へへ
リュウのボールからはフライゴン、シェリィのボールからはハヤシガメが飛び出す。
「マタドガス!!どくびしっ!」
「ハヤシガメさん、ステルスロック」
周囲一帯にステルスロックが漂いどくびしが撒き散らされると同時に、アーボックが地を這い一気に距離を詰めてくる。そしてフライゴンに狙いを定めると跳躍し1回転、勢いをつける。
「アーボックぅ………ドラゴンテール!!」
「フライゴン、避けてスケイルショット」
がしかし遅い、この世界に来て戦ったジェスター、やゼイン少年に比べて明らかに練度が低くお粗末。軽く上空へと非難しスケイルショットを放つ。
無暗に跳躍したアーボックに逃げ道は無い。そのまま5発のスケイルショットがアーボックを穿ち気絶させる。
「さて向こうは………おぉ。」
アーボックを処理したリュウが見たのは……
「ハヤシガメさん、たくわえる後こうごうせいをしてください。あ、やどりぎのタネも追加しておきましょう。」
「マタドガスぅぅぅぅぅぅぅ!!!!前を向け!!まだいけるぞ!!頑張れ!!」
防御性能を上げながら相手の出方を伺うハヤシガメ、それからステルスロックでじんわりと削られグロッキーになっているマタドガスの様子。数分後、もう限界といった様子でマタドガスが地に伏せる。
「…………結構グロい戦い方するな……」
バトルを仕掛けてきた2人組は、ボールにポケモンを仕舞うとこちらに向き直り次のボールを構える。どうやらシェイミを諦める気はないらしい。
「次だっ……出てこいズバッ───」
2人組の片割れがボールを振りかぶる。名を呼びポケモンを出そうとしたところで、そのボールにそっと手が添えられる。
ボールを投げようとした片割れがボールに手を添えた人物を見てさっと顔を青ざめる。
「り、リンボ様………」
「や、リッキー君。ひとまずこの勝負、僕に預けてくれないかな?」
「か、かしこまりましたぁ!!!」
2人組は後方へと走って逃げ……いや、近くの岩場に隠れこちらを伺っているようだ。
さて、それよりもこのリンボと呼ばれた青年についてだ。
全くと言っていいほど気配を感じられず片割れに声を掛けるまで全く気付かなかった。
優し気な雰囲気のある青年なのだが、何処か異質な雰囲気を感じる。何故そう感じたのか、達観していますと言わんばかりの眼だろうか?掴みどころのない雰囲気だろうか?シェイミが大げさなまでに震えているからだろうか?いや違う。
「…………匂いが……しない……!?」
この男名をリュウ、匂いでそれがどのようなドラゴンポケモンと戦ってきたかというドラゴン遍歴が分かるという特技を持っている。日常で役に立ったことはない。
そのリュウが匂いがしないと言った。それは産まれてこの方ドラゴンポケモンと一切関わったことがないという事を意味する。ありえないのだ。このような匂いのないなんていうもの、赤ん坊ですら……
「そこのお兄さん、あの2人の代わりに僕がバトルを継続してもいいかな?形式は個人的に好きなダブルバトルが良いな。それと勝ったらそのシェイミを受け取りたいんだけれども。」
「……断るって言ったら?」
「そう言って、もう分かっているんだろう?」
リンボがボールを2つ取り出す。
「君は断れない。断る事が出来ない。」
「…………」
意味深でこちらを見透かしたような発言をするリンボ。
それに対して若干の恐怖から言葉を飲み込んでしまう。何が言いたいのか、何故そんなことが言い切れるのかと色々と気になる所があるが………なぜかそうだろうなと納得できてしまう。
断れる気……いや、断る気が失せていく感覚を覚える。コイツからはどうやってもバトルを避ける事が出来ないと本能が囁いて来る。
だから………
「……分かった。が、その前に手持ちを変えさせてくれ。」
「もちろん!ポケモンセンターに……」
「この場で結構だ。」
「?」
この6日間、リュウがこの世界について・この世界に来て変わったことを調べ……いくつか面白いものを発見していた。
その1つ、姿を変えていたリュウのスマホ。リュウは徐にボックスと書かれたアプリを起動し画面を操作する。すると、手持ちのボールが消え虚空よりボールが現れ手に収まる。
「へぇ……!!面白いものを持ってるね。」
「まァな。」
スマホに追加されていた謎のアプリ、それには元の世界の自身のボックスに繋がっているようでいつでも手持ちの入れ替えが出来るという超常機能が備わっていた。原理不明だが恐ろしく役に立つ機能。これによりリュウはボックスから自身の持つドラゴンの中でも三本指に入るであろうポケモンとその他少しを入れ替える。
得体の知れない相手、何を繰り出してくるか分からない今切れる手札はあった方がいい。
「いつでも。」
「よし!じゃあ始めるよ。」
2人は距離を取り2つずつボールを投げる。
リュウのボールからはガチゴラスとデンリュウが。
リンボのボールからはオーロットそして……
「見たことのないポケモンだなァ……」
「パオジアン。災いを呼ぶポケモンさ。」
4匹のポケモンが地面に着地した瞬間、合図なくバトルが開始され、リンボのポケモンが合図もなしに攻撃を仕掛ける。
パオジアンがふいうちをデンリュウに仕掛けようとして咄嗟に技を引っ込める。
デンリュウの特性、せいでんき。触れた対象を確率で麻痺させる特性だが、これはデンリュウの身に纏う電流に触れる事で発生する。しかしあくまで確立であり、恐れるようなものではない。だがパオジアンは咄嗟にこれに気づいた………このデンリュウ、攻撃する直前まで電流が流れていなかったが、近づいた瞬間いや攻撃の当たる寸前でその場所にだけ電流を纏ったという事に。
このデンリュウ、リュウによるビルドアップトレーニングを受け常時帯電できるよう特訓した。がしかしそんな事は出来るわけもなかった………エネルギーの消費がえげつなく維持するだけでバテる為である。がしかしその訓練を得て、デンリュウは様子のおかしい方面に進化していく。
高圧力の電流を発生させ身体の中を走らせたことにより、電流を司る器官のバルブないし出力調整を司る箇所が強靭に、通常と比べて気持ち悪いほどに正確に動くようになった。これは既にせいでんきの域を超えている。そう判断したリュウはこれを新しい特性、たいでんと呼んだ。
この特性に目覚めた事で出来る事は3つ。
1つは先ほどのパオジアンの攻撃に合わせて電流を放出させた、近接攻撃を仕掛けてきたものを必ず麻痺させる必中のせいでんき。
2つ目に…
「デンリュウ、10万ボルトッ!!」
デンリュウの10万ボルトがパオジアンを襲う。そこにオーロットが間に入りまもるを発動し止めようとしたが………
10万ボルトがオーロットに当たる直前で左右に裂ける。そのまま後方のパオジアンを狙い穿つ。
2つ目の出来る事はこれ、自身の発生させた電気技の操作。
「驚いた………そんな面白いデンリュウがこの世にいたなんて……!!」
「デンリュウばっかに気ィ取られてたら一瞬だぞ?なァ!!ガチゴラス!!」
まもるを解いたオーロットに向けてガチゴラスがもろはのずつきを繰り出す。
それによりオーロットは激しく吹き飛ばされ、元居た位置に戻される。
それにより訪れる束の間のインターバル。先に動いたのは、デンリュウ。
「デンリュウゥ!!りゅうのはどう!!」
「二人とも。頑張って。」
デンリュウのりゅうのはどうを避けながらオーロットとパオジアンが前進して来る。それを待っていましたと言わんばかりに横から狙うガチゴラス。
「ガチゴラスッ!!もろはのずつきィ!!」
ガチゴラスのもろはのずつきがパオジアンを捉える。それをオーロットが身体を張って受け止める。それにより攻撃を掻い潜ったパオジアンがつららおとしを叩き込む。デンリュウは対応できずそれを受け、ひるむ。
チャンスとばかりにパオジアン、せいなるつるぎを叩き込みデンリュウを大きく吹き飛ばす。
吹き飛んだデンリュウはそのままの体勢でパラポラチャージを繰り出しガチゴラス含めた全員に命中、失った体力を大きく回復する。ここでリンボ、1つ疑問。
「……なんでガチゴラス君はパラポラチャージでダメージを受けてないんだい…?」
「さァ?なんでだろうなァ!!ガチゴラスッ!!」
ガチゴラスがパオジアンに向けてしねんのずつきを振り下ろす。それを回避しようとするパオジアンだが、裏にはりゅうのはどうを待機するデンリュウ。
挟まれ絶体絶命のピンチ、そこにオーロットが割り込む。しねんのずつきを2発受け瀕死のオーロットはここで1つ技を発動する。それは……おんねん。ガチゴラスは止まることが出来ずオーロットに一撃加えて気絶させてしまう。それと同時に全くダメージを受けていなかったガチゴラスもダウンする。
パオジアンは気絶しているガチゴラスを盾に10万ボルトを防ぎつつ、ガチゴラスの陰から放ったつららおとしを命中させる。
パオジアンはこれを好機とデンリュウへの追撃を試みるが、ここでデンリュウの奥の手兼たいでん三つ目の効果を発動する。
「デンリュウッ!!!メガシンカッ!!」
「へぇ……!!!」
デンリュウが光り輝き毛が爆発的に成長し伸びる。
それと同時に空気中の電気がデンリュウへと集中し、その膨大なエネルギーがドラゴンの力を目覚めさせる。
「10万ボルトッ!!」
特性たいでん、最後の効果。それはメガシンカ時の出力強化。空気中から膨大な電気を回収し自身の中で循環させることにより常時じゅうでんしているような電気出力を獲得する。
デンリュウから放たれた10万ボルトはパオジアンに回避はおろか反応することさえ許さなかった。
じゅうでん時並みの出力の10万ボルトをメガシンカのエネルギーに乗せて放つそれは超電磁砲さながらであり、伝説だろうが幻だろうが、一撃で意識を刈り取る。
パオジアンは10万ボルトに貫かれ地に伏せる。対して勝ったデンリュウもメガシンカを解き膝をつく。回復したとはいえ氷技を二度くらい満身創痍、立っているだけでも偉いと言ったところ。
「お疲れ、パオジアン。」
「デンリュウ、下がってな。」
2人はそれぞれポケモンをモンスターボールに仕舞う。
「強いね、君。一旦……本気で行くね。」
リンボは次のモンスターボールを投げる。そこから出て来たのは……
「フリーザー……それに……ダークライまで………マジか。」
一度は聞いたことのあるような御伽噺に出てくるポケモンが二体。リュウの口角が引きつり冷や汗が溢れる。
「2人は僕の中で最強のポケモンだよ。さ、2ラウンド目を始めよう!!」
リュウ
ドラゴンタイプジムリーダー(妄言)
収集家気質があり、ドラゴンに関係している石は全て集めている。
シェリィ
草タイプお嬢様トレーナー
ポケモンバトルの様子を一瞬たりとも見逃さずメモ中
シェイミ
シェリィのメモする様子にちょっと引き気味。
リッキー&アンナ
アルテマ団を名乗る2人組。
相棒はそれぞれゴウリキーとレパルダス