バトルスピリッツ 逆刻の鉄華   作:バナナ 

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第2話「ガンダム・バルバトス」

 

 

 

東京に住む赤い髪の少年、鉄華オーカミ。

 

過去の記憶を持たない彼が出会ったのは、自分のことを「この世にいてはならない存在」だと言い放った仮面の男。

 

オーカミは、彼が自分の命を狙っていると知りながらも、失われた己の過去を知るため、互いの存在を賭けた、真のバトルスピリッツに挑む。

 

 

******

 

 

荒れ果てた街並みの中で行われているのは、互いの存在を賭けたバトルスピリッツ。

 

先攻のオーカミのターンが終了し、次は漢字の「緑」の文字が刻まれた仮面を被っている男のターン。

 

 

「そう言えば名乗ってなかったな。オレはワイチ。貴様をこの世から抹消する者の名だ」

 

 

仮面の男、改めワイチは、目の前の鉄華オーカミをこの世から消すべく、ターンを進めて行く。

 

 

[ターン02]ワイチ

 

 

「メインステップ。ライダースピリット、契約ゼロワンを召喚」

 

 

ー【仮面ライダーゼロワン ライジングホッパー[4]】LV1(1)BP3000

 

 

緑の電撃迸ると、仮面の男、ワイチのフィールドに、緑の戦士、仮面ライダーゼロワンが参上する。

 

 

「アタックステップ。契約ゼロワンでアタック。その効果でカウント+2。デッキ上1枚をオープンし、スピリットなら1コアブースト。そして、捲れたこのカード、バルカンを召喚」

 

 

ー【仮面ライダーバルカン シューティングウルフ[2]】LV1(1)BP3000

 

 

「効果でカウント+1と、2コアブースト。バルカンはそのままLVを2に上げる」

 

 

ゼロワンの効果により、デッキの上からオープンされた1枚が、そのまま召喚。青い装甲に拳銃を構えるライダースピリット、バルカンが姿を見せる。

 

 

「アタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ5→4〉鉄華オーカミ

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

緑属性特有のコアブーストと展開力を見せつけたところで、本命のゼロワンのアタック。

 

まるで針を刺すようなキックが、オーカミのライフバリア1枚を貫き、砕いた。その際、強烈な痛みが彼を襲う。

 

 

「オーカミ、大丈夫!?」

「下がってろって言ったろ」

「でも」

 

 

痛みで一度は片膝を曲げたオーカミだったが、駆け寄って来たセンカを振り払うと、すぐさま立ち上がる。

 

 

「追撃だ。バルカンでアタック」

「それもライフだ」

 

 

〈ライフ4→3〉鉄華オーカミ

 

 

「ぐ……!?」

 

 

今度はバルカンの銃撃が、オーカミのライフバリアを撃ち抜く。

 

 

「スピリットでのブロックは無しか。だが忘れてないだろうな、これは互いの存在を賭けた真のバトルスピリッツ。ライフが尽きれば、オマエは消えるぞ」

「ベラベラと。オレをさっさと消したいなら、早くターンエンドしろよ」

「……減らず口が。ターンエンド」

手札:4

 

 

2体のスピリットを展開し、カウントとコアを溜めつつ連続攻撃を仕掛けることに成功した仮面の男、ワイチ。明らかな優勢に立った所で、一度ターンをオーカミへと返却。

 

バトルは2周目に突入し、オーカミの第3ターンが始まる。

 

 

[ターン03]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。創界神ネクサス、オルガ・イツカとクーデリア&アトラを配置」

 

 

ー【オルガ・イツカ】LV1

 

ー【クーデリア&アトラ】LV1

 

 

オーカミは、コアを蓄積させることで力を発揮する特殊なカード、創界神ネクサスカードを配置。

 

フィールドには特に何も出現しないが、その存在はこのバトルにおいて、大きな役割を持つ。

 

 

「配置時の神託で、デッキ上から3枚のカードをトラッシュへ落とし、その中の対象のカードの数だけ、コア+1」

 

 

2種あるため、落ちるカードの数は倍の6枚。その結果、オルガにコア+3。クーデリア&アトラにコア+2となるが。

 

 

「今トラッシュに落ちたマジックカード、スネークビジョンの効果。自身を手札に加えて、オルガにコア+1」

 

 

マジックカードの効果により、オルガにはさらにコアが追加され、合計4つとなる。

 

 

「アタックステップ。その開始時に、オルガの【神技】を発揮。コアを4つボイドに置き、トラッシュから鉄華団を出す」

「!」

「来い、ガンダム・バルバトス第4形態」

 

 

ー【ガンダム・バルバトス[第4形態]】LV3(4)BP12000

 

 

「不足コストはバルバトス第1形態から確保。よってフィールドから消滅する」

 

 

溜まったオルガのコアを弾き、効果を発揮。揺らぐ大地より飛び出して来たのは、黒き戦棍を手に持つ白い装甲のロボット。ガンダム・バルバトス第4形態。

 

消滅した第1形態とは違い、武器や装甲が万全となっている。

 

 

「召喚したバルバトス第4形態でアタック。その効果で、契約ゼロワンとバルカンからコアを1つずつリザーブに置く」

 

 

バルバトス第4形態は、戦棍を振い、大地に叩き付けると、砕け散った土塊が、契約ゼロワンとバルカンにヒット。

 

バルカンは辛うじて生き残るも、契約ゼロワンは消滅となった。

 

 

「くっ。コアが0になった契約ゼロワンは魂状態で残す」

 

 

しかし。契約ゼロワンは、文字通り契約スピリット。消滅しても尚、半透明の姿、魂状態となって、ワイチのフィールドへ残った。

 

 

「バルバトス第4形態のもう1つのアタック時効果。ダブルシンボルになる」

「アタックはライフで受ける」

 

 

〈ライフ5→3〉ワイチ

 

 

「ぐぉっ!?」

 

 

ダブルシンボルとなった、バルバトス第4形態。縦一閃に振るった戦棍の一撃が、ワイチのライフバリアを一気に2枚砕く。

 

 

「バトル終了時。バルバトス第4形態のさらなる効果、トラッシュから鉄華団を1コストで出す。今度はオマエだ、グシオンリベイク」

 

 

ー【ガンダム・グシオンリベイク】LV1(1)BP6000

 

 

バルバトス第4形態は、戦棍の先端を大地へ打ち付け、地割れを引き起こすと、その狭間より、薄茶色で重厚な装甲を持つモビルスピリット、グシオンリベイクが出現する。

 

 

「グシオンリベイクの召喚時効果。バルカンを消滅」

「くっ」

 

 

グシオンリベイクは、斧の形状をした武器を取り出すと、ワイチのフィールドにいるバルカンへ向けてそれを投擲。

 

ブーメランのように回るそれは、バルカンの身体を両断。爆散へと追い込む。

 

 

「グシオンリベイクでアタック」

「それもライフだ」

 

 

〈ライフ3→2〉ワイチ

 

 

「ぐっ!?」

 

 

グシオンリベイクは、投げた武器をキャッチすると、そのまま横一閃に振い、ワイチのライフバリアを1枚斬り裂き、破壊する。

 

 

「ターンエンド」

手札:5

 

 

怒涛の反撃で、ワイチのフィールドもライフも掻っ攫っていったオーカミ。

 

バルバトス第4形態とグシオンリベイクと言う強力なスピリット達を従え、そのターンをエンドとする。

 

 

「凄。オーカミって、まさかバトルスピリッツの天才?」

 

 

バトルを見守る風見センカが、抱いていた恐怖を忘れ、そう呟いた。

 

彼女はバトルスピリッツをあまり知らないが、今のオーカミのプレイングが神がかっていたのだけは理解できたのだろう。

 

それ程までにオーカミのバトルセンスは凄まじいものがあった。

 

 

「調子に乗んじゃねぇぞ」

 

 

しかし、バトルが終わったわけではない。未だ余裕を見せるワイチの二度目のターンへと移る。

 

 

[ターン04]ワイチ

 

 

「メインステップ。バルカンを2体召喚」

 

 

ー【仮面ライダーバルカン シューティングウルフ[2]】LV1(1)BP3000

 

ー【仮面ライダーバルカン シューティングウルフ[2]】LV1(1)BP3000

 

 

「2体分の召喚時効果で、カウント+2と2コアブースト。さらにそのコアを使い、滅を召喚」

 

 

ー【仮面ライダー滅 スティングスコーピオン[3]】LV2(3)BP8000

 

 

「召喚時効果。カウント+1し、1枚ドロー。カウントが6以上のため、さらに追加で1枚ドロー」

 

 

ワイチはここで、コアブーストを織り交ぜながら、一気に3体のスピリットを展開。

 

2、3体目となるバルカンと、紫色のライダースピリット、滅だ。

 

 

「貴様の場にブロッカーおらず、残りライフは3。そしてオレのスピリットは3体。これが意味することはわかるよな」

「……」

「オレの勝ちだ。アタックステップ、滅でアタック」

 

 

知らぬ間に形成されていたのは、ワイチの勝利への道。彼はアタックステップを無慈悲に宣言し、スピリットにアタックさせる。

 

 

「滅の効果。バルバトス第4形態を消滅させ、グシオンリベイクを重疲労させる」

 

 

アタックの指示を受けた滅は、背部に備えた蠍の針をバルバトス第4形態へと突き刺し、エネルギーであるコアを吸い取って消滅へと追い込む。

 

さらに吸い取ったコアをグシオンリベイクへ向けて放出し、直撃させ、片膝を突かせる。

 

 

「フラッシュマジック、スネークビジョン」

「!」

「グシオンリベイクを消滅させることで、不足コストを確保。相手スピリット全てのコアを1つずつにする。さらに追加効果。クーデリア&アトラからコアを1つ取り除き、滅を消滅」

 

 

オーカミはここで反撃のマジックカード。紫のオーラで構成された蛇が、ワイチの3体のライダースピリットに噛みつき、体内のコアを弾き飛ばす。

 

バルカン2体は生き残るも、滅はより多くのコアを弾かれたことで消滅となる。

 

 

「そんな見え見えのマジックカードで防いだつもりかよ。フラッシュ【契約煌臨】発揮、魂状態の契約ゼロワンを、アークワンに」

 

 

ー【仮面ライダーアークワン[2]】LV2(2)BP13000

 

 

敗北を回避したのも束の間、ワイチもまた手札のカードを使用。

 

フィールドでは、黒い稲妻に打たれ、半透明の状態だった契約ゼロワンが進化。白い装甲に暗黒の力を纏うライダースピリット、アークワンとなる。

 

 

「アークワンでアタック。煌臨元の契約ゼロワンの効果により、デッキの上から2体目の滅を召喚」

 

 

ー【仮面ライダー滅 スティングスコーピオン[3]】LV1(1)BP5000

 

 

「滅の効果でカウント+1とドロー。さらにアークワンの効果、デッキから2枚オープン、防御マジック、仮面の魂を2枚手札に加える」

「そ、そんな。折角オーカミが1体倒したのに、2体も復活した!?」

 

 

たった1体のスピリットを起点に、スピリットの追加、ドロー、防御マジックの確保を同時に行うワイチ。

 

オーカミのスピリットも消え去ったこともあり、センカは深く絶望するが。

 

 

「オーカミ、やっぱり逃げようよ、死んじゃうって!!」

 

 

自分だけで逃げたい気持ちを押し殺しながら叫ぶセンカ。それに対しオーカミは、慌てる様子はなく、冷静で。

 

 

「ライフで受ける」

「ならば食らえ、アークワンのダブルシンボルのアタックを」

 

 

〈ライフ3→1〉鉄華オーカミ

 

 

「ぐぁぁあ!?!」

「オーカミ!!」

 

 

アークワンが二振りのブレードを振い、オーカミのライフバリアを2枚斬り裂く。

 

これにより、オーカミの残りライフは1つ。あと一撃でもまともに攻撃を受けて仕舞えば敗北となる。

 

 

「はは。存外、鉄華オーカミも大したことないんだな。身構えて損したぜ」

 

 

従えているスピリットは0。ライフは風前の灯。まさに絶対絶滅の状況であると言える。

 

だが、そんな状況になっても尚、オーカミは顔色1つ変えず、手札にあるカードを引き抜く。

 

 

「マジック、絶甲氷盾」

「!」

「効果により、オマエのアタックステップを強制的に終了させる」

 

 

ライフ減少時に、手札からノーコストで使えるようになる白の防御マジック「絶甲氷盾〈R〉」……

 

その効果により、ワイチのアタックステップは、強制的にエンドステップへと移行となる。

 

 

「ターンエンド。だが、オレの優位に変わりはない。次のターンで確実に仕留めてやるぜ」

手札:7

 

 

ワイチの言う通り。防御マジックはその場凌ぎにしかならない。

 

圧倒的戦力差を覆すには、それ以上の戦略を次のターンまでに用意する必要がある。

 

 

「オマエ、今の自分が優位に立ってると本気で思ってるのか?」

「……なに」

「オレのターン」

 

 

ワイチにそう告げると、オーカミは、巡って来た自分のターンを静かに始めて行く。

 

 

[ターン05]鉄華オーカミ

 

 

「メインステップ。鉄華団モビルワーカーを3体連続召喚」

 

 

ー【鉄華団モビルワーカー】LV1(1)BP1000

 

ー【鉄華団モビルワーカー】LV1(1)BP1000

 

ー【鉄華団モビルワーカー】LV1(1)BP1000

 

 

オーカミはターン開始早々に、砲手を備えた車両、モビルワーカーを3体召喚。

 

当然これは前座。すぐさま手札より、本命となる1枚を引き抜き、それをBパッドへと叩き付ける。

 

 

「そして、ガンダム・バルバトスルプス鉄華、LV2で召喚」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプス[鉄華団]】LV2(3)BP7000

 

 

吹き荒む、砂塵の大竜巻。それを内側から斬り捨て、姿を見せたのは、赤き眼光と、鉄製の太刀と大剣を持つ、新たなるバルバトス、バルバトスルプス鉄華。

 

 

「召喚時効果。2体のバルカンを消滅」

 

 

ルプス鉄華は、手に持つ太刀と大剣を大地へ突き刺し、空いた両手をバルカンへ向ける。すると、その両腕から砲手が展開、鉛玉が2体のバルカンへ放たれる。

 

2体のバルカンは、避ける間もなくそれに直撃し、撃沈。爆散してしまう。

 

 

「アタックステップの開始時。再びオルガの【神技】を発揮。トラッシュからパイロットブレイヴ、三日月・オーガスを召喚し、ルプス鉄華に合体」

 

 

ー【ガンダム・バルバトスルプス[鉄華団]+三日月・オーカミ】LV2(3)BP13000

 

 

オーカミは再びオルガの効果を発揮。トラッシュからブレイヴカードを蘇生し、それをルプス鉄華と合体。

 

ルプス鉄華の見た目に変化はないが、性能は大きく向上した。

 

 

「ルプス鉄華でアタック。その効果でアークワンを消滅」

「くっ……小癪な」

 

 

ルプス鉄華の攻撃をいち早く察知し、二振りのブレードを構えるアークワンだったが、それを持ってしても、ルプス鉄華の動きは捉えられなかった。

 

一瞬の内に懐に入り込まれ、太刀と大剣の二撃をくらい、呆気なく爆散して行く。

 

 

「パイロットブレイヴ、三日月の効果。滅のLVコストを+1して消滅」

 

 

アークワンを難なく倒したルプス鉄華が、次に狙いを定めたのは、滅。瞬く間に背後へ回り込み、蹴り飛ばし、破壊した。

 

これで、ワイチのフィールドにいたスピリットは全滅。

 

 

「馬鹿な、オレのスピリットが全滅しただと!?」

「消えるのはスピリットだけじゃない。三日月の追加効果で、鉄華団の数だけリザーブのコアをトラッシュへ叩き付ける」

「!?」

 

 

オーカミの鉄華団スピリットは、合計4体。よって4つのコアがワイチのリザーブから弾かれる。

 

これでは、前のターンに手札に加えた防御マジック、仮面の魂も使用することはできない。

 

 

「コアが、マジックが使えない!?」

「ルプス鉄華は合体でダブルシンボル。ライフを2つ破壊する」

「!」

 

 

ここまでの戦術を、数少ないターンで組み上げたオーカミに恐れ慄く暇もなく、ワイチの眼前には、太刀と大剣を構え直したルプス鉄華の姿が。

 

 

「やれ。ルプス鉄華」

「ら、ライフで」

 

 

〈ライフ2→0〉ワイチ

 

 

「ぐ、ぐぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

ルプス鉄華は、「ライフで受ける」と言うワイチの宣言を待たずして、彼の残りのライフバリアを全て斬り裂く。

 

これにより、勝者は鉄華オーカミ。ワイチのBパッドから「ピー……」と言う無機質な機械音が、このバトルの終わりを告げた。

 

 

「や、やった。オーカミが勝った」

 

 

オーカミの勝利を喜ぶセンカ。想い人の無事で一安心している様子。

 

 

「ぐっ……まさか、『ディーパー』であるこのオレが、負けただと!?…鉄華オーカミと鉄華団。これ程までなのか」

 

 

敗北を喫したワイチ。片膝を曲げ、悔しさに己の拳を荒廃した大地に殴りつける。

 

その間、あまりのバトルダメージによるものからか、彼の「緑」の漢字が刻まれた仮面に亀裂が生じて。

 

 

「おい、約束だ。教えろよ、オレのこと」

 

 

歩み寄って来たオーカミが、ワイチに訊いた。

 

 

「貴様。自分が誰なのかわかっていないのか?」

「いいから、早く教えろよ。あった気がするんだ、失った記憶の中に、一番大事だったモノが!!」

「……」

 

 

言い合いの中で、ワイチはようやくオーカミが過去の記憶を失くしてしまっていることに気がつく。

 

 

「オレから言えることはただ1つ。そのデッキを捨てろ。そうしなければ、貴様は、世界を滅ぼすことになる」

「……?」

 

 

オーカミがワイチの言葉の意味を整理しようとしている最中、亀裂の生じていたワイチの仮面が、遂に全壊。

 

 

「ッ……オマエ」

 

 

その素顔は、黒々とした、闇の霞。明らかに「人」と言う存在から掛け離れていた。邪悪な闇を固めて、人という形に収めた存在と言う表現が、最も適切である。

 

 

「……オレっちは、今までなにを」

「っち?」

「ッ……オーカミ。オマエ、無事だったのか!!」

「!?」

「オレっちは最初から信じてたぜ。オマエは昔から諦めが悪かったからな」

 

 

まるで人が変わったように、オーカミに対して親しげになるワイチ。

 

その言葉も、行動も、もちろん容姿も訳がわからない。オーカミは混乱するばかりだ。

 

 

「いやぁ、マジで良かった。これでみんな、喜……ぶ」

「……」

 

 

混乱した頭の中を整理することすらできないまま、ワイチはそのまま塵芥となり、消滅した。

 

闇でできた顔だったため、実際の表情はわからず仕舞いであったが、その声色と仕草から、最後はかなり喜んでいたことだけは伝わった。

 

 

「……」

 

 

オーカミが勝利した影響だろうか、気がつけば、荒れ果てた街並みは消え去り、元の東京の街に戻っていた。

 

 

「オーカミ、よかった。無事だよ、私達!!」

「……」

「てか、オーカミ凄すぎ。バトル強いんだね、顔良くてバトル強いとか、最高すぎ」

 

 

駆け寄って来たセンカ。しかし、オーカミはそれに返答することはせず、ただその指先が震えるばかり。

 

 

「……」

「え。ちょっと、オーカミ、オーカミ!?」

 

 

自分自身でも理由がわからないまま、オーカミは心に大きな喪失感を感じながら、その場で気を失ってしまう。

 

 

「え、ウソ。救急車……が、いいよね」

 

 

卒倒したオーカミをなんとかしなくてはと思い、慌てふためくセンカ。

 

すると、そこへ迫る人影が1つ。

 

 

「ちょっと待って」

「え」

「大丈夫。意識はあるみたいだ」

 

 

現れたのは、20歳前後の青年。白衣を着用していることと、この状況に自分から乗り込んで来たことから、ある程度の医学を齧っているものと思われる。

 

 

「ただここからだと病院は遠い。救急車も時間がかかるだろう。僕達の研究所で良ければ、彼を一緒に……」

「え。いや、あの、貴方は」

「おっと失礼。僕の名前は嵐マコト。とてもエクセレントな、研究員さ」

 

 

青年、嵐マコトは、センカに向けて柔和な笑顔を向ける。彼は果たして敵か、味方か。

 

 

 

 

 

 

 

 





次回、「徳川研究所」



******

《キャラクターファイル》

【鉄華オーカミ】
性別:男
年齢:??
身長:159cm
誕生日:??
使用デッキ:【鉄華団】
概要:過去の記憶がない。記憶の中にあるはずの大事ななにかを求め、彼は鉄華団と共に真のバトルスピリッツに挑む。
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