酒寄さんちの次男くん 作:へそ天ペロリスト
……続いた
時系列
原作かぐや月送還→引継ぎ電子生命体作成→
かぐや月出発&隕石衝突(原作ヤッチョ)
~[数百年後]~
→月の姫代替わりのため引継ぎ電子生命体が引継ぎ電子生命体Ver.2作成→
かぐや(ヤッチョ)追っかけ地球に向かう→移動中にタイムリープによりパラドックス起こして本作時空に到着→
かぐやが囲ってたなんか顔のいい男にオギャってガチ恋する→
せや時間遡行して人間になったろ→
月人と頑張って地球で人間に成れるフロー作り上げたぞい→
逆行→ごちゃごちゃ時空な本作へ
2010年:九千代爆誕
2027年:日向14歳に九千代17歳が接触
2029年:1月彩葉(中3冬)一人暮らし開始
2029年:12月日向一人暮らし(押しかけ女房付)開始
2030年:9/12かぐや月へ帰還
2030年:9月中旬彩葉8000年摂取
2030年:9月下旬-今作本編開始
2026/04/16前話のややこしくなる部分の文書を一部削除しました。
2030年9月
日が暮れても蒸し暑いコンクリートジャングルな都心の一角に存在するマンションの一角にて。
「それでも思春期男子ですか」
「入浴中に突撃してきてひどい言い草」
日向はべたつく体を洗い流すためにゆっくりと湯船に浸かっていると、申し訳程度にフェイスタオルで要所を隠しながら九千代が突撃してきた。
80㎝×34㎝の小さな布地で重要部分をギリ隠せるほどに胴が短く、すらりとした手足が際立つ。
今年成人したとは思えない童顔と華奢さを持つ彼女を見て思春期男児の肉体を持つ日向のミニ日向が反応しないと言えばうそになる。
「日本において親権問題は色々と面倒なのは知っているよね」
「ええ、だから私が成人するまで待ったじゃないですか」
「俺が成人するまで待ってほしいなーなんて……」
湯船に浸かる前にフェイスタオルを律儀に畳んでかけ湯もそこそこに湯船に侵入し、引きこもりにほど近い日向に比べても色白と透明感を感じる綺麗な背を向けこちらに寄りかかってくる。
もはや慣れ親しんだ動作と言わんばかりなのは日向が一人暮らしを開始した初日には突撃してきたのだから慣れた動きなのは当然というかなんというか。
そっとセクハラをかまそうとしてくる九千代の手を掴んで静止しながらそんなことを呟く。
「……まぁ、後数年なんて一瞬みたいなものですからいいのですが」
「その割には手の力が一向に抜けてないんだけど!?」
「目の前に据え膳が置かれているのに食べないバカなんていないでしょう」
「据え膳じゃなくて厨房に突撃してるんだよなぁ!?」
「貴方はDCではなくDKでしょ。それなりに鍛えてる体誇らしくないんですか」
「中坊じゃなくて厨房な!後なんか褒めてくれてありがとう!」
そのほっそい体からどこにそんなパワーが存在するのかと疑いたくなるのだが、大概のことは“月人パワー”と称して乗り切ろうとする癖があることを日向は知っている。
なんで背面に手を伸ばしているような態勢だと言うのにッ!
「冗談はこの辺にしておきましょう」
「どこら辺のどこが冗談なんだ……?」
虚ろをつかれたように一瞬の隙をつかれれば日向と九千代の手首の掴む手順は逆転しており、彼女の手の誘導に導かれるままに日向の腕は彼女の胴に回った。
日向の足の間に収まるようにくっ付くとほんの少し彼女の体温の低さを感じさせるが直ぐにその差は気にならなくなった。
「さて、7月の中旬から接触を控えて頂いた彩葉さんと接触ですが、今後は接触して頂いて構いません」
「お、おう……?」
自身の腹部に回された手を包むようにしながら九千代はそう告げた。
日向はここ2ヶ月近く九千代から自身の双子の妹である彩葉との接触を避けてほしいと九千代から懇願されていたことを思い出した。
正直自身の研究に夢中になって忘れていたまであったので、そう言えばそんなことあったかぐらいで日向は小さく首を傾けるばかりだ。
もとより一人暮らしを初めてからは度々電話でのやり取りをして、自立をするのだと奮起する彩葉の元に定期的に食材を送ったりする程度のもの。
ここ最近は「こんなに送られても冷蔵庫にそんなスペース無い!」とキレられて暫らく送っていなかったのだ。
「先週創造者かぐやが月に帰還したのを確認し、彩葉さんがこの世界の八千代本体と接触したのを確認しました。――――つまり九千代ちゃん 大 勝 利 !!!!」
「声がデカい」
「失礼。ビックリするほどユートピアと叫びながら奇行に走るのは自重する程度には喜びが隠しきれませんでしたので」
「ミームが古い。と言うかなんでうちの妹の動向知ってるんだ」
「ちょっと月の腕輪にハッキング掛けました」
「……この腕輪そんな事まで出来るの……?」
シレっと身内の動向まで把握されていることに驚きを隠せず、聞いてみれば彼女は自身の耳につけた三日月のイヤリングを指でつついてアピールしてきた。
「日向に贈った腕輪は隕石の含有率が少ないので精々生きているかどうかの確認位しかできませんが、彩葉さんの付けている腕輪は純度100の月由来の物ですのでこう―――ちょちょいのちょいと」
「あまりプライバシーの侵害はしないであげて」
「目的は完遂しましたので今後はしませんとも。過度な体調不良になったら通信が入る程度にしておきます」
「それならいいんだが」
……いやよくなくない?
と言うかさらりと色々な情報が流れた気がする。
「第三者からしても抑々腕輪の周波数帯を完全に把握していなければ認識することもできませんので」
「何で知って……ああ、前世」
「ええ、記憶能力はいい方ですので安心してください。なんならお会いした時に調節もできます」
くるりと顔をこちらに向けて、ニッコリと彼女は笑った。
「恋愛と戦争は何でもあり―――そう言ったのは
それはもう心底嬉しそうに彼女はそう笑うのであった。
〇 〇
「なんというか色々意外やね…?」
「その、色々あってん」
その翌日、日向は久しぶりに彩葉の顔を見ておくかと適当に甘いものを見繕って自力で生きていくと決めた家賃3万ちょっとのアパートに向かったのだが、その部屋はもぬけの殻で電話してみれば「引っ越ししたの伝え忘れてた」との連絡が帰って来た。
そして新居として伝えられたのはタワマンの最上階。
一人で暮らすには広々とした部屋でどこか慣れたような様子で出迎えられ、日向は眼を点にした。
「ちゃんとご飯食べてはる?」
「まぁ……一応?」
「肌艶的にちゃんと食べていそうには見えるけど……不摂生はあかんぞ」
「う゛」
久しぶりに見る彩葉はテーブルの対面に座りながら露骨に視線を逸らした。
「キッチンはそれなりに使うてそうやけど、自炊に目覚めたん…?」
「それはそのぉ……」
「言いずらいなら言わんでもええけど、食事と睡眠はちゃんとしよな」
「はい……」
ちらりとリビングから見えるキッチンに視線を向ければそれなりに充実しているキッチンが見えた。
一人暮らし開始直後は何処まで食費を削れるのかと言わんばかりの限界食生活をしている彩葉を知っているのであればその変遷は色々と驚くものがある。
「にしても、ちょーっと連絡とらへん間に彩葉がネットの人気者になっとるとは思わへんかったわ」
「なっ、え、どこでそれ知ったん!?」
「前の住所からここに来る道中にポチポチ―っとな?」
「日向は見んといて!」
「俺は随分と彩葉が前向けるようなったと嬉しくなったんやで」
「~~~うっさいねん!」
「はっはっは」
こんな躍進の流れは素直に驚いた。
日向が知っている九千代伝手の話はもうちょっと未来の話しで、彩葉がどうしてこうなったかなんて話はあまり知らないのだ。
「ひとまず元気そうでよかったわ」
「それは、うん。今はちゃんと目標もできたから」
「そか」
「それで、私理転する」
「目標出来て元気にやっとるようなら俺はなんも言わんよ」
引っ込み思案にしっかりものを伝えるのに怯えていたような妹はもういないらしい。
しっかり、真っすぐな目をして彩葉はそう告げてきた。
「だから弁護士になるんは日向に任せるわ」
「え、俺法曹になるつもりないで」
「……え?」
彩葉がクシャりと笑いながらそう言ってくるが、日向はそれをバッサリと切り捨てる。
きょとんとした目を向けられるが、そう言えば言ってなかったと日向は続けた。
「家でるんにブツクサ言われるんがめんどーやからわかりやすい司法試験受けただけなんよ」
「……この超人め」
「うちの兄弟基本自由なんは知っとるやろ」
「それはそうなんだけどさぁ!」
私が色々悩んでたのって、と彩葉が机に突っ伏しながらも心折れるようなそれになっていないのは本当にここ2ヶ月ほどですごい成長をしたらしい。
「それで日向はなにすんの?」
「ゴリゴリの理工学系」
「そこで双子出さんといて。具体的には」
「簡単に言えば今のVRはARとかに近しい視界の拡張で現実で体動かさんとあかんかったり、コントローラーで操作せなアカンやろ?それを完全フルダイブでVR世界に入れるようにすんねん。ベッドの上おっても五感を感じられるとか面白いやろ」
尤も日向が行っているのは彩度を上げる作業である。
前世で無茶振りを言う理想主義者のオーダーを通すための微調整は本当に片っ端からやっていたように思う。
「――――詳しく教えて」
「ごっつ食いつくやん」
「私は今、冷静さを欠こうとしてるの」
「目、目がガチや」
机を挟んで対面に座っているというのにコミカルに腕が伸びているような錯覚すら感じながら、彩葉はがっちりと日向の肩を掴んでいた。
その目からはキラッキラに光りすぎて一周回ってローライトが見当たらない。
……本当に遠慮と言うものがどこかに消え去ったように見える。
元からポテンシャル高かった彩葉が目標を得たらこれか。
日向はその光景がおかしく思えてしまい、思わず声を上げて笑ってしまう。
「な、笑わんでもええやろ!」
「これを笑わんでいつ笑うん」
ケラケラと笑いながら、その情緒が戻ってくるまでプンスコと怒る彩葉の声を聴きながら日向は笑った。
〇 〇
「そんでええ人が出来てその人とパンケーキ食うためにねぇ」
「……悪い?」
「ええことやと思うよ。技術の発展は何かをしたいから始まるもんや」
「何よ、大人ぶっちゃって」
「まぁお兄ちゃんやからね」
「ほんの2分しか違わない癖に!」
断片的に情報を零しながら明確に知りたい方向性の話を察し広げていれば彩葉の今がそれなりに分かって来た。
恋は人を変えるとは言ったものだが、あの彩葉が。
兄としてはやべぇ男に捕まってないし、虚勢張ってたハリネズミみたいな彩葉がこんな柔らかい顔する相手なら誰であろうと良かったのだけど。
「ま、手伝えることがあったら手伝ったる」
「その時は、よろしく」
「ん、それでええ。そのええ人と離れ離れになって寂しいんはわかるけどちゃんと飯食って寝や」
「上から目線でむかつく」
「健康的な生活したらその文句聞いたるわ」
日向は席を立ちあがって彩葉の頭を雑に撫で繰り回しながらそう言った。
彩葉も彩葉でむすっとしながらなされるがままにされている。
「……ねぇ」
「ん?」
「日向はええ人いないん?」
雑に撫で終えて髪がぼさぼさになったと文句を言う彩葉はふとそんなことを呟いた。
今まで落ち着いて回りが見れていなかったことを反省し、ふと気になったことを聞いてみたのだ。
「おるけど」
それを日向はあっさりと肯定した。
「え?!」
「いや聞いたん彩葉やん」
あまりにもあっさりと肯定されたことに彩葉は驚いた猫の様な目をしながら日向の方を向いた。
性別違いの二卵性双生児とは言え結構顔のパーツが似通っているその顔はきょとんと首を傾げるばかり。
「え、え、ぇ……?」
「何で自分で聞いて困ってん」
「だって日向が……?」
「おっと、どういう意味や」
「地元のクラスメートに言い寄られてもあっさりと袖にしてガン無視してた日向にええ人……?」
「え、何それ知らん」
「にぶちん唐変木な日向に春が来とるとか思わへんやん」
「ひどい言いよう」
それに関しては彩葉も大概だったように思う。
……まぁ、彩葉は彩葉で視野が狭くなっていた時期だったということもあるのだろう。
「で、ど、どんな子なん?」
「兄弟の色恋沙汰聞いてもおもろないやろ」
「イケずなこと言わんといて」
「わぁ、急に女子高生みたいなこと言い始めおった」
「そりゃ花の女子高生ですから?」
「言わへん。内緒や内緒」
そんな、なんて声を聴きながら最後にわしゃっと撫でて日向は早々に彩葉の部屋を後にした。
写真だけでも、なんて声も無視だ。
こんな風に妹に余裕ができたのはいい事なのか悪い事なのか。
日向は苦笑いを浮かべ帰路に着くばかりだ。
・酒寄彩葉
わりかし何でもできる双子の兄に複雑な感情を持っていたが、最推し・娘・嫁のすべての要素を兼ね備えたやべー奴に脳ミソこんがりされて大切な人にカテゴライズした結果そこら辺のコンプレックスが吹き飛んだ女。
少なくともたれ目の女のおねだりに負けて双子の兄が一人暮らしを開始したとか一ミリも知らない。
多分酒寄兄妹は家族内だと京都弁で会話すると思うので京都弁にしてみたが京都弁エミュが分らん……!
一ミリも……!
似非京都弁なのは勘弁して。
次回次男くんツクヨミに足を踏み入れてみるの巻(仮)