簡雍酔夢   作:高島智明

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第2席 桃園の誓い そして3顧の礼

無事に「桃園の誓い」は行われた。

桃香と愛紗、鈴々もとい劉備、関羽、張飛は姉妹の契りを結んだ。

そして「天」から落ちて来た、ということに成った北郷一刀も「天の御遣い」と認められた。

 

さて、これからどうするか。

これ自体は明白だった。

既に「黄巾の乱」は始まっていた。

琢群の周辺にすら、黄巾に便乗したであろう妙なやつらがウロウロし始めていたのだ。

現に「天から落ちて来た」直後の北郷も、黄巾を付けた3人組に襲われて、愛紗に救われていた。

 

だから義勇軍を結成して、黄巾賊から民衆を守る、というのは明白だった。

俺は「桃園の誓い」の2次会に当たる宴会を主催しながら、あれこれと思っていた。

幸い、簡家は其れなりの豪族で、部曲(豪族が私的に支配している民)も其れなりに抱えていた。

また、愛紗が用心棒を務めて来た馬商人の張世平に蘇双も、進んで投資を提案してくれた。

また既に、桃香も流石に劉備だという位には人望があった。

それやこれやで、それなりに義勇軍は揃いそうだった。

 

それでも、その先、と成ると行き先に迷いそうだった。

「ご主人様には、何か「天のお告げ」は御座いませんか?」

そんな風に聞かれて一刀は、つい漏らした。

「孔明が居てくれたらなあ」

「?」

 

そのまま、しゃべらされていた。

「天下に人知れず天才が居る。

知る人は伏竜鳳雛と呼び、その2人の内1人でも仕官させれば天下をとる事も可能だという。

劉備玄徳は3顧の礼を持って臥竜を招き、まさに水を得た魚の様に自らの求めた軍師を得る。

そして、その軍師の英知によって自らの王国を建てる事に成る」

 

「真ですか。やはりあなたは「天の御遣い」なのですね」

等と感心しているが、

「それで、その伏竜鳳雛とやらは何処に」

「俺が知っている話だと「3顧の礼」の場所は荊州襄陽の近くの…」

「(絶句)」

「(絶句)」

「遠いのだ」

 

当然の反応だろう。

ここ幽州はおおざっぱにいえば「現代」の北京辺り。

後漢帝国の版図では、長城にも近い北東の端に近い。

片や、荊州は「帝国」の中心より南より辺り。

ここから軍師を迎えに行くなら、ほぼ国内を横切る事になる。

おまけに今、その国土は黄巾賊が暴れ回っているのだ。

実の処「正史」の劉備たちは、流浪の傭兵隊としてあちらこちらで戦う事20年、その結果として荊州に辿り着いていたのだが。

 

「行きましょう」

「え?」

「ええ?!」

「伏竜鳳雛を迎えれば人々を救えるなら、行きましょう」

桃香は、それから愛紗を振り返って、

「それに、愛紗ちゃんは旅をしながら、この国や民の現状を見て来たのよね」

そして1同を見回す。

「この旅はその意味もあると思います」

まるで、天竺へ行くと言う三蔵法師だった。

 

「行って来いよ」

実の処、俺は知っている。

20年も待つ必要は無い。

すでに伏竜鳳雛は、存在しているのだ。

この世界が『恋姫』外史ならば。

 

桃香たちは出掛けて行った………。

 

……。

 

…琢群で留守を預かりながら、義勇軍の文官職の仕事を始めていた俺は、戻って来た桃香たちから事の顛末を聞かされた。

 

荊州襄陽の城内(歴史時代の中国の都市は城壁都市)には「水鏡女学院」が在って、その女学院に出入りする人たちの間では、伏竜鳳雛は其れなりに有名だった。

 

そして「3顧」の通りに、門前払いされたり、水鏡先生に、

「好々」

と、あしらわれたりした末に、3度目に会えた伏竜鳳雛を遂に口説き落として連れ帰って来た。

 

むしろ問題は、其の往復の旅の途上だった。

黄巾党の唱える、

「蒼天既に死す」

そのままの惨状を、いやと言う程目撃して来ることに成った。

 

その結果、いよいよ決意を新たにしていた。

「みんなが笑って暮らせる世の中を作る為に」

その桃香の決意を、皆が共有して戻って来た。




この連載作品の、外伝に当たる連載を新たに思い付きました。
暫くは、交互の投稿に成ると思います。
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