つきんちゅハッピーエンドを求めて 作:超かぐや姫!に脳を焼かれた人
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妙な再会を果たした俺と姫様。
あの幻想的な鳥居の前から場所は変わって、彼女のプライベートルームと呼ばれる場所に案内された。
「それでね。8000年前に墜落しちゃって大変だったんだよ~」
事の経緯はこうだ。
2030年に仕事が嫌で地球へ逃亡して来た姫様。そこで色んな出会いを得て別れを惜しみながら月へ帰る。だが、地球で出会った大切な人からの歌声を聞いてまた地球に舞い戻ろうと思ったのだ。
「月に帰ってバリバリ社畜してた、えらいかぐや姫のところに歌が届きました。それはかぐや姫のために作られたかぐや姫だけの歌」
それで爆速で仕事を終わらせ、引継ぎまでして、いざ地球へ!
「ただ、地球の時間では大遅刻。でも、安心。月の超テクノロジーは時間も越えられます。時を超えて、地球に向かうかぐや姫。でも、もう少しのところで、でっかぁ〜〜い石に当たっちゃったの」
ウケる~。
「真面目に聞いて!」
姫様のやらかしを茶化すと怒られた。
姫様が説明した通り、2030年の地球に降り立った姫様はそこで素敵な出会いをした。
一度は月へ帰るが地球で出会った少女からの歌声で再び地球へ。
しかし、向かう途中でトラブルに遭って到着したのが8000年前の地球。
8000年かぁ~………想像出来ん………。
月の世界は不変だ。
移り変わる景色など無く、何も変わらない。
でも、地球は常に移り変わっていく。
10年もすれば何かしらの変化を感じ。100年もすれば世界が変わっていくだろう。それを、8000年も見続けてきた姫様。
出会いと別れ、楽しいことも辛いことも色々あったはずだ。人の善性や悪性もたくさん見て来ただろう。
それでも、彼女は、今を迎えている。
「でも、不思議なんだよね。前の私は君に出会っていなかったんだよ」
それも問題だ。
彼女は未来の時代からタイムトラベルをして8000年前に行ってしまった。
重要な記憶は覚えているモノの、些細な事は色あせてしまっている。
それでも、俺と言う存在は彼女の中では存在しない。
まぁ、自分がイレギュラーな存在なのは理解している。
この自我も、本来ならありえない存在なのだから。
そして、もしかしたら俺の存在が目の前にいる姫様に悪影響を与える可能性だってある。
所謂、タイムパラドックスと言うヤツだ。
ここで俺達が出会ったことで、姫様に異変が起こるかもしれない。
「それは大丈夫かもこうして出会ってお話をしても、今の私に何らかの影響は無いみたい。世界線の分岐みたいな感じでこの世界線は独自の時間が流れてると思う」
一拍おいて、
「心配なのは私の知る未来が無くなっちゃったことかな。それだと彩葉との出会いがどうなるか………」
目指していた未来が無くなったことに姫様の顔に影が差す。
大切な人の為に過ごした8000年。本当だったら俺に当たり散らして叱責してもおかしくないのだ。
そのことに申し訳なく思い、俺は脳内でとあるデータを調べ始める。
「君はこれからどうするの?」
どうもしないと答えておく。そうすると姫様は意外そうな顔をしてきた。
俺は月から派遣された調査員であるが、地球にいる姫様の事をそのまま報告すると何が起こるか判らんからな。
ならば、騙し騙しに報告をでっち上げて月の姫様が地球に来るまで凌ぐのがベストだと思う。
「いいの?そんなことして………」
こちとら長年上司とやり合って来たのだ。途中から姫様も加わって色々やって来たし、慣れている。
「この世界の私は何をしてるのぉ」
安心しろ、ただちょっと仕事をサボって上司の仕事場を滅茶苦茶にしただけだ。
最高だったのは「空飛びたい」と言って一緒にロケットエンジン作って失敗した時だな。
ロケットが上司の仕事場に突っ込んで二人して冷や汗かいたもんだ。
あの時は流石にデリートを覚悟したが、なんか月外調査の宇宙船エンジンが進歩してアバババババッされただけですんだ。
「えぇ~………」
それと、酒寄彩葉は多分大丈夫だと思う。今、住民票を確認したら彼女の両親は問題なく存在している。
まだ二人共2000年だと少年少女であるが、まぁ、そこは気長に出会うことを祈ろう。
「え?え?ホント?私は、彩葉に会えるの?」
会えるんじゃないのか?知らんけど?
「………フフッ、適当だなぁ~。でも、そっか、そっか。だったらやることは変わらない。後、少しでゴールなんだ」
そう言って、心配事が無くなったおかげで姫様は安堵した表情に変わった。
しかし、油断は出来ない。色々と保険を掛けておく必要もあるかも。
「もう一つ聞いていいかな?」
むっ、一体何だ?
「どうして君はここまでしてくれるの?」
未来でも、過去でも、出会った事の無い俺達二人。何だったら、今日が初対面。
自分の内を明かしたとは言え、見ず知らずの俺がそれを聞いて何故協力的なのかが理解できなかったらしい。
対して俺は姫様を知っている身。ただ、目の前の姫様は俺の知る姫様ではないのでここまで協力をする必要性も無い。
未来を変えてしまう罪悪感?
厳密には違うが、目の前の姫様が悲しい顔をしてたから?
違う違う。そんな理由で協力する訳ではない。
「こんな面白そうな世界。おもしろおかしくハッピーにしないと損だろ?」
思念による意思伝達ではなく、地球に降り立って得た肉体の発声機能で言葉にする。
その言葉を聞いて、姫様は一瞬呆けて、涙を流しながら笑った。
◆◇◆◇◆
ヤチヨSide
8000年の時を過ごし、世界がネットで繋がり始めてしばらく。
自分を電子生命体としてネットの海を自由に行き来出来るようになった時だった。
懐かしい、彩葉との思い出の部屋を模したセーフエリアを構築。
自分が月見ヤチヨに成ると気付き、また彩葉と再会するためにツクヨミを形成している最中に彼が来た。
聞けば、月から私について調査しにきたリョウサン型の一人だと言う。
これはどういう事だ、と思って警戒する。
だって、ここで月からの干渉を受ければ、彩葉と出会うための未来が潰えてしまうと思ったから。
けれど、彼は私の事を知っているようでずっと私の事を「姫様」と呼んでいた。
おや?と思い事情を聴くと彼は月の私を知っているようだ。
そして、親しくさせてもらったと教えてもらったと言う。
私がかぐやに成る以前の記憶。8000年も経って色あせてしまったがそんな存在は知らない。
唯一覚えていたのはあの世界はつまらなかったと言うことだけ。
これは、どういう事だろう?彼は本当に誰なんだろう?
話す内に不安が膨らむ。今の内、消さないと、彩葉と出会う未来が変わってしまう気がする。
でも、出来なかった。
8000年も生きて、人の良い所も悪い所も見て来たのに。殺める覚悟を持てなかった。
こんな弱い私でごめん。心の内で彩葉に謝罪し、私は彼と話をした。
誰も迎え入れたことの無いプライベートルームで彼を迎え、私がどう言った存在なのか、彼が何を目的としているのか、話し合った。
意外なのは彼は私の事情を聴いて協力的だったこと。
こうして私達が出会って、私が知る未来から乖離が始まっているにも関わらず、彩葉と出会う未来を確かな物にしようと言ってくれる。
私は君の知る姫様じゃないのにどうして?と聞けば。
「こんな面白そうな世界。おもしろおかしくハッピーにしないと損だろ?」
嗚呼、君もハッピーエンドが好きな人なんだ。
それだけで、不思議と彼の事が信頼出来た。彩葉をチョロ葉って言っていたけど、私も人の事を言えない。
彼となら、私は目指していた未来を迎えられそうな気がする。
「じゃ、これから色々と協力してね」
肉体を失ってこの気持ちに熱を感じることは出来ない。それでも、私は右手を彼に差し出して握手を求める。
右手と私の顔を交互に見た彼。一拍置いて、私の手を握ってくれた。
ピリリッと何かが腕から伝わり、頭の中で弾けた。
それは、長い間忘れていたかつての人の温もり。
どうしてか、彼の手からそれが伝わってくる。
なんでぇ!?!?
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