陸也は仮面ライダーの持つ変身ベルトのドライバーを拾い上げる。
その形状は彼にとっては身に覚えのある形をしていた。
「ディケイドライバー?何でこんなところに?しかも壊れてるな」
ディケイドライバー。かつて仮面ライダーディケイドの門矢士が持っていたとされているライダーベルトで、これが無ければディケイドに変身できない。
「だが、現在の士が持っているのはネオディケイドライバーだよな?何でネオの前のドライバーをあの素人が持っていたんだ?盗まれたのか?だが壊れてるし、プロトタイプか?」
陸也は他の課が持っていた異世界データを軽く確認する。
仮面ライダーの存在は確認されているが、門矢士の存在は確認されていなかった。
「(どういうことだ?まさか、この世界はディケイドを量産するために生まれた異世界なのか…?まだわからんが、嫌な予感がする)」
陸也は何かを察したのか、別動隊に連絡する。
『そのドライバーがあるなら、それを探している変身者がいるはずなんだが…』
『今のところ確認されて無いですね。それどころか、こちらは敵1人にも会ってません』
「それはそれで好都合だ。先に採取ポイントに着いたら始めててくれ。俺は嫌な予感のする不穏分子を確かめてくる」
陸也は通信を切り、壊れたディケイドライバーを見る。
「…直してみるか」
陸也は空間に軽い切り目を入れ、異次元の裂け目を作る。
異次元インベントリ。某有名な猫型ロボットのアニメで言う「四次元ポケット」に近い物。軽く裂け目を作り、その中に物を無尽蔵に入れる事ができる。
陸也はその中から修理道具を取り出し、ディケイドライバーを修理する。
「足りないパーツはこうして…壊れたパーツは復元光線で直して……割れたガラスもこうすれば…完成!」
彼は目にも止まらない速度でディケイドライバーを丁寧に修理する。
修理を終えたディケイドライバーは完全に力を取り戻していた。
「……直したのはいいが、使えるのか?俺は門矢士のような奴じゃないし…出来たとしても偽物として本人の名を地に落とすような真似はしたくないんだが……」
持つべきか、本人に届けるために持ってるだけにするか、迷っている時だった。
「む!」
どこからか銃声がした。その弾丸は彼の頬を掠り、壁に穴を開けた。
「出てきやがったか…!迷ってる暇はなさそうだな……!」
陸也の前に現れたのは黒色の仮面ライダーの軍団だった。
「モブライダーの軍団って…冗談だろ!?20人規模じゃねぇか!」
敵の数を数えた陸也は咄嗟に修理し終えたディケイドライバーをセットする。
そしてサイドにあったライドブッカーからカードを取り出す。それと同時に「ブゥン!」という音が鳴った。
「玩具だったら呪うぞ!ディケイドライバー!!変身!」
カードを差し込み、機械音が響く。
『KAMENRAIDE DECADE!』
突然陸也の姿が変わり始め、
「変身…出来た!?」
陸也は自分に身に起きたことに戸惑うが、敵は待ってくれない。
咄嗟にライドブッカーをガンモードに変形させ、目前の敵の仮面ライダーを50口径から繰り出される弾丸で撃ち抜く。
「生憎、中身が軍人なら射撃は得意だ」
ライドブッカーからカードを取り出し、ドライバーにセットする。
『ATTACKRAIDE BLAST!』
凄まじい連射力を発揮させ、次々と襲い掛かる黒色の仮面ライダーを一人、また一人と撃ち抜き、爆散させる。
20人いたのがあっという間に1人にまで倒されても襲ってくることに面倒になった陸也は、再びカードを取り出す。
「普通は撤退ものだろ…バカなのか?」
『FINALATTACKRIDE DECADE!』
ライドブッカーのガンモードを構え、目前に光のカードが並んで出現する。それと同時にトリガーを引くとマゼンタ色のエネルギー砲撃が放たれ、最後の敵に直撃した。
「ぐああああ!し、白い…ディケイド…悪魔か…!」
そう言い残し、襲ってきた敵が爆散した。変身を解除した陸也はこの力を少し恐れていた。
「あんな人数を相手をしてたのに、疲れが無い…?俺のスペックと同調して力が増加しているのか?いや…分からんが、早くこのドライバーを士に返さないとな。返せなくてもこれはあまり使わない方がいいな」
陸也はアクトマンたちと合流するため、その場を後にする。
しかし、この世界では、このアイテムが無ければロクに特殊能力を発揮できないことを知ったのはこの後であった。
黒色の仮面ライダーや他に名前が無い量産型の仮面ライダーは以後、モブライダーという呼ばれ方で扱います。