つきんちゅハッピーエンドを求めて   作:超かぐや姫!に脳を焼かれた人

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5月11日は彩葉の誕生日だと後で知る。
オメデトウとここで言っておく。


感想・評価・誤字報告ありがとうございます!




なんか、イベントが行われるらしい

「あむあむっ……むぐむぐ……うまぁ~!!すごーい!ちゃんと味がする!」

 

ツクヨミにログインして、かぐやと合流した私達はツクヨミの街を一緒に歩いていた。

そして、行きつけの足湯スポットでパフェを注文して食べている。

 

「お金が無い身としてはこういうの助かるよ。ゲーム内マネーのふじゅ~でこうして楽しめるんだから」

 

まぁ、味がするだけで満腹にはならないのだけど。

 

「でもすごいね地球。月だと食文化が無いからこういうの食べ物もないからなぁ~。口にしても無味無臭。マジでありえねぇ~って感じ。私も向こうで色々試したんだけど上手く行かなくて……あっ、犬DOGEも食べる?」

「ワンワン」

「あー!!食べ過ぎー!!」

 

それは、なんとも考えづらい世界だ事で。

 

スマコンによって仮想空間に入る事が出来るようになって数年。その技術は凄まじい物であった。

詳しいメカニズムは判らないけど、視覚情報だけで他の感覚を体験できるのは専門家が言うには難しいとのこと。

それでも、それを可能にしたムーンライトの技術力はその分野の人達が教えを乞う程だ。

 

そのおかげで、この技術を世界的に公開しないのかと世間で騒がれ、一波乱あった時期もあったそうだ。

競合他社が「技術の独占を許すなー!」とか騒いでとかで。

でも、月島さんは「じゃ、技術支援するね~」と軽く言い始めVR技術がドカンと向上させてしまった。

おかげで10年ぐらい先の技術進歩をしてしまったのではないだろうか?

 

「彩葉~……犬DOGEがかぐやのパフェ食べちゃったぁ~」

「クゥーン……」

 

そう言えばこの犬DOGEはかぐやが家にあったゲーム機から作ったオリジナルペットだったけ。

それがツクヨミ内で自由に歩き回るのは何気にすごいことでは?

 

「また今度買ってあげるから。それより時間だよ」

「時間?」

 

キョトンと首をかしげる仕草が相変わらず可愛いなぁ。

おっと、それより早く向かわないと。

 

『キタキタキター!これがないとツクヨミの夜は始まらない。本日もヤチヨミニライブの開演だあああっ!!!』

 

そう、今日はヤチヨのライブだ。しかも、抽選者には握手付きの。

久々に当選した私は今日と言う日を楽しみにしていた。これだけは例え我儘モンスターであるかぐやでも邪魔させない。

 

「そう言えば、彩葉ってツキって人知ってる?」

「何急に?」

「ちょっと気になっただけだよ~」

 

本当に急だな。

 

「ツキって人はこのツクヨミを作った一人だよ。現実世界だとムーンライトって会社を経営してて経営者としては凄腕だね。始めはネットワーク関係だけだったけど医療、電子工学とかにも着手して私達が今使ってるスマコンを生み出した人。今思えば創立当初からツクヨミの構想があったのかも。それから会社も大きくなって今では世界でムーンライトを知らない人はいないんじゃない?で、ツクヨミを作るにあたって月見ヤチヨってAIも作ってて、あれほど喜怒哀楽の可愛いヤチヨを生み出したツキはまさに神。まぁ、アレだけ自分を出すAIなんて存在するのか?本当は中身あるんじゃない?って一部の人は言うけど私はAI説を推すね。だって、ヤチヨがそう言ってるんだもん。ヤチヨの言葉は絶対。古事記にもそう書いてあります。それとツキって音楽方面でも最強で、ヤチヨがライブすると高確率で伴奏しに登場してくれてね、もうすごいの。それにヤチヨの曲も作ったりしてるし、ライブの演出も神。ツクヨミもヤチヨもツキ無しではここまで認知されなかったと思う。ってか、絶対そうだそうに違いない。惜しまれるのはこないだムーンライトの社長辞任をしちゃったから今後の活動が絶望的。あんなニュースが無ければ今日のライブだって二人の輝かしいご尊顔を拝めるはずだったのに。でも、ここ最近普通にツクヨミ内で遊んでる姿を目撃する噂を聞いた事あるし、もしかしたら?ツクヨミ内での活動は今まで通り?嗚呼、それだったらどれだけ良いことか。そうすれば私の推し活は今まで通りでいられるのに。後々、ツキってーーーーーー」

 

「あ、なんか始めるよ」

「聞けよ」

 

まだまだ語り足りないのに。

けどかぐやの言う通り、喋りながら歩いていると目的の場所にたどり着いた。

 

水面に浮かぶ大きな鳥居。足場となる橋がドーナツ型にグルっと鳥居を囲み、どこもかしこ人がいっぱいだ。

そして、鳥居の上空。大きなスクリーンに映し出されているカウントダウンがゼロになるとーーーー。

 

「ヤオヨロー!神々のみんな~、今日も最高だったー?」

 

たった今最高になりました。

 

「よーし!今宵も皆を誘っちゃうよ☆Let's go on trip!」

 

こうして圧巻のライブが始まる。

 

「あ、ツキだ」

「え!?ドコドコ!?」

「ほら、あの鳥居の下」

 

ヤチヨの歌が始まり、曲が会場に響く。

この場の視線を独り占めするヤチヨ。でも、かぐやの言う通り鳥居の下を見ればツキの姿があった。

 

まさか、社長辞任してもツクヨミ内では相変わらずの活動ってこと!?

よっしゃ!勝ったああああ!!

 

そんなこんなで私はこのライブを狂喜乱舞しながら二人の姿に魅入られるのであった。

 

 

 

 

 

 

「イェーイ!感謝感激雨アラモード!ヤチヨは果報者なのです…あ、ここでお知らせ!ヤチヨカップっていうイベントを開催しま〜す☆FUSHI、詳細よろしくぅ」

「はーい!参加資格があるのはツクヨミの全ライバー!1ヶ月の期間で最も多くのファンを獲得した人が優勝だよ。優勝者にはなんと、ヤチヨとコラボライブの権利を進呈!世界一盛り上がるコラボライブステージを一緒に作れるよ!」

 

圧巻のライブが終わり、ヤチヨとFUSHIからの告知により私の意識が戻って来る。

 

「ちなみに、このライブではヤッチョの新プロデューサーであるツキがコラボ相手にオリジナル曲を一曲提供するよ~」

 

そして、また意識を手放しそうになる。

幸いにも隣にいたかぐやが倒れそうな私を支えてくれたので無様を晒すことは無かった。

 

って、新プロデューサーってどういう事!?

これはつまり、今まで以上にヤチヨとツキの姿を拝見することが出来るって事!?

ヤバッ!?なにこれ!?神イベントじゃん!!

 

「これってそんなにすごいの?」

「当たり前じゃん!ヤチヨは配信コラボとかはしてたけどライブでのコラボは全く無かったんだよ!?しかも、ツキに至ってはヤチヨ以外に曲の提供してないし!!」

「へ~!じゃあ一緒にやろうよ!彩葉!」

 

ぐっ……かぐやの誘いに正直乗っかりそうになる。

人前に出るのは恥ずかしいけど、音楽の道を志す者としてこれは魅力的すぎる。

でも、私なんかがあの二人と並んで立ってもいいのだろうか。

多分だけど、緊張でガチガチに固まってライブが失敗する未来が視えてくる。

 

そう考えていると突然「バーン」とド派手な音が響いた。

 

何だ何だと後ろを振り返れば、会場に向かって爆走していた牛車ならぬ虎車が引いていた屋形が爆ぜたじゃないか。

 

「よう!子ウサギども。お前らの帝様が来たぜ!!」

 

爆ぜた屋形から登場したその人を目にした瞬間、会場が熱狂に包まれた。

 

鬼をイメージさせるスキンアバターを中心にローブのような服を来たアバターと地雷系ファッションに身を包んだアバターの三人組。

このツクヨミで知らぬ者はいないプロゲーマーユニットのブラックオニキス。通称、黒鬼の面々だ。

リーダーである帝アキラ。中身は私の兄である酒寄朝日である。

 

「というわけで、俺たちが優勝するから。ヤチヨちゃんコラボよろしくね」

「そういう運命なら、もちろんヤチヨは従うよ~………でも、その前にちょっと後ろに気を付けた方がいいかな?」

「え?」

 

観衆のど真ん中でお兄ちゃんがそう宣言するが、ヤチヨに指摘されて黒鬼の三人は後ろを振り返る。

 

「アーキーラーくーん」

「げぇ、社長!?」

 

三人の後ろにいつの間にか現れたのはツキであった。

 

「もう社長じゃねぇ。無断で人様のライブに乱入するんじゃないって何べん言えば理解しれくれるのかなぁ~?」

「い、いや、これは俺たちなりの盛り上げ方でして………」

 

ブラックオニキスは企業所属のプロゲーマーだ。それもムーンライトの。

なので、帝アキラとツキの関係は上司と部下となる。

 

「発案者は?」

「「帝くんです」」

「あっ!テメェ等!!」

 

見るからに激おこなツキに対して、お兄ちゃんはタジタジだ。

先程までの俺様系キャラはどこに行ったのやら。

 

まぁ、こんな光景はこれが初めてじゃない。

帝アキラがやらかすとツキが公衆の面前で普通に叱る。

最早、ブラックオニキスの風物詩と言ってもいいのではないだろうか?

それでもツクヨミトップライバーの地位にいるのだから不思議。

 

「ヤぁぁぁぁぁぁーーーーチぃぃぃぃぃーーーーヨぉぉぉぉぉーーーー!」

 

そんなツキとお兄ちゃんのやり取りを他所に、私のすぐ隣にいたかぐやが大声を出す。

 

「かぐやがヤチヨカップ優勝する!そんで絶対コラボする!ツキの歌もかぐやが歌う!」

 

お兄ちゃんの優勝宣言より、派手さも無く、ただの大声。

それでも、真っ直ぐな宣言でこの会場にいる誰もがかぐやに注目していた。

 

「………いとかわゆし」

 

当然、ステージ上にいるヤチヨにも。

 

「ほいでは、ライブはいったんここでクローズ♪ みんなとちょこっとお話させてね。さらば~い」

 

こうしてヤチヨのミニライブは幕を閉じた。

 

「彩葉!一緒にがんばろ!」

「わ、私は………」

 

かぐやの誘いに言葉を詰まらせると横から「ムリムリムリ!」と言われてしまう。

見れば百三十センチほどのちびヤチヨがツキに肩車されながら登場したではないか。

突然の推し二人の登場に「ピッ」と声にもならない空気が喉から鳴ってしまう。

 

そう言えばこれは握手券付きのミニライブであった。

ライブが終われば当選者にヤチヨの分身がそれぞれ対応している。

けど私の目の前には滅多に見れないちびヤチヨフォームとツキのおまけつき。

 

明日私は死んでしまうのだろうか?

 

って、かぐやさん。かぐやもかぐやも!とか言いながらツキによじ登ろうとしないで。

お前は本当に人見知りしないなぁ!

 

「お前らみたいなモブがヤチヨとコラボできるわけないだろ!」

「こらっ」

 

FUSHIってこんな突っかかってくるキャラだったけ?

そんなFUSHIをたしなめるちびヤチヨはかわいすぎる。

 

「お忘れかな?ヤチヨカップの参加条件はライバー限定なのですよ~」

「そっか!じゃ、かぐやと彩葉もライバーになる!」

 

グイっと肩を掴まれ、かぐやが私を抱き寄せる。

二人の前でそう宣言され、逃げ場を無くす私。

 

たしかに、優勝景品のコラボは魅力的だし、あわよくば勝ち取りたいと思ってる。

でも、自分なんかがと言うネガティブに思う所もあって、思考がごちゃ混ぜだ。

 

「期待してるよ、イロ」

「はい、頑張ります」

 

ツキの応援に反射で言ってしまった。

 

なにやってるのわたしぃー!?

でもでも、推しから応援されれば誰だって頑張っちゃうじゃん!

うわーん!もう逃げられない!

 

なんて自分の言った事に後悔しているとツキに肩車されていたヤチヨがひらりと華麗に飛び降り、トテトテと近付いて来る。

そして、私の両手を取りにこやかに言う。

 

「ヤッチョもイロとコラボできるの楽しみにしてるよ」

「かぐや。帰ってライバーの準備するよ」

 

とりあえず、どの方向性で攻めるか決めないと。

機材とかあったかな?最悪お兄ちゃんから拝借しよう。

なれば、早速ログアウトして準備しなければ。

 

こうして、私とかぐやのライバー生活がはじまるのであった。

 

 

 

「あー!待ってよー!彩葉ー! あっ、ヤチヨとツキもふれんど登録っての出来る?今度連絡するね~!」

「「りょ~」」




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