巫女寺子屋〜雪の巫女の学園生活〜   作:holly2026

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第1話氷月しずくと始まるお話

第1話

 

 

現代妖怪

昔いた妖怪のカッパや化け猫、ろくろ首やガシャドクロとは違う都市伝説で語られるオバケたちの総称である

現代の日本には神の力を持つ巫女の人数が少なくなり、現代妖怪が逆に増えていっていた

そんな妖怪たちを退治するために、四人の巫女が今、立ち上がる

 

 

 

 

「…ということで、しずく、明日から巫女寺子屋…巫女の学校みたいなものね、そこに通うわよ」

 

「へー、お母さん学生さんになるんだ…頑張ってね、うどん美味しい…」

 

母親の話を半分聞きながらうどんをすする白色の巫女

水色と白の透き通った雪のような髪が特徴の彼女の名前は「氷月しずく」

由緒正しき巫女の一族氷月家の跡取りにて「雪の巫女」の称号を持つ巫女であった

うどんを食べ終わったしずくは手を合わせる

 

「ごちそうさまでした。じゃ、私は部屋に帰ってポコモンするから」

 

「待ちなさい! 何を勘違いしたのかわからないけど…巫女寺子屋に通うのはあなたよ。しずく」

 

「…」

 

母の言葉にしずくはフリーズする

まるで氷の魔法をかけられたようだった

そしてようやくしずくの脳は母親の言葉を理解する

 

「えぇ!!? なんで私!!?」

 

「若い巫女を育てるためよ。最近あなた、部屋でゲームしてばかりだし…巫女枠で簡単に入れるらしいし」

 

「巫女枠って何!? 私は学校なんて嫌なんだけど!?」

 

涙目になり首をブンブン振りながら拒否を示すしずく

しかし、母はそう言われるのを予想していたように続けた

 

「ちなみに、巫女寺子屋は天然温泉と食堂が付いてるわよ」

 

「行く」

 

こうしてしずくは巫女寺子屋で暮らすことになった

 

 

 

 

 

翌日、某都会駅

 

「…✕✕線、✕✕線…ど、どこにあるの〜?」

 

巫女寺子屋に向かう途中でしずくはどの電車に乗れば良いのかわからなくなっていた

 

「✕✕線入口から入ったのにどうして◯◯線に出るの…」

 

するとしずくの肩に乗っていた白い身体を持つ狐が目を開いた

 

「さすが、田舎者殺しの迷宮と呼ばれてる駅だね〜」

 

「氷狐、私たちどこから来たんだっけ…?」

 

涙目になるしずくの肩で氷狐と呼ばれた狐は首を横に振る

 

「さっきまで目をつぶってたから知らないよ」

 

「ひ、ひどい…」

 

この氷狐はしずくが旅立つ際に母親からもらった式神である

式神は持ち主のみこのサポートをする存在なのだが忠実な下僕というわけにはいかないようだ

 

「こ、このままじゃ巫女寺子屋に着く前に飢え死にしちゃうよ…」

 

「流石にそれはないとは思うけどね。その辺歩いてる人に聞いてみれば?」

 

「そんなコミュ力あると思う!?」

 

涙目で氷狐を睨むしずく

そして、空を仰ぐ…事ができず天井を仰ぐ

 

「「あぁ、どこなのここ!!?」」

 

と、その叫びは隣りにいる少女のものと重なった

 

「え?」

 

横を向くと赤いセミショートウルフカットが目に映る

ミニスカート状の赤い袴の下には黒いスパッツが履かれている

胸はあまり大きくないのか、それとも脇の下辺りから見えるサラシで押さえつけているのか…そこは触れないでおく

そしてその頭には赤いトカゲが乗っていた

 

「ねえ、君ももしかして…巫女?」

 

肩に氷狐を乗せていたこともあり、赤い少女にそう聞かれた

しずくは隠す理由もないので頷く

 

「うん、「雪の巫女」氷月しずくだよ。はじめまして」

 

「ボクは「火の巫女」炎月あかね! よろしくね!」

 

あかねは笑顔で手を差し出すと、しずくはそれを握り返す

 

「ところで、しずく…」

 

あかねは真剣な表情でしずくを見つめる

 

「な、なにかな?」

 

少しだけ顔を赤くしたしずくは聞き返す

するとあかねはヒソヒソ声で話し始めた

 

「…✕✕線ってどこにあるか知らないよね?」

 

「知ってたら叫ばなかったかなぁ…」

 

「ですよね~…」

 

どうやらあかねも迷子のようだ

 

「ところで✕✕線ってことはあかねさんももしかして巫女寺子屋に?」

 

「「も」ってことはしずくも?」

 

「そうなの! わぁ、偶然とはいえなんだか嬉しいなぁ!」

 

しずくはあかねの手を握り嬉しそうに笑う

するとあかねは手を握られたせいか顔を真っ赤にした

 

「そ、それはいいんだけと…早くこの迷路を脱出しないと…」

 

「迷路って…」

 

あかねの頭に乗ったトカゲがため息を吐く

そんなトカゲを見て氷狐が同情の視線を送った

 

「君も苦労してるみたいだね」

 

「お互いね…」

 

「あぁ〜!!!」

 

そんな式神たちの会話を聞いたのか、偶然二人の横を通り過ぎようとした少女が声を上げる

同時にしずくとあかねは一歩下がる

その理由は…

 

(じ、ジャパニーズギャル!!?)

 

黄色いローツインテールが床まで届くのではないかという長い髪の毛に上半身の着物上の服とは真逆の、まるで制服のようなプリーツのミニスカート

背景には謎のキラキラエフェクトが見える気がする

そしてそれを見たしずく達は察する

彼女は自分たちとは違うタイプの人間だと

しかし、そんな少女はお構いなしにニコニコと笑いながら口を開く

 

「もしかして、お二人も巫女だったりします?」

 

「ぇ、ア、ハイ」

 

気が抜けたようなあかねの返しに少女は更に眩しい笑顔になる

 

「やっぱりそうなんすね! ウチは雷月ひかりって言います! ついこの間雷月家の「雷の巫女」を継いだばかりの新参者なんすけど、お二人も巫女っすよね!? いいなぁ、喋る式神。ウチもこの間巫女寺子屋に入る用に式神買ったんすけどまだ喋らないんすよ、お二人のはもう相当長い時間訓練とかしてるんすか? ウチも見習って早く立派な巫女になりたいっすね! ちなみにお二人、名前はなんていうんすか? あ、出来れば式神ちゃんの名前も知りたいっす!」

 

マシンガンのように喋るひかりにあかねはだらだらと冷や汗を流す

確実に、種類が違う

こいつは光の者…またの名を陽キャ!

あかねはどうする、と言わんばかりの視線をしずくに向けるが…

 

「って、しずく、溶けてる溶けてる! ひかり、少しその眩しいの抑えて!」

 

「眩しいって何がっすか?」

 

「オミズオイシイナァー」

 

「しずくは現実逃避しないで!」

 

 

 

 

「ありがとうございました〜」

 

売店のおばちゃんが手を降る

しずく達はなんとか辿り着いた売店でアイスを買ったことで半溶け状態から復活したのだった

そして…

 

「じゃあひかりちゃんも迷子に?」

 

「そうなんすよ…いつもなら✕✕線に出るなんて簡単なんすけど…」

 

ひかりは首を傾げる

聞いた話ではひかりは秋葉原出身らしい

この駅にも何度も足を運んでおり迷子になるのは初めてとのことだ

 

「流石におかしくないか?」

 

「いや、しずくが迷子になるのはいつものこと…」

 

「氷狐は黙ってて」

 

肩に乗る氷狐に圧をかけるしずく

話が進まないのであかねは勝手に続けることにする

 

「さっきからボク達以外のお客さんが居なくなってるし、ひかりが出口すらわからない。これってもしかして…」

 

3人の頭の中には一つの答えが思い浮かぶ

 

「現代妖怪?」

 

「だとすると、そいつを退治しないと本当に駅から出られなくなるんじゃ…」

 

ひかりが不安そうに言う

それに対ししずくとあかねはにやりと笑う

 

「それならわかりやすい!」

 

「さっさと退治して巫女寺子屋に急ごう!」

 

そう言いながら立ち上がった

 

「さ、流石先輩達…頼りになるっす! それで、その妖怪ってどこにいるんすか?」

 

「…」

 

ひかりの質問に黙り込む2人

ひかりは次第に、また不安そうな顔になる

 

「…先輩?」

 

「妖怪ならこっちよ」

 

「わっ!?」

 

いきなり3人の後ろから声をかけてきた人物に驚き声をあげる三巫女

慌てて振り返ると黒く長いぱっつんヘアの片目隠れ、そしてオーソドックスながらも赤い部分が黒色になっている巫女服を着た巫女が立っていた

 

「あ、あなたは?」

 

「私の名前は来月みらい。「時の巫女」。ちなみにあなたとは違う字を書くから」

 

「え?」

 

みらいを名乗った巫女はひかりの方を一瞬見てそう言った

そして、そのまま歩き出す

 

「時の巫女…何者なんだろう?」

 

「と言うか、私今、名前教えてなかったっすよね?」

 

ひかりが少しだけ警戒するように言う

 

「兎に角着いていくしかないかな」

 

しずくの言葉にあかねとひかりも頷く

そしてみらいは複雑な道のりを迷うことなく何処かへ向かって歩く

 

「あの…」

 

しずくはみらいに質問をしようとするがその言葉を遮るようにみらいが口を開いた

 

「私は未来を見ることができる、だから正解の道のりを導き出すのも容易い。ちなみに、戦闘能力はあまり無いの。だからあなた達が力を貸してくれないことには私は脱出できないの」

 

「お、おお、質問する前に質問の答えを返すなんて…」

 

どうやら本当に未来予知の能力があるようだ

 

「じゃあ、もしかして…内容」

 

「っ!?」

 

しずくが何かを言いかけるとみらいが吹き出す

そして振り返る

 

「あなた、天才ね」

 

「それほどでも」

 

そして2人は握手する

 

「…あかね先輩、今なんでみらい先輩吹き出したんすか?」

 

「さ、さぁ…」

 

みらいは再び道案内を始めると誰にも見られないように笑う

 

「内容が、ないよう…ふふ…」

 

 

 

 

しばらく歩き進めると地面にたくさんのたわしが落ちている

それを見たひかりは首を傾げる

 

「なんすか、あのたわし…」

 

「そっか、ひかりはこういうの初めてか」

 

あかねがひかりの隣に立つ

一方みらいはしずくの隣に立ち、それを指さす

 

「あそこの道案内の地図…あれよ」

 

「なるほど、わかった」

 

しずくはそう言うと肩から氷狐を下ろす

 

「まさかほんとに現代妖怪のせいとはね」

 

氷狐が着地すると同時にたわしがザワッと動き始めた

 

「な、なんすか、気持ち悪!?」

 

「あれは下級妖怪、クリノツクモ。気をつけなさい、割と強いわよ」

 

みらいの言葉と同時にクリノツクモが一斉に飛びかかる

しかしそれと同時にあかねが地面に手をつく

 

「ひかり、みらい、動かないでよ! やるよ、火炎トカゲ! 炎柱!!!」

 

「おうよ!」

 

あかねの頭に乗ったトカゲが光り出す

次の瞬間、地面に魔力が流れ込み、あかねとひかり、そしてみらいの周りを炎の壁が包み込んだ

するとクリノツクモは炎に飛び込んでしまい、すべて燃えてしまう

 

「す、すごいっす」

 

「あなたもいずれできるようになるわ。あと、見てなさい。多分この中で一番強いのは…」

 

みらいの言葉を遮るようにしずくが右手をあげると、その手のひらに水分が集まっていく

そして氷の刃が形成された

 

「ボクのサポートいる?」

 

「ううん、平気だよ」

 

氷狐に笑顔を向けるしずく。そして

 

「はっ!!」

 

その刃を地図に向けて放つと地図に化けていた妖怪がまるで虫のような動きをして逃げ出すが次の瞬間地面についた手が凍りつき四つん這いの姿勢のまま動きを止める

そして…先程投げた氷の刃が拡散し妖怪の体を貫く

すると妖怪の身体は煙のようになって消えた

 

「…え、消えた?」

 

驚くしずく

本来妖怪は封印する必要があるのだがそれを経由せずに消えたことに違和感を感じたのだ

そんなしずくの横に移動したみらいがジト目になる

 

「そう…悪趣味じゃないかしら、先生?」

 

みらいの言葉に全員が同じ方を向く

するとさっきの売店の店員のおばちゃんが立っていた

 

「あら、流石時の巫女の家系ね。1人だけ何もしてなかったみたいだけど運も実力のうち。合格よ」

 

そう言ったおばちゃんは服を脱ぐとまさに正統派な巫女服に身を包んだ女性に姿を変える

 

「私は月月みこと。巫女寺子屋の学園長よ」

 

「え、えぇ!?」

 

みことはニコリと笑って事情を説明した

今回の妖怪騒動はすべてみことが用意した式神による巫女寺子屋に合格するかどうかのテストだったとのことだ

そして四人は協力してその試験に合格できたとのことだった

 

「じゃあ…」

 

「ええ、巫女寺子屋へ案内するわね」

 

みことは指を弾くと5人は何処かへワープした

 

「わっ!?」

 

突然の妖術にひかりは驚きあかねに抱きつく

抱きつかれたらあかねはもちろん顔を赤くする

 

「ひ、ひかり、恥ずかしい…」

 

「あ、すいませんっす…」

 

そして…しずくがその建物を見上げた

 

「ここが…巫女寺子屋!」

 

4つの建物が並んで建っているそこでしずく達の修行の日々が始まるのだった

 

 

 

 

続く

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