お姉ちゃんはいろPと幸せになるべきだと思うの   作:いろかぐヤチは美しい

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太陽と月を彩るもの

 

遠くから聞こえてくるキジバトの鳴き声や、新聞配達の音が沈んでいた意識に響いてくる。

 

「う〜ん……ああ、もう朝かぁ……」

 

ぼんやりとしながらも、薄くカーテンを空けるとそこから元気いっぱいな朝日が飛び込んできて───。    

 

「……夢とか幻覚じゃ、ないのよね……はぁ」

 

その朝日に照らされ、キラキラと頬の産毛を輝かせてすやすやと眠っている電柱生まれの赤ちゃんを見て、昨日の出来事を瞬時に思いだし、思わず溜め息を吐いてしまう彩葉だったが。

 

「すー…すー……」

 

安心しきった表情で、気持ちよさそうに眠るその子の姿に、何処か癒されている自分がいるのも感じていて。

 

「人の気も知らないでぐっすりとまあ……ちょっと可愛いじゃないのよ……」

 

ついついそんな風に、彼女の頭を撫でようと手を伸ばそうとしてしまったその時───。

 

「あっ!おはよいろp!!よく眠れた?ヤチヨちゃんのASMR、凄かったもんねぇ……へへへ♡」

 

───電柱ベイビーその2、ツキミが笑顔でこちらににじり寄ってきた。

 

……全裸で。

 

「お、おはようツキ……ミッ!?は!?あんた何で服着てないの!?馬鹿なのっ!?」

 

余りに異様なその光景に、朝にも関わらず声を荒げてしまう彩葉だったが、当の当人は何か問題があるのかと言うように首を傾げて。

 

「?だってお姉ちゃん、お漏らししちゃってたし……そんな濡れたままの状態でお姉ちゃんが風邪でも引いたらいけないでしょ?だから私の服を下着代わりにしてあげたんだ!へへへ、お姉ちゃんのお世話が出来るなんて私はなんて幸せ者……♡」

 

「本当に何言ってんの!?てか、マジでその格好でクネクネすんのやめて!目のやり場に困るから!!」

 

見目麗しい少女が頬を赤く染めながら、恍惚とした表情を浮かべているその光景は、現時点でその気のない彩葉からしても目に毒であった。

 

「だっていろpの服勝手に着るわけにもいかなかったし……しょうがないじゃん?」

 

「だからって普通裸のまま朝まで過ごす!?せめてタオルケットとかでも羽織って…て言うか待って……お漏らし?お漏らしって言った?」

 

「?うん。今のお姉ちゃんは赤ちゃんなんだからお漏らしぐらいして当たり前でしょ?……あっ、濡れた服はあっちに置いてるからね」

 

そう言われてツキミが指差した方に視線を向けると、少し離れた所に袋のようなものが置いてあるのが見えた。

 

恐らくあそこに濡れた下着が入っているのだろう。

 

「……あ、ありがとう」

 

「いいよこれぐらい〜……匿ってくれたお礼?みたいな物だし、お姉ちゃんの着替えを手伝うって貴重な体験も出来たし……♡」

 

「ほんとブレないわねあんた……あ、あと匿うのはあくまでその子が大きくなるまでだからね!?それ以上はお断りよ!!」

 

ここだけは譲れないとハッキリと断言しておく。このまま流されるわけには行かないのだ。

 

「分かってる分かってる〜♪」

 

「絶対分かってない……!てか、早く服着なさい!!私のやつ貸してあげるから!!」

 

いい加減この状態は不味いと、服をツキミに投げつける彩葉。

 

「わぷっ!?……へへへ、ありがとーいろp!」

 

……そんな純粋な笑顔見せられたら怒るに怒れないじゃないの。

 

「……大体、お姉ちゃんが風邪引いたら大変って言ってるけど、あんたが体調崩してもそれはそれで問題でしょ」

 

彩葉としては極々当たり前の事を言ったつもりだったが、言われた当人のツキミは心底不思議そうな顔をして。

 

「?私なんかより、お姉ちゃんの身体の方がずっと大事でしょ?」

 

「……は?」

 

────当たり前のようにそう言ったのだった。

 

── ── ── ──

 

──どうも、ツキミです。昨晩はヤチヨお姉ちゃんのリアタイ配信という天国を味わい、その上ASMRまで堪能できてもうこれで終わってもいいってくらいの幸せを感じることが出来ました。

 

おまけにお姉ちゃんのお世話まで出来たし……♡

 

そんなこんなで、起床したいろpと色々お話をしているんだけど、何やら様子がおかしいのです。

 

「?私なんかより、お姉ちゃんの身体の方がずっと大事でしょ?」

 

「……は?」

 

私としては、ただ当たり前のことを言っているだけなのに、何故そんな怪訝そうな表情でこちらを見るのか、訳が分からないです。

 

だって私の全てはお姉ちゃんといろpの幸せの為だけに存在しているんだよ?……だからお姉ちゃんの身体を守るのは当然の事だよね!

 

ふへへぇ……♡お姉ちゃんといろpは命に変えても私が守るぅ……♡

 

「ツキミ……あんた……」

 

「?なに?どうかした?」

 

「……いや、何でもない……」

 

いろpが何か言いたげにしているような気がするけど……何だろう?

 

……分かんないや。

 

分かんないから、取り敢えずいろpに伝えたかった事を話すことにする。

 

……話題転換って奴だね!

 

「そう言えばいろp、昨日のヤチヨちゃんの配信覚えてる?」

 

「…ヤチヨの?……!ASMR配信の事?あんなの逆に忘れられるわけないでしょ」

 

「うんうんだよねだよね!……でもあれ、何かアーカイブ削除されてたんだよね。……凄く勿体無くない?」

 

「えっ……嘘、でしょ?」

 

ショックの色を隠せないいろpを見て、私は。

 

「私も嘘であって欲しかったよ……おね……ヤチヨちゃんのあんな激レア配信……あと最低でも八千回は聞きたかったのに……」

 

「…………ヤチヨが、私に送ってくれた言葉が……消えた……?は、はは……終わった………」

 

この世の終わりみたいな表情で、床に沈んでいきそうな勢いで落ち込むいろp。

 

……ふっふっふ、そんなあなたに私からの贈り物です。

 

「いろp、これなーんだ?」

 

私はそう言って、タブレットのある部分をいろpに見せてあげる。

 

「何よ…私は今落ち込んでるんだからあんたに構ってあげる暇なんて……?これって……もしかして……!」

 

私が何をしたのか、それを理解した彩葉が期待の眼差しを私に向けてきて。

 

「こんな事もあろうかと、いろpが気絶した後にASMR部分だけ画面録画しといたんだ!……本当は著作権的なアレであんまり良くないんだろうけど……」

 

ヤチヨお姉ちゃんなら許してくれるよね、こればっかりは妹といろpの特権なのです。

 

……ゆ、許してくれるよね?お姉ちゃん。

 

「どうする?いろp、ヤチヨちゃんに申し訳ないって言うなら消しちゃうけど……どうする〜?」

 

「うっ…くっ……!」

 

深く深く葛藤しているいろp。

 

それもそうだろう。

 

何せ最推しのヤチヨが、何故か削除した、アーカイブの一部分を個人的に残して楽しむと言うのだ。

 

ファンとしては正しい行動とは言えないかもしれない。

 

いや、間違いなく言えない。

 

……やはりこれは駄目だろう、彩葉はそう判断してファンとしての正しい在り方を徹底するべく動き……。

 

「……アーユビガスベッチャター……『いつも頑張ってて偉いね…ヤッチョはずーっと貴方のことを見守ってるよ。……でも、頑張りすぎるのも身体に良くないと私は思うのです。貴方が頑張ってるの、私はちゃんと知ってるから。頑張りすぎないように、頑張ってね?……おやすみなさい』……いろp?消しちゃっていいの?ねえ、いいのぉ?」

 

動き…出し………。

 

「あっまた指滑っちゃったー『いつも頑張ってて偉いね…ヤッチョはずーっと貴方のことを見守ってるよ。……でも、頑張りすぎるのも身体に良くないと私は思うのです。貴方が頑張ってるの、私はちゃんと知ってるから。頑張りすぎないように、頑張ってね?……おやすみなさい』……ヤチヨちゃんの声、やっぱり最高……♡いろpもそう思わない?……いろp?」

 

…………………。

 

無言のまま震え続けている彩葉、それを見てツキミは。

 

「そっか…いろpは本当にファンの鏡なんだね……うん分かったよ、これは消しておくね……ごめんね?余計なことしちゃって……」

 

いろはが喜んでくれると思ってやったが、逆に怒らせてしまった事を反省し、動画を削除しようと手を動かすが───。

 

「……さい……!」

 

───その動きを当のいろはに止められてしまった。

 

「……え?なに?何か言った?」

 

おまけに何か小声で言っていたような気がする。

 

……どうしたんだろ?いろp。

 

……も、もしかして結構本気で怒ってる?だ、だとしたら……。

 

「ご、ごめっ…!ごめんなさいっ……!わ、わたしそんなつもりじゃなくて……!!」

 

いろはに嫌われる恐怖、そんな恐ろしい事態から咄嗟に出てくる謝罪の言葉。

 

だがそれは聞き届けられる事はなく───。

 

「っ……その音声、私に下さいっ………!!」

 

───彩葉の絞り出すようなその懇願にかき消されるのであった。

 

 

── ── ── ──

 

 

「いろp!多分今夜辺りにお姉ちゃんが私と同じぐらいに成長するから、ミルクじゃなくてちゃんとしたご飯欲しいなぁ?お金貸して♡」

 

あの後、一日分のオムツやミルク等を買いに子供用品専門店の西竹屋に赴き、なけなしの貯金でそれなりのベビー用品を買い揃えてあげたと言うのに、このお姉ちゃん大好き悪魔さんはまたまたとんでもない要求をしてくるのであった。

 

「嫌に決まってんでしょ?こちとらお金がなくて貧乏なのよ?ただでさえ無駄な出費で圧迫されてんのにこれ以上は……」

 

「……どうしてもダメ?」

 

「うっ……」

 

うるうると涙を浮かべながら、上目遣いで見つめてくるツキミに思わず仕方がないなあと頷いてしまいそうになる彩葉だったが、何とか堪え。

 

「だ、駄目です!そもそも大きくなるまで匿うって約束だったでしょ!?関わったのは私の責任だけど、約束は約束だし……!」

 

「……お姉ちゃん、きっとお腹空かせてるんだろうな……私達路頭に迷っちゃうのかな……ぐすっ…!い、いろはぁ……!せめて、せめてお姉ちゃんだけでも助けてよぉ……!!」

 

幼気な少女が涙ながらに懇願するその光景は、余りにも───。

 

「〜〜〜〜〜っあーもうっ、分かった!分かったから泣かないで!!取り敢えずはいこれご飯代!『ふじゅ〜ペイ』の使い方はオムツとか買った時見たから分かるでしょ!?」

 

「えっ?いいのぉ?ありがと、いろp♪」

 

「あんたほんとっ…本っ当に性格悪いわよ!そんな事続けてたらいつか破滅するよ!?」

 

「?いろpにしかしないよ?」

 

「ぐっ……!も、もういいからとっとと行きなさいよ……!」

 

こてんっ、と首を傾げながらサラッととんでもない事を口にするツキミに、思わずクラッときてしまいそうになる彩葉だったが、何とか誤魔化しさっさと行けと玄関口を指差す。

 

「はーい、いってきまーす!……本当にありがとうね、いろは!」

 

「……だからそれ、ズルくない……?」

 

「?何が?」

 

「無自覚か…姉の方もそうじゃないでしょうね……それより、一人で大丈夫?もうかなり暗いけど……」

 

「大丈夫大丈夫!お姉ちゃんを一人には出来ないでしょ?それに私は、お姉ちゃんが一番最初に話すのはいろpがいいのっ!いろpじゃなきゃだめなのっ」

 

「何よそれ……相変わらず意味分かんない事言ってるわね」

 

───なんて事を言いながらも、少しだけ、ほんの少しだけこいつの姉とやらと話すのが楽しみだって思ってしまっている自分は、割ともう毒されてしまっているのだと感じる。

 

「じゃあ今度こそいってきまーす!」

 

「はいはい、気を付けなさいよ」

 

───ちゃんと無事に帰ってくるか、心配している事は絶対言ってやらない。

 

── ── ── ── ──

 

「──とは言った物の……本当に急に大きくなったりするとか有り得るわけ……?」

 

今更過ぎる疑問ではあるが、やはり物理的に有り得ないのでは?と思ってしまう。

 

実際、ツキミが赤ちゃんから一気に少女まで成長しているのは目の当たりにはしているが、その瞬間を目撃した訳ではないのだから。

 

この目で見るまでは、どうしても半信半疑にはなってしまう。

 

「きゃっ、きゃっ、きゃっ!」

 

当の赤ん坊様は、タブレット端末を自在に操って、巨大隕石接近の可能性を告げるニュース、命を懸けた恋の物語、友達とふざけて撮った私の動画などなど、様々なジャンルの動画を次々と楽しげに見ている。

 

貪るように情報を求めるその瞳は、スマコンも入れてないのに妖しく輝いていた。

 

「……お嬢様は、楽しそうでいいですねー」

 

その全てを楽しんでいるかのような赤子の姿に、思わず天使を幻視してしまったのは別におかしな事ではないだろう。

 

……取り敢えずツキミが帰ってくるまでは、タブレットも使えない事だし、暇なので少し横になって……。

 

「って違う違う!?べ、勉強…‥勉強しないと……!!」

 

ゲーミング電柱ベイビーズの影響で、己の本分をすっかりと忘れてしまいそうになっていた自分にゾッとする。

 

この三連休、全て勉強に充てるつもりだったのに……。

 

何やってるんだ私……少しの遅れで追いつけなくなるのが私という人間だと言うことを忘れたのか?

 

……だって私は、母とは違って何もかも中途半端な凡人なのだから。

 

「よし…今ならツキミも居ないし、全力で勉強……!」

 

そんな新たな決意を胸に机に向かう私の部屋の窓から、不意に月明かりが差し込んできたが。

 

「……………あー?おー……?」

 

勉強に集中している私は、背後でその月明かりを受けて、音もなくゾロリと髪を伸ばし、身体も急成長して、謎の掛け声のようなものを発しているその存在に気が付かなかった。

 

そして──。

 

「ねー、ねー」

 

"ソレ"は私の袖をツイツイと引きながら。

 

「お腹空いたー」

 

そんな事を宣い──。

 

……いや、待て。何だ?何かが可笑し……い!?

 

思わずバッと振り向くと。

 

「うわぁっ!」

 

「うおぉっ!」

 

──髪色や瞳の色こそツキミと違うが、まず間違いなく彼女の姉であろう美少女がいた。……まあ、この三日間共に過ごしてきたのだから声だけでもアンタだって分かるんだけどね……。

 

「ビビったぁ……」

 

いやビビったのはこっちだから。

 

……ってそんな事よりも。

 

「あんたがあいつの姉ってことで良いのね?」

 

「!ツキミもちゃんと来てるの!?良かった〜!ねえねえツキミは?ツキミはどこっ!?」

 

「ちょっ!?いきなりグイグイ来んな!本当にあんたらそっくりね!似た物姉妹にも程があんでしょーが!!」

 

姉って単語を出した途端、急接近して抱き付いてくる謎生物を躱し、皮肉のつもりでそう言ったのだが……。

 

「え?そう?そうかな〜?えへへ〜」

 

当の本人は両手を頬に当てて、心底嬉しそうに綻ぶ笑顔を見せていた。

それは思わず抱きしめたくなるほど可愛っ……く!ない!!断じて!!

 

これ以上の情が湧くのは防がないと、なんだかんだで流されるように同棲生活が始まる予感がビンビンにしてきているので、何とか正気を保つ事に全力を尽くす彩葉。

 

……正直もう手遅れな気がしないでもないが。

 

「それであんたらは結局何処から来たわけ?あいつに聞いても教えてくんないし」

 

「そんな細かい事はあとでもいいっしょ!ねっ!ツキミ!!……あれ?ツキミ?」

 

「細かい事じゃないでしょうに……あとツキミは今ここには……どうしたの?」

 

────少女にとってツキミとは、生まれた時からずっと一緒に過ごしてきた、言わば半身のような存在である。常に傍にいて、自身のことをお姉ちゃんと慕ってくれる可愛い可愛い最愛の妹。

 

離れ離れになるなど考えられないくらい、共に居るのが当たり前のような存在。

 

だから無意識に、その姿が見えないにも関わらず、ツキミに対して話しかけていた。彼女が話しかけて、ツキミがそれに答えなかった事などただの一度もなかったからだ。

 

だが今、ここに『お姉ちゃんっ!!』と呼んでくれる彼女は居らず──。

 

「うっ……!」

 

「!?な、何で泣いてんの!?大丈夫!?」

 

────ツキミが側にいない。そんな初めての経験に言いようのない寂寥感を感じ、思わず涙を溢してしまう少女。

 

そんな突然の事態に、慌てながらも急いで側に駆け寄る彩葉。

 

「だ、だってつきみ…いない……どこいるの……?」

 

先程まで太陽みたいに明るかった少女の、縋るような表情と声色に焦りながらも彩葉は。

 

「ツ、ツキミならあんたの為にご飯買いに行ってるだけだから!すぐ戻ってくるから!!」

 

何とか泣き止んで貰おうと必死に慰めるのだった。

 

「……ほんと?ツキミ一緒居る?」

 

うっ、可愛い……じゃなくて!

 

「本当だから安心なさい。……それにしても、マジで仲良しなのね。あんたら」

 

また泣かれたら堪らないと、話題をポジティブな方へ無理やり変換する彩葉。

 

そんな彼女の思惑通りに、それを聞いた少女はぱあっ!と表情を輝かせ。

 

「当ったり前じゃん!ツキミと私はいつも一緒だし超仲良し!!離れるなんて考えられないよっ!!」

 

「へー…あいつのシスコン振りも大概だったけど、姉の方も同じなのね……」

 

「しすこん?何?」

 

首をこてんっ、と傾げながら彩葉に問い掛けてくる少女。

 

それを受けて彼女は……。

 

「ぐっ……!つ、ツキミに聞きなさい」

 

「えー、今教えてよー」

 

──余りにも純粋無垢なその可愛さにやられそうになっていたが、何とか耐える事に成功した。

 

「はぁ…それで結局あんたらはどっから……」

 

気を取り直し、改めて少女達が何処から来たのかを聞こうとすると。

 

「たっだいまー!」

 

────玄関の方から、近所迷惑など考えない声量のツキミの声が響いてきた。

 

「あいつまた壁ドンされたらどうすんの……!」

 

学ばない馬鹿たれに対して、怒りに満ち溢れる彩葉を尻目に──。

 

「ツキミー!!良かった!!!!ちゃんと会えた〜!!!!!」

 

一目散に駆け出していき、思いっ切り愛しの妹を抱き締める少女。

 

「わぷっ!?お、お姉ちゃん……♡ちゃんと大きくなれたんだね!良かった……!!」

 

「それはこっちのセリフっ、ツキミも一緒来れて良かった!!……目が覚めて居なかった時、凄い寂しかったんだよ?ツキミはお姉ちゃんと居ないと駄目だからね!!……分かった?」

 

「うん…♡お姉ちゃんが望んでくれるなら、私はいつまでも一緒に居るよ……♡お姉ちゃんが幸せになるまでね……」

 

「ツキミ……」

 

「お姉ちゃん……♡」

 

「再会の喜びに満ち溢れるのは別に良いけど、玄関先で騒ぐなっつーの!!追い出すよ!?」

 

────少しは見逃してあげようかと思った彩葉でしたが、流石に限界が来たようでした。

 

……まだまだこれから振り回されるでしょうけど、どうか頑張ってね!彩葉っ!!

 




ここから離別するなんて有り得ないですよね。
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