簡雍酔夢   作:高島智明

74 / 74
外伝の12 『三国志』らしきもので『水滸伝』でも『金瓶梅』ですら無い話

”この”時代、水運の地位は高い。

まして、乱世以前ならば人口5000万人以上を養えていたのは、皇帝の責任と「リーダーシップ」によって黄河や長江の治水灌漑の工事が続行されていたからだ。

 

ここは「官渡水」

黄河から分かれ、遠くは長江まで続く重要な運河である。

当然の様に”その”時も、官渡水での「メンテナンス」工事は続行されていた。

 

皇帝とは個人的にも親しい側近という地位に居るなら、尚更こうした治水灌漑の工事現場は体験しておくべきだ。

皇帝が、真面目に皇帝をしている以上。

そういう訳で、俺こと簡雍(真名絆(絆))と妻であり補佐官でもある馬謖(真名希望(のぞみ))は官渡水での工事を巡察していた………。

 

……。

 

…巡察の途上で宿を取った村は、別に「西門」家の領地でも無いのに、先回りして接待の用意を整えていた。

 

席上、西門家の異母姉妹たちが、何人も酌とかをして来る。

しかも、俺だけではなく希望の機嫌までをあからさまに取っていた。

おまけに気のせいか、酒や料理に、微妙な味や風味がしていそうだ。

何と無く、身の危険を感じてしまう。

 

それでも、大人しく接待を受けていたのは、今回の巡察には「アリバイ」を含めた1石何鳥かの目的も有ったからだ。

西門家の「呪殺」疑惑が冤罪で無かった場合,俺と西門家の私怨を皇帝の寵愛を頼んで晴らした、という別の疑惑に備えての「アリバイ」である。

お陰で、今はアヤしくても接待そのものを断わる訳にもいかなかった………。

 

……。

 

…食後、俺は希望を抱えて寝室に逃げ込むと、絶対に信頼出来る部下を廊下に立ち塞がらせた。

 

翌朝、何故か(?)夫婦揃って、やたらと疲れていた。

結局は、そのまま1昼夜の間、爆睡(ばくすい)。翌々日は大食して、どうやら回復した。

その頃、帝都。

何と”あの”左慈と于吉が、司馬仲達の依頼で「囮捜査」なんかをやっていた。

 

「西門家では「第1夫人」から「第6夫人」までが、当主の寵愛と跡継ぎを争っている。

今回の件も、内部に絡んでの事かも分からんぞ」

仲達が、道士「ども」との打ち合わせの時に、そんな事を言い出した。

「予断は禁物だがな。その方が事は小さく済む。

恐れ多くも陛下は、むしろ事を大きくしたくは無いらしい」

「やつらしいな」

左慈がウッカリそんな事を言って、于吉が仲達を誤魔化したりした………。

 

……。

 

…結局の処”その”配慮が無駄に成ったか、どうか。

何れにせよ、西門家に仕官していた誰それが、左慈や于吉よりも“もっと”アヤしい道士らしきものに依頼していた証拠までが複数出てきた。

 

ここに至って、西門家当主は皇帝に呼び出された。

 

それに先立って「“もっと”アヤしい道士らしきもの」たちは、城内の市場(歴史時代の中国では公開処刑場にも使用されていた)に引き出されて、自分の罪状を告白させられた上で帝都から追い出された。

この期に及んでも道術で報復する事も、窮地を脱出することも出来ない醜態を表した以上、商売変えしか無いだろう。

 

その上で、皇帝は御前に引き出された西門氏に宣告した。

「後、1度だけ寛容にする。誰を呪う積もりだったかも聞かない」

しかし、ここでワザと硬い態度をした。

「誤解して貰いたく無いが、俺の友人と揉め事を起こした相手だからこそ、権力を持っている側が公正に振る舞っているだけだ」

あえて、この事を明言する。

「次の寛容が在ると思うな。権力を持ってしまったからこそ、舐められても困る場合だって在る」

これが、権力者の脅しに見えただろうか………。

 

……。

 

…あれで好かったか?

「天の御遣い」から確認を求められて「北宮」の『恋姫』たち、華琳や雪蓮、竜鳳たちも、

「まあ好いでしょう」

と、いう感じの答えを出した。

 

「私だったら別な判決もあったでしょうけれど、ご主人様だったらあんなものでしょうね」

華琳の結論である。

「それに、これで“次”は絆が「10常時」に成る心配も無しに思い切り出来るわ」

かくて、事態が1段落した後に「官渡水」から俺と希望が戻って来た。

 

「それで?西門家は大人しくなったのか」

俺にしろ希望にしろ、それで終わりなら平和だろう、位は考える。

官渡水での接待を考えたら、正直ウザい気分も残ってはいるが、

これ以上の露骨な振る舞いは、幾ら何でもしては来ないだろう。

 

もっと正直に言えば、折角(せっかく)結婚した希望と只イチャつきたいのが俺の本音だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

黄権伝(作者:高島智明)(原作:真・恋姫†無双)

誰か故郷を想わざる。▼故郷蜀からも、信頼し合った主君劉備からも引き離されて生涯を終えた武将黄権。▼ところが『恋姫』の外史世界に転生していた。▼この世界の劉備たちと再会はかなうのか。▼そして、故郷への帰還は…▼本サイトにて連載中の『簡雍酔夢』の設定に更に外伝的作品を創作した外史です。▼この為『簡雍酔夢』と「入れ子」の様な投稿に成ると思います。▼『簡雍酔夢』の注…


総合評価:26/評価:-.--/完結:12話/更新日時:2026年05月22日(金) 21:00 小説情報

これが俺の恋姫†無双(作者:篝火 灯)(原作:恋姫†無双)

恋姫無双の世界に現代日本から【能力】を神から渡され恋姫無双の1つの外史に召喚された男…▼この男は恋姫の世界で何を成すのか…ソレは…時の流れるままに…▼神様は平和に過ごしてくれって言ってたけど…様々な問題もあって平和とは…?ってなってる俺だけど…頑張ってこの恋姫の外史で頑張って生き抜いてやるー!▼※なろう。に2025/7/7から投稿していた作品になります。こち…


総合評価:212/評価:3.6/連載:61話/更新日時:2026年07月03日(金) 18:36 小説情報

サクラ大戦 貴水玄治物語(作者:無月)(原作:サクラ大戦)

太正十二年、帝国劇場に大神一郎が赴任するその年、地下からある男が姿を現した▼彼の名は、貴水玄治▼対降魔部隊の忘れ形見にして、姿を消した山崎真之介の直弟子である▼これは家族も、記憶も、恩師も全てを失った男が▼再び歩みだし、覚悟を決め、都市に希望を見出し、世界を美しいもので包み込む物語▼


総合評価:329/評価:8.45/完結:79話/更新日時:2026年05月06日(水) 20:22 小説情報

真・恋姫†夢想 正義の後継者(作者:シバヤ)(原作:真・恋姫†無双)

▼魔術師の血を受け継ぎし青年、衛宮正騎▼とあるうっかりな事故で別の世界に飛ばされてしまう▼様々な経験を得て魔術師として、そして1人の人間として成長するお話▼この作品は【真・恋姫†無双 小さな正義の蕾】のリメイク作品です▼大まかな流れなどは同じですが、オリキャラや話などは少し改変があったりします▼前作をお付き合いしていただいた方、また新しく読み始めてくれる方、…


総合評価:554/評価:8.23/連載:53話/更新日時:2026年03月17日(火) 00:00 小説情報

十文字の御旗のもとに(作者:るいぼすてぃー)(原作:恋姫†無双)

何番前事かの一刀君の成り上がり物です。▼メインヒロイン候補が複数、序盤の展開はある作品を参考にさせていただきました。▼基本的には仲間を集めて旅をし成り上がっていくという解り易いもの▼自分の好きなキャラたちをメインヒロイン系にしたかっただけの作品▼一応革命魏伝までプレイしてますが魏以外の追加キャラは特に口調や呼び方に差異が出るかもしれません。▼生暖かい目で見て…


総合評価:159/評価:8.67/連載:4話/更新日時:2026年06月17日(水) 08:29 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>