つきんちゅハッピーエンドを求めて 作:超かぐや姫!に脳を焼かれた人
なんか、転生先がおかしい
なんか、変な転生をしてしまった。
転生物と言えば異世界ファンタジーで俺TUEEEEE!!!をするに限るだろう。
しかし、俺が転生したのはなんだか和風SF染みた世界であった。そして、俺は人ではないらしい。
俺はそんな世界では灯籠頭のナニカだった。何じゃそりゃ。
俺以外にも見た目同じ灯籠頭がたくさんおり、余計混乱する。
けれど、そんな灯籠頭になって少しすれば自分の立ち位置が明確になって来た。
どうやらこの世界での灯籠頭は一定の行為しか出来ないらしい。まるでプログラムに従って動いているロボットのようなそんな感じ。
で、俺だけが自我を持っており、そんなプログラムを無視することが出来る様だ。
ではどうするか。
真面目に仕事をするのも退屈の極み。不眠不休で働くなどどんなブラック企業だ。御免こうむる。
なので、自分のタスクを代わりにこなしてくれる【身代わり君】を作成。
こっそりと持ち場を離れて休息(サボり)を満喫するのであった。
サボっていたことがバレてしまった。
渾身の【身代わり君】がエラーを吐き誤作動してしまった。それによって俺が仕事をサボっていることがバレた。
何やら灯籠頭の上司らしきモノ達が俺をドナドナして行く。HA☆NA☆SE!と騒ごうにも発声機能が無いのでジタバタするだけ。
向かう先はメンテナンス室。ここは不具合を起こしたヤツを正常に戻す場所らしい。
正常に戻す、とはどう言ったことなのか。もしかしたら、ここでメンテナンスを受ければ俺と言う自我は消え去り、他の灯籠頭と同じように働かされるのだろうか?
それは非常に困る。困るったら困る。
せっかくの第二の人生。こんなことで終わりを迎えてしまうのは勿体ない。
なんならこの世界でやりたいことがたくさんある。
ここは娯楽が少ない。あっても、和楽器のような物で演奏したり、蹴鞠で遊ぶくらい。
俺は、この世界で娯楽を開拓したいのだ!俺は、娯楽王になる!
しかし、そんな夢も虚しく、よくわからない拘束具に繋がれ、頭に電極のような物を取り付けられる。
上司がスイッチオンすれば、電流が俺の体に刺激を与えてアバババババッ。
電流を喰らって、俺の意識は暗闇に落ちてしまうのであった。
なんか、無事だった。
メンテナンスを受けても自我は消えず、相変わらずであった。
なのでさっそく【身代わり君マークⅡ】を作成して、仕事をサボる。
とりあえず、何をしようかと考える。
試しに琵琶で前世で覚えている音楽を奏でてみる。音を響かせるソースコードを弄って演奏したら上司の仕事場が滅茶苦茶になった。
捕まってアバババババッされた。
蹴鞠で華麗なるリフティングをして遊んでいた。オーバーヘッドシュートを決めたら上司の仕事場が滅茶苦茶になった。
捕まってアバババババッされた。
プログラムのソースコードを弄ってロケットを作成して飛ばしてみた。上司の仕事場がまた滅茶苦茶になった。
捕まってアバババババッされた。
【身代わり君マークⅡ】がまたエラーを吐きだし暴走した。また上司の仕事場が滅茶苦茶になった。
捕まってアバババババッされた。
しかし、こうもアバババババッを受けても自我は無くならない。ある意味無敵になったのでは?
そう思うとまた色々と試してみたくなる。
上司の仕事場?不幸な事故だったね。
「君は何をしているの?」
この世界で初めて人間に出会った。正確には彼女も人間ではなく、自分と同じ思念体のようなものらしいが、見た目がここまで人間と似ている人を初めて見た。
どうやら彼女は俺の噂を聞きつけ、探していたらしい。一体どんな噂なのだと気にしていると彼女は勝手に話してくれた。
曰く、仕事を投げ出し遊び惚ける不良品。
曰く、悪鬼外道の如く周囲に迷惑をかける。
曰く、その悪童を担当する月人が定期的にメンテナンス室に通うようになった。
ごみん、上司。その節はお世話になりました。今度リラックスできる曲を奏でてやるよ。
ってか、ここの住人は月人って言うのか。じゃ、ここは月の世界?
それからも続く少女の話。
平和で善も悪も無いこの世界でどうしてそんな悪い噂が出るのか気になったようだ。
それで、実際にその噂の月人を見に来たらしい。
見た目は量産型の灯籠頭と同じ。でも、やってることはこの世界に似つかわない行動ばかり。
理解できない。でも、気になる。
私の知らないことを知っている君が気になって、探していたと言う事らしい。
うむ、自分でもよくわからん。
ただ、退屈なので面白おかしく生きたいと思っただけなのだが。
そんな気持ちを言葉にする手段を持たない俺はこれをどう伝えようと思った矢先。
彼女は何故か円満の笑みを浮かべていた。なして?
「そっか、そっか!つまんないのは嫌だもんね!」
え?なに?伝わった?
「君たちリョウサン型の思考は私達には筒抜けだよ?知らなかった?」
マジで?俺はサトラレだった?
「ねぇねぇ!何か演奏してよ!」
まさかの事実に驚くも彼女はお構いなし。なんとマイペースな。
しかし、嫌いではない。ならば、期待に応えてとっておきを披露してやりましょう。
「いぇーい♪」
この後、二人でサボっていたことがバレて仲良くアバババババッされた。
それから、姫様との生活は楽しいものだった。
姫様と言うのはこないだ出会った人間に似た少女の事だ。
本人は本物の姫がいるからそう呼ばれることに抵抗を覚えていたようだが、チミも姫様っぽいよって伝えたらニヨニヨし始めたのでスルーした。
で、姫様は前世で言うところのエンジニアのような仕事をこなしており、凄腕のプログラマーであった。
【身代わり君マークⅩ】は完璧な仕事をこなし、一緒に【身代わりちゃん:姫様Ver】も作成して二人で仕事をサボるのが当たり前になった日常。
俺が演奏して、姫様が歌う。二人で遊べるゲームを作って遊ぶ。たまに二人で作った作品が上司の仕事場を滅茶苦茶にする。
で、二人揃ってアバババババッされるのがデフォ。
とにかく、退屈な世界で俺たちは刺激的な日常を送っていたとさ。
なんか、異動を命じられた。
ハチャメチャしていつもの上司に捕まり、アバババババッされると思ったらそう伝えられた。
なんでも地球で自分達と同じ存在を感知し、この世界と似た世界が構築されているとのこと。
なにそれ?ってか、地球あったんだ。
それで、その調査を俺にして来いと命令してきたのだ。
ふっふっふっ、この俺様が素直にそんな命令に従うと思うか?
とりあえず最近姫様と作ったゲームは持って行っていい?え?船の積載量がオーバーするからダメ?そっか~………
命令となればしょうがない。言われた通りになんかタケノコ型の宇宙船で地球に向かう準備をする。
「いーやーだぁー!!」
しかし、出発当日。どこからともなく現れた姫様が俺の出発を阻止しようと足にしがみついてくる。しかも、駄々をこねて。
「君がいなくなるなんて嫌!」
うっ、上司の仕事場を滅茶苦茶にしても芽生えなかった罪悪感が胸を締め付けて来る。
そりゃ、姫様と離れ離れになるのは俺としても寂しいことではあるのですが、こればかりはガチの命令だから従うしかないんだよね。
「本当のところは?」
地球の娯楽を満喫したいに決まってるだろ!!
知ってるか?地球にはここに無い娯楽がたくさんあるんだよ!
俺はっ!それを!!満喫する!!!
「ずーるーいー!!」
ええい!離せ!!いい加減にしろ!!
見ろ!上司の方々が困ってらっしゃるだろ!
え?人選間違えたかなって?
もう遅いもんね!厄介払いのつもりだっただろうがナイス人選だと褒めてやるよ上司!
定期報告ぐらいはちゃんとやるからさぁー!
「………帰ってくる?」
むっ、突然姫様が急にしおらしくなった。俺の腕を引っ張る力を弱めるが、手は離さない。
姫様の顔を見れば、不満に満ち顔をしていた。
あたりまえじゃん。お土産持って帰ってくるよ。
そしたらまた二人で遊ぼうぜ。
そう伝えると、姫様はグシグシと着物の袖で目元を拭き、吹っ切れたような顔になった。
「わかった。じゃ、気を付けてね」
おう、じゃ行ってきます!
こうして俺は姫様たちに見送られて地球に向かうのであった。
なんか、姫様が先廻りしていたのだが。
地球に到着してからまずやることは人間社会に溶け込むこと。
乗って来たタケノコ型宇宙船【もと光る竹】は思ったより優秀で、これが俺の人間としての肉体を形成してくれる。
肉体を得れば身分を作成(偽造)すれば完璧。なんとか、収益と住む場所を確保。
ふっふっふ、前世ブリの現代社会であるが、俺に死角は無いぜ。
お馬さんでちょっとした財を築けるとは(ちょっと、戦慄……)
とりあえず、調査を開始する。
今は西暦2000年。調査する対象は現実ではなくネット内にあるようだ。
元々電子の世界で生きていた月の民に、この時代のネットはガバガバだぜ。こりゃすぐにでも仕事が終わりそう。
なんて、思っていたがここで悪戦苦闘。
対象を見つけることは出来た。だが、それは電子の海の中にいるのにどこにも繋がらず、隔離されていた。
そこまではいい。そこまではいいんだ。けど、あらゆる方法でそこにアタックをかけると弾かれる。
こっちは某大国のサーバーから経由してるのに!!!なぜぇ!!!
で、煮え湯を飲まされたような気分に陥った俺は最終手段に出る。
それは、自分自身を電子の世界に潜り込ませ、直接突撃をかます方法だ。
もと光る竹の擬態能力は現実に肉体を作るだけではない。
ネットの海、電子世界は月の世界と環境が似ている。だから、構成している肉体を解いて電子世界に適合されることも出来る!………はず!
おしっ!やるか!
「え?誰?」
おろ? 意識を電子の海に潜り込ませると妙な所にたどり着いた。
電子の世界らしからぬ、満天の星空が覆う夜の世界。地平の向こうまで続く水面がそんな夜空を写し出し、まるで宇宙のようだった。
そんな世界に聳え立つ鳥居。そして、海洋生物を模した着物を来た女性。
ってか、姫様じゃん。
姿形は違うけど、それでも俺達に備わる認知プログラムがそう言ってくる。アレは月で別れたはずの姫様なのだと。
それがどうして?と思っているとこちらを不思議そうに見て来る。
「私は月見ヤチヨ。あなたのお名前を教えて」
月見ヤチヨと名乗った姫様。一体何がどうなっているかまだ理解が出来ないが、俺はこの地球で得た名を告げる。
「月島圭一郎」
それが、今の俺の名前だ。
感想・評価・ふじゅ~いただければ幸いです