無数の異世界のデータを回収する異界管理部。
第1462番の異世界にて第一次代理戦争を終戦させたものの、肝心な黒幕二人を逃がしてしまう。追うにも情報が無い状態での追跡は無謀に等しく、動きがあるまで陸也達は1カ月の有給休暇を取り、英気を養うのだった。
16話 修行
「アクトマンとアクトロンの兄妹はシュルケンに旅行…虹川とマニーは実家帰り。そして俺はどうするべきか」
レクスから1カ月の休暇を得た陸也は悩む。
休暇を貰えたのは何時ごろだろうかと懐かしみ、自室の窓の外を見る。
外は爽やかな朝日が昇り、鳥たちが羽ばたく。
「……そうだな」
陸也は異次元インベントリからディケイドライバーを取り出す。
ライドブッカーからカードを取り出し、所持しているカードの枚数を確認する。
「凄いな。クウガからゼロワンまでのカードが揃ってやがる。しかも他ライダーに変身すらしていないにも関わらず、そのライダーの能力が使えるんだからな…」
カードを戻し、考える。
「白の破壊者、ホワイトディケイド…?名が少し長いな」
陸也はサイコキネシスを行使し、近くにある機械を起動させ、コーヒーを作る。
彼は魔力を持たないため、魔法が扱えない。代わりにPSYで代用して特殊な攻撃を行える。その為、この動作も造作もないのだ。
「よし、ライダーに変身した時の俺の名は…サイコディケイド!確かに白いから「ホワイトディケイド」と呼ばれがちだが、俺はPSYも使う為、サイコが付く。その為、名はサイコディケイド。それでいい。その力を制御するために異世界で修行してみるか」
子供心を少し取り戻したようなネーミングを考え、準備をする。
どうやら彼は異世界でこのベルトを使いこなす為の修行の旅に出ると決めたらしい。
「どの異世界に向かおうか…3桁世界は全て管理下に置いてるし、4桁世界が安全だろう。許可は得てきたし、早速未管理の世界をスイッチ、と」
準備を終えた陸也はゲートの装置を弄る。番号は2528。
「レクス様からの許可は下りてる。さらに強くなれば、データの回収が捗る可能性もあるから損はないはずだ」
ゲートが大きく開かれ、陸也はそれに手を伸ばした。
「それじゃあ…1カ月間の修行の旅に…行ってくる!」
ゲートをくぐり、異世界へ入る。
しかし、彼は知らなかった。その世界では未知の仮面ライダーもいたという事に、そして面倒ごとに巻き込まれることを後に後悔することになる。
*
「ここが2528番世界か…地球と変わらないな」
問題なく異世界へ来た陸也は自分の服装を変える。怪しまれないために軍服は自宅に置いていき、オタクが着そうな痛Tシャツの上に半袖のワイシャツを着る。ズボンはジーンズに、靴はスニーカーに履き替える。
「これで怪しまれないだろ。どう見てもただのオタクだからな」
自信ありげに紙袋を持って雑踏に紛れる。
「まずは路銀を得るか…どこかでバイトしながら―――」
タスクというメモ帳にやることを書き記している時だった。
どこからか、銃声が響いた。
「ん?銃声?」
目前にいた一般人達が自分とは逆方向に逃走を始めていることに気づき、陸也は銃声がした方を見る。何やら銃火器やマガジンベストを着こんで武装した集団が建物を占拠している。
「(なっ…!テロリストだと!?)」
「ここはオレ達、「ジャック・ランダー」が占拠した!抵抗するなよ?やったら…」
インカムを被ったテロリストが建物に入ろうとしてきた警察隊の一人の頭部を撃ち抜いた。
「死、あるのみだ!」
まさに昭和にありがちな悪の組織のテロ行動に巻き込まれた陸也はバレない位置に身を隠し、離脱を試みる。
「(クソ…武器はない。何だこのテロリスト共…?日本なのにこんなことできるとは…しかも警官隊を撃ち殺してるし……ただのテロリストではないな)」