つきんちゅハッピーエンドを求めて   作:超かぐや姫!に脳を焼かれた人

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皆、Blu-rayの予約はしたか? 私はした!!


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なんか、一緒に遊ぶらしい

「夏と言えば海!」なんてかぐやの提案で海に来ておいります酒寄彩葉でございます。

 

暑い………。

 

 

「まだまだ足りない!どうすればいいのだぁー!」

 

 

と、欲張りな姫様は浜辺に広げたレジャーシートの上でゴロゴロと転がりまわって不満をぶちまけている。

暑い中ようやるっと思いながら私はパラソルの下でジュースを飲む。

 

かぐやの快進撃は順調だった。

ツキとヤチヨに言った手前、私もそれなりにかぐやの配信に協力している。

嬉しいことに過去に作成した作曲をかぐやが歌えば反響を呼び、かぐやの注目度がうなぎ上り。

で、実際にヤチヨカップランキングは現時点で200位台まで登った。フォロワーも80万人まで来た。

しかし、そこでかぐやの人気は低迷。右肩上がりの折れ線グラフが平行を辿るようになってしまった。

 

 

「こないだの歌配信めっちゃよかったのにね」

「かぐやちゃんゲームも歌も上手いよね」

 

 

芦花、真実のお二人さん、この子を甘やかさないでください。この子はすぐ天狗になるのですから。

 

 

「まあね! かぐやちゃんは天っ才歌姫ですから!」

 

 

ほら、調子に乗る。

 

 

「オリジナル曲もよかったしさ」

「わかるー。あれ、彩葉が作ったやつなんでしょ?」

「彩葉、可愛い上に天才すぎ~」

 

 

いやはや、それほどでも。

あっ、日差しきつくない?今、パラソルをそちらにお持ちしますね。

 

 

でも、実際ヤチヨカップで優勝するにはまだ足りない。

過去にお父さんと作った作曲のストックはすでに尽きたし、これからオリジナルを作るとなると私一人で頑張らなくてはいけない。

 

はたして私にそれが出来るのだろうか?

 

作曲のノウハウはある。でも、これでいいかと言う自信が持てない。

私一人で作った曲で、かぐやの人気が落ちてしまわないか不安。

そう言ったマイナス思考な部分が表に来て、新たに作曲する勇気が持てない。

 

お父さんやツキはそんな不安を持ちながらもちゃんと作曲出来て改めてすごいと思う。

今度、お父さんあたりに作曲について聞いてみようかな。

 

 

「おーい、飯と飲み物買ってきたで~」

 

 

そんな事を考えていたら、我らのアッシーこと我が兄である酒寄朝日が現れた。

普段はもっさりとした恰好であるが、外行き用にメガネからコンタクトでイケメン度が上がっている。

 

かぐやの発案で今日の海水浴が決行された。

メンバーはかぐや、私、芦花、真実、そしてお兄ちゃん。

最初は「え?お兄ちゃん呼んで大丈夫?」って思ってたけど、お兄ちゃんを呼べば交通費、食事代諸々が浮くのではないかかぐやの囁きに納得してしまった。

で、芦花と真実に一応確認とると驚いた事に二人はすでに私の兄を知っているではないか。

なして?と思って話を聞くとかぐやが私のパンケーキを強奪したあのカフェで会ったとか。

その時は軽く自己紹介して終わってしまったが、一度ちゃんと話してみたかったんだぁ~と二人の許可も貰えた。

 

真実はなんか邪な目的があったかもしれないけど、私に害が無ければいいや。

 

そしてお兄ちゃんに連絡すれば、あっさり了承。

かぐやがあざとくお願いをすると車とご飯代も出してくれると言う事になった。

フッフッフ……計画通り。

 

 

「朝日!コラボして!」

「なんや急に?」

「かぐやゆ"う"し"ょ"う"し"た"いぃぃぃ!!!」

 

 

お兄ちゃんがご飯と飲み物を私達に配っているとかぐやがまた騒ぎ始めた。

 

 

「朝日さんてライバーなの?」

「え!?そうなの!?」

 

 

そんなかぐやを見て芦花と真実が反応した。

二人にはお兄ちゃんがあの帝アキラの中の人とは伏せている。

そりゃ、人気ライバーが目の前にいたら騒ぎになりかねないし、お兄ちゃんも身バレを恐れて公にはしてない。

 

 

「ふっふっふ、フォロワー100万人になってから出直しな。それやったら一緒にコラボしたる」

「ふがー!!ムカつく―!!」

「もしくはいろPが着ぐるみ脱いだら」

「彩葉ー!!」

 

 

やめい。脱がん。

基本、かぐやの配信で私はキツネの着ぐるみを着ている。身バレしたくないと言うのもあるが、単純に恥ずかしい。

残念ながら私にはかぐや程の承認欲求は無いのですよ。

 

 

「でも、真面目にかぐやちゃんの配信でやってないのって他のライバーとコラボぐらいじゃない?」

「ソロでこれだけ人気出てるんだもん。コラボすればもっと伸びるかもね」

 

 

そう言う芦花と真実の案にかぐやが目を輝かせる。

対して私はあのかぐやが他所に迷惑掛けないか不安になる。

 

かぐやが家に転がり込んできてしばらく。今までの日常を思い出すとこれまた騒がしいの一言に尽きる。

配信はもちろん、日常のちょっとしたことでも一喜一憂してるのだ。

 

見てて飽きない、でも騒がしい。

 

勉強している時もかぐや様に曲を作り直しても、わーぎゃーしてるのだ。

お兄ちゃんの所に預けても外で配信し始めるし、本当に自由気まま。

その内、何かやらかしそうで怖い。

 

 

「あ、メール」

 

 

そんな事を思っているとかぐやのスマホに通知がポコンと出る。

ちなみにかぐやの交友は意外と広かったりする。路上ライブすれば来てくれた人みんなとフレンド登録していくのだ。

きっとこの通知もその内の誰かからだろう。

 

 

「っ~~~!!!彩葉!見て見て!!」

 

 

しかし、メールの内容を見て感極まるような顔をしたと思ったら、スマホの画面をこちらに見せて来た。

えーっと、なになに――――

 

 

 

From:ツキ

姫様、今度ツクヨミで新しいゲーム配信するんだけどやりますか?OKなら詳細送りまーす。

 

 

 

ーーーーーーーは?

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

『さぁさぁ!やってまいりました!今宵はツクヨミ内に実装される【KASSEN】に続く新たなゲームの実装!【KANADE】が正式リリース!先日、ヤチヨの配信で急遽告知されて話題沸騰!!今日を楽しみにしていた人もいるのじゃーないか?私もその一人だぁー!!』

 

 

忠犬オタ公さんによる実況が会場内に響く。

ツキからかぐやにメールが届いてから数日。届いた日の夜にヤチヨが緊急告知をしてこの【KANADE】がツクヨミ内でリリースされた。

 

 

『ヤオヨロー!月見ヤチヨです!皆、今日は来てくれてありがとうね~』

『早速ですがヤチヨさん。この【KANADE】について教えてくれます?』

『一言で言っちゃえば音楽ゲームかな。ゲームセンターとかにある筐体で音楽に合わせてボタンを押すやつ』

『おぉ~!【KASSEN】とはまた違うジャンルなんですね!』

 

 

ツクヨミ内でメジャーなゲームは対戦ゲームである【KASSEN】だ。武器を持って、人と戦うゲーム。

そして、今回リリースされる【KANADE】はヤチヨの説明にあった通り、音ゲーと言うジャンルになる。

 

音楽に合わせて楽器を模した入力デバイスで操作するゲーム。

和太鼓みたいな物もあればピアノのような物もあるあのゲーム。

 

それが、ツクヨミで実装された。

 

 

「彩葉?緊張してる?」

「………なんでわかるの?」

 

 

今の私はかぐやの配信で着ている着ぐるみ状態だ。

表情などわかるはず無いのに、私の心理状態をかぐやに言い当てられた。

 

 

「さっきから尻尾がピンってなったり、シナシナになったりしてる」

 

 

え?この着ぐるみそんな機能あるの?

 

 

「それより今日は楽しもうよ!新しいゲームだって!」

 

 

そう言って私の手をグイグイ引っ張るかぐや。

確かにこの手のゲームは好き。でも、今日は事情が違うのですよ。

 

 

「かぐやっほー!今日は本日リリースされる【KANADE】の配信をお送りするよ!」

 

 

あぁ、勝手に配信スタートさせないでぇ~。

まだ心の準備がぁ~……。

 

 

「そんで!今日は特別ゲストが来てまーす!はい、ドーン!!」

「え?雑ぅ。はい、どうも元社長のツキです」

 

 

うわぁー!本物だー!本物のツキだぁー!

 

 

「お、コメントがすごい盛り上がり。爆速で流れて読めねぇ~」

「姫様、超人気じゃん」

 

 

違います。半分以上はアナタの人気です。

って、同接がヤバいことになってる………。

 

海に行った日、ツキからのお誘いでかぐやのコラボが決定した。

かぐやもこの日に配信する予定を事前に告知していたが、ゲストまでは伝えてなかった。

「その方がサプライズ感あるでしょ」って言っていたけどサプライズすぎるわ!

 

 

「んじゃ、オープニングセレモニーのオタ公ちゃんとヤチヨの説明があった通り【KANADE】は音楽ゲームになります」

「どうやるの?」

「まずはどのジャンルで遊ぶかを決める。スタンダードなのはキーボード型ですかね?他にもギターやドラム、(つづみ)何かもありますよ」

 

 

何故、(つづみ)

 

 

「じゃ、かぐやキーボードでやる!彩葉と一緒!」

「じゃ、俺も。これで一回プレイしましょ。遊びながら教えます」

 

 

そう言って二人の前にキーボードが出現する。

そして、音楽が流れると目の前のレーンからバーが降りて来て二人はタイミングよくキーを叩く。

説明の為のプレイなので、難易度は初心者向け。演奏をしていると言うより、ゲーム自体に馴れる為の難易度だ。

 

 

「まぁ、こんな感じ。今度はちょっと難易度上げましょう」

「うん!」

 

 

にしてもかぐやのヤツ楽しそうだなぁ。

ツキとどうやってあんな親しくなったのか気になるところであるが、まるで長年の友人と遊んでいるような感じ。

 

 

「イロはやらないの?」

「え?」

 

 

かぐやとツキのプレイを見ていたら突然声を掛けられた。

振り向けば何故かヤチヨがそこにいる。

 

 

「AIライバーのヤチヨは分身も出来るのです」

 

 

ご存じです。そっか、今ヤチヨはオタ公さんの配信に出てるし、このヤチヨは分身か。納得。

 

 

「納得する訳ないじゃん!どうしてここに!?」

「おっ、一人ツッコミ?イロも俗世に染まってるね~」

 

 

一人ツッコミのどこに俗世に染まる要素があるのだろうか。

 

 

「ツキがこっちで遊んでるって言うからこっそり。あ、かぐやのライブには映らない様にフィルター掛けてあるから」

「そう、なんだ」

「それにしてもこうしてイロと話すのは久しぶりかな?なかなか落ち着いて話せなかったから」

「……う、うん。そうだね」

 

 

幼少期に初めて出会ってから、ヤチヨとは何度かツキこと月島さんを通して話したことはある。

でも、私がガチファンになってから上手く話せなくなってしまい、その数も減ってしまった。

 

 

「このゲームはね、ツキの思いつきで作ったんだ~」

「え?」

「イロって昔よくツキと一緒に遊んだでしょ?」

 

 

そう言われて、月島さんがよく家に来ていた時を思い出す。

お兄ちゃんがスマコンのテスターに選ばれ、ヤチヨが家の電化製品に入り込み壊していった時だ。

菓子折りと新しい電化製品を持ってお母さんに腰を折る月島さん。

始めはなんだこの人はと思っていたが、なんだかんだで遊び相手になってくれたりしていたな。

 

その時の月島さんは気の良いおじさんって感じで親しみやすかった。

暇さえあれば、外で遊ぶこともあったし、ゲームで遊ぶこともあった。

そして、たまにゲーセンに連れて行ってもらって、一緒に音ゲーを遊んだ。

最初は上手く出来なくて家庭用で猛練習したっけ。

 

次に月島さんとゲーセンに行くと、上手に出来て帰りにアイスクリーム買ってもらったのは良い思い出。

お母さんに秘密って言ってたけど音ゲーへたっぴのお兄ちゃんが不貞腐れて、お母さんにバラして二人で怒られたのは今思えば許せんな。

 

で、月島さんがツキとなってからはヤチヨ同様に、緊張してあまり上手く話せなくなってしまった。

それにツクヨミの運営も忙しくてか、向こうからも私達に会う事も少なくなったし。

 

 

「あはははっ!今のなに!?どうやるの?」

 

 

上手くコンボを繋げられないかぐや。でも、本当に楽しそうにツキと遊ぶ。

その光景が少し羨ましく思ってしまった。

 

 

「彩葉ー!次、彩葉がやって!」

「え?」

 

 

演奏が終われば、かぐやがそんなことを言う。

ってか、配信中に名前を呼ぶな。

 

表立って配信に出ることを拒否している私がそんな事できるはずがなかろうが。

ましてや、音ゲーなんてここ数年触って無いし、上手く出来るハズなんてーーーーー

 

 

「彩葉」

 

 

私の後ろにいるヤチヨが、私の名前を呼ぶ。

ツクヨミ内ではアバター名で呼んでいたのに。

 

 

「大丈夫、また一緒に遊ぶだけだよ」

 

 

トンッと背中を押されて一歩前に出てしまう。

かぐやはそれを了承と思ったのか、腕を引っ張って私をステージに上げる。

 

 

「こうやってイロと遊ぶのも久しぶりだな」

「………ども」

 

 

ども、って何だ。もっとあっただろ私!

 

 

「ははっ、まぁあの時みたいに俺に勝ったらアイス奢ってあげよう」

 

 

懐かしむようにそう言うツキ。そんな昔のことを覚えていてくれてちょっと嬉しく思ってしまう自分がいる。

 

もう、覚悟を決めてやるしかない。推しと思わぬセッションであるが、ここで恥を晒すわけにはいかない。

 

 

『いろPが脱いだぁーー!!』

 

 

着ている着ぐるみアバターを脱ぎ、いつもの姿に戻す。

少し指をマッサージして、目の前の鍵盤に指を添える。

 

「じゃ、最高難易度でやろうか」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーうぇ?

 

 




まだ続くんじゃよ。

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