女尊男卑な異世界で成り上がるためにはわからせとハクスラが必要らしい 作:ベリーナイスメル/靴下香
ずるり、と腹で咲いてた腕が引き抜かれる。
戦意喪失、というよりは単純に落ち着いたって感じだろうか? これ以上サティアに暴れる様子はなさそうで。
そうだと理解した瞬間、今まで気にならなかった痛みが湧いてきたもんだから治療魔法を使おうとしたんだけども。
「……ごめんなさい、ね」
「それは何に対してだよ」
サティアが俺を制止して、本家本元の治療魔法を使ってくれた。
「あなたの言う通り、だと思ったの。いくら好きだと、愛していると言っても、示しても……そんなことを間違えていたんじゃ、って」
い、いやぁ、割とこじつけに近いんですけど? リネームもしたし。
けどなんでカッツォなんだったんだろうな、こんな下品にもほどがある名前俺がつけるわけもない。ほんとだよ?
「でも……えぇそう、でも、よ?」
「だって言うのに俺がサティアを愛している理由がわからないってか?」
「それは、そう……なんだけど」
どうにも少し違うらしい。
女というかご主人様抜きで成り上がるには適さない世界で、力を得ようにも得ようとすれば呪いとも言えるかもしれないご主人様のご褒美デバフが待っている。
だから、認めたくないが男とはそういう生き物だ。
主と仰ぐ相手へぞっこんになるのは、この世界において自然な流れである。
にも、関わらずサティアは首を傾げたまま。
「あなたの言葉を、借りるのだけれど。どうしてそんな、私をわからせたいのかしら?」
どうしてわからせたいか、ねぇ?
それはもちろん俺が逆転至高主義の勝利する男だからって話でしかないんだが、伝わらないだろうなぁ。
「教えて欲しい、私にはあなたがわからない。好きよ? 愛している、今もなお。でも、この感情を思い知らせるために、植え付けるために、あなたの言うわからせが必要だったのだとしたら――」
「たまに聞く話なんだけどさ」
「――え? えぇ」
「登山家に何故山に登るのかって聞くと、そこに山があるからって答えるらしいんだ」
「や、山? えぇと、ならあなたは……そこに女がいるからわからせたい、と?」
実のところそれに近い。
何故マゾゲーやるのと聞かれたらそこにマゾゲーがあるからって俺も言うかもしれないから。
けどやっぱり近いだけで少し違う。
「違う。挑戦したいんだよ、俺は」
「……挑戦」
「無理だ、無謀だと言われるほどそれを乗り越えたくなる。何故か? そこには登山家が愛する山頂の光景と同じように、乗り越え逆転することで見られる景色を愛しているからだ」
高い壁のほうが登った時気持ちいいもんなってやつである。
だからこそ、挑戦する事ことすら許されないってヤツに腹が立つし、負けイベントを乗り越えたというのに強制的に負けたことにされるなんてのは言語道断なのだ。
「そう……そうなのね。自由を求めていたわけじゃ、なかったのね」
サティアの顔が何処となく納得したかのような、目から鱗が落ちたようなものになった。
自由を求めたってのもある意味間違ってないけどな。
まさしくごしゅ通りは挑戦する事すら許されない仕様だったし、この世界が現実となったことで仕様というルールの外を求めたってのは、自由を求めたと言ってもいいかもしれない。
「間違いとは言わないよ。自由ってヤツも俺が求めたものの一つではあるだろうし、何より求めてるものが手に入れられると実感できた。そうだと教えてくれた、あるいは追いかけることを赦してくれたサティアには……いや、サティアにもアイリにも感謝している。俺のご主人様が二人で本当に良かったと思っているよ」
今となっては、だが。
仮に俺が慣れ親しんだメスガキ様を主と仰いでいたのなら、レベリングパワープレイに走って……失敗していただろう。
色々ガバかましたからこその結果オーライ感とでも言うのか。
オリチャーはガバを呼ぶけれど、スタンドプレーから生まれるチームワーク……は違うか?
ともあれ、やっぱり結果オーライなのである。
「ふふ。それが、あなた。カツオ、なのね。惹かれるわけよ、納得したわ」
「そりゃどうも。愛してるよ、サティア」
「……もう。この世界の女を、でしょ?」
あぁうん、わかってる。
サティアは、多分わかってる、いやわからせた。
「言わなくても良いことを言っておこうか?」
「そうね。聞きたいわ、あなたの口から」
なら、お言葉に甘えよう。
「俺がわからせてぇのは、サティアやアイリだけじゃねぇぞ」
当たり前である。
アイリにしてもサティアにしても、やっぱり仕様の隙をついただけなのは理解しているんだ。
かつての無理が越えられるとわかった今、遠慮するつもりは俺にない。
メスガキ様にごめんなさいと言わせたいし、キュリオだってぐずぐずに堕としたい。
いっそのこと上流階級を超えた支配者階級の女どもをひれ伏したいなんても思ってる。
「予想はしてたけど……とんだ最低なハーレム発言、ね」
「支配者階級の奴ら全員コマしていっそのこと唯一絶対の支配者なんて目指すのもアリじゃねぇかと思ってる」
「うふふ。前代未聞ね、男の支配者なんて母の代より更に前でもいなかったわよ、きっと」
「けど。そういう俺だから、良いんだろう?」
そう言ってみれば、サティアはしたり顔で。
「わかってるじゃない。流石、私の愛しいカツオね」
なんて笑って頷いてくれたのだった。
「そんじゃ、それはそう言う事で」
「え? あ、きゃっ!?」
若干乱暴にサティアをお姫様抱っこする。
「え、えぇと? カツオ? そ、その、えぇと?」
「へっへっへ……サティア、お前さぁ? そんなの無理だって思っただろう」
「う……」
「つーか私で満足してくれないの? しなさいよ? とか不満あるだろ」
「うぅ……」
顔を近づけて言ってみれば、サティアは頬を染めながら視線を逸らした。
なぁにが私のカツオだよ、そういうところだぞ? いつまで俺の所有者気取ってやがる。
これはそう、わからせがもっと必要だってことですよね?
三回か? 三回戦か? いやいやもっとか? この卑しんぼめっ!
「やぁっぱ……お話してわからせってのは、モノ足りねぇよなぁ?」
「え、ぅ……あ、あのね? カツオ? こ、今回の件は不問に――い、いえ引き分けっ! 引き分けでどうかしら!? わ、私としてもやっぱり心の準備、とか……せ、せめてお風呂にっ」
「ダメです」
「んむっ!?」
よぉしよしよしよし!
うーんカマトトぶっちゃってまぁないね! かわよー!
「っぷぁ。アイリ」
「しゅ、しゅごい♡ サティアさまをあんにゃに……♡ んっ♡ だんなしゃましゅごい♡ しゅてきしゅぎっ♡」
「……おい、アイリ?」
「へ、ぁ……? っ!? ひゃ、ひゃいっ! だ、だんなしゃまっ! お呼びでしょうかっ!!」
ナニやってんすかね? 静かだと思ってたらさぁ?
「お仕置きが必要だな?」
「はいっ! 喜んでっ!」
あ、言葉のチョイス間違ったね? あー、慣れないなぁ、早く慣れたいなぁ。
まま、ええやろ。
「メモリースフィアで、これからやるサティアへのわからせ撮っておけ」
「ちょっ――」
「かしこまりましたっ!
「アイリッ!? え? ご主人様ってそれ私――あぁもういいから待ちなさい!? 待って!?」
あー、なるほどね?
アイリの中ではもう俺がサティアを超えたって認識しているわけだ、故のご主人様発言、と。
サティアの声には振り向かず、メモリースフィアを取りに駆けていく背中を見送って。
「忘れられないハジメテにしてやっからよぉ……クックック」
「……泥棒猫、なんて可愛らしいものじゃないわね、あなた。はぁ……もういいわ。んっ」
「むっ」
不意に、サティアが俺の首に両腕を絡めて唇を寄せてきた。
「ねぇ、カツオ? いいえ、私の王子様?」
「王子様て。いやまぁうん、何?」
――今度はしっかり、私をわからせてね? もう、間違えないように、すれ違わないように。
とか言いながら、終わったら引き分けとか言って関係の引き延ばしをするんだろうな。
そんな確信はある。
けどまぁ。
「あぁ、たっぷりわからせてやるよ。お前も、この世界もな」
「……うん。楽しみに、しているわ」
俺のわからせヴィクトリーロードはこれからだ! ってね。
これにてとりあえず約10万字脳内プロット勢い重点執筆RTA完結です。
完走した感想ですが、やっぱこれ以上の話は全年齢で書けへんねんな。
そういうわけでどこかでお伝えしていた通り、最初っからR18シーンやら性的表現バンバン使って書く統合版をソリスピアかノクターンノベルズに投稿予定です。
連載準備整った時には、ハメのR18版のあとがきと活動報告でお知らせします。
ハーメルンのR18版( https://syosetu.org/novel/411654/ )に関しては本作で省いたシーンの一部とIFルート。加えて全年齢対象版の後日談、いわばハラメントス家ルートのアフターを連載します当たり前にバンバンR18ですのでご注意。
こちらのIFルートと後日談はハーメルンでしか読めないモノになりますので、よろしくお願いします。
全年齢対象版完結記念にカクヨムでもワンチャン狙って本作の連載始めました。
https://kakuyomu.jp/my/works/2912051598661340911
オラに元気をわけてくれ。
18歳未満の方やR18に興味ない方でカツオくんの活躍をもっと見たいと思ってくれた方は申し訳ねぇ。
そんなわけで、こちらの方ではありがとうございました。