第二問
問 以下の意味を持つことわざを答えなさい。
『(1)得意なことでも失敗してしまうこと』
『(2)悪いことがあった上に更に悪いことが起きる喩え』
『(3)一喜一憂するべきではない』
姫路瑞希の答え
『(1)弘法も筆の誤り』
『(2)泣きっ面に蜂』
『(3)人間万事塞翁が馬』
教師のコメント
『正解です。他にも(1)なら『河童の川流れ』や『猿も木から落ちる』、(2)なら『踏んだり蹴ったり』や『弱り目に祟り目』、(3)なら『禍福は
吉井明久の答え
『(1)河童の川流れ』
『(2)踏んだり蹴ったり』
『(3)沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり』
教師のコメント
『正解です。先程姫路さんの回答でコメントした他のことわざで答えてきましたね。』
須川亮の答え
『(1)弘法の川流れ』
教師のコメント
『シュールな光景ですね。』
横溝浩二の答え
『(2)泣きっ面蹴ったり』
教師のコメント
『君は鬼ですか。』
福村幸平の答え
『(3)人生巨乳あり貧乳あり』
西村先生のコメント
『補習室に来い。貴様のその歪んだ人生観ごと、叩き直してやる。』
「えーと、ちょっと通してもらえますかね?」
4人で集まって話していると、不意に背後から覇気のない声が聞こえてきた。そこには冴えない風の先生がいた。
「それと席についてもらえますか?HRを始めますので。」
「はい、分かりました。」
「うーっす。」
「分かったのじゃ。」
「…分かった。」
僕らはそれぞれ返事をしてそこらの席に着く。
「えー、おはようございます。2年Fクラス担任の福原慎です。よろしくお願いします。」
先生が黒板に名前を書こうとしてやめた。そういえばさっき見た時ほんのちょっぴりのチョークしかなかったな。
「皆さん全員にちゃぶ台と座布団は支給されてますか?不備があれば申し出て下さい。」
50人程度の生徒が所狭しと座っている教室には畳とちゃぶ台と座布団がある。
「せんせー、俺の座布団の綿がはみ出してますー。」
と、クラスメイトの誰かが先生に設備の不備を申し出る。
「あー、はい。針と糸を渡すので後で自分で直してください。」
「先生、俺のちゃぶ台の脚が折れかかっています。」
「木工ボンドが支給されていますので、後で自分で直してください。」
なるほど。このクラスは自分の設備は自分で直すのか。
「必要はものがあれば極力自分で調達するようにしてください。」
ふむ。家で使ってない座布団とか持って来てもいいのかな?あとで先生に聞いてみよう。
「では、自己紹介でも始めましょうか。そうですね、廊下側の人からお願いします。」
福原先生の指名を受け、車座を組んでいた廊下側の生徒のひとりが立ち上がり、名前を告げる。
「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。Aクラスに姉上が居て外見は似ておるが、儂は男じゃからな。よろしく頼むぞ。」
『『『なにぃっ!!』』』
秀吉だった。今でもまだ頭に氷嚢を乗せている。周囲から男の大声が響く。
「馬鹿なっ!あの外見で男だとっ!」
「だが待てっ!男であると言ったが女でないとは言ってないぞっ!」
「つまり第3の性別:秀吉ってことだなっ!」
馬鹿でしょ。男って言ってるんだから男に決まってるでしょ。さすがは最低クラスの思考回路っていうところか。
「秀吉ー、付き合ってくれっ!」
「結婚してくれーっ!」
「結婚を前提としたお付き合いをしてくれーっ!」
「だから儂は男じゃと言っておるだろうっ!」
『『『秀吉ーっ、好きだぁー!!!』』』
秀吉も大変だなぁ。後で励ましてあげよう。呆れながら座った秀吉に代わり今度は康太が同じように氷嚢を乗せたまま、立つ。
「…土屋康太。趣味は写真撮影。よろしく。」
寡黙で言葉が少ないのは康太らしい。
「ーです。よろしくー。」
「ーです。よろー。」
そこからしばらく名前と一言だけと言う自己紹介が続いていた。それにしても、見渡す限り男だなぁ。なんて考えていると。
「ーです。海外育ちで、日本語は会話できるけど読み書きが苦手です。」
女子の声が聞こえてきた。珍しいなぁ。
「あ、でも英語も苦手です。育ちはドイツだったので。趣味はー吉井明久を殴ることです☆」
と思ったらピンポイントかつ危険な趣味を出してきた。
「はろはろー、吉井。今年もよろしくね。」
「…し、島田さん…。」
島田さんだった。去年少し助けてそこから仲良くなったんだけど後半になるにつれて暴力を振るってきてたから苦手なんだよねぇ。
島田さんの自己紹介が終わり、その後は淡々と自分の名前を告げるだけの作業が進む。
「ーです。よろしく。」
ん、僕の前の人が自己紹介を終えたようだ。
「吉井明久です。趣味は料理と読書です。よろしくお願いしますっ!」
簡潔に自己紹介を終わらせて席に着くり
その後もしばらく名前を告げるだけの単調な作業が続き、いい加減退屈してきた頃に不意にガラリと教室のドアが開き、息を切らせて胸に手を当てている女子生徒が現れた。
「あの、遅れて、すいま、せん……。」
『えっ?』
誰からというわけでもなく、教室全体から驚いたような声が上がる。そりゃそうだ。普通はびっくりするだろう。
クラスがにわかに騒がしくなる中、数少ない平然としている人物の1人、担任の福原先生がその姿を認めて話しかけた。
「丁度よかったです。今自己紹介をしているところなので姫路さんもお願いします。」
「は、はい!あの、姫路瑞希といいます。よろしくお願いします……。」
小柄な身体を縮こめるようにして声を上げる姫路さん。
「はいっ!質問です!」
姫路さんが自己紹介を終えると同じく自己紹介を終えた男子生徒の1人が右手を挙げる。
「あ、は、はいっ。何ですか?」
登校するなり、いきなり自分に質問が向けられるとは思ってなかった姫路さんが驚いてる。その小動物的な仕草が可愛かったりする。
「なんでここにいるんですか?」
聞きようによっては失礼な質問が浴びせられる。だけどこれはクラスにいるほぼ全員の疑問のはずだ。
「その、振分試験の最中、高熱を出してしまいまして…。」
そんな姫路さんの言い分を聞き、クラスの中でもちらほらと言い訳の声が上がる。
「そう言えば、俺も熱の問題が出たせいでFクラスに。」
「ああ。化学だろ?アレは難しかったな。」
「俺は弟が事故に遭ったと聞いて実力を出し切れなくて。」
「黙れ1人っ子。」
「前の晩、彼女が寝かせてくれなくて。」
「今年1番の大嘘をありがとう。」
予想以上の馬鹿な発言が飛び交っている。
「で、ではっ、1年間よろしくお願いしますっ!」
そんな中、逃げるように僕と雄二の隣のちゃぶ台に着こうする彼女。
「き、緊張しましたぁ〜……。」
席に着くや否や、安堵の息を吐いてちゃぶ台に突っ伏す姫路さん。
「姫路。」
隣の席に座っている雄二が声をかける。
「は、はいっ。何ですか?えーっと……。」
慌てて雄二のほうに身体を向け、スカートの裾を正す姫路さん。椅子ではなくて座布団の上に座っているので乱れやすいのだろう。
「坂本だ。坂本雄二。よろしく頼む。」
「あ、姫路です。よろしくお願いします。」
深々と頭を下げる彼女。
「ところで、姫路の体調は未だに悪いのか?」
「あ、それは僕も気になる。」
思わず口を挟んでしまう。振分試験の時に姫路さんを運んだんだけど、その時は相当具合が悪そうに見えたから。今は大丈なんだろうか?
「よ、吉井君!?あ、あの時はありがとうございます。」
僕の顔を見て驚いた姫路さん。けどすぐにあの時のお礼をしてくる。
「いいのいいの。気にしないで。」
「でも、私のせいで吉井君もFクラスになってしまって……。」
「構わないぞ、姫路。」
「ねえ雄二。それ僕の台詞だよね!?」
「ところで姫路。体は大丈夫なのか?」
「あ、はい。もうすっかり平気です。」
「ちょっと聞いてる!?」
思わず大きな声が出てしまう。
「はいはい。静かにしてくださいね。」
そのせいで、パンパン、と教卓を叩いて先生が注意してきた。
「あ、すいませー。」
バキィッ バラバラバラ……
突如、先生の前で教卓が崩壊した。まさか叩いただけで崩れ落ちるとは。
「え〜……替えを用意してきます。少し待っていてください。」
気まずそうに告げると、先生は足早に教室から出て行った。さっき見た時はそこまで古くなかったと思うけど。
「あ、あはは……。」
隣で姫路さんが苦笑いをしていた。
「おい、明久。ちょっといいか?」
「ん?どうしたの雄二。」
「少し話したいことがあるから廊下出るぞ。」
「りょーかい。」
立ち上がって廊下に出る。
「んで、話って何なのさ、雄二。」
「ああ。明久、試召戦争をやってみないか?」
「試召戦争を?何で?」
「お前の中学の時の話を聞いてな、下剋上というものを体験してみたいんだ。」
「あー、3年生の時のね。あれは気分が上がったよ。」
「だろ?だから俺もそれを味わってみたくてな。」
「それがFクラスに来た目的?」
「い、そうだ。どうだ?」
「んー。いいよっ。乗った!」
「おしっ!それじゃあ、よろしく頼むぜ、
「よろしく頼まれた、
僕らは拳をコツンと合わせて教室に入る。
入る直前に遠目に先生が見えた。
僕らが教室に戻ってすぐに先生も教室に戻ってきた。
「さて、それでは自己紹介の続きをお願いします。」
壊れた教卓を替えて、気を取り直してHRが再開される。
「えー、須川亮です。趣味はー。」
特に何も起こらず、また淡々とした自己紹介の時間が流れる。
いつの間にか雄二の前の人が自己紹介を終えていた。
「では、坂本君、君が自己紹介最後の1人ですよ。」
「了解。」
先生に呼ばれて雄二が席を立つ。ゆっくりと教壇に歩み寄るその姿はクラスの代表として相応しい貫禄を身に纏っている。
「Fクラス代表の坂本雄二だ。俺のことは代表でも坂本でも、好きなように呼んでくれ。」
男に興味がないクラスメイトは注目すらしてない。
「さて、皆に1つ聞きたい。」
そんなクラスメイトが、ゆっくりと、雄二の方を向く。雄二は全員の目を見るように告げる。
間の取り方が上手いせいか、全員の視線はすぐに雄二に向けられるようになった。
皆の様子を確認した後、雄二の視線は教室内の各所に移りだす。
埃っぽい教室。
草臥れた座布団。
古いちゃぶ台。
つられて彼らも雄二の視線を追い、それらの備品を順番に眺めていった。
「Aクラスは冷暖房完備の上、座席はリクライニングシートらしいがー。」
一呼吸おいて、静かに告げる。
「ー不満はないか?」
『大ありじゃぁっ!!』
Fクラス生徒の魂の叫び。
「だろう?俺だってこの現状は大いに不満だ。代表として問題意識を抱いている。」
「そうだそうだ!」
「いくら学費が安いからと言って、この設備はあんまりだ!改善を要求する!」
「そもそもAクラスだって同じ学費だろ?あまりに差が大きすぎる!」
堰を切ったかのように次々とあがる不満の声。
「みんなの意見はもっともだ。そこで。」
級友達の反応に満足したのか、自信に溢れた顔に不敵な笑みを浮かべて。
「これは代表としての提案だがー。」
これから戦友となる仲間達に野性味満点の八重歯を見せ。
「ーFクラスはAクラスに『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う。」
雄二は戦争の引き金を引いた。
〜グダグダコーナー〜
藤「第二回後書きのコーナー。今回は明久に続いて坂本夫妻「誰が夫妻だっ!」と間違い、坂本カップルの2人を呼んでまーす。どうぞー。」
「坂本雄二だ。よろしく頼む。」
「……坂本sy「まだだろうが。」……霧島翔子。よろしく。」
藤「まだってことは将来てk「ガシッ」待って、頭掴んで締め付k…痛い痛い、悪かった。ごめんなさいっ!」
「ったく。これに懲りたら揶揄ったりするなよ。」
「……雄二、作者を虐めない。」
「へーへー、すまんな。」
藤「いや、こっちも悪かった。それよりコーナーを始めようか。茶菓子を用意するから待ってて。」ゴソゴソ
「……甘いものは、ある?」
「甘いものよりしょっぱい系が出来れば欲しい。」
藤「あったあった。はい、お菓子。」
コトリ←マカロンと煎餅
「……マカロン。」
「煎餅か。ありがたい。」
藤「ちょうどあったからね。さて何を話そうか。」
「そうだな、話の流れ的には原作通りで進むのか?」
藤「基本その通りだけど、たまに閑話を挟んだりするかな。」
「……それはどういったもの?」
藤「過去話だったり、日常の一部だったりかな。」
「……私と雄二のことも書く?」
藤「それはもちろん。」
「……なら、いい。」モグモグ
藤「他に何か聞きたい事でもある?」
「そうだな、今は何もねえな。」バリバリ
藤「じゃあ、今回はここまでにしようか。それじゃあ、次回もよろしくー。」
「よろしく頼む。」
「……よろしく。」ググッ
「おい待て翔子。なぜ押し倒そうとする。」
「?……作者に私と雄二の仲の良さを見せつけようと思った。手始めにキスをしようと思う。」
「見せつけなくても作者は分かっているっ!」
「……雄二は照れ屋さん。」
「だぁっ!俺はしないからなっ!」ダッ
「……雄二、待ってっ。」タッ
藤「ありゃりゃ、2人とも走っていちゃった。今度こそまた次回っ!」