拝啓、お母さんお父さん、好きな人が出来ました!
……元気にしていますか? 私は元気です。
神社の神主の娘だけれど神様とか幽霊とかちっとも見ないなー。伊邪那美と伊弉諾夫婦のアレコレであの世とこの世は繋がってないんだっけ?
そんな思っていたら急にお化けが見え出して、凄いアイテムに適合したからお化け退治を学ぶ学校に通うだなんて漫画みたいな展開になって一週間が経つけれど、初恋の人は凄く格好良いです。
物腰柔らかい上に強いし、素敵な人にも明らかな好意を向けられているのはドキドキしますけれど、頑張りたいと思います。
エッチな事とかした方が良いのかな? 見え始めてからそんな気分になっちゃうし、上総さんって同級生が学園関係者なら利用出来るゴニョゴニョな商品のお店。
あーんな感じの松茸とかこーんな感じの鮑とか。
『眠りたい方の私には不要だから』
何の店かも知らされず一人で入ったけれど、その理由が分かった。私がエッチになっちゃったのは仕方の無い事なんだね。
え? 普通はそんなに早く欲求の増幅は出ない? 私、普通じゃないらしいし……。
それよりも龍洞君は食欲が増すらしいし、お弁当とか作ったら喜ぶかな?
そんな私だけれど後輩二人と同級生二人と一緒に初任務。戦いにはならないらしいけれど緊張するなぁ。
勝手に托卵をさせているって微妙な感じもするんだけれど……。いや、冤罪被せて家庭を壊す最悪の所業だけれども。
「えっと……ウチは男装ホストクラブであってコスプレ喫茶じゃないわよ?」
「コスプレじゃなくて理由があるのですよ、店長。確かに四人の服装はコスプレに見えるでしょうが……」
私は今、夜のお店に来ています。応対するのは格好良いお兄さん風のお姉さん? 駄目だ、脳がバグる。
「ふぅん。何度か封魔士が監査に来たけれどトンチキな格好なのは来なかったけれどね」
ソファーに座り怠そうにグッと伸びをすれば現れたのは蝙蝠の翼と先端がハート型の尻尾。
この人、本当に人間じゃない!?
その先端が龍洞君の体に軽く触れ、頬をツンツン突っ突いた。
「言っとくけれどウチの子達は睨まれる事はしてないわよ? 掛け払いを貯めさせて風俗落ちもさせないし、税金だってちゃんと払ってるもの」
え? 本当にちゃんと社会には適応しているんだ……。エッチな事だけしてると思ってた。
封魔士について知った時に教えられたけれど人間じゃないからって即座に殺したりはしない。社会に紛れて暮らすなら多少の迷惑は目を瞑るとか。
「それで情報が欲しいのよね? 例えば……相手の有責で別れたい夫とか遺産の為に資産家の子種が欲しい女に協力している同族とかの」
税金とか社会貢献とか……情報提供、そっちの利益の方が大きいなら。特に召喚された場合は場所や時間の制限が緩いから情報の隠蔽の方が厄介らしいから。
「良かった。話が早くて助かります。惚けられたら面倒でしたからね」
「私だって魔女を相手にする気なんてないわよ。サキュパス退治はお手の物じゃないの。それに厄介なのも連れているみたいだし? それよりも……うふふ」
店長さんの視線が黒八木さんの服の上、その膨らみを作っているレオナルド君に向けられる。
あのエロ触手って強いの? 変態なのに。
警戒した様子の瞳をレオナルド君から外した店長さんはまた龍洞君に視線を向けるけれど、ちょっと嫌な感じで笑っている。
一年生二人は少し下がって成り行きを見守っているらしく無言。 二人に任せるらしいから口は出さないけれど、多分何かあったら動く。
学園長は言ってました。人外は社会に適応していようが問題を起こせば銃社会の銃撃犯程度に命は軽いって。
「情報料なら後日国から……それが目当てでは無いですか」
「ええ、そうね。ウチの店が毎年どれだけ税金を納めているかご存知? 国からの端金よりも体で払ってくれた方が良いわ。貴方美味しそうだし……」
立ち上がり体を擦り寄せる店長さんの服がスーツからベビードールへと切り替わり、腕が龍洞君の首に絡み付いて顔が接近した。
「どう? 私とイイコトしたくない? 淫行罪に引っ掛からず若い子を食べられる機会って少ないのよ。今から一時間くらい私を気持ち良くしてくれたら口が軽くなっちゃうんだけれどな〜」
は? この女、高校生に手を出す気?
「あっ、そっちの可愛い男の子でも良いわよ? 雄の匂いは付いてる物を切り落とさないと消えないもの。丸分かりよ?」
「わわっ!? 童貞卒業のピンチ? せんぱい、助けて欲しいな」
続いて渡辺君にまでターゲットオン!? これってヤバいんじゃ……。
『おっ? だったら俺が最高にイカしてやるよ。もうグッチャグチャのドッロドロになろうぜ』
「へ?」
その声が私達の頭の中に響くと同時に無数の触手が店長さんの体に絡み付いた。
身体中を粘液でテカテカにされた店長さんはそのままソファーの陰にまで運ばれ、時々ビクンと動くて足が飛び出すだけ。
「ひゃっ!?おゔぉっ!あんxty!」
グチュグチュと水音が激しく鳴り響き、悲鳴染みた声はやがて甘い嬌声へと変わる。姿は見えないけれど凄くエッチな事になってる!?
「あの……止めなくて良いんですか?」
「あれでも周辺一体の淫魔の顔役ですし、楽しんでいるみたいですから」
『おいおい、こんなんで一時間耐えられんのか? メイだったらこんなもん前戯だぜ!』
「レオ、皆の前で何言ってんの!?」
あっ、使う使わないって何の事かと思ったらそういう……。
同級生は触手プレイを堪能していました。どう反応すべきですか? 教えて下さい、お母さん。
『今度りゅーちゃんも参加してみるか? メイは名器だし、普通のプレイもメイに経験させたいしな』
「触手加えた3Pは普通じゃありませんが? せめて黒八木さんの了承を事前に取るべきですし、そもそも貴方って私に好意的過ぎません? 一応育て親なんでしょう?」
『その辺は人と魔の違いだな。りゅーちゃんって先祖返りか育ちかで魔の気配が強いんだよ。やべー刀扱ってるしな。だから俺は馬が合うし、秘伝の術の影響や人外の血を引いてる異性にも気に入られやすい。混ざり方が良い感じなんだ』
「少しずれていたら不気味の谷だったとも言われてますけれどね。兎に角! 恋人でもないのに手は出せませんよ、優等生としては」
顔も無いのにヘラヘラ笑っているのが伝わって来るレオナルドに対して龍洞君は真面目に返す。よ、良かった。此れで性欲が強いタイプだったら黒八木さんに手を出していたかも知れないし。
でも、好意を持たれやすいんだ……。
「……もう。レオったら知らない」
「あ、あの、黒八木先輩? 足元で何かの根っ子が蠢いていますけれど……」
雪山さん……雪山先生に似ているし名字も同じだから親戚? が言いにくそうに指差した床は突き出した木の根が動き回ってボロボロになっている。黒八木さんが慌てて手を翳せば戻って行くんだけれど空いた穴はそのまま。
「此れって弁償ですよね……」
「元気出して、せんぱい。ほらほら、笑顔笑顔。学園運営費から修繕費は出る筈だから大丈夫。……偽装した住民票じゃ大っぴらに損害賠償請求は出来ないしさ」
控え室とはいえ結構大きな穴が空いちゃったし、営業にも支障が出そうな気もするけれど、大丈夫……で良いのかな?
「も、もうりゃめ。かんへんしてくりゃひゃい……」
店長さんの方は大丈夫そうじゃないけれど、私じゃどうしようもないし見ないでおこうっと。
「そうそう、丑宮さんも黒八木さんのレオナルドみたいな存在が必要ですよね。探しませんと……」
「ええ!? 触手が必要なんですか!? 流石にそれはちょっと抵抗が。でも、本当に必要ならせめて処女は好きな人に……」
「触手限定じゃないですよ? それと丑宮さんって例外的に欲求の増幅が起きてますね……」