RE:MORI~輪廻少女のマルチバース~   作:ひまなめこ

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7話 男なら黙って真剣勝負

翌日。

昨日再び昼時に容赦ない電撃を食らって深い眠りに落とされたリモリは昨日と同じく、朝5:00に目を覚ました。

 

「おはようございます。さあ、今日は大忙しですよ。昨日歯磨きもお風呂も済ませずに寝てしまったのですから、まずは身だしなみを整えることから始めます。」

 

昨日風呂に入らずに眠ってしまったのは氷川のせいなのだが、彼女は自分の事を棚に挙げて、リモリの服を脱がせてバスルームに放り込み、少し乱雑に体を洗う。

 

「体と髪を早く乾かすためにこちらを使用します。衝撃に備えてください。」

 

リモリの体を洗い終えた後、そのような事を言って氷川は掌サイズのグレネードを懐から取り出し、ピンを抜いた。

 

「それは?」

 

「護身用の火薬式手榴弾です。火薬の量を調整しているので死にはしません。」

 

「は?…バコーンッ!!

 

その瞬間、バスルームごとリモリと氷川の体がぶっ飛んだ。

 

「お前馬鹿だろ!」

(俺への嫌がらせの為にここまで体張るとか正気じゃねえよ…。)

 

黒い煙に包まれながら、半壊した部屋の中にリモリの怒号が響き渡った。

 

「手っ取り早く乾かすには、これが効率的だと思いまして。」

 

「ああそうだな、でも合理的では無いだろ。かえって汚れたし、髪なんてチリチリのアフロだぞ!」

 

死なない程度の威力に調整されたグレネードの爆発は部屋を半壊させ、氷川とリモリの髪を壊滅的な爆発頭に変貌させていた。

 

「髪型をセットする手間が省けましたね。それでは体も洗い終わった事ですし、早くうがいをして着替えて教室へ行きましょう。」

 

 

そうして、リモリと氷川はアフロ頭のまま着替えと、うがいを済ませて教室に向かうのだった。

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昨日より、僅かに遅れて5:15。

リモリと氷川は派手に仕上がったボンバーヘアーをそよ風に棚引かせながら、教室にやってきた。

 

「あれ?既に誰かいるぞ。」

 

昨日と同じく一番乗り…かと思いきや、今日は既に先客がいるようだ。

 

「おっ…やっと来やがったな!主席と特待生!」

 

リモリ達が教室に入るや否や既に教室にいた、その生徒は大きく声を張り上げながら、二人に人差し指を向ける。

 

「誰、こいつ?」

 

「存じ上げませんね…。不審者でしょう。直ちに通報致しますね。」

 

氷川は流れるような動作でスマホを取り出して110番を押す。

心なしかスマホのフィルムに罅が入っているように見えるのは先程の爆発のせいだろうか?

 

「おい!待て!俺は不審者じゃない!入試次席の成海鳴海だ。」

 

そう名乗って全力で氷川を止める成海鳴海。

 

次の瞬間、彼の名前を耳にしたリモリの脳内に昨日の体力テストの記憶がフラッシュバックする。

 

「あ~、あの一際目立ってた金髪か…。で、俺達に何の用なの?」

 

そう、彼こそは先日の体力テストで世界記録の後一歩手前まで迫る記録を叩き出した目立ちたがり屋のチャラ男 成海鳴海である。

 

「よくぞ聞いてくれた!単刀直入に言おう。俺成海鳴海はお前達をライバルに認定する!」

 

「「…………は?」」

 

成海がそう宣言した直後、元から三人しかいなくて物静かだった教室の空気が更に凍り付いた。

 

「何間抜けな顔してやがる!昨日ずっとお前達を見ていたが、何だあの怒涛の記録の数々は?お前ら揃いも揃って軽々と世界記録更新しやがって…。お前らみたいなのがいると俺が目立てねえじゃねえかよ!」

 

なんとも自分勝手な理由であるが、成海と言う男子生徒はどうやら自分よりも目立っていてる二人が気に食わないから、こうして突っ掛かって来ているようだ。

 

「今日からこの養成学校の授業が本格的に始まる。よって今日から始める。」

 

「何をだよ?」

 

「俺とお前達の戦いだ!雑学授業で何れだけ挙手できたか…とか、訓練や筆記テストの成績でどれだけ優れた結果を出せたか…で勝負するんだ!」

 

その言葉を受けて、(実に下らない…)と氷川は心の中で呟いた。

 

如何にも低俗低能な男子が好みそうな下らない勝負の内容に氷川は心底呆れてしまう。

 

そんな氷川は自分はその勝負に参加しない旨を伝えるために口を開く。

しかし、その刹那。

 

成海と同じく中身が低俗低能な健全男子であるリモリが氷川の言葉を遮るようにノリノリで勝負に積極的な発言を口にする。

 

「いいね!その勝負乗った!俺も中高の時は良く友達とテストの点数を競い合ったんだよな…。それで、負けた方が購買のパンを奢ったんだよ。」

 

「…成る程な、その案いただき!負けた奴は勝った奴に何か奢る…いや、勝った奴の言うことを何でも聞く。先ず一回戦目は今日丸1日だ。今日の授業で何れだけ挙手できたか、何れだけ正解出来たか、訓練で何れだけ優れた成績を残せたかを競い合う。こんなんでどうだ?」

 

氷川が参加しない旨を伝えそびれたまま、話はトントン拍子に進んでいく。

 

「あの…私は…「よっしゃ!それで決まりな!今日の放課後に悔し涙で顔面を華厳の滝にしないように今のうちにティッシュを買い込んでおくんだな!」

 

「お前こそ、俺が勝ったらそのド派手に目立つアフロのセットの仕方を教えて貰うぜ!」

 

「…正気か?」

 

そうして、リモリと成海…そして敢えなく巻き込まれてしまった氷川による今日1日にも及ぶ戦いが幕を開いたのだった。

 

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9:00。

養成学校一限目。

 

今日から本格的に始まる養成学校の記念すべき一限目が遂に訪れた。

 

肝心の一限目の内容とは…。

 

「今日は一限目から座学だ。内容は【D.H.A.O.】とは切っても切り離せない社会科の地理だ。」

 

ユーラシアとアフリカが滅んだ今、【D.H.A.O.】にとって…いや、生き残った人類にとって世界の地理とは最も重要な座学と言えるだろう。

 

そう考えると、朝からかなり重めな授業である。

特に最近104年の時を経て目覚めたばかりのリモリにとってはこの上なく不利な科目と言えよう。

 

「お前達が何れだけの知識を持っているか私はまだ把握していない。先ずは常識問題から出題しよう。」

 

海澤はモニターを操作して、オーストラリア大陸の地図を映し出した。

 

「全員ご存知の通り、これはオーストラリアの地図だ。オーストラリアにはこの日本と同じく【D.H.A.O.】の養成学校が所在している。私達と密接な関わりがある国だと言えよう。そこで、このオーストラリアの首都を答えて貰う。わかった者は挙手して答えろ。」

 

ここでお待ちかねのデュエルタイムである。

このような義務教育を修めた者なら誰でも知っているであろう常識ボーナス問題はきっとこの先の授業でそうそうに現れないだろう。

つまり、この問題に正解出来た者が今日の勝負において大きくリードする事が出来る。

 

勝負の決め手は如何に早く手を挙げるか…。

 

「「はい!」」

 

リモリと成海、両者コンマ一秒の差も無く完全に同時に手を上げた。

 

「…タイミングは完全に同時だったな。なら、二人同時に答えてみろ。そんなに難しい問題では無いからな。」

 

今回のところは引き分けと言った所だろうか…。

まあ、そこまで勝負に焦ることはない。

今日の授業は始まったばかりである。

 

リモリと成海は海澤に言われた通りに問題の答えを述べる。

 

「「シドニー!」」

 

「不正解だ。」

 

両者どちらもどうしようもないアホであった。

 

片や104年のブランクがあるとは言え、この程度の常識くらいは持っておいてもおかしくない教養を得ているはずのアホ、片や入試次席の癖にこの体たらく…擁護のしょうがないアホである。

 

 

「代わりに答えてくれるやつはいるか?」

 

「はい。」

 

ここで颯爽と手を挙げたのは我が入試主席の氷川氷織であった。

 

「氷川答えてみろ。」

 

「キャンベラです。」

 

「正解だ。」

 

氷川はアホ二人と違い見事正解…いや、正解して当然の問題なのだが、他の二人との決定的な差を見せ付けた。

 

「何だ、あの主席。」

 

「調子のんなよ!主席!」

 

「リモリと成海、後で職員室に来い。」

 

そんなこんなで記念すべき一限目の授業は氷川の一歩リードに終わった。

 

それからリモリと成海が仲良く職員室で海澤からの説教を受けて短い休み時間を浪費した後、直ぐに二限目の授業が始まり海澤が再び教卓の前に立って口を開く。

 

「次の授業は訓練だ。速やかに制服のまま特別体育館へ移動しろ。」

 

「制服?体育着じゃなくて?」

 

「行けばわかる。」

 

それだけ言い残して、海澤は特別体育館に向かう。

それに着いていく形で、Aクラスの生徒達もぞろぞろと並んで特別体育館へと向かうのだった。

 

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続いて二限目 体育。

 

この授業では【D.H.A.O.】になる上で必要な訓練を行う。

 

「Aクラス全員来たな。これからお前達にS.O.スーツを着た状態での訓練を行って貰う。訓練の時間は3コマ分。つまり三時間だ。これからお前達に着て貰う訓練用のS.O.スーツを支給する。渡された者から早速着用しろ。」

 

そう言われて、リモリ達は海澤から大きな赤いスイッチが付いてる特殊な形状をしたスーツケースを渡される。

 

「このスーツケースの中にスーツが入っているのか?」

 

「いや、このスーツケース事態がスーツだ。赤いスイッチがあるだろう。それを押す事で勝手に装着される。」

 

リモリは言われるがままにケースに付いているスイッチを押してみる。

 

「うわ!」

 

するとケースが変形し、人の形を取りながら、リモリの体にスーツとして纏わりつく。

 

最初は少しオーバーサイズ気味にリモリの体を覆い、少しずつリモリの体にあわせて縮小し、やがてぴったり寸分違わず、体にフィットする。

 

「スゲー。なんか…体の奥底から力が湧いてくるような…。」

 

「S.O.スーツの機能は身体能力の増強と補強そして、安全なリミッター解除だ。」

 

驚くリモリに海澤がS.O.スーツに関する知識を補足する。

 

「但し、リミッターを安全に解除出来るのは装着者のランクに見合ったスーツのみ。自身の身の丈に合わないスーツを着れば、最悪の場合全身の筋肉と骨が粉砕されて再起不能になる恐れがある。」

 

そうならないための先日の体力テストだったのであろう。

 

生徒達の能力を評価すると共に、安全にスーツを着用出来るように、予め自分達の能力をランクと言う形で可視化したのだ。

 

「へえ…。成る程な。じゃあ、この訓練スーツは俺のランクと同じランクの物なのか?」

 

「いや、訓練用S.O.スーツのランクは全てFだ。お前達のような訓練生は全員実践向きのスーツの着用は原則禁止されている。」

 

「何だよ…Fか…。俺のAランクスーツで今日の訓練 目立ちまくろうって思ってたのによ!」

 

海澤の言葉に成海が心底不満そうな声を漏らした。

 

相変わらず、口を開けば一に「目立つ!」二に「目立ちまくり!」と自分が目立ち事しか頭に無いようだ。

 

「ランクFと言えど、このスーツが発揮する力を侮ってはならない。倍率は低いが、装着者の身体能力を底上げし、更にリミッターも解放するのだ。その状態から繰り出される速力は最大でマッハ1に達する。」

 

マッハ1とは時速1234km。

つまり、音速である。

最もランクの低いFでこの出力である。

リモリや成海達のランクAにまで達すれば、どれ程の力になるのか想像も出来まい。

 

「音速とか、目立ちまくりじゃん!ナマ言ってすんませんした!」

 

「全く…こんな常識も知らないなんて、これだから田舎者は。」

 

テンションが最高潮に達していた成海であったが、氷川から突然謂れの無い煽りを受けてしまう。

 

「田舎の何が悪いんだよ!」

 

田舎者を否定しない辺り、存外成海が田舎者であることは間違いでは無いようだ。

 

「いえ、別に悪いとは一言も…。それよりもあなた本当に田舎者だったんたですね?」

 

「聞いて驚け!天下の岩手県出身だ!」

 

そう言って成海は満面の笑みを浮かべてに胸を張る。

 

成海は自身の出身地である岩手県に誇りを持っているようだ。

確かに岩手県には歓呼名所や特産品などが多く存外し、自慢出来る点は多いにある。

 

しかし、それでも田舎は田舎である。

 

それに2130年では人口が著しく減少し、若者の数も激減しているのだとか…。

 

「あーあの人口過疎が加速している限界集落ですか…。」

 

「岩手を馬鹿にすんじゃねえよ!最近の三陸海岸知ってるか?夜になると光るんだよ。」

 

かつての大阪万博のように一時期SNSで大バズりしたものの、早急に人気が低迷し、世間から忘れ去られた2130年の岩手の観光名所である。

 

「…それならニュースで見たことがあります。町おこしの為にイルミネーションを敷設したんですよね?本当に税金の無駄遣いですね。」

 

「何だと!」

 

「何ですか?」

 

二人の言い合い…と呼ぶには氷川の方から一方的に鋭い口撃が飛んでいるように見えるが…、兎に角それによって両者の元から良好とは言いがたかった関係は悪い方へとエスカレートしていってしまった。

 

「お前達、落ち着け。今は訓練中だぞ。喧嘩なら後にしろ。」

 

今直ぐにでも喧嘩に発展…いや、既に喧嘩に発展している二人を宥める海澤。

 

その後、満を持して訓練を開始するために、海澤はAクラス全員の注目を集める。

 

「ここからは全員私語を慎め。これからお前達が行う訓練は射撃訓練だ。気を引き締めなければ怪我だけじゃ済まないぞ。」

 

海澤はリモコンを操作して、Aクラスの生徒達の前に様々な種類の銃が収納された無数のガンラックを出現させる。

 

「【D.H.A.O.】隊員が愛用している銃だ。弾は 対【B.U.M.】を想定して、実弾ではなく、海水になっている。だが、間違っても人には向けるなよ。訓練用S.O.スーツの性能をもってしても、反動を相殺しきれない程の威力を持っている。コンクリート程度であれば簡単に砕けるぞ。」

 

たかだか水と侮る事無かれ、水流の速さが800m/sに達すると水はカッターのようにいとも簡単に金属を切断出来るようになるのだ。

それを銃弾として、撃つのだから、それ相応の覚悟が必要であろう。

 

「体力テストのように一人一人順番に射撃するんじゃ時間がいくら有っても足りん。的は出来るだけ多く用意した。各々お互いに邪魔にならないように的へ向かって銃を発砲してみろ。」

 

次の瞬間、体育館の至る壁や床から、様々な形を模した的が出現した。

 

「それでは各自、銃を構えて訓練を開始しろ!」

 

海澤の号令と共にAクラスの生徒全員が銃を手に取り、的に狙いを定めて発砲する。

 

そんな中で一際目立つ麗人が一人いた。

彼女は慣れた所作で銃を構え、適切な体制で銃のスコープを覗き込み、的に正確に狙いを定めている。

 

その様な洗練された動きが出来る者など、このクラスに一人しかいない。

そう、その麗人こそ、氷川氷織である。

 

彼女は長い時間かけて、慎重に狙いを定める。

まるで的が()()()()()かのように、何度も位置を微調整し、慎重に辛抱強く狙いを定め続けている。

 

やがて、遂に発砲する準備が整ったのか、声を張り上げて、発砲を宣言する。

 

「目標確認!発砲します!」

 

「発砲すんじゃねえ!てめえ!どこ狙ってんだ!」

 

たった今氷川が目標に向かって発砲しようした、その刹那、氷川の目の前の目標…否、リモリが全力で発砲を阻止した。

 

「先生!的がいきなり自我を持ち出しました!どう対処すればよろしいでしょうか!」

 

「的じゃねえよ!さっき銃を人に向けるなって言われたばかりだろうが!」

 

今しがた、海澤から銃の扱いについて注意を受けたにも関わらず、氷川は平常運転のまま銃をリモリに向けていたのだった。

 

「氷川…これは大きな減点だぞ…。後でリモリと一緒に職員室に来い。」

 

「何で俺まで!?」

 

本日二回の職員室呼び出しである。

どうやらこのクラスには、いささか問題児が多いようだ。

 

そんなこんなで、初めての射撃訓練は約3名の問題児達によって、何とも騒がしくハチャメチャな空気のまま三時間続いたのであった。

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昼休み 職員室。

 

そこには先程問題を起こした氷川と、それから何故か一緒に呼び出されたリモリと呼び出されていないにも関わらず着いてきた成海が、海澤の前に立たされていた。

 

「はあ…。今日のお前達は本当に何なんだ。いつもに増して騒がしいぞ。」

 

海澤は深くため息をつきながら、そう愚痴を溢す。

 

「それは悪かった…。でもよ、俺達はそれでも止まれないんだぜ!俺達は今、今日1日の授業や訓練を使って勝負しているんだからな!」

 

ため息を溢す海澤に対して、成海がそう説明を口にする。

 

「なら、放課後に訓練所を利用して模擬戦で勝敗を着ければ良いだろ。学友と切磋琢磨するのは良いが授業中の公私混同は控えろ。」

 

「そうか…模擬戦…その手があったか!おい!お前ら予定変更だ!勝負は今日の放課後までお預けだ。真の勝敗は放課後の模擬戦で決めることにする。」

 

海澤の一言に成海は納得したようで、模擬戦を行うモチベーションが生まれ、リモリと氷川に放課後訓練所を借りて模擬戦を行う旨を伝える。

 

「いえ、私は元から参加するつもりは…「よし!わかった!放課後に模擬戦だな。首を洗って待ってろよ!」

 

「はあ…。これで話がまとまったのなら何よりだ。早く教室に戻れ。」

 

こうして、リモリと氷川と成海は放課後に模擬戦を行う事が決定した。

 

これ以上は何も話すことは無いと言うように、海澤は氷川達に教室へ戻るように促し、氷川達は言われるがままに職員室を後にしようとする。

 

「ああ、待てリモリだけは職員室に残れ。それ以外の二人はさっさと教室に戻れ。」

 

しかし、またもやリモリだけ職員室に引き留められてしまった。

 

「ふっお先に。」

 

「またな!」

 

そう言って職員室を去る二人を見送って、リモリは海澤に向き直る。

 

「また俺に何か用事があるのか?」

 

「いや、用事って程ではない。一緒に昼食を取ろうと思ってな。氷川と一緒にいると、お前が餓死するまで断食させかねんからな。」

 

そう言って、海澤はコンビニの袋を机の下から取り出す。

中身は無数のコンビニおにぎりとパン。

カップ麺が一つも入ってないのは、昨日カフェのマスターに言われたことを気にしての事だろうか。

 

「好きな物を食うと良い。」

 

「パンとおにぎりばっかだな…。」

 

「普段はカップ麺ばかり食っているのだがな。昨日あいつに言われて少し食生活を見直そうかと思ってな。」

 

「…。」

 

リモリはじっくり海澤とコンビニ袋を交互に見つめ、暫し難しい顔をして思案しながら口を開き、こう告げる。

 

「多分そう言う事じゃないと思う。」

 

 

 

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