簡雍酔夢   作:高島智明

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第5席 1st Contact

『三国志演義』に於ける簡雍の出番と言えば、例えばこんなエピソードがある。

劉備が水鏡から自陣営の人材不足を指摘された時に反論した。

「自分は非才といえども、武には関羽、張飛、趙雲あり。

文には麋竺、孫乾、簡雍あり。

何を以って不足と言うのですか」

それでも水鏡は流浪の傭兵隊である劉備軍の現状を指摘し、世に伏竜鳳雛が隠れている、と推薦した。

 

これでは孔明の引き立て役だが、史実として孔明が来るまで劉備を支えていた文官トリオの1人だったのである。

 

そして『演義』で只1回と言って好い簡雍の活躍がある。

孔明の唱えた「天下3分」がいよいよ実行され、蜀の都成都に劉備軍が迫った時のことだった。

 

当然ながら最後の拠点に籠って抵抗する蜀の主劉璋を最後に説得したのは、何時の間にか劉璋と「飲み友達」に成っていた簡雍だった。

(けれども、それも未来の話だよな。”今”の時点では)

この外史の簡雍である俺は、そんなことを思っていた………。

 

……。

 

…荊州南陽郡城を前に、各地から集まった黄巾を討伐しようとする軍が集結していた。

将軍盧植の官軍と公孫賛軍そして劉備義勇軍、曹操軍と孫呉軍も到着した。

 

盧植(真名風鈴)が官軍の上級者として各軍の将を集め、軍議が開かれた。

とはいえ、指揮系統が全く異なる軍が4軍も集まっているのだから(劉備義勇軍はまだまだ風鈴の温情で軍議に参加させてもらっている立場だった)結論は落ち着く処に落ち着いた。

4軍がそれぞれ、東西南北の4門を担当して同時に攻撃する。

只、同時攻撃で無ければならない為、明朝、夜明けを合図にと取り決められた。

更にはどの軍がどの門を担当するかも、それぞれが現在陣営を置いている近くの門で、という処に落ち着いた。

 

劉備義勇軍は公孫賛軍と同行することに成り、さて今夜は英気を養って、という処に落ち着いて軍議は解散と成った。

 

俺たちは宛(あて)がわれた天幕で、自軍だけの軍議、というより、俺たちらしく「円卓」よろしく輪になって、和気藹々とした話し合いを続けていた。

そこへ闖入者があったのである。

 

「私は曹孟徳。いずれこの名が大陸に轟(とどろ)くことに成るわ」

「(確かにそうなるだろうけど……)」

 

この時、華琳もとい曹操が何をしようとしていたか。

「劉備の理想を、自らの正義に基づいて、偽善と決め付けようとした」

「関羽の主君に相応しいのは自分だと宣言し、引き抜こうとした」

後年の史実から遡(さかのぼ)って、そうした推測をするものも居るが、実際に彼女が何かを実行する前に更なる闖入者があったのである。

 

「ふうん、これが「天の御遣い」君なの」

一刀の表現ならばトースト色の肌をしたとでも成るだろうか、桃香たち北方出身者とは又違う魅力を持った美少女。

「水運を握っていると、こんな時代でも結構情報は早いのよ。

管路の占いとか、幽州に出現した光り輝く少年とか、いろいろ噂は聞いていたけどね」

「ええと、君は…」

「孫伯符。今はまだ母上の跡継ぎでしかないけど、すぐにこの名も轟く様になるわ」

「え…」

(曹操の次は孫策かよ)

とでも、一刀は言いたげだ。

 

「それにしても、お互い小勢力からの旗上げだと、ハク付けに苦労しているみたいね」

孫策が、微妙に物騒そうなことを言い出した。

「そうなると「天の御遣い」とは良い所に目を付けたと言うべきか。それに…ふふ…

どうせ、女なら自分でいずれ跡継ぎは生む事になるけど、子種は選びたいしね。

天の落とし子なら、これもハク付けになるわね」

 

「な……?!」

俺と一刀を除く、同志5人が申し合わせた様に桃色に成った。

「おいおい、過剰反応するなよ。孫策の言う事も言う事だけど」

何故か一刀が焦っていた。

 

「雪蓮~~」

またも闖入者。ここで、雪蓮もとい孫策は母親に引きずられて退場。

華琳も白けたか、それ以上は無言で立ち去っていった。

 

劉備玄徳。曹操孟徳。孫策伯符。三国の英雄たちの、何ともこれが1st Contactだった。

 




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