ライオスTS・ダンジョン飯が始まらない   作:マルマル4世

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ある二人の始まり

「え~と待ち合わせの店は...」

 

「こんにちは、ファリンさん、マルシルさん」

 

 

約束していた二人が待ち合わせの酒場を探しているようだったので笑顔で挨拶をする。

マイペースな糸目金髪の女性ファリンと、すこしやかましい...失礼、にぎやかな女性である同じく金髪でエルフのマルシルの女性二人組だ。

 

 

「わっ!びっくりしたぁ...」

 

 

よそ見をしていたマルシルがびっくりして尻もちをつく。

気配を消したつもりは無かったが、驚かせてしまったらしい。

 

 

「早めに来たのにもういたのね」

 

「昼ごろからこの酒場前にはいましたよ、女性を待たせるわけにはいきませんから」

 

 

転んだマルシルに起き上がれるように手を差し出す。

 

 

「中で待っててくれても良かったのに」

 

 

マルシルは俺の手を取って立ち上がりながらそう言った。

 

指定の時間より早く待って、待ちの時間を作らせないのは好感度を上げる基本だ。

時間をきっちり守る人という印象も付けることができるしね。

 

酒場内に入り、適当な飲み物と料理を見繕う。

料理を楽しみながらひとしきりたわいもない話した後、俺が望む本題の話を切り出した。

 

 

「冒険者は廃業になってしまったので、何か儲け話はないかな~と」

 

 

迷宮が封鎖された結果、俺のパーティは解散することになった。

 

元PTメンバーのミックベルはクロと一緒に旅をしながら怪しい商売を始めた。

ホルムは変わらず精霊使いとして他の街で働き、ダイアはドワーフの男性と付き合い始めた。

俺と一緒にここに残ったリンは薬師を営むことに。出かける前に今日の事を伝えたら「昼間から女の子二人と待ち合わせだなんていい御身分ですこと」なんて言われてしまった。

 

 

「儲け話かぁ...」

 

「あのね、本当に儲かる話は他人にはしないと思う」

 

「それはごもっとも。まあダメでもともとというやつですよ」

 

 

言うまでもなく、俺の真の目的は金儲けではなく迷宮探しだ。

景気のいい話の裏には迷宮が絡んでいることがある。

まあ今後のために金はあるにこしたことはないので、全部が嘘というわけじゃないが。

 

 

「そんなこと言われても...私だって冒険者稼業が出来なくなったわけだし、今はファリンと一緒に迷宮出入口の管理をしているわけで。それもそんなに給料がいいわけじゃなくて、むしろ儲け話を聞きたいくらい。魔術の研究にもお金がたくさんいるもの...」

 

 

このマルシルも迷宮の管理に携わっていたのか。

前にこの二人が冒険する姿をチラリと見たことあるが、二人とも高レベルの術師だった。

マルシルなら迷宮管理以外の割のいい仕事に携われるはずだが何か事情がありそうだな...。

 

 

「一応、心当たりはあるんだけど...」

 

「あるの!?ねえ、ファリンちょっと教えてくれないかしら!」

 

 

(俺が先に話を聞いたんだけど...まあいいか)

 

 

「私の故郷の村から金が取れるようになったの」

 

「金...ですか」

 

 

迷宮内では壁の金の装飾を剥いで売りさばく“金剝ぎ”という一団が生まれるほど金が産出されるが...。

まさか...。

 

 

「えっ、それってもしかして!」

 

「いや、金が取れるっていっても迷宮みたいに直接純金が取れるわけじゃないかな。普通の金鉱石の鉱脈が村の近くから見つかったの」

 

「違うか~...」

 

「なるほど、それは村にとってめでたいですね」

 

 

迷宮の話かと思ったら、普通に違ったか。

まあ、そう簡単に見つかったらカナリア隊の奴らも苦労はしていない。

 

 

「金が掘れたということは、ファリンさんの故郷近くはもともと金の産地だったりしたんですか?」

 

「金というか鉱石が取れることもなかったと思う」

 

 

何か...引っかかるな。

だが、迷宮で純金が取れることはあっても、金鉱石が掘れたという例は聞いたことがない。人の欲望で大きくなる迷宮にとっても金を直接作った方が良いだろう。

俺の考えすぎなのか。

 

 

「う~んただの儲け話だったか~。私が今行っても土地の権利もってる人に追い出されるだけだしなぁ」

 

「ううん、お父さんが外部から採掘する技術を持った知識人と金を掘るための肉体労働の人手を呼んでいるから、マルシルでも大丈夫」

 

「私に肉体労働しろってか!爆発魔法で採掘できればいいんだけど...」

 

 

マルシルが手刀のごとく手を突き出して突っ込んだ。

この女...ツッコミとボケを同時にするとは。

このトーク力は俺も見習わないとな。

 

 

「ははは、それは金ごと消し炭になっちゃいますね...そうですね、その採掘作業の現場で働かせてもらってもよろしいでしょうか?丁度手が空いてたところですし、次までの仕事のつなぎとして」

 

「村の人とかお父さんに相談することになると思うけど...。私から伝えればたぶん働けると思う」

 

「感謝します」

 

 

迷宮に繋がる可能性は低いと思うが念のため。

手掛かりは嫌というほどドブさらいしてようやく見つかるものだ。

こういったことでも行かない事には始まらない。

 

 

「それにしても金が掘れたといっても楽じゃないんですね。村長のお父さんは相当に苦労されているようで。」

 

「人手の確保は姉さんも手伝ってくれているみたい。だから、父さんの負担は少し減ってて良かったかな...お父さんも白髪が増えて歳をだいぶ重ねていたから」

 

 

村長が高齢になり姉が村の事業を手伝っている...つまりその姉が村の後継ぎ候補なのか。

なるほど、ファリンが村長の娘という立場にもかかわらずこんな遠くの街にいられるわけだ。

 

 

「ああ、確か何度も故郷に帰ってはお姉さんに魔物の話をしているって...」

 

「そのせいで全然私の研究が進まなくて困ってたんだからね」

 

「ごめんなさい、でも姉さんの事はどうしてもほっとけなかったの...」

 

 

マルシルが料理をつまみながら怒った様子を見せる。

迷宮での冒険の話ではなく、わざわざ魔物の話を聞くだなんて酔狂な姉だ。

俺なら金を払ってでも魔物の話なんて聞きたないし話したくない。

 

 

「あっそうだった、姉さんのためにカブルーさんから魔物の話とか聞きたいと思っていたの」

 

 

俺の発言でファリンが本来の目的を思い出したようだ。

しまった、金ではなく先に墓穴を掘るハメになるとは...。

 

 

──────────────────────────

 

 

 

あれからファリンに魔物の話を頑張って喋った。少しヘンな脂汗が出たが、何とか耐えきる。

その甲斐もあってか、故郷に手紙で金堀りの人材として俺の紹介をさせることに成功した。

 

ファリン自身もすぐにでも姉のところへと向かいたかったらしいが、既に休暇は帰郷で使ったようだ。しばらくは迷宮の管理で帰れないとも言っていた。

まあ、それもそのはずだろう。船で海を越える少し長めの船旅が必要なのだから。

 

俺は口八丁で船乗りと交渉し、貨物船に便乗する形でファリンの故郷へと向かうことになった。貨物船すら中々捕まらないのは流石北の大陸といったところか。

その船旅で海に不慣れな俺は船酔いで体調を崩し、陸に降りても半日寝こむ羽目に。

また帰りに船に乗ることは...考えたくないな。

 

陸路は通りがかった隊商を捕まえてその雑用をこなす形で北上。全く田舎ってやつはいちいち苦労させられる。

...待てよ、ファリンは帰郷するたび毎回この大変な旅をしていることになるのか...?

見かけによらずタフだったんだな、あの子。

 

苦労はしたが、何とか1か月ほどで村に着いた。

点々とレンガ造りの住宅が立っており遠くには折り重なるような山が見え、周りの木々からは聞きなれない鳥の鳴き声がする。なんてことはない平凡な田舎町だ。

北国だけあって少し冷えるが...。

 

そんな村に足を踏み入れると早速、村人の話し声が聞こえてくる。

都会の人間が珍しいみたいで、こちらを見て何か噂をしているが丁寧に挨拶を。

こういうのは第一印象が大切だ。

 

 

「すみません、トーデンさんの家はどちらでしょうか」

 

 

臆せず、道に詳しそうでかつ答えてくれそうな頭巾をかぶった初老の女性に道を聞いた。

 

 

「トーデン?ああ、トーデン村長への客か...このまままっすぐ行って鍛冶屋が見えたら左の坂を上っていけばいい。そうしたら煙突が右についてる三角屋根の家が見えてくるからそれがトーデンさんの家」

 

 

疑るような眼を向けながらも、予想通りちゃんと道は答えてはくれた。

...まあ背を向けた後、仲間内で最近村長は怪しげな連中を村に入れすぎだとか、隣町の詐欺師に騙されているんじゃないかとか話が聞こえたけどね。

全くこういう人種は不思議だ。世間体を気にするくせに人が聞こえる距離で噂話をするんだから。

 

あの女性の指示通り道を進みながら、村の様子もしっかりとチェックしておく。

見たところ、どの村人も先ほどと似たような反応を返してくる。かなり閉鎖的な田舎町らしい。

 

そんな田舎町の割に重い空気を吸いながら、おそらく村長の家であろう建物に着いた。

広々とした住宅構造に、玄関の近くには鮮やかな花を飾った花壇が。偉い人間の家なだけあって、少し裕福そうな雰囲気。

 

 

コンコン。

 

 

少し凝った花の絵柄をしたドアノッカーを動かし扉をノックする。

ここまで苦労させられたんだ、不在でしたじゃ怒るぞ。

 

 

「はい」

 

 

中から少し低めの女性の声が聞こえ、物音が中で聞こえた後ドアがゆっくりと開かれていく。

そのドアを開ける過程で目の覚めるような金髪がチラリと覗いた。

そして完全に開ききると、ファリンに少し似た顔立ちの良い女性の顔が見えてくる。

この女性がファリンの姉だろう。

 

 

「こんにちは」

 

 

(美人だな...)

 

 

妹のファリンもそうだったが姉のラティスも顔がいい。

ファリンが穏やかで可愛いと呼ばれる顔立ちなら、こっちは絵画に描かれるような気品のある美人だ。

...そう言ってたら、この女性から少し絵画っぽい匂いがするが気のせいか?

 

 

「こんにちは、僕の名前はカブルーです。妹さんからは───」

 

「ラティスです。これからよろしくお願いします」

 

 

話を微妙に遮ってこの少し不自然な作り笑いの笑顔。

長々とした自己紹介をする人間は嫌いなタイプらしい。

 

いや、人付き合いの多いであろう村長の娘が客人にこの態度を取っているんだ、村の人と同じでよそ者が嫌なのか?

 

 

「はい、こちらこそ。」

 

 

最低限のあいさつで済ませる。

妹から紹介の手紙がちゃんと来ているかどうかの確認は要らなさそうだな。

 

 

「玄関で立ち話も大変でしょうから、中へどうぞ」

 

 

15度に腰を曲げて会釈をしてから、腕を奥の客間へと向けた。

立ち振る舞いがこう、機械的だな。型に嵌められたような動きだ。

 

 

「なになに、おきゃくさん?わっカッコいい...とかいの人?」

 

「こらこら、フッチ...そんな速く走ったら転ぶぞ~」

 

 

金髪の5歳前後の女の子が家の壁から元気そうに顔をヒョッコリと出した。

それにつられるように丸顔の男性が付いてきた。

 

 

「フッチ、貴女は...外で遊んでなさい、大人の話を聞いても楽しくないでしょ?ワーガル、この子が変な所に行かないか見張ってて頂戴」

 

 

ラティスは少し不機嫌そうに男と子供に対して命令した。

顔つきと口調を見るにラティスの夫と産んだ子供なんだな。

 

ファリンから聞き出せていなかったけど、もう結婚して子持ちだったのか。

好みの顔つきだったし、人妻じゃなければ軽く口説いてもいいと思っていたが。

 

 

「分かったよ、ラティスさん。そうだなぁ、ワーガルお父さんと一緒にアルトさんの店にでも遊びに行くかい?」

 

「はぁ~い」

 

「はあ.....」

 

 

夫と子供の明るいやり取りに反比例するように暗くて大きなため息を吐くラティス。

う~ん、余計なお世話かもしれないが、この夫婦はあんまり仲は良くなさそうに感じるな...子供に対しても距離もあるし。

 

...今の言動から分かったが、ラティスは俺がよそ者だったからあの態度を取ったというより、周りの環境全てにうんざりしてるようで。

 

 

「ばいばい」

 

 

名残惜しそうに俺を見つめて家を出ていくフッチという子供に手を振り、奥の客間へと足を運ぶ。

客間の床には高そうな絨毯が敷かれて、壁には鹿の頭の剝製やこの地域ではあまり見かけなさそうな勇猛なグリフォンが描かれた絵画が飾ってある。

 

その部屋の中心には威厳がある白髪交じりの壮年の男性が木のテーブル前に座っていた。

顔立ちから見てこの人がファリン姉妹の親か。

 

 

「あの人がレオス・トーデン村長。村はずれの金鉱山で働きたいなら、彼から直接許可をもらってください」

 

 

ラティスが他人行儀にレオス村長を紹介した。

 

いや他人に家族を紹介する場合にしても父親を“あの人”って。“彼から”って。自分を育てた親なのに。

 

...どうかしてる。

どうしてこんな人間関係になったか興味が湧いてきたが...それを確かめるのは後にするか。

 

 

「こんにちは、ファリンさんよりご紹介を頂きましたカブルーです。村の事業でお忙しい中だとは思いますが、ご対応いただきありがとうございます、レオスさん。」

 

「よろしく頼む」

 

 

複雑怪奇な人間関係の疑問を心の中に収め、ラティスとは逆に少し過剰なくらい丁寧に挨拶をしてから客室の椅子に座る。

レオス村長は礼儀を重んじてそうな立場と雰囲気だったので。

 

さて、他の村の人はよそ者を嫌っていたけど、この人はどうかな。

 

 

「鉱山で働きたいとのことだが」

 

「はい、迷宮で仕事を続けていたのですが...それがエルフによって封鎖されてしまいまして。その迷宮内で知り合った友人のファリンさんから、今故郷の村で人手が足りず仕事を募集しているという話をお聞きしたので、この村で働けないかと」

 

 

レオス村長は慎重な態度でこちらの素性を確認している。

今のところ俺に対する嫌悪感は感じない、手ごたえはあるぞ。

 

 

「...なぜ遠くの村まで来たのか、仕事なら他にもあるだろう」

 

「迷宮内でファリンさんに命を助けられたことがありまして...そんなファリンさんの故郷で人手が足りてないという話を聞いていてもたってもいられなくなりました。この仕事でその恩を返せたらなと」

 

 

俺は過去に触れたファリンの優しさに少し涙を流しそうになった.........演技をする。

まあ恩を返したいからわざわざこんな遠くまで来ただなんてのは真っ赤な嘘だが、ファリンに迷宮で世話になったというのは本当だ。

前にゴーストの集団に襲われて死にかけた時に助けてもらった事があるし。

 

こういう心にもないことを喋る時は嘘と本当の事を混ぜるか、嘘ではないが本当のことを言わないのがコツだ。

 

トーデン村長はその後も詳しい事情を聴いてきたが、俺は丁寧に答えていく。

こういう常識的なタイプなら適当に追い出すこともしないだろう。

 

 

「理由は分かった、だがすぐには鉱山に行かせられん。...少し様子を見てからになる」

 

 

そうしてレオス村長にこの村に滞在を許すとこまではいったが、すぐに鉱山の仕事とはいかなかった。

まあ仕方ない。

さっきの村人みたいな排斥するような態度じゃないと分かっただけ収穫だ。

 

 

「わかりました、その期間中は僕は村のどういった事を手伝わせていただければよろしいのでしょうか?」

 

 

こういったタイプは村の雑用をこなして地道に信頼ポイントを稼ぐしかないだろう。

まあ丁度いい、この村に迷宮付近特有の変化が起きてないか様子でも探りながら──

 

 

 

 

 

「もう、既に何人も村外の人が鉱山に居るのに」

 

 

 

 

 

レオス村長との話にラティスが不満そうに口を挟んだ。

 

 

「ラティス」

 

 

決まった話を蒸し返すのは無礼だと、レオス村長が咎める口調でラティスの名を呼ぶ。

 

 

「もうカブルーさんはファリンの紹介を受けているじゃない。見ず知らずの村外の人間は信用して、実の娘の紹介は信用できないだなんて...ねえ」

 

「...万が一がある」

 

「あれだけ人を入れて今更でしょう。それとも追い出したファリンは娘なんかじゃないって話?」

 

 

親であるレオス村長の態度が気に食わないらしいラティスが眉にしわを寄せながら喋る。

まずいな、口論になりかけている。少し話がこじれそうだ。

仕方ない、仲裁役を買って出るか。

 

 

「少し落ち着いてください、ファリンさんを思うラティスさんのお気持ちも分かりますが、レオスさんはファリンさんの事を信用していないわけではありません」

 

 

まあまあと両掌を撫でるように上下に振って落ち着かせる。

ここで話がこじれたら、迷宮の調査も止まってしまう。なんとか争いを沈めなくちゃね。

 

 

「僕が娘のファリンさんの紹介で来たということは後で村の一部関係者には話すことになるはずです。無礼なことは一切するつもりはありませんが、この僕が何か問題を起こすようであればファリンさんの信用に関わってくることになるかと。ひょっとしたらファリンさんが二度と村に帰れなくなるような事態もあり得るかもしれません。それをレオスさんは心配して慎重に動いていたんだと思います」

 

 

最大限レオス村長の心情をフォローしながら、ラティスの妹を心配してないという事からくる怒りも収めれそうな解釈をする。

 

 

「そうですよね?レオスさん」

 

 

これでレオス村長が軽く反応を返してくれれば解決だ。

 

 

 

 

 

 

「.........」

 

 

 

 

 

 

レオス村長は口を開かなかった。

いや返事してくれよ。

“そうだ”の一言で済むんだからたとえ嘘だろうが言えよ......。

 

 

「そうですよね?あの...レオスさん?」

 

「...事を荒立てぬように慎重に動いただけだ」

 

 

重い口を開いたと思ったらそんなことを言い放った。

いや、お前......!

この一触即発の場面で、口には出さないけど娘を思ってる父親仕草をするんじゃない!

 

 

「......!」

 

 

ラティスが怒りで目を見開き、自分の服を皴ができるくらい握りしめて、座っているレオス村長にツカツカと近づいていく。

今にも父親に掴みかかりそうだ。

 

やばい。

ここはもう、暴力沙汰という最悪の事態にならないようにラティスを引きはがすしかない!

 

 

 

ドタドタドタ!!

 

 

 

...!?

玄関の方から大きな物音がした。複数人が猛スピードで家の中を走る音だ。

...どんどん近づいてこの部屋に向かってきている。

異様な状況にこの部屋の全員の動きが止まった。

 

そうしてお互いの顔を見合わせている内にその音の主は一気に部屋の前まで迫って、ドアを勢いよく開ける。

思わず俺は隠し持っていた護身用の短剣に手が伸びたが...異様な光景でその手を止めた。

 

 

「聞いてくれトーデン村長!」

 

「家族がみんな増えているんだ!」

 

「もう何が何だか分からない...とにかく助けてくれ!」

 

 

ドアが開くとまったく同じ姿をした男が3人並んで助けを求めていた。

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