「流石だな…私も負けてられないな」
陸也とアクトマンの活躍を見ていたシオンはゲシュペンストMk-Ⅳを動かし、プラズマカッターを抜き取り、迫り来るデッドセイバーズの機体を斬り捨てていく。
昔ながら王族の家系で尚且つ過酷な環境で育った彼女はMSやPTの操作はすぐに覚えた。
「エネルギーを貰うぞ」
シオンの機体の胸部から凄まじいレーザー砲が飛んでいき、直撃した敵機のエネルギーを奪っていく。
「何だ!?損傷もするが、エネルギーが減っていくだと!?」
シオンの機体にはヴァンピーア・レーザーという武装が搭載されている。
直撃した相手のエネルギーを奪う代物で、かつてはギリアムという人物が愛機として乗っていた「ゲシュペンスト タイプRV」が装備していた武装であった。
「自動追尾システム、オンライン…!」
背部の一部のパーツが飛び、一つのリング状の兵器が完成する。
凄まじい速度で回転しはじめ、デッドセイバーズの編隊に向かって飛んでいく。
「いけ!リープ・スラッシャー!」
直撃した敵機が次々と撃墜され、まるで超高速で回転するブーメランのように、彼女の元に戻ってくる。
「シオンさんが頑張ってる…こっちも頑張らなくちゃ」
シオンの戦いを見届けながらアクトロンも動く。
アクトロン専用のザクⅤはジェネレーターを改造しており、内部にはアクトロン独自が開発案として出した特殊な動力炉「魔動輪」が搭載されており、他の機体とは違って高い出力と機動力を誇り、操縦者が魔力を持つなら、魔動輪を介して魔法を放つことができる。
その為、彼女の機体はこう呼ばれている。「魔法を扱うザクⅤ」の事「ザクⅤ ウィザード」と。
「まずは邪魔な重武装を排除する…!」
操縦桿に魔力を込め、魔法を詠唱する。
アクトロンのザクマシンガンが冷気を纏い、その弾丸がマナテックガンダムやジェガンⅡに直撃し、機体や武装を凍結させた。
「き、機体が凍った!?動かない…!!」
「あのMS…魔法が使えるのか!?」
「早速だけど落ちて」
アクトロンのザクⅤがヒートホークを構え、凍った敵機を次々と砕く。
囲まれてもジェットパックに風と重力の魔法を纏わせ、フルスピードで囲んだ敵機を撃墜する。
「クソ…!奴らは化け物か!」
「恐れるな!敵の数は少ない!こっちは数は多いんだ。やがて疲へ―――」
言い切る前に強大なエネルギー砲撃が直撃し、薙ぎ払われる。
マニーの乗るマクロス・クォーター[罪業]の艦砲射撃が行われ、あんなに多くいたデッドセイバーズの艦隊を悉く破壊していったのだ。
一方、最奥の艦隊でアグリスはニヤけていた。
「ほう…ここまでやってくれるとはな。流石、陸也の部隊か……」
「このままでは前衛が全滅します。いかがなさいますか?」
「そうだな…これ以上の戦力の損耗は見てられん。全部隊に伝えよ。戦闘を中止し、撤退せよ」
「かしこまりました」
*
「……?攻撃が止んだ?」
「結構撃墜したけど…今になって逃げるのか」
敵軍の撤退を感知した陸也は追撃不要と指示を出し、旗艦に戻る。
「攻めもあっさりだが、逃げもあっさりですね…」
「課長。このやり方に覚えはありますか?」
シオンが陸也に問いかける。陸也は少し無言になるが、次第に口を開く。
「もし、奴らの部隊に総大将がいるなら、このやり方はあの女しかおらん。名は「アグリス」。昔の侵略戦争で俺に敗れ去った鬼人族の女将校だ」