俺は転生した。
前世がどんな最後だったかは兎も角(ともかく)として、前世の記憶を持ったまま異世界に転生する特典を貰ったのだ。
さて、ここまで俺に言い渡した神様らしい相手は、
「行きたい世界はあるのかの?」
等と、尋ねて来た。
「そうですね…」
その時の俺は、生前に覚えのある、とある「ゲーム」に思い当たった。
「何とな。それでは「外史」の管理者に引き渡そう」
おねえ言葉の筋肉お化けは趣味じゃないな、とか思っていたが、そこは幸運だった。
そして…
「おぎゃあ~」
「生まれたか。この簡家の男子が。お主の名は雍じゃ。それから真名はどうしようか…」
「真名」という単語が聞こえたことで”ここ”が『恋姫』の世界だと分かった。
次に思ったことは、
(簡雍って言ったよな。確か…)
『恋姫』で美少女化はされていなかったが、その関連で調べた『三国志』知識によると…
簡雍
幽州涿(たく)郡の人。
同郷出身の劉備とは幼馴染み。
劉備らと共に義勇軍を結成し、その後も常に劉備に随伴して話し相手になったり使者を務めたりした。
孔明が来るまでは孫乾・糜竺と共に劉備軍を支える文官トリオであった。
(確か、酒飲みキャラクターだったような)
『三国志演義』には酒に酔って失敗するキャラは結構登場するが『恋姫』知識だと、後世で考える様な酒を発明したのは曹操つまりは華琳であり、酒で失敗するのは『演義』が三国時代よりは後世の小説だからだろう。
そのくせ、肉屋兼業の「張家酒店」が涿郡の街に在ったりするのが面白い。
そして俺が幼児の年齢に成長した頃、遊び相手に与えられたのが、近くの楼桑村という村の劉家の娘である真名を桃香という女の子だった。
「今は没落しているが、中山靖王の子孫というのもホラでも無さそうだし、損には成るまい」
というのが、父上の判断だった様だ。
そして其の頃、張家酒店にも真名を鈴々という女の子が生まれた。
これで『恋姫』の外史世界の1つではあることは確認出来た。
だがしかし『原作』ゲームとは何かが少しずれている感じもする。
まるで『演義』なり「史実」なりに沿って、少しだけ修正がされているかの様だ。
何(いず)れにせよ、桃香と仲良く遊ぶようになるにつれ、俺は心中で思う様に成った。
この子には幸せに成って欲しい。
そう成ると、やはり「蜀ルート」に入るべきか。
「天の御遣い」よ。この涿郡に落ちて来てくれ。
そんなことを思いながら、俺は成長して行った………。
……。
…俺は、豪族簡家の息子として成長して行った。
その頃の桃香は、朝廷で何やかやあって田舎に引っ込んで来た盧植という人物の私塾に通う様に成っていた。
そこで「白連ちゃん」という友人を得た。
(段々『恋姫』に成り始めているな)
そんなことを思った………。
……。
…次第に世の中は物騒に成り始めた。
涿郡の周辺まで、妙な奴らがウロウロし始め、隊商ですら用心棒を頼む様に成っていた。
そんな頃、張世平に蘇双という馬商人の用心棒として琢群にやって来た美丈夫を見付けた。
無論のこと、愛紗こと関羽だった。
俺は、彼女と仲好く成る様、桃香と鈴々に御節介した。
幸い、すっかり意気投合した様だった。
直ぐに、真名で呼び合う同士に成っていた………。
……。
…そして、遂に其の時が来た。
青天白日の空から流星が落ちて来た。
流星を見付けたのは桃香である。
「何?あれ」
「行ってみろよ」
俺は、
(来るべき時が来た)
と思っていた。
「自分の目で確かめて来いよ。
ただし、この時世だからな、腕の立つ2人を連れて行くことを忘れるな」
桃香、愛紗、鈴々の3人は出掛けて行った。
そこには「天の御遣い」が待っている筈だ。
その時、簡家の果樹園では桃の花が満開だった。
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