つきんちゅハッピーエンドを求めて   作:超かぐや姫!に脳を焼かれた人

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なんか、デビューするらしい

「ワクワク、ワクワク♪」

 

ツクヨミ内にあるヤチヨのプライベートルーム。そこで我らの姫様はいつも以上に舞い上がっていた。

 

「少しは落ち着いたら?」

「無理ッ☆」

 

西暦2026年、ツクヨミ稼働。そして、今日は月見ヤチヨがライバーとしてデビューする日であった。

 

「ねぇねぇ!彩葉来てるかな?」

「スマコンとチケットは渡してるから来るだろ?」

「来なかったらどうするの!?」

「自業自得だな」

 

ここまで、ここまで来るのに本当に大変だった………。

いや、ムーンライトとしてツクヨミの運営は順調そのものだった。ほとんどヤチヨがやってくれてたし。

スマコンの性能向上もテスターをやってくれた朝日少年と他の人達のおかげで問題無し。

 

 

問題は別。人はそれを『月見ヤチヨ氏彩葉少女ストーキング事件』と呼ぶ。

 

 

初めて酒寄家に訪問した際にフライングしてヤチヨと彩葉少女が邂逅してしまった。

その場は丸く収めたモノの、ヤチヨは度々ツクヨミから彩葉少女が映るデバイスに侵入を繰り返して覗き見をしていた。

そして隙あらば接触を試みようとしたが、FUSHI防衛隊長の手によって阻止される。

 

その時、彩葉少女への実害(彩葉少女周辺の電子デバイスが不調になる)が出ており、その度に俺が直接謝罪をする一連が度々起こっていたのだ。

 

おかげで朝久さんといい酒飲み仲間になったよ。嫁さんとの惚気話や子供の自慢とかして来るよ。

 

「お前一般デバイスだと容量キャパ超える重さ(情報量)なんだからやめろ」って言ったらふくらはぎにローキックを喰らった。世界を狙える良い蹴りだ。VRじゃなかったら悶絶モンだったぞ。

 

初めてヤチヨを見た彩葉少女も「綺麗なお姉さん」って最初は言ってくれてたのに歳を重ねて今では「え?ヤチヨさんですか?………ちょっと」と苦手意識持たれてるんだぞ。

 

こちらも、おかげで俺は彩葉少女に悩み事相談されるぐらい仲良くなってしまったんだから。家族の事とか、将来の事とか、ヤチヨの事とか。

 

しかもなんだ?そうやって説教する度に「彩葉が可愛いのがいけない!」とか開き直りやがって。

 

前の時はヤチヨガチ勢の少女をどうしてこうしてしまったんだ。………俺の所為か?

いや、コイツの所為だ。きっとそうだ。全部コイツが悪い!

 

「ヤチヨ、時間だぞ」

 

色々とこれまでの事を思い返しているとFUSHIが時間を教えてくれる。

 

「ツキ」

「ん?」

「ありがとうね」

 

先程までの浮かれようから一変。落ち着いた声色で、慈愛に満ちた笑顔でヤチヨがそう言って来た。

 

「だーい好き♪」

「はぁ?」

「彩葉の次にだーい好き!」

「はいはい……それより時間だぞ。行ってこい」

「うん!行ってきます!」

 

突然の告白に面喰らってしまうが、いつもの調子の良い発言だと察して聞き流してしまう。

それでもヤチヨは嬉しそうに笑って、プライベートルームから消えてしまった。

 

さて、俺も準備するか。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

ヤチヨSide

 

 

 

 

「ヤオヨロー!神々のみんな~、はじめましてー!月見ヤチヨでーす!」

 

 

遂に始まった念願のデビューライブ。

嬉しいことに客席は満員御礼。輝かしいサイリウムがキラキラと輝いている。

電子世界だけど、肌からヒリヒリとした空気を感じられる。

 

 

「本日より仮想空間ツクヨミが稼働したけどどうかな?楽しめてる?」

 

 

会場が客席からの声で揺れた。うんうん、どうやらご満足していただいているようで。

 

 

「ここはね、色々な人が頑張って作られた世界なんだぁ。もちろん、管理AIであるヤッチョも頑張ったのです♪」

 

 

本当に頑張った。8000年もの時間をかけて、ようやくここまでやって来れた。

みんなが好きなことをして、殺し合うこともなく、誰も孤独にならない世界。

前に体験した世界とちょっと違うけど、それはご愛敬。

 

 

「大通りにあるパンケーキ食べた?すごいよ、VRなのにちゃんと味して甘くておいしの!味覚と嗅覚とかの五感パラメータはねぇ~メッチャ頑張った!」

 

 

彼のこだわりで搭載された五感パラメータ。

ちょっとしたズルして取り入れちゃったけど、いいよね?

 

 

「はぁ~……本当はいっぱい、いっぱい話したいことがあるんだけど………そろそろ歌おうかなッ!」

 

 

これからよろしくね、みんな。

 

 

「では聞いてくださいーーーー『Remember』」

 

 

月にいた時に彩葉が届けてくれた歌。

形を変えちゃったけど、ヤチヨのデビュー曲。

ヤチヨは彩葉に届ける為にこの歌を歌ったんだよね?

ごめん、私はちょっとフライングしちゃった。

 

 

でも、変わらないよ。この曲はやっぱり彩葉に届ける為にあるんだから。

 

 

 

 

~♪

 

 

 

 

ステージが暗転して、曲のイントロが流れる。

スポットライトを浴びて、歌いだす。歌に沿って、ステージの演出が変わる。

全部、ツキが考えてくれた。

落ち着くところは落ち着いて、派手な所は派手で。

 

 

私の歌を最大限に引き出してくれる。

どんなに遠くても、必ず遠くまで届けられるように。

この会場にいる人全員を魅了して、私に釘付けにしてくれる。

 

 

ライブ開始前にした告白。

ごめんね、テレ隠しで彩葉の次とか言っちゃった。

本当は彩葉と同じぐらい大好きです。

 

 

AI特有のマルチタスクで観客にいるはずの彩葉を探す。

いた。ちゃんといた。

 

ヤチヨは初めて彩葉を見つけた時、嬉しかったのかな?

嬉しかったんだろうなぁ~。だって、私も今すっごく嬉しいもん。

 

 

 

 

~♪

 

 

 

 

そんな最初の歌も終わり、一息着く。

 

 

息を切らして、観客たちを見ると歓声が響き渡った。

 

 

でもでも、ライブはまだ続くんだよ。

 

 

まだまだ皆を誘っちゃうんだから!

 

 

 

「ーーーーーぇっ」

 

 

 

次の曲が流れると同時にステージ上空に突如現れる浮遊ユニット。

そこには肩下げ型のキーボードを演奏しながら、ツキが現れた。

 

 

現実ではもう40歳を超えた姿。

ツクヨミで仕事をする時は、出会った当初の20代の人間の姿をしている。

 

 

でも今はツクヨミの世界に倣って、犬耳和服の青年になって。

しかも、髪の色はヤッチョと御揃いの銀髪!えっ!カッコいい!

じゃなくて、なんでぇ!?今までそんなキャラクリしてなかったじゃん!?

 

 

っとと、いけないいけない。今は歌に集中しなくちゃ。

でも、突然のツキの登場で感情がバグる。

 

歌も中盤に差し掛かり、盛り上がりを見せるところ。

時折、こちらに目線を送るツキにドキマギしながらもちゃんと歌うことが出来た。

 

 

えらいぞ、ヤッチョ。後でご褒美だ。

 

 

 

 

~♪

 

 

 

 

こうして二曲目も歌い切る。次の曲までの小休憩。

 

 

本来ならトークで場を繋ぐんだけど――――

 

 

「なんでここにいるの!?」

「サプラーイズ」

 

 

悪戯に成功したかのように笑うツキ。

 

 

そんなやり取りを見ていた会場の皆はなんだなんだと騒ぎ始める。

 

 

「はじめまして、株式会社ムーンライト社長、月島圭一郎です」

 

 

彼がそう自己紹介すると会場が騒ぎ始める。

 

 

「此度は弊社が提供するネットワークサービス、ツクヨミをご利用してくださり誠にありがとうございます。そんなオープン初日にちなんで、この世界の管理人たる月見ヤチヨのデビューライブを開演した訳ですが………楽しめてますか?」

 

 

客席から「サイコー!!」って声が聞こえる。

 

 

「ならばよかった。コイツもライブ直前まではしゃいでましてね。落ち着きの無さっぷりといったら………よっぽど皆さんの前で歌を披露したかったんでしょう」

 

 

笑い声が聞こえる。

 

 

「おい、ヤチヨ」

 

 

初めて、呼び捨てで呼んでくれた。

 

 

「とりあえず、スタートラインだ。後はいつものように突っ走れ」

 

 

………ズルいじゃん。それはズルだよ。

そんな事、今言われたら、みっともなく泣いちゃうよ。

 

 

 

 

この言葉の意味を理解できる人は、この会場で私ただ一人。

 

 

 

 

紡ぎ、紡がれ、8000年。ようやく立てたスタートライン。

全てが無駄になるんじゃないかと、何度も思ったこともあった。

でも、全部無駄じゃなかった。諦めなくて、よかった。

支えてくれる人達がいて、私はそんな皆が大好きだった。

ヤチヨも彩葉を見つけて、過去に出会った人達の事を振り返ったのだろうか?

 

 

 

私は、そこにツキを付け加えるよ。

 

 

 

前には存在しなかったイレギュラー。

かぐやがヤチヨに成ることで確定した未来を崩壊させてしまった張本人。

コンニャローって思ったけど、私が求めた未来まで引っ張ってくれた存在でもある。

 

 

 

彼のおかげで叶えたかったことが叶った。

 

 

 

ツクヨミに五感パラメータを実装させ、パンケーキが食べれた。

あの時は大泣きしながら食べちゃったな。今度は彩葉と一緒に食べよう。

 

 

予想外な形で、彩葉と再会を果たした。

小さい彩葉は可愛かったので私は悪くない。

 

 

ツクヨミでライブすることが出来た。

待ちに待ったこの瞬間は永遠に忘れられない瞬間になった。

まさかツキが登場するとは思わなかったけど。

 

 

 

ねぇ?君はどれだけ私を幸せな気持ちにさせてくれるの?

 

 

 

これ以上の幸せなんて考えられないよ。

 

 

 

 

「ーーーーーありがとう」

 

 

 

マイクが拾わないぐらい小さな声。当然、ツキにも聞かれていない。

 

 

感謝の言葉だけでは足りない。だからねーーーー

 

 

 

「おもしろおかしくハッピーにッ!!次の曲行くよ~!!!」

 

 

 

貰ってばかりじゃ悪いから、今度は私が君を幸せにして見せるね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『拝啓、月島圭一郎様

 

ご無沙汰しております。酒寄彩葉です。突然のメールごめんなさい。

 

この度はツクヨミの正式オープンおめでとうございます。

いただいたスマコンとライブチケットで月見ヤチヨのライブ拝見させていただきました。

とても素敵なライブでした。目が離せず、感動してしまい思わず涙を流してしまう程です。

兄から話を伺いましたが、あの歌い手の魅力を十二分に引き出す演奏、演出を全てお一人で考えたとお聞きしております。

 

本当にすごいの一言に尽きます。すみません、感情の言語化って難しいですね。

 

そんな感動をいただいてなのですが、私も音楽の道に進もうと思います。

父と一緒に作る音楽は楽しく、貴方の演奏で感動して、この道に進みたい。そう思い、この考えに至りました。

 

私も中学に入学する時期になり、本格的に音楽について勉強を始めようと思っております。

両親の説得は骨が折れましたが、父も母もなんだかんだで背中を押してくれているような気がします。

当面の目標は月島さんと一緒にセッション出来ることを夢見てます。

 

長々と長文失礼いたしました。

 

酒寄彩葉より』

 

 

 

 

 

 

彩葉が寝取られたァ!?!?

 

 

 

 

 




とりあえず、原作前のお話はここまで。


ちょっとしたキャラ紹介

転生リョウサン型月人/月島圭一郎/ツキ
リョウサン型月人に転生した主人公。退屈が嫌い。
月にいるかぐやと成る少女と意気投合して色々と問題を起こしていた。
ヤチヨと出会ってかは真面目にヤチヨのサポートをしていたが、デビューライブまで漕ぎ着けた事により、その役目が終わったと思っている。

おや?どうしてアップを始めているのでしょう?

月見ヤチヨ
主人公に出会って、8000年より願っていた事の大半を叶えて貰った事に感謝。
だけど、彩葉を寝取った事だけはゆるさない。

酒寄彩葉
父親生存により家族間での拗れはそこまではない。
母親の様になりたい、でも父親の影響で作曲にも興味を持っており、将来どうしようと悩んでいた所に主人公とヤチヨのライブを見て音楽の道に進むことを決意。
ライブ後、グッズを購入して自作の神棚に祭られる二つのアクリスタンドがあるとか。

かぐや
バリバリ仕事中。そろそろ限界。



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