お姉ちゃんはいろPと幸せになるべきだと思うの 作:いろかぐヤチは美しい
「ああ……いとかわゆし美しき世界…………」
妹の全身を心行くまで撫で回し、心なしか肌がツヤツヤとしているヤチヨと。
「うぅ……!か、身体中まさぐられた……!身体中撫で回された……!!」
姉に全身をこれでもかと触られまくれ、その場に突っ伏してぶっ倒れてしまっているツキミ。
個性豊かなツクヨミ内でも中々見られない珍しい光景が広がっていた。
「いやー、ごめんね!ツキミが思った以上に可愛い反応するものだからついつい調子に乗っちゃいまして~……だ、大丈夫?」
解放されてからもずっと地面と仲良くしながら震えている妹の姿に、流石に罪悪感が湧いてきたのか、ヤチヨは彼女の側に駆け寄り手を差し出すが。
「だ、大丈夫じゃない……こ、これじゃあもうお嫁にいけない……!!」
姉に散々弄ばれて多幸感と羞恥心の天秤がグラグラと揺れ動いた結果、羞恥の方に軍配が上がってしまい若干拗ねているツキミは、赤らんだ顔を隠すように俯きつつ、睫毛の端でヤチヨの出方を盗み見ながら、取り敢えずテンプレ的にそんな事を言ってみるのでした。
私のことが大好きなお姉ちゃんなら、この発言は中々キツいはず……!これで少しは色々な意味で可愛がられた事への反撃になるかな……?あと、少しでいいからヤキモチとか……焼いてくれたら……嬉しいなぁ……。
そんな可愛らしいちょっとした反抗心から飛び出た言葉である。
だが最愛の妹によるお嫁にいけない発言は、例え冗談だとしてもヤチヨの姉心と乙女心にかなりの大ダメージを与えたようで。
「お、お嫁……?およめ……………………うっ」
ツキミがウェディングドレスを着て『お姉ちゃん!私、幸せになるね!!』と自らの元を旅立っていく光景でも想像したのか、ヤチヨは一瞬苦虫を噛み潰したような顔を見せその場に蹲り、モヤモヤと暗雲立ち込める胸元を押さえるのだった。
……い、嫌すぎる……!ツキミが私や彩葉以外の誰かと仲睦まじく幸せに暮らしいくなんて耐えられない……!しかも結婚って事はき、キスとか……そういうこともするってことに……む、無理!無理なんだけど……!!あっでもツキミがそれを望んだなら私は……お、応援して……あげないと……いけない……よね……?そ、そうだよ!お、お姉ちゃんとして妹の幸せは誰よりも応援しないと……………!!
──『お姉ちゃん……私、〇〇さんのことが誰よりも好きなの……お姉ちゃんよりも……好きなの……結婚していい……かな……?』
…………むりむりむりぃ………助けて彩葉ぁ……………い、いや落ち着け私……ツキミが一番好きなのは私のはず……そもそもお嫁にいけない発言事態が冗談なんだから大丈夫大丈夫……ツキミが一番好きなのはお姉ちゃんお姉ちゃん……『私、お姉ちゃんのお嫁さんになりたいな♡』……よーし、落ち着いてきた……!私はツキミの旦那様……!!
自らの妄想に脳を焼け焦がされていたヤチヨだったが、思考をポジティブ方面へと切り替える事で脳を回復、再生することに成功。
それによって。
「ツキミは可愛いから大丈夫だよ!………… まあ最初から私と彩葉以外にあげるつもりなんてないけど……絶対渡さないけど」
内心渦巻く独占欲と嫉妬心を表に出さずに笑顔でそう返すことが可能となった。
後半にボソッと本音が溢れている辺り中々ギリギリではあったようだが、一旦は姉としての面目は保たれたはずだ。
……正直今すぐにでも誰にも渡すものかと強く抱きしめたいが、妹の冗談に強烈な嫉妬心を抱くのはいくら何でも大人気なさすぎるとヤチヨは我慢を……。
「へ、へへへ……お、お姉ちゃんちょっと拗ねてる?拗ねてるでしょ?……ふふふ、やっぱり私のこと好きなんだぁ……?嬉しぃ……♡」
「……………………」
がま……ん………を…………。
「私もお姉ちゃんのこと好き……大好き……♡」
が………ま…………………ん……………。
「……お姉ちゃん?撫ででくれないの……?」
………………………………………………………。
「…………あーもうっ、絶対誰にも渡さない!ツキミは私のだからねっ!!」
「わっ……お、お姉ちゃん……♡」
──訂正。やはり我慢出来なかったらしい。
ヤチヨは未だ突っ伏していたツキミを抱き上げ、自らの膝の上に着地させたかと思うと、そのまま。
「ふふふ……可愛いなぁツキミは……ヤッチョの宝物だよ……」
「ん……く、擽ったいよお姉ちゃん……う、嬉しいけど……」
すっぽりと、自身の腕の中に収まった小さなツキミの身体をぎゅっと愛おしげに抱きしめるのでした。
── ── ── ── ── ── ── ── ──
どうもツキミです。全身にお姉ちゃんの温もりを感じながら頭を撫でてもらえるこの環境は天国と言っても過言ではないと思います。
これを味わえるのは妹である私といろpだけでしょうね。
へへへ……お姉ちゃんの妹に生まれられてよかった……♡私は世界一の幸せ者……♡
溢れ出る多幸感で口元がだらしなく緩んでしまう私を尻目にお姉ちゃんは。
「よし!じゃあそろそろ髪型、決めちゃおっか?ツキミはどんな髪型がいい?お姉ちゃんが完璧にセットしてあげるよ!人間社会玄人のヤッチョにお任せあれ〜」
楽しそうにウキウキとしながらそんなことを……。
……あっ、そうだった!今キャラメイク中だった……!!お、お姉ちゃんやいろp待たせてるし急がないと……!!
どうやら姉にオオカミとして分からされてしまったツキミは、すっかり自分がチュートリアル中だった事を忘れてしまっていたらしい。
慌てて姉の言葉を反芻し、なりたい髪型を思い浮かべてみるが、脳裏に過ぎるのは一つしかなくて。
……ちょ、ちょっとだけ恥ずかしいけど……嘘吐くわけにもいかないし……よ、よし。
「わ、私はその……や、ヤチヨお姉ちゃんとお揃いの髪型がいい……です」
「!そっか…えへへ……そっかぁ……ツキミは本当に、私のこと大好きなんだから……もうっ」
気恥ずかしさに瞳を揺らし、声を震わせながらも、確かな芯と熱を持って放たれたツキミの可愛いおねだり。
「うー……だって折角だし……お姉ちゃんと一緒がいいんだもん……」
自身の腕の中で恥ずかしそうにきゅっと身体を縮めているのを見ると、何だか胸の奥がじんわりと温かいものに包み込まれていくような感覚に襲われる。
ああ…可愛いなぁ……ツキミは。……大好きなツキミ。私のツキミ……。もう離れたくない、ずっと一緒に居たいよ……お別れなんて……いや……だよ……あんな思いは……もう二度と…………。
──『お姉ちゃんはいろpと幸■になるべきだと思うの!』
胸中を占める暖かな気持ちと相反するように、冷たい過去の記憶が蘇り、心を凍らせていく。
『お姉ちゃんならきっと大丈夫!絶対絶対、幸せになってね!!』
『つ、つきみ……か、からだ……からだがっ…………!なん、なんで……なんでツキミだけ………!』
『……ごめんね、お姉ちゃん。こうするしかなかったの。私の事はその……あんまり気にしないで?────またね、お姉ちゃん』
『まっ………………………………!!!!!!!』
『……………………………つきみ?』
『……………………………………あ、ああ……………あああああっ…………………………』
『────ああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!』
そのまま一人で、ただただ絶望して泣きじゃくっていたあの日々。
私を温めてくれる人も、優しく慰めてくれる人も、もう世界のどこにも居なくて。
辛くて、苦しくって……一人ぼっちは寂しくって……。
身も心も、凍りつきそうになって。
だけど、今は──。
「お姉ちゃん……?大丈夫?なんか……泣いてる?どうかしたの?」
「……ううん、何でもないよ。ただ、ツキミが居てくれて良かったなぁって思っただけ」
「そう……なの?……私もお姉ちゃんと一緒、嬉しいよ?」
ツキミがすぐ側で笑ってくれてる。一緒に居たいって言ってくれてる。
だったらもう、大丈夫だ。
ヤチヨはそんな愛おしい妹を、改めてもう一度ぎゅっと強く抱きしめてから。
「……じゃじゃーん!これ、なーんだ?」
切り替えるように、メンダコの中からとっておきのアクセサリーを取り出した。
今日の為に頑張って作った力作……!ツキミ、喜んでくれるといいな……。
緊張からか少しだけ震えている指先でそれをしっかりと掴んで、妹の手のひらの上に優しく置いてみる。
「わっ…これって……簪?」
「うん、そうだよ!ツキミに似合うかな~って考えながら作ったの!!」
藤をモチーフとした綺麗な薄紫色の簪と、蝶をモチーフとした淡い青色の簪。
思わず見惚れてしまうほど綺麗な二本の簪。
姉が自分のためにこんな素敵な物を贈ってくれた、それだけでも飛び上がってしまうほど嬉しいのに。
「……あっ……ここ………」
──よくよく見てみると、少し寂しげな白狼を囲むように笑顔の兎と狐、ウミウシが小さくデザインされていて。
その子達の周りで鹿とモモンガ、鬼が楽しそうに笑っていて。
どこを見渡しても、白狼は一人ぼっちなんかじゃなくて。
──ずっとずっと、誰かと幸せを分かち合っていて。
白狼の周りでは、いつも誰かが笑っていて、幸せそうで……。
……そっか……お姉ちゃん……私にこれを……伝えたかったんだ……そっかぁ……っ。
嬉しくて嬉しくて、ついつい涙が零れ落ちそうになるけど。
「……お姉ちゃん、ありがとう!私、これ絶対大事にするね!!……この簪、宝物にするね!!」
──今は、笑ってたい。笑顔で、お姉ちゃんに感謝の気持ちを伝えたい。
私のこと、ずっとずっと愛しててくれてありがとうって。
……忘れないでいてくれて、大事にしてくれてありがとうって。
──素敵な贈り物をありがとうって。
姉から贈られた宝物を愛おしそうに見つめ、その瞳に隠しきれないほどの喜びを宿しながら、幸せそうに綻ぶツキミの表情はとても綺麗で、晴れ渡っていた。
妹の本当に嬉しそうなその表情に、ヤチヨは少しだけ瞳が潤んでしまうのを感じながら。
「っ……ツキミがそんなに喜んでくれて、私も嬉しいよ……!じゃあ早速、やってみる?可愛くしてあげるよ!」
「!うんっ、お姉ちゃんとお揃いの可愛い髪型にして?」
「お任せあれ~♪この日の為に鍛え続けたヤッチョの真髄……見せてあげるよ!」
──可愛い可愛い妹の髪を優しく結い上げるのでした。
── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ──
「わぁ……!凄い!可愛い!!お姉ちゃん天才っ」
「えへへ~それほどでもー……あるかなぁ?」
「あるよ!だってほら、そっくり!簪も綺麗だし……本当にありがと!お姉ちゃん!!」
「いとかわゆし……」
どうもツキミです!!私は今、物凄くテンションが高いです!!!!
ヤチヨお姉ちゃんと同じ髪型、その上最高に素敵な私専用の簪で見事に決めて貰ってるのですから当然ですけどね!!!!
ああ……この簪、リアルでも欲しいなぁ……お姉ちゃんが初めて私に贈ってくれた大切な宝物……全部解決したらまたくれないかな……?くれたら嬉しいなぁ………その時は私も何か……へへへ、楽しみぃ……♡
「ふふふふ~ん♪お姉ちゃんとそっくり~、私はお姉ちゃんのもの~♪」
「………ふふっ」
過去に類を見ないほどウキウキとはしゃいでいる妹の姿に、思わず笑い声が飛び出してしまうヤチヨ。
こんなに喜んでくれるなら……こっちも渡しちゃって大丈夫かな……?
実はヤチヨがツキミに対して用意していた贈り物は一つではなく、簪以外にもあと二つほど存在していた。
''もう一つの方''は今考えてみると流石にちょっと重たすぎる気がしないでもないので一旦置いておいて……こっちなら……よし。
決意を固めたヤチヨは再びメンダコの中に腕を突っ込み、目当てのものをしっかりと握りしめて。
「つ、ツキミ!その……じ、実はこういうのも用意してたんだけど……う、受け取ってくれるかな……?」
震えながらも、何とか差し出すことに成功した。
それを見たツキミは一瞬目を丸くしながらも、すぐに口元を緩ませて、これ以上ないほど嬉しそうに、満面の笑みを浮かべるのだった。
「お姉ちゃん……これ、イヤリング……だよね?これも……私のために……作ってくれたの……?」
私の目の前にあるのは一組のイヤリング。
ウミウシのモチーフに赤色の小さな宝石がハートの形で埋め込まれている物と、兎のモチーフに星型の真珠が埋め込まれている物の二つ。
「う、うん……き、気に入ってくれるかは分からなかったけど……つ、ツキミに喜んで欲しくて……これを作ってる時はまだ、ツキミの本心とか知らなかったから……と、とにかく世界に繋ぎ止めておきたくて……!えっと……ど、どう……かな……?」
言葉一つ一つから微弱に感じ取れる、お姉ちゃんの不安な気持ち。
拒否される事を恐れているような、少しだけ遠慮気味な声色。
背中越しに感じるお姉ちゃんの身体は、どこか震えていて──。
……私がお姉ちゃんのこと拒絶なんてするわけないのに……変なところで怖がりなんだから……。
──もしかしたらそれは、私がお姉ちゃんの目の前で消えてしまったせいかもしれないけど。
……ごめんね、お姉ちゃん。
「つ、ツキミ?あの……い、嫌だったら無理に受け取ってくれなくても……!」
イヤリングを手にしたまま黙り込んでしまった私を見て、嫌がっていると勘違いしたのか、お姉ちゃんは慌ててそんな事を──。
……嫌なわけ、ないじゃん。
「……嫌じゃないよ、凄く……凄く嬉しいよ。……また宝物、増えちゃった!ありがと、お姉ちゃん!!」
未来の私がお姉ちゃんの心に傷を作っちゃうのは変えられない。辛くて苦しいけど、変えられないんだ。
……私に出来ることはこうやって本心を伝えて、少しでもお姉ちゃんの心の傷が埋まってくれる事を願う事だけ。
嘘は、吐かない。もうお姉ちゃんに嘘は、絶対に吐かない。
誤魔化して笑ったりなんてしない。泣いたまま笑ったりなんてしない。
そんな事しても、お姉ちゃんを傷つけるだけだってもう分かったから。
泣きたい時は泣くし、嬉しい時は心の底から笑ってやるんだ。
──私が世界で一番幸せ者だって。
ツキミは差し出されたイヤリングを手に取ると、それをヤチヨの前に掲げて。
「お姉ちゃん!このイヤリング可愛いね!!ウミウシと……兎のモチーフだよね?へへへ、かぐやお姉ちゃんとヤチヨお姉ちゃん両方のイメージだ~♪これでいつも一瞬に居られるね!!ありがとっ」
胸の奥の温かさがそのまま形になったような笑みで、頬を緩ませきりながら無邪気に笑った。
「!そ、そっか!良かった……!ツキミが喜んでくれて、本当に……お、重いとか思わなかった?」
簪とイヤリング。いくらツクヨミ内限定とは言えど、肌身離さず着用するタイプのアクセサリーを二つもプレゼントしたのはもしかしたらちょっと重たかったりするのかなと、もしそう思われてたら嫌だな、ツキミの重荷になってないかな、と渡してから次々とそんな不安に駆られてしまうヤチヨだったが。
「?なにが?全然軽いよ?イヤリングだし……あっ、込められた思いとかの話?だとしたら……すーっごく重いんじゃないかなぁ?お姉ちゃんの私への愛が詰まってるわけだし!!へへへ~」
当のツキミは、まるで宝物を握りしめるかのようにイヤリングを優しく包んで、幸せそうに頬を綻ばせていた。
ああ…そっか……ツキミは本当に私のこと……えへへ……本当変わらないんだから……嬉しいなぁ……。
「ふふっ……ねっ、ツキミ。それ着けてみて?絶対似合うからさ」
「うん!……これ、どっちが右耳とかあるの?」
「ツキミの好きなようにしていいよー、絶対似合うから!ヤッチョが保証しちゃう!!」
「分かった!じゃあ……はい!どうかな……?」
右耳にウミウシ、左耳に兎のイヤリングを着けたツキミが、どうどう?と姉に向かって見せびらかすかのようにその場に立ち上がって一回転する。
そんな可愛い妹の姿を見て、ヤチヨは──。
「似合ってる……似合ってるよツキミ!凄く可愛い!!写真……あっ、スクリーンショットしてもいい?残しておかないと!!」
──専属カメラマンのように、様々な角度からツキミの写真を撮りまくるのでした。
── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ──
「お姉ちゃん……今の私、最高にいけてる気がするよ……!」
「うんうん……ツキミはいつも可愛いけど……今のツキミはもっと可愛い!魅力ギガ増しだね!!」
「へへへ〜お姉ちゃんのお陰だよ!あっでも……髪型もイヤリングもお姉ちゃんを思わせるものだし……ふぁ、ファンの人たちに怒られたりしないかな……?」
「あー……大丈夫だよ!ツキミはクレイジーシスコンシスターとして一番厄介な掲示板の民達を味方につけてたからね!!問題ナッシングなのです!!あと普通にファン多かったし……私の妹なのにお姉ちゃんって呼んでくださいとか意味分かんない輩がいっぱい居たし……」
「く、くれいじーしすこん……?よく分かんないけど大丈夫そうならよかった!」
理解出来ない単語に一瞬首を傾げたツキミだったが、姉が問題なしと言うなら大丈夫なのだろうと一安心して笑顔を見せる。
そんな全幅の信頼を寄せてくる妹の姿を見て、やはりこの子は私が守らなくてはいけないと一大決心するヤチヨ。
「ツキミはお姉ちゃんが守らないとね……さて、それはそうと……」
服装、髪型、動物モチーフ、キャラメイクに必要な工程は全て終了した。
だからあとはもう、ツキミを送り出すだけ。
……これは、渡さなくてもいいかな……本当は、渡したかったけど……流石に引かれちゃう……だろうし……。
うん、やめよう……ツキミは優しいから受け取ってはくれるだろうけど……気を使わせるのも、嫌だから……。
後ろ手に準備していたそれを隠しながら、ヤチヨは笑顔で。
「じゃあツキミ!色々おめかしも終わったことだし、そろそろ出発しよっか!!」
後ろ向きな気持ちを悟られぬように明るくそう宣言した。
だが、そんなあからさまな姉の異変にツキミが気が付かないわけもなく。
ツキミは、キョロキョロと不安を隠すように揺れ動いている姉の瞳を真っ直ぐ見ながら口を開く。
「……お姉ちゃん。もしかしてまだ、何か用意してくれてるの?」
ほんの少しの期待と喜色を含ませた声色。
曖昧な答えは許さないと、射抜くようにヤチヨの瞳を見詰める。
……私から逃げるなんて、許さないから。
「えっ!?……え、えっとそれは……あの……その……な、なにも……なくて……ご、ごめんね~あはは……」
しどろもどろになりながら離れて逃げようとする姉の身体を、ツキミは強く抱き留めて逃がさないようにして。
「……何も、ないの?」
──耳元で囁くようにそう呟いた。
怒っているような、悲しさや寂しさが入り混じっているような、聞いているだけで胸が苦しくなるような、そんな声。
どこか懇願するようなツキミの声を聞き、ヤチヨは──。
「……あ、あり……ます………」
耳まで真っ赤にして俯きながら、今にも消え入りそうな声で白状した。
恥ずかしさのあまり俯いたその口から零れ落ちる声は、今にも消え入りそうなほどか細いもので。
その言葉を聞いたツキミは、幸せそうに口元を綻ばせながら。
「……私、お姉ちゃんの全部が欲しいな」
「……っ」
服の裾をきゅっと掴み、上目遣いで甘やかな声を紡ぐ。
甘えるように囁いた彼女の瞳には、期待の光が揺れていて。
朱色に染まった頬と、潤んだ瞳は、ツキミがヤチヨの為に羞恥心を抑えて頑張ってくれた事を如実に表しており。
そんな妹の表情は、ヤチヨが覚悟を決めるには十分すぎるものだった。
ツキミが……ここまで言ってくれたんだから……私も覚悟、決めないと。
後ろ手に寄っていたそれを、震えた指先で落とさないようにしっかりと掴みながら、ゆっくりと妹の前に差し出す。
「あ、あの……こ、これ……!」
──指輪だ。姉が差し出してくれた手のひらの上で、三日月の意匠が施された銀の輪が小刻みに震えている。
まさかの贈り物に私が息を呑むと、お姉ちゃんは恥ずかしそうにパッと目を逸らした。
耳まで真っ赤に染め上げ、俯くその横顔。
だけど、拒絶を恐れるような緊張の奥にほんの少しの期待と、隠しきれない喜色が滲んでいるのが分かってしまった。
私の反応を待つお姉ちゃんの呼吸が、ひどくもどかしそうに揺れている。
私がそんなお姉ちゃんの様子に思わず息を呑み、口を開けないでいると。
「え、えっとね……ゆ、指輪……なんだけど……簪とイヤリングで凄く喜んでくれたし……も、もしかしたらこれも、喜んでくれるかなって……」
驚愕からか黙り込んでしまったツキミを見て、ヤチヨは恥ずかしさが限界に達したのか、慌てたように早口で捲し立てた。
「だ、だけど本当は受け取って欲しくて……で、でももし重いとか思われたら嫌だなって……や、やっぱりこれは受け取らなくても……」
もし拒否されたらどうしよう、拒絶されたらどうしよう、そんな不安が私の本音とは反対の言葉を紡ぎ始める。
ああ……こんなこと言いたいんじゃないのに……ツキミが勇気を出してくれたのに……私は……っ。
震える指先は、今にもプレゼントを落としてしまいそうだった。
「………っ」
必死に力を込める私の前に、すっと小さな手が伸びてくる。
「ぁ……ツキミ?」
ツキミは、私の震える手ごと包み込むようにして、その贈り物を優しく受け取ってくれて。
「ありがとう……お姉ちゃん。すごく……凄く嬉しい……!」
──耳元で囁くように小さく呟かれたその声には、私の緊張をそっと溶かすような、温かい歓喜が滲んでいた。
「そっ…か……!良かっ……わっ!」
「お、お姉ちゃん!?」
そんなツキミの幸せそうな声色に強い安心感を覚えたのか、ヤチヨは強張っていた身体から力が抜けてしまい、そのままツキミの方へと倒れ込んでしまった。
「ご、ごめん……なんか、気抜けちゃって……喜んでくれてよかった……」
えへへ、とはにかむような笑みを浮かべ、ヤチヨはおずおずとツキミの肩に頭を預ける。
取り敢えず体調が悪いとかじゃなくてよかったっと胸を撫で下ろしたツキミは、自身に甘えるように身を委ねる姉の姿に、再び口元を優しく綻ばせてから、改めて口を開いて。
「ねえお姉ちゃん。……この指輪、どこに嵌めてくれるの?」
「……え?」
──ほんの少しだけ声を震わせながら、そう尋ねた。
お姉ちゃんがどういうつもりで指輪を贈ってくれたのかは分からない。
家族だから、大切な妹だから贈ってくれたってだけなのかもしれない。
……それは勿論天にも昇るほど嬉しいけれど、家族以外の理由を求めてしまう自分もいて。
……もし、もしちょっとだけ期待してもいいのなら……。
──家族以外の感情で、貴方がこれを贈ってくれたって期待してもいいですか?なんて……。
……これはきっと、隠さなきゃいけない気持ち。
だから私はあくまでお姉ちゃんが大好きな妹として、どこに指輪を嵌めてくれるのかを聞くことしか出来ない。
……どうかこの瞬間だけは、嘘を吐くことを許してください。
「……お姉ちゃんはこの指輪を、私のどこに嵌めてくれるの?」
「う……じゃ、じゃあその……ひ、左手を出して貰ってもいいでしょうか……」
「……うん」
──左手。ほんの少しの期待にトクンと高鳴る心音を無視して、私はお姉ちゃんに預けるように左手を差し出した。
お姉ちゃんは、私の手をおっかなびっくり掴んだかと思うと、親指から小指までゆっくりと視線を泳がせてから。
数瞬迷った後に、迷いを振り切るように頭を振って、そのまま震えた指先で──。
「──そこで、いいの?」
私の口から思わずそんな言葉が飛び出してしまう。
だって僅かに震えているお姉ちゃんの指先が向かう先は、紛れもない左手の薬指で。
そこは、とても大事な、意味があるところで。
期待しても……いいのかな……で、でもお姉ちゃんは私に妹以上の感情なんて持ってないだろうし……く、薬指なのは最大級の愛情を伝えてくれるためだけかもしれないし……それはそれで幸せすぎて泣きそうなんだけど……で、でも指輪と左手の薬指は流石に意味が出るんじゃ……。
姉の真意が分からず内心悶々としているツキミを尻目にヤチヨは口を開き。
「……つ、ツキミともう一度ちゃんと家族になりたくて……わ、私はかぐやからヤチヨに生まれ変わっちゃったようなものだし……い、いいかな……?」
自身のことを卑下するその言葉にツキミは浮かれ気分が急速に冷めて一瞬だけムッとなったが、横目に入る姉の表情を見たら、そんな感情はすぐに消え失せてしまった。
目をぐるぐるとさせていて、顔も真っ赤で、多分物凄く緊張している姉の姿は毒気を抜かれるには十分すぎるもので。
……そっか……お姉ちゃんは結婚のこと、家族になることだって思ってるんだよね……いろはが結婚のこと、元々家族じゃない人と家族になりたいからって言ってたから……別にヤチヨお姉ちゃんになったからって生まれ変わっちゃったってわけでもないのに……ちょっと歳をとって成長しただけじゃん……もう……。
私に似てしまったのか、自己評価が低すぎるお姉ちゃんの目の前に、私は改めて左手を差し出しながら。
「──じゃあ、嵌めて?」
焦がれるように、そう伝えた。
貴方となら、もし本当に生まれ変わったとしても、何度だって家族になりたい。
そんな思いを込めて。
私の言葉に弾かれたように、お姉ちゃんは小さく息を呑んだかと思うと。
「っ……は…はい……」
か細い声で、俯きながらも、確かにそう言ってくれて。
「じゃ、じゃあその……う、受け取って……ください……」
「……うん」
震えた指先で、私の左手の薬指を躊躇うように、一度だけ優しくなぞってから、三日月の指輪を私の薬指に優しく、滑らせるように、ゆっくりと嵌めていく。
この指輪には、私の思う特別な意味はないのかもしれない。
だけど、私は別にそれでも構わないのかも。
だって──。
「………わぁ……綺麗……!」
完全に嵌まりきった三日月の輪。それを見詰めるだけで、こんなにも満たされて、幸せな気持ちになれるんだから。
お姉ちゃんが私に贈ってくれる惜しみのない愛。例え恋愛感情なんて含まれてなくても、私はそれだけで十分幸せで──。
──生まれてきてよかったって思えるから。
溢れんばかりの喜びと幸福感。その全てを示すべく、ツキミは衝動のままヤチヨを思いっきり抱き締めて。
「……お姉ちゃん!好き!大好き!!ありがとう!!」
満面の笑みで、本心から溢れ出してくる感謝の気持ちを伝えるのだった。
お姉ちゃんが私に特別な感情を抱いてなくても、私がお姉ちゃんのこと大好きなこの気持ちは絶対に、永遠に変わらないから問題なしだよね……!!
色々と、吹っ切れたらしい。
「わっ…!えへへ……うん…私もツキミのこと……あ、愛してる……よ……」
指輪を渡した直後と言うこともあり、ヤチヨは恥ずかしげに目を伏せながら、恐る恐るツキミを抱きしめ返すのでした。
その際、赤面した顔を見られない為に、ツキミの肩に顔を埋めていた。
そんな姉の頭を優しく撫でながら、ツキミはこれだけは言っておかなければと口を開いて。
「そういえばさっき変なこと言ってたけど……かぐやちゃんもヤチヨちゃんも私のお姉ちゃんだからね。生まれ変わっちゃったとかもう言わないでね。……次は怒るからね」
私の肩に頭を預けたままのお姉ちゃんに、耳元で囁くようにそう呟く。
その瞬間、お姉ちゃんの身体がびくりと跳ねて、私の肩に触れているお姉ちゃんの体温が、みるみるうちに熱くなっていくのが分かった。
……もしかしてお姉ちゃんも耳元……弱いのかな……。
ちょっとだけ生まれてしまった私のよくない疑念を掻き消すかのようにお姉ちゃんは。
「っ……つきみ……そういうの……ずるい………」
恥ずかしそうに目を逸らしたまま、私の服の裾を震えた指先できゅっと強く掴み返してきた。
お姉ちゃんの指先から伝わってくる愛おしいほどの震えと、トク・トクと刻まれる速い鼓動。
気恥ずかしさに耐えかねて縮こまっているお姉ちゃんの背中に、私はそっと腕を回す。
「お姉ちゃん……これからもずっと、私と一緒に居てくれる……?」
「……うん……!もうツキミと、離れたりなんてしない……!!今度こそ、一生一緒にいる……っ」
「!……そっか、じゃあ絶対ハッピーエンド迎えないとだね……!そうしたら、きっと──」
──もう誰も私たちのことを離せない筈だから。
ぎゅっと腕に力を込めると、お姉ちゃんの瞳の奥に未来への確かな期待と隠しきれない喜色が、熱を帯びてきらきらと揺らめいたのが見えた気がした。
── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ──
「じゃあお姉ちゃん!私……行ってくるね!」
晴れやかな笑顔を浮かべたツキミが簪とイヤリング、指輪を愛おしそうに撫でてからそう宣言する。
これからきっと、色んな事が押し寄せて来るんだろう。
それは地獄の始まりかもしれないし、超ハッピーエンドに辿り着くまでの必要な旅路なのかもしれない。
だけど一旦は、私とツキミはお別れ── 。
「?……どうしたの?お姉ちゃん」
──ヤチヨは無意識の内に、ツキミの袖口をそっと掴んでいた。
「……ツキミ、ちょっとわがまま……言ってもいい?」
そのままポツポツと言葉を溢し。
「毎日…一分でも、五分でも……ほんの少しでもいいから……私に会いにきてくれないかな……?」
あの日、自分の世界から彩と月が失われた日を、今でもハッキリと覚えている。
目を閉じる度思い返すその光景、たった一人の地獄の始まり。
無限に連なる絶望の連鎖、身を引き裂く悔恨に塗れて。
──
『つ…き……み………………?』
──どれだけ辛くても、どれほど苦しくても。
『あ…ああ………ああああ………………………』
──廃人になる事や、狂気に満ち溢れて狂い切ることは、妹との約束によって許されない。
『お姉ちゃんはいろpと■■になるべきだと思うの!』
──私は、■■にならないといけない。
…………… ■■ってなんだっけ?
…………………………私にとっての、■せ。
………………………………………彩葉と、ツキミ。三人で一緒に……。
…………………………………………………………………………………………ああ、そっか。
──私は、唯一無二の幸■を喪ったんだ。
………は、はは………ははははははははは………………………。
『────ああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!』
──その日以来、私の世界から彩が消えた。
私の目に映る世界は、全てが白黒で。
七色に煌めいた美しい世界が見える事はもうない。
──ああ、世界はモノクロで満ちている。
それから少しずつ、少しずつ心が絶望に侵されていくのを感じて。
楽しかったあの日々を、何千、何億回思い返して。
心が砕けそうになる度に、あの人がくれた歌を、何度も何度も口ずさんで。
『──この一瞬を最高のパーティーにしよう……』
その歌を支えに、頑張って頑張って……歩き続けて。
いつかまた会える……そう信じて、彩のない世界を進み続けて。
……もし、彩葉にも彩がついて見えなかったらどうしようって、不安に押し潰されちゃいそうな夜もあったけど……。
──ある日、ようやくあの子を……彩葉を見つけた。
──彩の無い私の世界で、凄く綺麗に煌めいていたから、すぐに分かった。
……良かった……彩葉にはちゃんと……彩がついてた……っ!
また貴方に、助けて貰った。彩葉はいつも、私を助けてくれて……ありがとう、彩葉。
──そして遂に、ここまで辿り着けた。
ツキミと話せて、ツキミの本音を聞けて、ツキミとちゃんと分かり合えて。
──また世界が、七色に煌めいて見えて。
だからもう、私は──。
「……ツキミと離れたくない」
楽しかった。私は久しぶりに、本当に楽しかったんだ。
何でもない事で笑い合えて、上目遣いでおねだりしたら一番最初は駄目って言うけど、結局は何だかんだで頷いてくれて、そんなツキミとの時間が好きで、愛おしくて……失いたくないって、また強く思って……。
だから私は──。
「……お姉ちゃん。そう言うのは、わがままって言わないよ」
震えた身体で縋りつこうとする私の身体を、ツキミは暖かく抱き留めてくれた。
そのまま、相変わらずの優しい声色で。
「お姉ちゃんが望んでくれるなら私は毎日だって会いに来るよ。だって私もヤチヨお姉ちゃんに会いたいもん」
何でもないように、そう言ってくれた。
一番欲しい言葉を、一番言って欲しい人が伝えてくれる。
それがどれほど嬉しいことか、私は8000年間の地獄の旅路で身に染みるほど理解している。
ああ……やっぱりツキミは……あったかいなぁ……。
「それにもし、わがままだとしても別に良くない?だってお姉ちゃん歌ってたし!『ワガママになろうぜ!君の人生☆』って!忘れてないでしょ?」
「あ……それは……」
彩葉が初めて作ってくれた曲に、私が初めて歌詞をつけた大切な曲。
──私は、わたしの事が好き。
「へへ……私あの歌大好きなんだ!なんか勇気もらえるっていうか……元気になれる気がして!自分の事が大っ嫌いな私でも、楽しく生きてみてもいいのかなって……そう思わせてくれるあの歌が大好き!!」
「……私も……また……歌えるかな……?」
彩葉がかぐやに送ってくれた曲を、また歌える日が来るのかな……。
来たら…いいな……。
「そんなの当たり前じゃん!お姉ちゃんはお姉ちゃんなんだから絶対歌えるよ!!」
「ふふ……なにそれ、意味分かんないよ……」
「むっ……よし決めた!全部解決したら、私といろはの前でライブしてもらうね!かぐやお姉ちゃんとヤチヨお姉ちゃんの二人で!!全部歌って貰うから!!約束ねっ」
寂しげに笑う姉の表情がどうしても許せなかったツキミは、いつかきっとこの曇り空が晴れ渡ってくれる事を信じて、遠い未来の約束を交わす。
それは約束というよりは、ただのお願いだったが……だからこそ、それはヤチヨの心に甘く溶けていき。
「……じゃあ今の内からたくさん、練習しとかないとね」
──前向きに、未来を望む事が出来るようになった。
……やっぱりツキミは……凄いなぁ……。
安心したようにはにかむ姉の表情に釣られて、ツキミも頬を綻ばせ。
「ヤチヨお姉ちゃんが私は、わたしのことが好きをどう歌うのか……凄く気になる……楽しみだなぁ……」
幸せな未来を夢想するのだった。
ヤチヨはそんな愛おしい妹を、もう一度強くぎゅっと抱き締めてから、そっと立ち上がり。
「ツキミの期待を裏切らないように、頑張らなくちゃな〜……うん、ヤッチョも楽しみ!!」
満面の笑みで、嬉しそうにそう溢して。
「──いってらっしゃい!ツキミ!!」
最後に笑顔で、小さく手を振って、微笑みながら、そう言った。
そんな姉からの、最大級の激励を受けて、ツキミは──。
「──いってきます!お姉ちゃん!!」
──こちらもまた嬉しそうに微笑みながら、大きく手を振って、駆け出すのだった。
── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ──
「いってらっしゃい……か……笑って言える日が来るなんて……思わなかったなぁ……」
自嘲するようなその言葉。だが、口元は幸せそうに緩んでいて。
「……私の世界に、彩がつくことなんてもうないって思ってたけど……世界ってこんなにも……綺麗だったんだよね……ふふっ」
七色に煌めいて映る世界。仮想空間でも、やっぱりそれは、凄く綺麗で。
──ああ、世界は彩で満ちている。
ふと、脳裏に浮かんだその曲を、静かに口ずさんでいく。
「………何千年が経ったって……何万年が経ったって……」
──きっと この一秒は永遠に続いてゆく
──始まること 終わりゆくこと
──そっと 今、君が泣いてくれたこと
──それを運命だと言うなら 全部抱きしめてみよう
──世界が彩りに満ちてゆく────。
────すべてが祝福を奏でている。
「………彩葉。この歌を私たちにくれて、ありがとう」
かぐやちゃん視点の8000年が確定した地獄すぎて本当に書きたくないんですが……追体験壊れちゃいますってFUSHIさん……。
瞬間シンフォニーがなかったら心折れてましたよ私……。
藤の簪は花言葉的にピッタリだったのでそれにしました。結構気に入ってます。