簡雍酔夢   作:高島智明

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物語を先に進める前に、こぼれ話を1つ拾わせて頂きます。
時系列的に少し足踏みします。
『恋姫』らしいこぼれ話に成ると思います。


第15席 凶馬転じて縁結び

後漢王朝の帝都、洛陽。

旧「董卓」軍に対する連合軍の出兵は、すでに戦後処理と成っていた。

だがしかし、ここで各陣営の思惑が交叉し、戦場とは別の「闘争」が昨日までの味方の間に始まっていた。

 

そんなある時、連合軍の諸侯は比較的すんなり解決しそうな事案から先に協議した。

戦利品の分配である。尤(もっと)も比較的すんなり分配できそうな物からだったが。

元々が、草原の騎馬の民である涼州軍閥の1つを壊滅させたのだから、それ成りに良い軍馬が其れ成りの数だけ鹵獲(ろかく)されていた。

ただし、あの「汗血馬」だけは呂布が乗って行ってしまったが。

 

その「おすそ分け」は公孫賛軍の下の、とある軍まで何頭かは来たのだが………。

 

……。

 

…その馬を見て、劉備軍の何人かが言った。

「それにしては好い馬だな」

この時代の或る程度の武人なら、ある程度は馬の好い悪いは分かる。

「まさか、これで我が軍の手柄を誤魔化す積もりか?」

そういったセコい事を考えてないともいえないだろうが、それではもう誤魔化せない程に手柄は立て過ぎていた。

 

いくら「白馬長史」でも、白蓮ほどの騎兵指揮官が白馬以外の馬の好い悪いも分からない訳も無い。

「実の処、今回は私の手柄まで桃香たちに立てて貰った様なものだからな。

私からも貰って欲しい。

白馬以外だがな」

 

桃香などは素直に旧友の好意を受けているが、北郷一刀には引っかかる事があった。

曹操や袁紹の思惑以外にも、何かがもやもやする。

 

結局の処、その場で受け取った頭の馬を宿舎、その時宿営していた馬商人である張世平の洛陽での店屋敷まで引いて帰って来た。

 

「ほう」

馬は馬商人だろう。

「鑑定どうか宜しく」という処だったが、ある1頭を見て首を傾けた。

その様子を見て一刀は思い出した。とある「エピソード」を。

まさか?時期が合わない…

だがしかし、時期とか年代とかは、もう微妙に狂っているし…

その直後から一刀はある「暗躍」を始めた………。

 

……。

 

…先ず、張世平と2人になる機会をつくった。

「あの馬は「的盧(てきろ)」じゃ無いのか?」

「そのような事まで、ご存知でしたか。「天の御遣い」様は」

 

次に趙雲(この時期は正式に仕官していなかった)に依頼して、曹操軍の軍師に居る知り合いを仲介してもらった。

まさか「的盧」と知っていて送り付けて来たんじゃないよな?………。

 

……。

 

…さて、会見の結果は。

 

「zzz…」

「俺っチたちは曹孟徳様こそ日輪として支える積もりなんだ。汚い手段だって使う覚悟はあるぜ」

どこからが韜晦(とうかい)なのか。

本人はお眠で、頭上の「太陽の塔」らしきものに答えさせている。

 

「だからって「的盧」は無いだろう」

「ありだよ。それとも、劉備というのは、その程度で守れなくなる主君なのかよ」

 

…どこからが、本音なのやら………。

 

……。

 

…結局の処、一刀は趙雲こと星にも口止めしておいて桃香たちに「おねだり」をしたのである。

「今の俺の馬術だと「宝の持ち腐れ」は分かっているけど、逆に、それだけ賢い馬に乗っていたいんだ」

無理矢理、納得させた形だった………。

 

……。

 

…数日後、洛陽の城外で的盧に乗って練習していると、桃香たちがやって来た。

無論、愛紗と鈴々が姉を1人で城外に出すほど、無用心ではない。

今の桃香は、漢王朝公認の“お姫様”なのだし。

 

「やはり、まだ馬に乗せて貰っておりますな」

愛紗に言われるまでもない。

「1人で稽古するより、誰かに教えて貰うべきなのだ」

鈴々の言っている事ぐらい分かっている。

 

ところが、想像の斜め上を飛び去る行動に出るものが居た。

乗ってきた馬を降りた桃香が、一刀の後ろに乗って来たのである。

「ちょっと、あの」

一刀は焦った。

馬の鞍というものは1人乗りである。こういう乗り方をすればこうなる。

(…ぷにぷに…)

「だから、あの…何をしているんですか?桃香さん」

「馬術の稽古ですけど」

 

確かに此の頃の一刀よりは桃香の方がまだマシで、この的盧も「持ち腐れ」にならない程度には上手だ。

それに、教える効率だけを言えば、この体勢は効率的だろうが。

だがしかし…(…ぷにぷに…)…一刀は焦っていた。

 

「聞きました」(ぷにぷに)

「え?」

「“的盧”の事」

「…。…だったら、なおさら降りてくれよ」

 

「キライです。そんなご主人様は」

「そんな事を言って、桃香の立場は軽くないぞ。

「的盧」のタタリなんかで何かが起こっても好い程」

「ご主人様はどうなのです?」

「俺は本来、この時代には居る筈の無い存在だしな。劉備玄徳とは違うよ」

「キライです。そんなご主人様は」(ぷにぷに)

「だ、だから降りてくれよ」

 

本当に凶馬だったかも知れない。

的盧がとうとう暴走し始め、2人揃って洛陽城の水堀に落ちてしまった………。

 

……。

 

…お約束の様に2人揃って風邪を引いてしまい、張世平商家の奥で数日寝込む羽目に成ったが、これでどうやら「的盧」の「厄落とし」には成ったようで、すっかり素直な馬に成っていた。

 

だがしかし、問題は不特定多数が出入りする商家でもあるという事だった。

只の宿営なら兎も角(ともかく)風邪の様に感染するかも知れない病人を隔離出来る病室が1部屋しか用意出来なかった。

 

「男女7才にして同席せず」の儒教が支配した古代中国だが、尤もこの時代は既にある意味「同席せず」どころでは無くなっていたが、夫婦でもないのに同室となると話しは別だ。

 

結局「緊急避難」という事に成った。病人同士で「間違い」も無いだろう。

 

「間違いが起きても、構わん積もりなのだろう」

微妙極まる笑顔を星にされて、実に微妙なる表情をする愛紗と微妙な表情を見合わす朱里と雛里だった。

 

実の処、

「あの“ばかっぷる”は単独行動してくれない」

等と、言われるのは今回の「事件」の後だったりする。

永遠(とわ)の誓いを分かち合った日から 君だけに生命(いのち)を捧げてた

そんなフレーズが似合いそうな初々しい2人だった。少なくとも此の時は。




何とか「拠点イベント」らしきものには成ったでしょうか。
少しずつ、こうした途中での「書き落とし」を拾って置きたいとの願望だけは持っています。

ラストに引用致しましたのは、アニメ版OP「闘艶結義~トウエンノチカイ~」です。

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