ。
「
「小癪なッ! このアタシの『王子様みたいな素敵な旦那様と偶然?いえ運命の出会いよこれは二人はラブラブな年月を積み重ねて結婚するの子供は三人は欲しいね人生計画♡』を邪魔するなんてぇぇッッ!」
(………………はい? 今何て???)
思わず呆気に取られるタケル(杖)。
「所詮あなたは現実を何にも解ってない、結婚に夢を見ているだけの悪魔よ!! 男は年を取れば加齢臭はしてくるし古女房より若い娘に目が行くのは自明の理!! その人生計画は砂上の楼閣絵に描いた餅、歩く姿はインカニヤンバよ!!」
「いやああああッッ!! そんな現実なんて知りたくない!! これだから魔法少女は嫌いなのよぉッ!! 他人の夢の庭を土足で踏み荒らしてくるんだからあああッ!」
泣きそうな顔になっている処女悪魔。タケル(杖)は何となく、同情してしまう。
「それにッッ!!」
カイリは処女悪魔をビシッと指差す。
「異種姦は禁止! ダメ、ゼッタイ」
「それはお前の主義主張だろうがぁッ!!」
逆上して襲いかかる処女悪魔。
カイリは指を滑らせるようにして、杖(タケル)を構え直す。
(んああッッッッ!?!?)
刹那、タケルの腰の辺りをぞわぞわとした感触が迸る。
全身を掴まれている感覚。だが、タケルが一番強く感じていたのは。
(お、おいッ! 止めろカイリ! お前まさか、『杖』ってまさか……!!)
股間。男の一番大事な部分を掴まれているような感覚。
「タケル、お願い、力を貸して」
ハート部分の根元を持ちながら、上から下へと、手袋に覆われた右手を動かすカイリ。
(つ、掴まれてる、掴まれてるッ! 俺の大事な所、掴まれてッ、イッ、あッ、お前っ、止めッッ!!)
タケルの意思を知ってか知らずか、カイリは再び杖に指を滑らせる。
(んあッッ!! ちょ、マジ、止めろって、無理無理無理無理マジ無理こんな屋外の公園でとかマジで無理だからホント馬鹿止めろって恥ずかしい死ぬってェ!!)
その時タケルは、明確に自覚していた。爆発寸前の風船のような衝動が、自分の下腹部に渦巻いているのを。
「今こそ、『杖』に封じられし力を解き放つとき!」
カイリは杖に口づけする。そして唇を薄く開くと、僅かに出した舌先を杖に這わせる。
(あひィッ!! んおッ、おッ、おッーーーー!!)
杖が一際大きく脈動し、先端部にある二つの金色の宝石が眩く輝き始めた。
タケルの我慢も、限界に達していた。
「スペル☆マジカル・エクスプロージョン!!!!」
(あああああああッッッ!!! イクッ! イクッッ!! 出るゥゥゥ!!!)
タケルの腰の奥で爆発した衝動。誰にも知られぬまま達した彼に呼応するように、杖の宝石が激しく明滅する。
宝石から溢れ出る光の奔流。それは無数の楕円形の火球へと変化し、尾を引きながら処女悪魔へと振り注いだ。
「アッ、アッ、アッ、アッ、アアアアアアッ!!!」
最早防御することすら出来ず、火球の猛攻にその身を晒す処女悪魔。
緑色の肌が熱で染まっていく。
「エクスタシィィィィィ!!!!」
艶のあり過ぎる悲鳴を上げ、処女悪魔は霧散した。
公園は、既に夜の静けさを取り戻している。
「処女悪魔なんて、この魔法少女の敵じゃないわ」
完全に勝ち誇った様子で、魔法少女マジカル☆ビドーこと美堂カイリは呟いた。
公園の外に放り出されたコンビニの袋。タケルが買ったカップアイスが横倒しになり、溶けた濃厚バニラが漏れ出していた。
翌朝。タケルは普段通りに登校していた。
「ふあ……あ」
昨日は気付けば自室のベッドに寝かされていたのだ。しかし、何処となく睡眠不足というか、消化不良の感があるのは否めなかった。
(昨日のアレ、夢……なのか?)
思い浮かぶのは、幼馴染みが魔法少女になって悪魔と戦っていたこと。
(あと…………あの『契約』、とか)
その魔法少女な幼馴染みと『契約』を結び、杖にされたこと。そして……。
「タケル、おっはよー!」
声と同時に肩を叩かれ、タケルは思い切り体をビクンとさせる。
今まさに考えていた相手が来たのだ、それも無理はない。
「あ、ああ。うん」
手遅れかも知れないが、何とか動揺を見せないように振る舞うタケル。いつもと全く変わりのない幼馴染みを見て、彼は何となく安心してしまう。
やはりアレは夢だったのかも知れない、と。
タケルが何気なく横を見れば、彼の肩の高さからカイリが見上げている。
「何考えてるか、当ててあげよっか?」
言いながら、カイリは悪戯っぽく笑う。
「昨日のアレはね、夢じゃないよ!」
それだけを言い残して、急にダッシュするカイリ。
一方のタケルはその場に残されたまま、思わず立ち尽くしていた。
「夢じゃない、って……何だよ、それ」
つまり、『契約』は結ばれたままなのだ。
男子高校生・初菜タケルの受難は、始まったばかりである。
初菜→ういな→ウインナー