ようこそ!夢見る図書館へ!   作:ジャック・アヴェンダドール

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新しく書くシリーズです。
少女達とキッカケのお話し


夢見る図書館

 ここ、夢見る図書館では様々な人が静かに利用しており、日々穏やかに賑わっている。老若男女が行き交う中で白と深い青のドレスを着た綺麗な白髪の長髪の少女がカゴにしまっていた本を棚に収めている。彼女はコネルコ。この町に住まう人形、“シュガードール”にしてこの図書館の館長をしている。

 シュガードールはこの町では一般的に存在を認知されている。感情を持ち、話す事が出来る不思議な人形である。

 コネルコが作業を続けていると、灰色のおだんごヘアの少女が話しかけてきた。

「コネルコ、反対側の方終わったわよ」

「あら、ありがとうメルシュカルちゃん。早かったわね」

 声を掛けてきたのは同じくここで働くドール、メルシュカルだった。

「そこまで数は無かったからよ。それよりも、そろそろヴィラーシュが来る時間よ」

「あら?あら本当ね。じゃあヴィラーシュちゃんが来たら自由にしてていいわ。ただ今日は閉館後に報告会をするから図書館の中か近くにいて欲しいわ」

「分かったわ。じゃあ彼女が来たら、シュベルコの所でモフって来るわね」

 そう言ってメルシュカルが入り口に向かいだすと、黒髪をツインおさげにした少女を見かけ、一言二言挨拶するとコネルコの下に来た。

「おはようコネルコ」

「おはよう、ヴィラーシュちゃん。返本された本の整理は大体終わってるから、見回りをお願い」

「分かった。ラヴァベルは少し遅れそうだけど大丈夫?」

「大丈夫よ。今日は今の所凄い忙しいという事は無いから」

「そう。じゃあ見回り行ってくるわ」

「行ってらっしゃい」

 ヴィラーシュがコネルコの元を離れて作業を始めるのと入れ替わりで、今度は赤髪の少女がコネルコの元に来た。

「おはようございます。コネルコさん」

「おはようサージュちゃん。今日はいつも通りで大丈夫よ。シュベルコちゃんと入れ替わってあげて。あとラヴァベルちゃんが少し遅くなるみたいだから、来るまでは案内はヴィラーシュちゃんか私にお願いね」

「分かりました。じゃあ早速作業行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 手を振ってサージュを見送るコネルコ。引き継ぎが終わったら何か企画でも考えようかと考えていると水色に毛先がピンク色の髪をした少女が寄ってきた。

「ラヴァベル、来てないけど上がっていい?」

「大丈夫よシュベルコちゃん。今日は忙しくないからね。それとメルシュカルちゃんが後で、動物もふらせて欲しいって言ってたから行ってあげて」

「ん、分かった。お疲れコネルコ」

「お疲れ様、あぁ後今日は報告会をやるからね」

「はーい」

 シュベルコはそのままゆっくりと外に出た途端に何かの動物に絡まれた。いつもの事なので気にしない事にした。事務室に移動して貸し部屋のスケジュールを確認していると、不意にドアが勢いよく開かれた。コネルコがドアの方を見ると、薄い紫色の髪をポニーテールのようにした少女が入ってきていた。

「ごめんなさい!遅くなりました!」

「おはようラヴァベルちゃん。またあの子達との遊びに夢中になっちゃってた?」

 ラヴァベルはでへへと頭を掻く。図星のようだった。

「時間は気にしてね。今日は見回りと案内中心でよろしくね」

「分かりました!では行ってきます!」

「行ってらっしゃい」

 急いで準備して急いで部屋を出た。元気いっぱいな彼女を見送ったコネルコは机に向き直り、作業を再開する事にした。

 

 

 夕方、閉館作業が終わった後にコネルコ達6人が集まって報告会が始まった。全員いるのを確認してから話し始める。

「さて、今回の報告会なんだけど……私からは特に話す事がないのよね」

「そうね。特に問題も起きなかったし、来る人の層にも変化はあんまり無かったし。因みに私も何も無し」

 コネルコの報告にヴィラーシュが追記しながら自らも報告する。本当に穏やかな日々が送られているお陰で話す事も無いと言った具合だ。

「他のみんなは何かある?」

 コネルコは他の人にも確認するが、声が上がらない。本当に何も無かったようである。暫しの沈黙の後、じゃあとサージュが手を上げた。

「そういえば、なんでコネルコさんと私達のオーナーはここをやっていこうってなったのか気になります」

 その一言でそういえばと言う声がコネルコとラヴァベル以外に上がる。因みにここにいるメンバー6人は全員シュガードールであり、オーナーも同じという繋がりがある。

「そういえば話して無かったわね。じゃあ良い機会ですし、少し昔話をしましょうか」

 コネルコはそのまま目を閉じて当時の事を振り返る。「あれは数年前だったかしら?その時はここは普通の図書館で私達も利用していたの。来る人も今よりも少なかったわね」

 

 

 ―数年前―

「ここを閉めるって本当なんですか⁉︎」

「そう、もう歳だし、後継もおらんくて。まぁ、時代の流れという奴じゃ」

 当時はただの利用客であったコネルコ。オーナーと一緒にきていたこの場所が無くなると聞いて思わず館長に理由を聞いていた。この時代、電子書籍が主流で紙の本はあまり多く無い。そんな流れを受けたのか館内はがらんとしていた。

「それに、後継もおらなんだ。そうなれば消えるだけの事よ」

 目を伏せた先代館長。それを聞いたコネルコは意を決してある提案を持ちかける。

「後継が居れば良いのですよね?」

「一先ずは、だがの」

「なら私達が後を継ぎます」

「簡単に言うのう」

 コネルコが跡を継ぐと宣言した。そうなればこの場所を守れる。そう考えての宣言であった。

「だが、問題は多いぞ?司書の資格、老朽化対策、町の資料収集。軽く上げるだけでもこうだ。それでもやるというのか?」

「……ええ、やらせてもらいます。ここは私の思い出の場所ですから。ですのでどうか私が跡を継ぐまで頑張ってもらえませんか?」

 館長の言葉に一瞬たじろぎかけるが意思は固く。身を引かない。そんな様子のコネルコを見た館長はため息一つ吐いた。

「2年だ」

「え?」

 聞き返すコネルコ。

「2年で準備をしなさい。出来なければ取り潰しの申請を出す。それで構わんな?」

「ありがとうございます!」

 館長に頭を下げるコネルコ。この日から図書館を継ぐための努力をして、諸問題も解決して館長へとなった。

 

 ―現在―

「そう言う事があって跡を継いだの。その後の事が色々大変だったけど、こうして今も続けられてるわね」

 コネルコが話を締めると暫し無言の時間が訪れた。何処から話そうか探りを入れてるような雰囲気が出ていた。その中でサージュが声を上げた。

「という事はコネルコさんが司書の資格を持っているんですか?」

「実は司書補止まりなのよ。ただ色々複雑な事情は残っているけど……今の所は大丈夫よ」

 彼女の質問に答えるコネルコ。司書の資格は主に大学に行かなくてはならないがコネルコはドールの為、戸籍が存在しない。つまりは取得が不可能である。サージュは質問を続けた。

「じゃあ司書は誰が?もしかして前の館長さんが?」

「いえ、その方は既に退職しているわ。実は今の司書は――なのよ」

 唐突にオーナーの名前が上がった為に4人の驚きの声が上がる。唯一驚かなかったのは開業時に既に居たラヴァベルのみだった。

「え?あの人普通に仕事してましたよね⁉︎」

 驚いて聞き直すサージュ。オーナーは公務員とかでも特殊な職業でもないごく一般的な人である。

「この図書館は私立図書館なの。だから司書でも公務員扱いではないから大丈夫よ」

 紅茶を飲みながら答えるコネルコ。だが一つ疑問が上がる。メルシュカルがその疑問をぶつける。

「じゃあどうやって維持を?流石に収入じゃ足りないでしょ」

「まぁ私立と言っても今は市から委託という形になっている……らしいわ」

「らしい?」

 コネルコの曖昧な回答にメルシュカルが聞き返す。

「維持費がほぼ全部市から出ているのだけど、――が普通に働いてて公立化してしまうと彼に仕事を辞めてもらう必要があるの。それに私達もドールで戸籍が無いから司書補として人がもう1人必要になってしまうの」

 納得の表情のメルシュカル。公立化させれば維持が容易になるが色々制約が付いてくる。だが市の協力が無くては金銭面で維持が不可能。その間を取って委託という形を取って私立図書館としての形を維持しつつ、市がある程度運営資金を用意する事になっていた。

「夢を見るのもタダじゃないって事ね」

「そうね、でも誰かの夢は守れる筈よ」

 メルシュカルが放った言葉に困り笑顔で答えるコネルコ。この図書館の名前とは裏腹な事情に思わず笑ってしまう。だが彼女の夢を笑う者はこの場には居なかった。

「さて、他に何もなければ今日は終わりにして帰りましょう?」

 手を合わせて帰宅を促す。彼女達はコネルコの宣言で席を立ち、荷物を持って従業員用の勝手口へ向かっていくのを彼女は見送った。ただ1人を除いて。

「ヴィラーシュちゃんはどうするの?」

「少し読んでから帰るわ」

「分かったわ。私も色々チェックするまで居るから、それまでは読んでて良いよ」

「分かった……ねえコネルコ?」

 ヴィラーシュが改めて名前を呼ぶ。コネルコは彼女が何かを聞きたそうにしているのを感じとっていた。なので話しやすいように微笑んで顔を彼女の方へ向ける。

「なに?」

「……何でもない」

 目を瞑って何も問いかけずにヴィラーシュは本棚の方へと去っていった。残されたコネルコは首を傾げてから困り笑顔に表情を変え、一言だけ呟いた。

「もうあの子ったら……」

 実のところ心配してくれているのだろう。だけど本当に無理をしている訳でもなく、義務感でやっている訳でもなく純粋にこの図書館を残したい。ただそれだけでやっている。もちろん楽しい事だけでは無く辛い事や苦しい出来事もあった。だがそれでも、この場所を守りたい。その想いだけは未だに残り続けていた。だからこそなのだろう、ヴィラーシュには無理をしているように見えてしまったのかもしれない。

 そんな事を思いながらコネルコは帰宅前のチェックを始める事にした。

 

 ここは夢見る図書館。人形(少女)の夢が繋ぐ、繋がる場所。明日もまた誰かの夢の為に開かれる。




書ける場所がないので主要メンバーの紹介
コネルコ:スノーフレークという種類の少女。心優しく穏やか。良く微笑む。

ラヴァベル:レインドロップという種類の少女。常に元気。雨でも外に出たがる。

ヴィラーシュ:ラヴァベルと同じくレインドロップの少女。本が好きで良く閉館後に読んでいる。

メルシュカル:エトワールという種類の少女。ツンデレのデレ成分が増えてる。

サージュ:レインドロップという種類の少女。そつなく仕事をこなす。

シュベルコ:スノーフレークという種類の少女。動物が常に寄ってくる。
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