ゲート前。陸也は衣服と武装を確認する。
陸也の服装は青と白が混じった野戦服の上にロングコートを着るのが彼の戦闘服でもある。
「やれやれ。まさか尻拭いをさせられるとは…」
ため息をつきながら仲間の到着を待つと、キリキリと車輪が回る音が聞こえる。
そこには凶悪な武装改造が施された車椅子に座ったアクトマンの姿と、魔法使いっぽい服装をしたアクトロンの姿があった。
「待たせたね」
「ま、待たせました。課長」
「陸也でいい。ギリ5分前行動だ」
陸也は腕時計を確認した後、ゲートの装置を弄り、起動させる。
「もう一度確認するが、第46番の異世界は、一部仮面ライダーの存在が確認されている世界だ」
「……あれは特撮の中にしか存在しないかと思ってましたけど、無数の世界があるから…存在したんだよね?」
「ああ。しかも見たことも無いオリジナルライダーも確認されていることから、未だ未知数の可能性を持つ未開拓領域として認定された異世界だ」
「仮面ライダーか…」
アクトマンは移動中に街中のテレビを見ていた時、放送されていた特撮を思い出す。
放送されていたのは「仮面ライダージオウ」だった。仕事が無い日はその特撮を観るのも彼にとっての時間つぶしでもあった。
「いくぞ。さっさと終わらせて書類の処理も終わらせんといけないからな」
「中間管理職も楽じゃないね」
開放されたゲートの中に入り込む。
ゲートはワームホールのようになっており、入った直後にその世界に入り込む仕掛けとなっているため、気持ち悪い異空間を省いて直進することができる。
勿論すぐ閉じてしまうのだが…。
*
「ここが46番の異世界……背景や地形は地球と変わらないな」
陸也はあたりを見渡し、状況の把握を行う。
運よく地球と同じであることが幸いし、財布の中にある資金が使えることに安心していた。
「いつの間に財布なんて持ってきてたんだい?」
「用意周到にしておかないと行動に支障が出るからな。こういったものは自前で用意しておくものだ。それに、一般人に紛れ込むの作戦の内だ」
そういって陸也は街中を探索する。
所々に戦闘の痕跡があり、その後は炭化した物質が散乱していた。
「何か色々爆散した後がありますね」
「仮面ライダーの必殺技が命中した証拠なのだろう」
「ライダーキックって奴かい?」
「いや、それだけではない。最近の仮面ライダーの必殺技は剣技だったり、銃撃技だったり、ましてや鈍器で殴ったりと様々だ」
陸也は知ってる限り仮面ライダーの技系統の説明を簡易的に言う。
アクトマンとアクトロンの二人は大方理解するが、やはり史上最強の仮面ライダー「オーマジオウ」に関しては警戒するようにと陸也は釘を刺す。
オーマジオウはあらゆる敵を上回るような調整ができる能力があり、いくら死なない追放世界の住人とはいえ、義体は一撃で破壊されてしまう。
それを見越して、ジオウとの戦いは禁じたのであった。
「それにしても、お兄ちゃん…いや室長。よく怪しまれませんよね…物騒な車椅子に座ってるのに」
「これは武装さえ展開しなければ、機械仕掛けの車椅子だ。怪しまれる要素はないよ」
「(普通に怪しまれると思うんだがな…。そういう車椅子はこの世界だとオーバーテクノロジーの塊なのだが)」
内心でツッコミながら陸也は端末を取り出して地図を開く。
「データの採取地点はこの街から2キロ離れたエリアだ。そこは人の通りは確認されていないという話だが、恐らくしくじった他所の課が人避けのアイテムを使った証拠だろう。だが、オリジナル仮面ライダーの存在が確認された以上、長居するわけにはいかない。本来なら固まって行動した方がいいんだが、僅かに効率速度を上げるために二手に分かれる。俺は単身だが、アクトマンとアクトロンでバディを組んで採取地点に向かってくれ。俺は別の方面から向かう」
「どっちかが囮になる感じですか?」
「そうなるな。俺の勘だが、奴らは孤立したやつを狙ってくる。そうじゃなきゃ敵の戦力は削れないからな。作戦は以上だ。異論がなければ作戦を開始するぞ」
陸也は端末の地図データを共有する。陸也は実質囮、アクト兄妹を本命にさせて作戦は実行された。
*
「さて、アクトマンたちは転移魔法を使用して向かったな。俺は普通に歩いていくが…」
歩こうとした時に陸也は空気中に感じた音を感知して攻撃を避ける。
エネルギーのような銃弾が壁に当たり、粉々になる。
「避けた!?」
「襲撃者にしてはまともな挨拶はなかったのか?」
陸也の前に現れたのは黒色の仮面ライダーの姿だった。
だがブラックやRⅩではないと悟った陸也は即時に反撃に入る。
地面を蹴り、素早く移動し、背後に回る。所謂「縮地」である。
「な…っ!いつの間に!?」
「遅い!」
陸也は拳を握り締め、敵対してきた仮面ライダーの腹を思いっきり殴りつけた。
自慢のアーマーにはヒビが入り、高速で吹っ飛ばされる。
「ゴハッ…!?装甲が…!」
「動きやすくしたアーマーとはいえ、流石にこれは想定外だったか?」
元軍人とはいえ、100年以上も追放世界に生きている彼にとって、その攻撃はとても遅く、止まって見えている。その為、受けるどころか容易く反撃出来てしまうのだ。
「戦闘経験は…あまりなさそうだな?素人が軍人や警察に喧嘩売るなんて、馬鹿げてると思わないか?ああ、理解しないか。一部の仮面ライダーのなりそこないは過信が多いからな」
「くっ…!舐めるなよ!」
陸也に軽く挑発され、立ち上がる。
銃を取り出し、発砲する。が、それを陸也は縮地で移動し、銃を持つ腕を握り上げ、子供から玩具を取り上げるようにその武器を取り上げた。
「おおっと?素人がこんなところで発砲とは頂けないな?銃は玩具のように振り回せる道具じゃねぇんだよ」
再び力を入れたパンチを叩きこみ、黒色の仮面ライダーの身体を吹っ飛ばした。
吹っ飛ばされた黒色の仮面ライダーは変身を強制解除され、壁にめり込むと同時にそのまま気を失った。
「戦いの素人までモブの仮面ライダーと化するのか…恐ろしい世界だな」
陸也は何か戦利品が無いか辺りを探る。
そんな時、ふと、彼には見覚えのある道具が見つかった。仮面ライダーのドライバーだった。
「これは…」