スリザリンの末裔 ~Silver-Haired Wizard’s Legacy~   作:如月斎

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第2章 第20話 選択の春/第21話 幻想のアストランティア

 

選択の春

 

春の陽光が大広間の高い窓から斜めに差し込み、長いテーブルを暖かく照らしていた。

 

スリザリンテーブルの端で、セリクスは黙々とバターを塗ったクロワッサンを食べていた。その隣で、コーウェンはポリッジを前にうとうとと船を()いでいる。

 

「ミスター・セルウィン」

 

突然背後から掛けられた冷たい声に、コーウェンの肩がビクンと跳ねた。スネイプ教授がいつの間にか真後ろに立っていたのだ。

 

「食事をしながら居眠りとは器用なことですな。随分と余裕がおありのようだ。本日の魔法薬学では、ミスター・セルウィンの作る魔法薬が1番性能が良いということでよろしいだろうか?」

「ひえっ……! すすすすみません!」

 

コーウェンが慌てて背筋を伸ばす。スプーンを持つ手が小刻みに震えているのを、セリクスは横目で確認した。いくらなんでも怯えすぎである。天敵を前にした子うさぎのような反応に、スネイプ教授の口元が歪んでいる。セリクスは助け舟を出してやることにした。

 

「おはようございます、スネイプ教授。お手元にお持ちのその羊皮紙はなんでしょうか?」

 

スネイプ教授は鋭くセリクスを見下ろしたのち、無言のままその羊皮紙をテーブルに広げた。

 

「───ああ。これは選択授業のチェックリストだ。来学期からは、必修に加えて2科目以上の選択授業を取ることになる。内容は、数占い学、魔法生物飼育学、占い学、マグル学、古代ルーン文字学の5つだ。全て選んでも構わんが……、その時は分身の魔法でも身に付けてからの方がよろしいでしょうな」

 

(息をするように嫌味を言うな、この御仁は)

 

セリクスは片眉を上げて無言の皮肉を浮かべつつ、礼を述べてチェックリストを受け取った。隣のコーウェンの分も忘れずに。

 

「選択授業は慎重に選ぶことだ。将来の就職に必須なものもあるからな」

 

スネイプ教授がローブを翻して立ち去ると、コーウェンがしょんぼりと漏らした。

 

「セリクス、どうしよう……。どれを取ったらいいかなぁ。将来の就職って言われても、ピンとこないよ……」

「それなら、コーウェンが楽しく学べる科目にすればいい」

「どれもやったことない。でも古代ルーン文字学が難しそうなことだけは分かる……。あと僕がマグル学を受講するのは、多分親戚の人たちが許さないと思う……」

 

セルウィンは一応純血主義の純血名家である。両親や兄が許しても、他の口うるさい親戚が黙っていないのだろう。セリクスはしばらく考え込む。そして、ふと思い付いたように顔を上げた。

 

「……先輩に聞いてみるか」

「先輩? 誰?」

「今は朝練をしているはずだ。食べ終わったら行ってみよう」

「う、うん……」

 

コーウェンは首を傾げながらも、ポリッジをかき込んだ。少しふやけていて美味しくなくなっていた。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

「で、俺のところに来たって訳か」

 

クィディッチの更衣室は、練習を終えた選手たちの汗と革の匂いが混じり合っていた。

 

マーカス・フリントが木製のベンチに腰掛け、髪をタオルで拭きながら苦笑いを浮かべている。セリクスとコーウェンはフリントの前に並んで立つ。

 

「はい。他の先輩方のことはよく知りませんし、何故かあなた以外の方々は私に対してよそよそしいですから」

「……そりゃそうだろ。いや、俺だってお前には気を遣ってるつもりなんだが……」

 

セリクスが小首を傾げる。気を遣っている? どこらへんが? すれ違いざまの挨拶で、セリクスの肩を力いっぱい叩いてくる先輩の言う台詞ではない。

 

「まあ、お前はマイルズやテレンスの友達だからな」

「……」

 

(セリクス、その"彼らは私の友達だったのか?"って顔するのやめて……)

 

コーウェンは内心で頭を抱えたくなった。周りから見れば鉄壁の無表情だが、最近は彼の微細な表情の変化が読めるようになってきてしまった。

 

「ん? プルヴィス先輩とは仲良くないのか? 弟のテレンスとは友達なんだよな?」

「ヒッグスが私の友人かどうかは置いておいて、6年生のヒッグス先輩とは交流がありません。廊下ですれ違う時も何故か避けられますし」

「……プルヴィス先輩はセリクスのことが怖いみたい……」

 

コーウェンが横から恐る恐る口を挟んだ。セリクスは不可解な表情でコーウェンを見やる。

 

「何故だ。彼とは会話をしたこともないが」

「さぁ? ヒッグスから何か聞いてるんじゃない?」

「……ヒッグスとはこの後話し合う必要があるようだ」

「まーまーまーまー!」

 

不穏な空気を察知したのか、フリントがセリクスを雑に宥めにくる。

 

「選択科目の話だったよな! ……と言っても俺はそんなに頭は良くないし、取ってるのも占い学と魔法生物飼育学だけだ。あまり参考にはならんと思うが」

「その2つだけでも、教えてください!」

「おい、"頭は良くない"ってとこを否定してくれてもいいんだぞ? ──あ〜、占い学はシビル・トレローニーっていう、でっかいトンボ眼鏡をかけた変な女がやってる。宿題はほとんどないし、トレローニーはこっちが何をしてても怒ったりはしないな。楽な授業だと思うぜ」

 

フリントがタオルを肩に掛けながら続ける。

 

「魔法生物飼育学はシルバヌス・ケトルバーンとかいう、頭のおかしいジジイがやってる。まあ、こっちもレポートはそこまで難しく書かなくても、そこそこの評価はもらえるし、魔法生物によっては授業も楽だ。例えばボウトラックルとかな」

「なんでしたっけ? それ」

 

コーウェンが首を傾げると、フリントより先にセリクスが口を開いた。

 

「ボウトラックルは昆虫を食べる手のひら大の魔法生物で、主に杖に使われる樹木に生息する。鋭くて長い指と茶色の目を持ち、見かけは木の枝のようなので見つけるのは極めて難しい。性格は内気だが、縄張りを荒らすとその指で相手の目玉をくり抜いてくる」

 

淡々とした口調で説明を終えると、コーウェンの顔から血の気が引いた。

 

「ひえっ! 全然楽そうじゃないですよ!?」

「いやいや、ボウトラックルは観察してスケッチを取るだけだから……。まあ、俺が説明出来るのはこんなところかな」

 

フリントが立ち上がり、クィディッチローブを手に取った。

 

「分からないところがあっても、俺に聞きに来ても無駄だからな。夢日記の宿題は全部俺の妄想だ。なにせ、起きたら夢の内容全部忘れてる」

 

フリントが似合わないキメ顔でそう言い放った。その一言に、コーウェンは思わず噴き出す。それで評価を受けられるのであれば確かに占い学は楽そうだ。コーウェンの気が少し楽になった。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

談話室に戻ると、いつもの窓際のソファに座ったコーウェンがチェックリストを見つめて呟いた。

 

「うーん、どうしよう。結局、数占い学と古代ルーン文字学は分からなかったね。誰かに聞いた方がいいかなぁ? でも他に聞けそうな先輩がいないや……」

「君には占い学と魔法生物飼育学が合っていると思う」

 

セリクスが向かいのソファに腰を下ろしながら言った。

 

「なんでそう思うの?」

「君は感受性が豊かで繊細な性格の持ち主だ。得てして、そういう人間は直感に優れ、占いの適性があることが多い。魔法生物飼育学は……君、動物が結構好きだろう」

「えっ……。なんで知って……」

「こっそりフィルチの猫を撫でているのを見たことがある。ミセス・ノリスを可愛がる生徒は珍しい」

「見てたなら声掛けてよ……!」

 

頬を赤らめたコーウェンが、恥ずかしそうに身を縮めた。別にそこまで恥ずかしがるようなことではない気がするが。

 

「去年たまたまそれを見ていたから、双子の被害に遭った時、すぐ対処できたんだ」

「あっ、あの時の……。そっか、ありがとうね。そういえばあの時ミセス・ノリスも軽い火傷負ってたよね……。しばらくフィルチが怒っちゃって、ミセス・ノリスを撫でさせてくれなかったっけ……。うぅ……双子めぇ……」

 

去年の秋頃の騒動を思い出したのだろう。少し遠い目をしていたコーウェンは意識を選択科目に戻し、気を取り直したように頷いた。

 

「……うん。じゃあ占い学と魔法生物飼育学にしようかな。セリクスは?」

「数占い学、古代ルーン文字学、魔法生物飼育学だ」

「大変そうなやつばっかりじゃん! なんでそんな選び方するのさ!」

「占いの適性が皆無だからだ。マグル学は、マグルの本を読めば事足りる」

 

コーウェンが深い溜息をついた。本を読むだけで履修完了? これで全くふざけてないところがセリクスのすごいところである。

 

「人生で1回だけでも言ってみたいセリフだよ……」

「我らが寮監殿のところに提出しに行こう」

「はいはい」

 

2人は肩を並べて、再び羊皮紙を持って立ち上がった。

 

春の陽射しが、大きな窓から差し込み、2人の影を長く伸ばしていた。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

「そういえば、僕って占いに適性があるかもなんだよね? 数占い学では駄目だったの?」

「数占いは占いというより数学の応用に近い。マグル式の算数を習ったことがない魔法族には難しい分野だ。むしろマグル育ちの方が得意かもしれないな」

「計算問題ってこと? 占いじゃないじゃん」

「そう。あと数占いの特性上、レポート課題が多めに出るはずだ。魔法省の研究職や理論職を目指すのでなければ、避けた方がベターだ」

「セリクスは目指してるからとるの?」

「いや、単純に興味深い」

「…………」

「その変人を見るような目を向けるのはやめてくれないか……?」

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

幻想のアストランティア

 

春の陽光が石造りの窓から差し込み始める前、コーウェンは何かの気配を感じて浅い眠りから目を覚ました。しかし眠気には勝てず、体は動かさずに薄目を開ける。

 

隣のベッドで、セリクスが静かに身を起こしているのがベッドカーテンの隙間から見えた。音を立てないように毛布を整え、素足で冷たい石床を踏む。杖を振り一瞬で制服に着替えてから扉に向かう後ろ姿を、コーウェンは薄目を開けたまま見送った。

 

しばらく迷ったが、コーウェンもそっとベッドを抜け出した。慌てて着替えてからなるべく気配を消すように階段を下り、小走りで談話室を抜ける。大蛇の像の入り口から外へ出ると、階段を登るセリクスの細い後ろ姿が見えた。

 

遠すぎず、近すぎない距離を保って後を追う。セリクスは一度も振り返らず、黒い湖へ向かって歩き続けた。

 

湖畔に着くと、セリクスは水面を見つめて立ち尽くした。黙ってその静かな湖面を眺めているようだ。

 

コーウェンは少し離れた木陰に身を隠し、息を殺して見守る。水の匂い、土の匂い、そして春の青草の香りが朝の空気に混じっていた。

 

やがてセリクスは杖を取り出し、軽く振った。

 

「《オーキデウス(花よ)》」

 

セリクスの声は呟くように小さかったが、何故かコーウェンにははっきりと聞き取れた。杖先から現れたのは、白い花弁がキラキラと輝く一輪の花。美しい花だった。星のように瞬いている。

 

セリクスはしゃがみ込み、そっと花を水面に浮かべる。白い花弁が黒い水面に映え、静かに流れていく。

 

その後ろ姿があまりにも寂しげで、コーウェンは胸が締め付けられるような思いがした。何分間そうしていただろう。セリクスはじっと流れていく花を見つめ続けていた。

 

やがて意を決して、コーウェンは木陰から歩み出た。枯れ葉を踏む音に、セリクスがふいに振り向く。

 

「コーウェン、起きたのか」

 

驚いた様子はなかった。いつから気付いていたのだろう。セリクスのまっすぐな視線を受けて、コーウェンは途端に後ろめたい気分になった。

 

「……あ、ごめん。ついてきたりして……」

「構わない」

 

セリクスの声はいつものように静かだった。

 

「……どういうことか、聞いてもいい?」

 

恐る恐る尋ねると、セリクスは再び水面に目を向けた。花はもう随分遠くまで流れていた。

 

「今日は母上の命日なんだ」

 

コーウェンは息を呑んだ。セリクスがこんなふうに、自分のことを話してくれるなんて。

 

「母上は死ぬ間際、命日には花を一輪湖に流してくれたらそれでいい、と。きっと父上も私も花を飾るなんてしないだろうからと。ホグワーツに来る前は父上とミレヴィエル湖に流していた。……ここではこの黒い湖しかないからな」

「そうだったんだ……。お母さんが……」

 

声が震えた。セリクスの母親のことを、コーウェンはほとんど知らなかった。自分の母親は元気に生きている。セリクスの喪失感や寂しさをコーウェンは心の底から共感してあげられないのだ。

 

「母上はこの星のような花が好きだった。母上を思い浮かべて花を出すと、これしか出ないんだ」

 

水面に浮かぶ花を見つめるセリクスの横顔が、朝の光に照らされている。その表情は穏やかなようで、どこか寂しそうだった。

 

コーウェンが水面を覗くと、白く可憐な花弁がゆっくりと沈みかけていた。光を反射して煌めきながら、静かに湖に溶けていく。

 

「あの花、なに? キラキラしてる」

「アストランティア。私の名前の由来になった花だ。母上が一等好きだった……。私の一番大切な花だ」

「アストランティア……。綺麗だね。とても」

 

呟きながら、コーウェンは胸の奥が温かくなるのを感じた。セリクスが自分に、こんな大切なことを話してくれている。自分はセリクスにとって特別な存在なのかもしれないと。

 

しばらく黙ってそれを見つめた後、セリクスが静かにホグワーツ城に向き直った。

 

「……もう戻ろう。今日は一限目から変身術だ。遅刻するわけにはいかないからな」

 

2人は城の方へ歩き始める。途中、コーウェンは一度だけ振り返ったが、湖の上にはもう何も浮かんではいなかった。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

大広間では既に朝食の匂いが漂っていた。2人は足早にいつもの席に座った。いつもの5人組が、セリクスたちのために場所を空けておいてくれたのだ。

 

セリクスは紅茶とベーコン、目玉焼きにベイクドビーンズを選び、上品にナイフとフォークを動かす。コーウェンは、トーストに目玉焼きを乗せて頬張った。少々お行儀が悪いが、コーウェンはこういう気取らない食べ方が好きなのだ。

 

コーウェンはトーストを咀嚼しながら、先程の幻想的な光景を思い出していた。さっきの出来事が、まるで夢のように感じられた。セリクスの寂しそうな横顔。キラキラと輝くアストランティア。朝日に照らされた静かな湖面。

 

(夢、ではないよね)

 

そこへ、ヒッグスが横から首を傾げながら声を掛けてきた。

 

「君たち、今さっき……寮とは反対方向から来なかった? どこに行ってたんだい?」

「えー……と……」

 

何と答えればいいだろう。セリクスの大切な秘密を、軽々しく話すわけにはいかない。しかし嘘をつくのもおかしな話だ。コーウェンは困り切って口ごもってしまった。そして助けを求めるようにセリクスを見る。

 

セリクスは紅茶を一口含むと、いつも通りの無表情で答えた。何気ない口調であった。

 

「花を摘みに」

 

───ガチャン。

 

ブレッチリーが手元のフォークを取り落とし、ピュシーが()せる。モンタギューが食べかけのパンを口から吐き出し、ヒッグスが思わずといった様子で口元を両手で覆った。

 

ワリントンだけが無言のまま、もっさりとじゃがいものポタージュを飲んでいる。

 

「…………え?」

 

5人の反応が一瞬止まる。

 

「……い、今のって文字通り? それとも比喩……?」

 

ヒッグスの困惑した声が、スリザリンテーブルに響いた。その疑問に応えてくれる者は誰もいなかったが。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

その後は何も感じていないかのような無表情のセリクスが黙々と朝食を摂り、そんなセリクスの顔色をチラチラと(うかが)うように見ているコーウェンの様子を、5人組が何とも言えない顔で見守っていた。

 

いつもより早々に食べ終わったセリクスが、ほんの僅かに不機嫌そうな雰囲気で席を立つ。恐らく5人組の視線が鬱陶(うっとう)しかったのだろう。コーウェンは慌てて食べ終わり、急いで追いかけて行った。いつも通りと言えばいつも通りの光景である。

 

2人が大広間から去ってからしばらく、それまでずっと黙ってポタージュを(すす)っていたワリントンがボソリと呟いた。

 

「あいつらって……、そういうことなのか?」

「ちょっと! 下世話な妄想はやめてくださいよ! そんなことある訳ないでしょう!」

 

それに超反応したのは意外なことにブレッチリーである。相変わらず妙な方向にらせているようだ。

 

「花を摘みにってなんだよ……。男2人でなんの花を摘むんだよ……。こえぇよ……」

「何かの比喩だと思うけどね……」

「どんな……?」

「………………」

 

モンタギューとヒッグスが戦々恐々と言い合っている。

 

「……みんな、とりあえずやめよう。もしそうでもそうじゃなくても、こんな会話してるのがバレたらそっちの方が後が怖い。僕はまだ死にたくない」

「「「「………………」」」」

 

ピュシーの一言で身のない答えもない会話が終わったのであった。こんなに味のしない朝食はなかったとは後の5人組の感想である。

 

 

 

 

 

 




【あとがき】
久しぶりにスネイプ先生が登場しました。
彼って、つらつらつらーっと嫌味を言うイメージなので、台詞を考えるのがめっちゃ楽しかったです!
映画の声優さんの声で脳内再生されるんですよね。

マーカス・フリントはグリフィンドール相手にはクソみたいな態度ですが、同寮の後輩にはそこそこ面倒見が良かったりしたらいいなー……という私の願望込みでキャラ付けしました! ちなみにプルヴィス先輩はセリクスというかゴーント家にビビっています。弟のテレンスの方はマルフォイ家にビビる予定です。要はヒッグス家は権力者に対して腰が引けるって感じです(笑)

選択科目は、原作ではハリーが選んだ魔法生物飼育学と占い学くらいしか細かい描写がなくて悔しい~( `ᾥ´ )
授業の描写も、なるべく原作にないところまで頑張りますので、ふわっと読んでもらえたら嬉しいです(>ω<;)

アストランティアという花は私の創作ではなく、実在する花です。本当に美しく、まさに"星の花"という趣があります。
実は、セリクスのミドルネームを決めた段階では、まだこの花の存在を知りませんでした。作品を書き始める前から"アストラル"と名付けていて、いざ「セリクスが湖に流す花は何にしようかな」と調べていた時にこのアストランティアを見付けて、思わず度肝を抜かれました( ̄▽ ̄;)
セリクス・アストラル・ゴーントという名前に、運命めいたものを感じた瞬間です。

裏設定として、"セリクス"はマウリシオが最愛の妻の名の響きから取り、"アストラル"は、セレスティアが生前愛していたアストランティアの花に由来します。
星のように瞬くその花のイメージから「星の」を意味するアストラルを選び、「星の下で巡り逢う魂」という願いが込められています。

父は音の響きを、母は花に託した意味を───
そこに共通するのは、深い愛です。

セレスティアが亡くなったのはセリクスが6歳の時。普通の幼児なら「ママねんねしちゃったのかな?」程度かもしれませんが、セリクスは賢い子なので、母の死を正しく理解してしまったのだと思います。

マウリシオは「母上は星になってお前を見守っている」と慰めましたが、今のセリクスはもう素直には信じていないでしょう。
───でも、心のいちばん奥底では、もしかしたら……と、ひそかに想っているのかもしれませんね。
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