お姉ちゃんはいろPと幸せになるべきだと思うの   作:いろかぐヤチは美しい

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誤魔化しは許さない

「さてさて〜、ツキミはどんな感じにおめかししたい?ヤッチョが全力で可愛くしてあげるよ?まあ今でも十分可愛いけどね!まさに可愛さの暴力!!キューティーバイオレンスムーンだね⭐︎危険度獄大エンジェルシスト~♪」

 

「お、お姉ちゃん……?ご、ごめんね?流石の私でもちょっと何言ってるのかわかんないや……」

 

どうもツキミです。私は今、テンションが物凄く高くなって笑顔満開の可愛いお姉ちゃんに抱きしめられながらもみくちゃにされているのですが、お姉ちゃんが何を言っているのかよく分かりません。

 

……でもそんなお姉ちゃんも可愛いからおっけーです……♡

 

私がお姉ちゃんの可愛いさに改めて感動していると、お姉ちゃんはメンダコの中から櫛やアクセサリーなどを大量に取り出し──。

 

「じゃあ早速ツキミを可愛く着飾っちゃうよ!お姉ちゃんの膝上においで?」

 

ウキウキとした表情でそんなことを──。

 

…………え?

 

「お、お姉ちゃん。……こういうゲームのアバターってさ、ぽちぽちーってしたら簡単に変えられるんじゃないの?」

 

実際、原作ではそうだったし。

 

姉に手間をかけさせたくない。そんな一心で発した私の疑問を聞いたヤチヨお姉ちゃんは、少しだけ拗ねたような声色で。

 

「……ツキミは私に直接髪を結って貰うより、システムでさっさとやって貰った方が嬉しいの?」

 

寂しげにそう呟くのだった。

 

それを聞いた私は当然──。

 

「嬉しくないですぅ♡お姉ちゃんにやって貰いたいですぅ♡」

 

自身の欲望に忠実に従い姉の膝上に誘われるのだった。

 

そんな私をお姉ちゃんは、ぎゅっと抱き締めてくれて。

 

「だよね!知ってた⭐︎……ツキミはお姉ちゃんの事、大好きだもんね〜?」

 

揶揄い混じりの姉の言葉。だけどそこには確かな熱も存在していて──。

 

「う、うん……好き………だよ…………」

 

私は頬に熱が溜まっていくのを感じながらも、何とか本心を伝える事に成功した。

 

……嘘は、もう吐きたくないから。お姉ちゃんには、もう絶対に嘘は吐かない。

 

……私はお姉ちゃんのことが大好きだし、愛してる。

 

何度だって、伝えたいこの気持ち。世界がハッキリ見えてる今、面と向かって言葉にするのは少しだけ…照れくさいけど……。

 

で、でも……は、恥ずかしがってる場合じゃないよね!お姉ちゃんだって私のこと愛してくれてるんだし……そういうのはちゃんと伝えとかないと!!

 

私は改めて覚悟を決め、再びお姉ちゃんに自分の気持ちを──。

 

「……私もツキミの事、大好きだよ。………愛してるよ、ツキミ」

 

「あっ……♡♡♡」

 

やっぱりむりぃ……♡言うのも言われるのも、今の私には尊すぎて耐えられないよぉ……♡

 

「ふふ……ツキミ、凄く可愛い表情してるね?……食べちゃいたいくらい……」

 

「ひえっ!?おおおおおおおお姉ちゃん!?何言ってるのっ!?」

 

突然とんでもないことを口走った姉に私の頭はパニックでいっぱいになった。

 

た、食べちゃいたいってなに!?私って別に美味しくないと思うよ!?

 

人間だし!……いや月人が人間かって言われるのちょっと自信ないけど……でも多分味しないよ!?

 

お姉ちゃん本当にどうしちゃったの!?

 

──姉からの爆弾発言に、あわあわと混乱しながら目を四方八方に泳がせているツキミ。

 

そんな妹を愛おしげに見つめながら、ヤチヨは──。

 

「いとかわゆし……」

 

口元を綻ばせながら、妹を胸元までぎゅっと抱き寄せ、頭をよしよしと撫で回すのだった。

 

「あうぅ……そ、そう言えばお姉ちゃん!一つ聞きたいことがあるんですけどいいですかっ!?」

 

「わっ!びっくり仰天ぶり大根……どうしたの急に大声出して?大丈夫?」

 

このままだと姉に対して親愛以上の、良くない感情を抱いてしまうと直感的に理解したツキミは、咄嗟に話題を切り替える事によってこの窮地を脱する作戦を決行した。

 

……確かに地球人と違って月人は血の繋がりとかはないから近親とかには……って違う違う!なに考えてるの私っ!?お、お姉ちゃんはお姉ちゃんなんだよ!?お姉ちゃんだって私にそんな感情持ってないだろうし……!もしそう言う感情が芽生えちゃってお姉ちゃんにドン引きされたら……あっ無理生きていけない本当に無理心壊れちゃう絶対無理……私はあくまでお姉ちゃんを姉として愛している一人の妹……お姉ちゃんに対して時々凄くドキドキしちゃうのは、お姉ちゃんが可愛いすぎるだけであって恋的なアレではない……大丈夫大丈夫……ツキミちゃんは妹妹……よしっ、落ち着いてきた!!

 

「お姉ちゃん!私たち凄く長い間ここにいる気がするけど大丈夫なの?ライブとか……」

 

「あーそれに関しては無問題(モーマンタイ)だよ!私がかぐやだった時も、ツキミは三十分以上遅れて来てたしね〜」

 

「そうなのっ!?じゃ、じゃあライブは……?」

 

「この時間含めて設定してあるから問題ナッシング!ヤッチョに抜かりはないのです!!」

 

えっへんっとドヤ顔で宣言するヤチヨお姉ちゃんの表情はとても──。

 

「うぅ……!可愛いぃ……!!」

 

しかも全部私とこうして話すために作ってくれた時間だって思うと、より尊さが増してもっともっと好きになっちゃうよぉ……!!

 

「えへへ、ツキミにそう言って貰えるの、凄く嬉しいな。……8000年振りだしね!懐かしー、ヤッチョも歳をとったものです……およよ〜」

 

「──────」

 

──冗談めかして言っているように聞こえるが、私には分かる。

 

お姉ちゃんは今の言葉を、声と表情では笑いながら、だけど心の中では泣きながら溢していた事が。

 

……何故だが凄く、腹が立った。姉に対してこんな感情を持ったのは初めてだ。

 

私に怒る権利がないのは分かってる。どの口が言うんだって言うのも分かってる。

 

けど……。

 

──本音を隠さないで聞かせてって言ったのは、お姉ちゃんなんだよ。

 

「……笑いながら、言う事じゃないでしょ」

 

「え?つ、ツキミ?どうしたの?……怒ってる?」

 

「怒ってるよ。……本心では泣いてるのに、笑って誤魔化してるお姉ちゃんに」

 

「────────」

 

私の言葉に、目を見開いて硬直するお姉ちゃん。

 

きっと、バレてないと思ってたんだろうな。

 

でも私は、お姉ちゃんの妹だから分かるんだよ。

 

──嘘を吐いてるかどうかぐらい、声と表情を見れば簡単に。

 

「あ、あはは……ツキミがなにを言ってるかヤッチョには分からないな~……」

 

「……本気で言ってるの?」

 

怒りを込めた私の言葉と眼差し。

 

それを受けても尚、お姉ちゃんは──。

 

「ほ、本気も何も……私は別に誤魔化してなんて……」

 

「……じゃあちゃんと、私の目を見て言ってよ。……嘘なんか吐いてないって」

 

「っ……それは……」

 

目を逸らして逃げようとする姉の顔を、両手でしっかりと抑え込み、私の方へと向けさせる。

 

私から逃げるな

 

ゆらゆらと波のように揺らいでいる姉の瞳を、私は真っ直ぐと見つめて。

 

「お姉ちゃんが私を見捨ててなんてあげないって言ってくれたのと同じだよ。……私もお姉ちゃんのこと、逃さないから」

 

絶対に譲らないと、一切目を逸らさず問い詰める私の姿に逃げられないと悟ったのか、姉はゆっくりと口を開き。

 

「……だ、だって私はお姉ちゃんだから……ツキミに弱いところ見せたくなくて……頼りないって思われたくなくて……ただでさえ、駄目なお姉ちゃんなのに……これ以上は……っ」

 

──何を、言ってるんだろう。ヤチヨちゃんが、駄目なお姉ちゃん?……本当に、意味が分からない。

 

だって──。

 

「──お姉ちゃんが弱くて頼りなかったら、私はとっくに壊れてたよ。私を救ってくれた人のこと、悪く言わないでよ」

 

私を救ってくれたのは、貴方なんだよ?かぐやだった時から、ずっと寄り添ってくれたのは貴方だったんだよ?駄目なお姉ちゃんなわけないよ。

 

「わ……たしがツキミを……?こんな、駄目なお姉ちゃんが……?」

 

──少しだけ、分かった気がする。好きな人が自分のことを卑下してたら、こんなにもイライラするんだ。

 

お姉ちゃんがあんなに怒ってた理由、今ならハッキリと理解出来る。

 

──これは、物凄く苛つくね。

 

そんな沸々とした怒りが原動力となり、未だ呆然とした表情で沈んだ表情をしている姉の両肩をツキミは強く掴み。

 

「お姉ちゃん。お願いだから、私の前では取り繕わないで。本音を見せて、私から逃げないで。……私のそばに居て」

 

ヤチヨの揺れ動く綺麗な瞳を射抜くような眼差しで、有無を言わせぬようにそう言い切った。

 

普段の可愛らしい表情や声色とはまた違う、何処か凛々しさを秘めたような妹の声と顔から発された言葉にヤチヨは──。

 

「は……はい……分かり……ました……」

 

頬を朱色に染めながら、しどろもどろにそう返してしまうのでした。

 

──その際、電子の身体には存在しないはずの心臓が、ほんの少しだけ高鳴る感覚に襲われたのは、今はまだ彼女だけの秘密である。




姉妹百合になるかどうかはまだ分からないです。私はいろかぐヤチ過激派なので。
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