酒寄さんちの次男くん   作:へそ天ペロリスト

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コンタクト入れるのって怖いやん

 

 スマートコンタクト・通称スマコンと呼ばれるものが存在する。

 

 コンタクトレンズ式のVR/ARデバイスであり、目に装着し、瞼を閉じ起動させることでVR内の視界を手に入れることのできるアイテムである。

 

 いつかしっかりこのスマコンの基礎理論を調べ上げたいところだが、分かることと言えばARの延長線に存在するような形に近い。

 

 コントローラーを握ったり、キーボードを叩いたり、現実世界の体を動かしたりと操作感はアナログを感じさせる。

 

 それでも慣れれば視野操作で十分探索するには事足りる程度には動かせるそうな。

 

 ベット端末を介することもなく、このコンタクトレンズ一つでネットへのアクセスができると言うのはある種の時代の転換点を感じさせる。

 

 他の機器と接続して機能拡張したりもできるのだとか。

 

 

「……スマートグラスで良くないか」

 

「ダメです」

 

 

 都内某所のマンションにてソファーに座らされた日向の前には指先にスマートコンタクトのレンズを指に乗っけた九千代がいた。

 

 ことのあらましと言えば彩葉の転機が訪れたライバー活動の一端であるツクヨミに興味が湧いたからに他ならない。

 

 VR:バーチャルリアリティに関して専攻分野とは言え、自身の記憶にある技術を再現することに夢中になるあまり現代のVRについてあまり触れてこなかったのもまた事実。

 

 ものは試しと色々調べていた所、スマートコンタクトやスマートグラスなんかの情報を得たのだ。

 

 PCやスマホなどからもツクヨミにはアクセスできるようなのだが、一番没入感を得られるのはやはりスマコンらしい。

 

 名前は陽を指す言葉なのに基本陰に属する日向は「コンタクト、コンタクトか。しかも12万……」とパソコンの前で唸っていた所、ちょいちょいと肩を叩かれ振り向けば二基のスマコンケースを持った九千代がいた訳だ。

 

 

「なぁ、俺自分のものは自分で買うって言ったよね」

 

「ですが私には未成年の恋人にそんな高い金は払わせることはしないという大義名分があります」

 

「ただでさえすっごい格安でマンション住まわせてもらってるのにこれ以上貢ぐな!」

 

 

 じゃ、入れますね。

 

 なんて言いながらスマコンを日向の眼に向けてくるその手首をがっしりと掴みながら抵抗する。

 

 彼女、九千代は隙あらば日向に金を使いたがる。

 

 九千代の親類が一棟丸ごと有しているというマンションにタダで住まわそうとしてきたり、食費や生活費の一切合切を勝手に支払おうとしてくるのがこの女である。

 

 ちなみに金の出所は株と土地をコロコロしたとかなんとか。

 

 

「私は日向の人生におけるすべてが私ありきになってほしいだけなのですけど」

 

「それとダメ人間にさせようとしてくるのは別問題」

 

「これは私が悦に入るために必要な事です。受け入れてください」

 

「男としてその一線は超えちゃいけない気がする。と言うか人を流れるようにヒモにしようとするな」

 

「私は貴方がどんなにダメ人間になろうと決して離れることはありませんから、ね?」

 

 

 それにコンタクトを入れるのが怖いとか言ってる男性にそんなことを言う説得力はありません。

 

 ほんの少したれ目気味で、覚悟を決めた時は本当にかっこよくなるその眼を九千代はじっくりと見つめる。

 

 『ぐぬぬ』と必死の抵抗をするその表情に確かに悦を感じていた。

 

 

「さ、手首離してください。もうすでにこのスマコンは貴方のアカウントに紐づけし終えていますから」

 

「いつの間に」

 

「ツクヨミ公式サイトから購入するとプレゼント機能でそう言うこともできるんです」

 

 

 そこまで言うと日向はようやく観念したように手を離した。

 

 

「おめめしっかり開いてくださいね」

 

「俺は赤ん坊か何かか」

 

「活動年数の相対的には。ほら、レンズが乾いてしまいますよ」

 

「くっ」

 

 

 しっかりと見開かれたその虹彩にゆっくりとズレないように、おいた。

 

 

「私もすぐに行きますから」

 

「謎のフラグ建設してないかそれ」

 

「してません。仮にそうだとしても直ぐに後を追いますけど」

 

「‥…さいで」

 

 

 平時は余り表情の動かない彼女の表情が一切の冗談を言っていないのを追及することもできず、日向はゆっくりと瞼を閉じ、ツクヨミにログインした。

 

 

 

「ふふ、今回は私が入れてあげられましたね」

 

 

 九千代は自身の記憶を辿りながら彼にして貰ったことを今度は自分がしてあげられることに確かな喜びを覚えるのだった。

 

 直ぐに追っかけログイン、ログイン。

 

 この体では初めてつけるはずなのに、その動きはしっかりと最適化されたようにスムーズであった。

 

 

 

 〇 〇

 

 

 

 

 瞼を閉じていると水面から出てくるような演出で視界が開けるような感覚に陥ると、足首が埋まるほどの水面と無数の灯篭と大きな鳥居が目に入る。

 

 そしてその大きな鳥居を背景に1人の少女が視界に入る。

 

 どこか竜宮城の乙姫を思わせる着物姿の少女だ。

 

 稚児曲げをポンデリングヘアで表現したツインテール、と言えばいいのだろうか。

 

 お姫様、と言った雰囲気がありありと伝わってくる。

 

 

「―――太陽が沈んで、夜がやってきます」

 

 

 ぐるりと日が落ちるように世界はあっという間に夜に包まれる。

 

 灯篭と鳥居がどこか幻想的な雰囲気を醸し出している。

 

 最初の場面でこれはユーザーを確かに引き付ける。

 

 無難なシステムチックなログイン画面じゃない。

 

 中々ロマンチックに感じてしまう。

 

 

「仮想空間ツクヨミへようこそ!」

 

 

 パシャパシャと水音を鳴らしながら少女がこちらにかけてきた。

 

 つけているのはコンタクトだけだと言うのに音の情報がとても鮮明だ。

 

 

「管理人の月見ヤチヨです☆このモフモフはFUSHI!」

 

「ヤチヨがツクヨミとボクを作ったんだ」

 

 

 大変ツラの良い少女がニコニコと駆け寄って手を取ってくる。

 

 肉体情報的に触れている感覚はないが、何だろう。

 

 ――――コレがガチ恋距離と言うやつなのだろうか。

 

 

「出かける前に―――」

 

 

 っと、あぶない。

 

 一瞬飲まれそうになってしまうがどうにか平静を保ち、おそらくシステム上機能していると思われるチュートリアルに意識を戻す。

 

 

「……?」

 

「っと―――ごめんね、ちょっと回線が*1。海鮮じゃないよ☆」

 

 

 管理人を名乗る月見ヤチヨとしっかりと視線を合わせると彼女は一瞬硬直したように固まったが直ぐに再起動した。

 

 回線と海鮮をかけたように水面に手を突っ込んで伊勢エビを取り出すのはどうなのか。

 

 

「改めて―――出かける前に、その格好じゃあつまらない!」

 

 

 その伊勢海老をポイと背後に放り投げ、パチンと指を鳴らし目の前にキャラクターメイキング画面が現れた。

 

 アクセサリーに髪型、上下のセットアップに靴までその彩色まで自由自在。

 

 画面中央には自分自身の全体図がログイン時の恰好で出ているのが何とも不思議。

 

 視覚情報を元に構成されているのだろうけど、どうやってるのだろうか。

 

 前世のVRデバイスではセットアップ時に自身の体に触れてその体格をフォーマットしたのだが……とても気になる。

 

 

 なんて考えていたらいつまでたってもメイキングが終わらない。

 

 意識を目の前のメイキング画面に戻す。

 

 スワイプでスッと動かせるのか。

 

 ……あれ?

 

 

「あれ、これって女性y「ちなみにちなみにヤッチョのおすすめのプリセットはコレ!」」

 

 

 男性アバターだと言うのにどうにも視界に入るのは完全に女物ばかり。

 

 さては九千代のイタズラかと、システムの確認をしようとしてもニッコリ顔のヤチヨにピピピ、っと画面を操作される。

 

 ……なんかすっごい既視感のある顔に仕上がってない?

 

 抵抗するようにそのプリセットを無視して別のものを選ぼうとすると、白魚の様に綺麗な手がその進行を妨げる。

 

 

「ヤッチョはこっちの方が似合うと思うなぁ」

 

「――あ、はい。これでいいです」

 

 

 日向はその強請るような上目遣いに弱かった。

 

 流石に妹のアバターと似ているアバターでログインするのはどうなのか、なんて思い訂正すると言う精神も、その表情には勝てなかったのだ。

 

 九千代がどうしても通したいおねだりをしてくるときの表情にとても似ていたのだ。

 

 どうしてこうも断れないのか。

 

 

「コレで準備は整った。行ってらっしゃいのぎゅーからのそぉい!」

 

「え、え、え?」

 

 

 彼女に手を引かれ、ぎゅっと抱きしめられたかと思うとパッと放され、日向は鳥居に投げられた。

 

 

「ツクヨミ、恐ろしい所ッ!」

 

 

 これは登録者億行きますわ。

 

 そんな見当違いなことを考えながらどこかスローモーションに視界が切り替わっていくのを感じていった。

 

 

 ―――なんて日向は勘違いしているが、これは彩葉がツクヨミにやってきた時にヤチヨの私利私欲を満たすためのプログラミングが削除されておらず、生体情報値が類似する日向に適応された一種のバグである。

 

 ―――いくらツクヨミとは言えここまでサービス旺盛ではないのだ。

 

 

 

 〇 〇 

 

 

 

「ふふ、やはり正解ですね」

 

「九千代、か……?」

 

「ええ、貴方の九千代です。ですがここではChiyo9で」

 

 

 メイキング画面から鳥居をくぐるとそこには九千代がいた。

 

 それが分ったのは現実とは少し違った配色をしているだけでほぼそのまんまだった。

 

 何なら九千代の色違いと言うよりは先ほど日向を鳥居に押し込んだヤチヨの色違いと言った方が近しいまである。

 

 

「あの人はやはりと言うかなんというか」

 

 

 ただ髪型はヤチヨとは違いシンプルに下ろしたスタイルの白髪のインナーカラーは指し色程度の赤が入っている。

 

 ノースリーブのYシャツに鮮やかな色合いの羽織を少し着崩している。

 

 

「初期スキンの彩葉さんのまんまですね」

 

「あーこれ、中身はちゃんと男性アバターだったんだけど選択できるのが女物しかなくって………と言うかおすすめのプリセット?とか言うのをそのまんまゴリ押しされた」

 

「断り切れなかったの間違いでしょう」

 

「うぐ」

 

 

 ジト、なんて効果音が似合う目で見られて日向は肩身が狭くなる。

 

 

「酒寄さんちの遺伝子にはおねだりに弱いか何かが記録されてるんですか」

 

「そんなことは、ない、ハズ」

 

「まぁ、それはそれは。後で確かめてみましょうか」

 

「反論だが普段からお前の可愛いが一瞬ダブってしまってだな」

 

「……そう言っておけば許す訳じゃありませんからね。夕飯は豪勢にしておきます」

 

 

 まったく、なんて言いながら九千代は日向の手を引いてメインエリアの方へ手を引き始めた。

 

 プンスコしているのだか、照れているのだか、何とも可愛らしいのはわかるのだがここでは気軽に撫でることができないのが少しもどかしいと苦笑いを浮かべた。

 

 

「―――初ログインおめでとう!ツクヨミではみんなが表現者!君も何かをして人の心を動かしたら運営から『ふじゅ~』がもらえるんだ☆」

 

「―――まずは初ログインボーナスをプレゼント!」

 

「―――『ふじゅ~』を使って君の好きなクリエイターを応援しに行こう!」

 

 

 メインエリアに足を踏み入れれば古典的な和を思わせる街並みと現代を思わせる不思議な調和がお出迎え。

 

 ツクヨミは常に夜を模した世界で、小さな明かりでもとてもよく目立つ。

 

 一定数を歩いたからか、目の前に先ほど現れたFUSHIが現れてログインボーナスをプレゼントしてきた。

 

 

「こちらのふじゅ~ですがクリエイターの作ったアバター用の服を買ったり、何かを依頼したり投げ銭などができるようです」

 

「なるほど」

 

「――そしてあなたへの初投げ銭をするのはこの私です」

 

「おい」

 

 

 一切淀みない動作でコンソールを操作したかと思うと先ほどのログインボーナスと思われる分のふじゅ~を九千代は投げてきた。

 

 

『Chiyo9からあなたに500ふじゅ~が送られたよ!』

 

 

「満足です」

 

「ならお返しに俺も投げさせてもらおうかな」

 

「――ふふ、ありがとうございます」

 

「……で、どうやって操作するのこれ」

 

「それはですね―――」

 

 

 先ほどの無駄のない無駄な動きとしか思えない動きを目で追うだけでは投げ銭をするまでの工程が分らなかったので、九千代に聞きながら操作していく。

 

 

「はい、確かにSun8から初ふじゅ~を頂きました」

 

「……俺、そんなPNだったのか」

 

「太陽から放射状に延びる線を8で表すグッドなネーミングでチャーミングですね」

 

「そうかな……」

 

「そうです*2

 

 

 知らぬ間に九千代が作成したアカウントを使用しているのでPNなど気にもしていなかった日向はこの段階でようやくPNを知った。

 

 たしかに名前をモジっている意味合いでは大変わかりやすい。

 

 

「これでツクヨミにやってきたわけですが、どうします?とりあえず観光しておきますか?」

 

「そうだね。しようか散策」

 

「散策サクサク何が咲く―――きっといいものが見つかると思いますよ」

 

 

 行きましょうか。

 

 日向は手を引かれ、プレイヤーが運営している出店が並ぶ露店を見て回り始めた。

 

 

 

 〇 〇

 

 

 

 ツクヨミは表現者の楽園と表現されることだけあっていくつかのステージが容易されていたりする。

 

 プレイヤーの人気の度合いによって使用できるステージに違いがあったり、公式のコンテストが結構な頻度で開催されて居たりとその差は様々。

 

 ステージの充実具合もさることながら、練習エリアも結構充実している。

 

 ダンススタジオの様な部屋であったり、バンドの練習スタジオであったりとその違いは様々。

 

 非実在の楽器を演奏する様はエアギターのごとしなのだが、トラッキング技術の影響か実際に演奏をしているようになるのが何とも不思議な感覚だ。

 

 現実の楽器にオーディオインターフェイスを挟んだり、MIDI接続で演奏も可能とのこと。

 

 あらかじめ設定したモーションと連動させることで現実ではシンセを演奏しながらツクヨミ内ではショルダーキーボードを演奏している、なんてこともできると言うのはフルダイブではできない特有のもので感動を覚えた。

 

 その分野での特徴を生かすという面ではまだまだ色々なものが作れそうだ。

 

 

「楽器が多種多様だったりするみたいだね」

 

「そうですね……私、Sun8が有名な楽器ならなんでも演奏できることは知っているんですけど、久しぶりに何か聞きたいなぁ」

 

「その強請る目に弱いって知ってるよね」

 

「知ってます。確信犯です」

 

「ブランク長いからそう上手くいかないぞ」

 

「それでもいいんですよ」

 

「……と言うかこれが目的だった?」

 

「これはオマケです。メインは貴方とのデートなんですけどね」

 

 

 ツクヨミの初心者でもふじゅ~を使用することなく練習ルーム内だけで使用できる楽器なんかも存在している。

 

 二人は演奏が出来、無制限で入れるエリアの一角にやってきていたのだが、九千代の控えめなおねだりが始まった。

 

 日向は前世無茶振り開発者が『冒険であろうと音楽は必要だ』と言う無茶振りを平然としてきた影響でそれなりに楽器に覚えがあった。

 

 あの人はファンタジーな世界でも違和感のない楽器ばかりを推していたが、その雰囲気の音は現代楽器じゃないと出せないと知ればそっちの方もやれとゴリ押してきた。

 

 そこらへんはプロの楽器を扱える人を呼んでほしかったのだが、現実は悲しいかな開発費には限りが存在した。

 

 故に楽器はそれなりに色々と基礎的なレベルでは取り扱うことができる。

 

 ……ブランクが随分とあるので十全に、とはいかないが。

 

 

「……拙い演奏でも文句言うなよ」

 

「言いませんよ、絶対に」

 

「まったく」

 

 

 手ごろな楽器に触れると現れたチュートリアル表記を流し読みしながら操作方法を確認していく。

 

 ……こうなってくると実際の楽器に触れた方が操作しやすそう、なんて思いながらちらりと視線を九千代に向けてもニコニコと笑うばかりだ。

 

 ―――可愛い、かわいい無茶振りお姫様め。

 

 三つ子の魂百までとは言ったもので、暫らく乗っていなかった自転車でも乗れてしまうように日向の体にはしっかりとあの頃の無茶振り対応能力がしみついていた。

 

 

「演奏は……こうで……ああ、ルーパー機能がコンソールで使えるのか、無法か?」

 

 

 どこら辺の楽器を元にしたモデリングプラグインなのか察してしまうくらいにはあの頃の記憶は根強いらしい。

 

 表現があまりにも多種多彩だなツクヨミ。

 

 そう心の中で呟きながら感覚と演奏の誤差を減らすようにフィッティング作業を進めていく。

 

 

「これ終わったら飯にしよう。時間的にも通信の授業あるし」

 

「承知しました」

 

「何が聞きたいんだ?」

 

「あら、リクエストしていいんですか」

 

「どうぞ、スマコン代は後で払うとして手数料みたいなもんだよ」

 

「その金額はデート費用に回してくださいな、っとさてはて何を弾いてもらいましょうか」

 

 

 ちらり視界の隅に時計を意識すれば現在の時刻が表示され、多くの時間を自由に扱うために通信制の高校を選択した日向のWEB上での授業時間が近づいていることに気が付いた。

 

 あくまで自分の払ったお金を受け取る気がない九千代は少し思案するように悩むふり。

 

 もとより九千代がこのツクヨミで聞きたい曲なんてものは最初から決まっていた。

 

 

「ReMaster、でお願いします」

 

「……なんでその曲知ってんの、と言うかアレか。どこまでゲロってんだ向こうの俺」

 

「フフフ、私には甘々の甘で天邪鬼な可愛い人でしたので」

 

「言っておくけど中途半端なところまでしかできてないからな」

 

「ええ、それで構いません。一緒にその先作りましょうね」

 

 

 本当にどこまでも知られているというのは厄介だ。

 

 日向はむず痒くなった自身の頭を掻きむしりながら、この世界であの父がいた頃に作ったそれを思いだすように弾き始めた。

 

 

 

*1
ツクヨミ側の特定条件検知処理によるフリーズ

*2
確固たる意志




・Sun8(酒寄日向)

 いつの間にか九千代によって作成されたアカウントのPN。

 どこかの世界線では月を照らす太陽のような輝かしい暴れっぷりをした表現者を表す名前。

 無茶振りに対する適応能力が非常に高い。


・Chiyo9(月夜野九千代)

 電子生命体として地球に降り立ってオギャっていた頃、初めてのスマコンは日向につけて貰った記録が存在する。

「あの時目に異物を入れるのに怖がっていた私を諭していた人が実は同じようにコンタクトにビビってたとか可愛すぎてどうにかなりそう」

 と、内心は暴れ散らかしていた。

 日向の住むマンションの隣の部屋に住む九千代の部屋には記憶の中で彼に弾いてもらった楽器をおおよそそろえてある部屋が存在する。
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