1つずつでは短編にも足りない小編小ネタを結合させました。
『呉下阿蒙にあらず』
孫呉陣営の1人呂蒙は、若き日には「脳まで筋肉」タイプの武将だったが、出陣や任地での統治の間に勉学を重ねて、遂にはかつての「脳筋」を馬鹿にしていた同僚を感嘆させた。
「もはや昔の「呉下阿蒙(無理やり訳すると「呉のお馬鹿ちゃん」)」では無くなった」などと言わせたのだ。
「士は三日会わずば刮目して(目を見開いて)見よ」
とは、この時の呂蒙の言である。
この故事から、逆に進歩の無い例えに「呉下阿蒙」
そして、努力して成果を出した人を「士は三日会わずば刮目して見よ」と讃える成語が出来た。
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さて”この”外史の亞莎も、又お勉強家である。
「…三日会わずば…」の故事成語を「天の御遣い」が思い出したのは、例によって桂花に「脳筋」と言われてキレた春蘭を秋蘭と押さえている時だった。
「そうか。
亞莎(すでにそう呼び合う間柄(あいだがら)強引にしても)と三日の間、勉強すれば好いのだな」
今度は引き止める暇も無かった。
「三日も持つかしら」
むしろ桂花も今は心配そうだ。
現在「北宮」で共に生活し(桂花としては不本意?)「南宮」に文官同士として出仕しているのだから、どれだけ亞莎が勉強家なのかは桂花も認めている。
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『誰の為の強さ』
天下13州の内、北西に当たる涼州出身者たちとの雑談の中で「天の御遣い」は、その涼州の更に西北の境に位置する「両界五行山」の魔王についで言及した。
ただし”この”時代、中国に仏教は伝わっていない。
その為のため、蒲公英たちは三蔵法師の事を道士か何かとでも誤解した可能性が在ったが…
「面白いわね」
偶々(たまたま)居合わせた華琳が興味を持った。
何処に興味を持ったのか? 愛紗と桃香に、代わる代わる視線を向けていた。
「美しく無いわね。「両界五行山」の魔王とやらは。誤解しないで…」
華琳は続けた。
「“今”の封印されている魔王は美しくないの。
何の為以前に、誰の為の強さか意味の無い力の持ち主」
ここで華琳は、恐ろしく魅力的な微笑をした。
「(…確か…あの笑顔…)」
北郷一刀は「英雄只2人」のエピソードを連想した。
「でも、ご主人様の予言した『西遊記』とやらの孫悟空は美しいわ。
三蔵とやらが本当に正しいかじゃ無いの」
ふさふさと金髪を振って、
「力に意味があるのが美しいの」
「うーん…関係が有るか、分からないけれど…」
あえて一刀は口を挟んだ。
「俺が「向こう側」で剣道をやっていた時に聞いた話なんだが。
「神の手」と言われた武道家が弟子に言った言葉らしい」
「力無き正義も虚しい。正義無き力も虚しい」
「その通りよ」
大きく頷(いて)いて華琳は、愛紗と桃香を振り返った。
「私が“関羽”を欲しがる程、愛紗が美しかったのは、自分のためだけの強さじゃ無かったから」
恐ろしく可愛らしい笑顔で続ける。
「私は危うく、美しく無くしてしまうところだったわ」
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確かに、関羽雲長が最も美しかったのは「千里行」の時だったろう。
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『父親が居なければ、娘は生めない』
父親が居なければ、娘は生めない。
そういう訳で時には好奇心を持ったりする。そんな、とある時の雑談。
「祭は孫堅の代からの、呉の将だったよな」
「如何にも」
「雪蓮や蓮華、シャオの「お父さん」を知っているよね」
「あれは、炎蓮様と江賊退治をしておった頃の事じゃったな…」
少しだけ遠い目をした。
「さる江東の名士の息子が誘拐されての。救出を請け負ったのじゃが」
「在りそうな話だね」
「いやあ、斬りまくったぞ」
兎に角(とにかく)江賊どもを斬りまくって、太湖(長江下流に近い湖)の蝦(えび)と仲良くさせてやったわい。
斬りまくって生き残った江賊どもが降参して。
さて、真っ赤に成った甲板で人質だった御坊ちゃまは目を回しておった。
それを助け起こした炎蓮様だったが、流石に斬り過ぎたかの、虎が得物を前に尻尾を振る様な笑顔をされての。
「まあ、好い男だったのは確かじゃったが」
「…何となく…想像出来そうだな」
「そしての、雪連どのが生まれたわ」
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『?が来る来る』
「三国」の内の魏と呉の戦いは、少なくとも「正史」では、『赤壁』で呉が勝利して終わら無かった。
その後も、何度も勝ったり敗れたりを繰り返した。
特に、魏の張遼が活躍した「合肥の戦い」では、見事に「赤壁」の仇を討ったと言って好い。
呉王の孫権すら殺されかけ、以後、張遼を恐れた。
呉では母親が「遼来々」と子供を叱る、と言う伝説まで出来た、と伝えられる。
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「…だからと言って、“今”の蓮華は霞を怖がらないよな?」
「?」
「(…”この”外史は『赤壁』で決着がついたんだから…)」
「『天の国』の話がどうかは分から無いけれど、雷火(張昭の真名)の方が余っ程、恐ろしいわよ」
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張昭こそ、孫策そして孫権を補佐した孫呉の老臣の筆頭だろう。
「赤壁」の前に降伏を進言してしまった為に『演義』でこそ、孔明に論じ伏せられる役を振られてはいるが、孫策が突然に倒れた後、未だ涙する孫権を叱り付けて主君を継承させたのは張昭だ。
その後も、決して完璧な主君とも言い切れない孫権が迷走する度に、張昭に叱られて自分を取り戻していた。
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「そうだったな、じゃあ…蓮華が酔っ払ったら「雷火が来る来る」の呪文が効くかな」
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『白い糸』
「天の落とし子」達の中でも、北郷一刀と桃香の最初の子である阿斗は、妹たちより数年の年だった。
その理由は「天の御遣い」が「後宮」などと言う制度の無い「天の国」から落ちて来た普通の若者だったから。
その結果、阿斗が人格形成期を迎える頃に、次々と妹が生まれる事に成った。
そのため、良くも悪くも「長女属性」というべき成長をした阿斗だった。
義理の姉である璃々は居たが、阿斗の人格形成に関係する限り、年長の従姉か若い叔母の様な影響だった様である。
ある時、SD桃香の様な阿斗が、泣きながら両親を探して来た事があった。
「またか」
実の処「この」原因で阿斗が泣く事は、少ない事も無かった。
では何の原因かと言うと、妹同士のケンカ、
ただし、大勢の姉妹が同居して居れば、普通の家庭で何時でも起きる様な他愛も無い姉妹ゲンカに過ぎない。
その度に、妹たちを止めようとして、自分が泣いてしまう阿斗だった。
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「正史」『三国志』の筆者は、劉備の後継者である劉禅(幼名阿斗)に仕官したことがある。
その旧主に対する評価は、
「白い糸。只、染まるだけ」
名君と成るも愚王と成るも臣下次第。全く普通の素直な人。
あるいは、太平の治世には相応しい君主だったかも知れない。