第15話
「やらかした…」
ここは巫女寺子屋の裏の森
今日、しずくはいつもの3人とピクニックに来ていたのだが花を見ながら歩いていたところ、いつの間にか3人とはぐれてしまったのだ
おまけにここは結界の中
妖怪が出る恐れもないため式神は置いてきてしまったし、森からでは巫女寺子屋の校舎は見えない
「完全に迷子…いや、私に限ってそんなはず…」
なんて思っている時だった
「〜〜〜♪」
「え?」
森の奥から聞こえてくる優しいメロディー
それに釣られるかのようにしずくは森の奥へと踏み込む
すぐそこには崖があり、そこに人影が1つ…
真珠色の髪を2つのお団子にまとめたロングヘア、前髪には音符方の髪留めを付けている巫女がいた
背の高さはかなり低めで袴の色は淡い紫色、白衣には楽譜のような金の模様が入っている
何よりも特徴的なのは巫女服の所々に金色の鈴が付いているところだろうか
「…ふう」
歌い終えた巫女は小さく息を吐く
それを見たしずくは自然と拍手をした
「わぁ、すごい上手いんだね、歌」
「ぴゃあ!?」
しずくに気がついた巫女は驚き崖から足を滑らせる
しずくは青ざめ、慌てて自分も崖から飛び降りる
「捕まって!」
「ひーん!?」
なんとか巫女の手を掴んだしずくは空中に氷を作って浮き上がる
するとお姫様抱っこの状態になっている巫女が真っ赤になって震え出す
「ああああ、あの、ああ、ありがががが…」
どうやら恥ずかしさやら驚きやら崖から落ちた恐怖で混乱しているようだった
崖の下に着地したしずくはそっと巫女を降ろすと、胸に手を当てる
「驚かせちゃってごめんね。私は雪の巫女、氷月しずく。あなたは?」
「え、えっと…音月いろは…う、歌の、巫女、です…」
(声ちっさ!?)
今だに耳まで真っ赤な巫女、いろはにしずくが苦笑いする
「あ、あの、し、しずく様は何であんな場所に?」
「…すごくきれいな歌声が聞こえたからかな?」
迷子だったとは口が裂けても言えないしずく
それを聞いたいろははニコリと笑う
「きれい、でしたか?」
「うん、感動しちゃった。いろはちゃんは歌がうまいんだね」
「…えへ…う、歌の、巫女ですから…」
恥ずかしそうに、しかし嬉しそうに言ういろは
しずくはホッとしたあと周りを見回す
どうやら崖の下は道になっていたようで巫女寺子屋まで帰れそうだ
「せっかく歌がうまいのに、なんであんな場所で歌ってたの?」
「わ、私…人前だと…すぐに恥ずかしくなっちゃって歌えなくなっちゃって…」
だから崖で声を出す練習をしていたということだろうか
「確かに人前で歌うのは恥ずかしいよね。でもいろはちゃんは私と違って上手いんだから恥ずかしがることないのに」
「…うう…」
赤くなり小さくなるいろは
それを見たしずくは少し悩んだあとにいろはへ手を差し伸べた
「それなら、明日、私と一緒に訓練しよう?」
「え?」
「…今からは私に少し用事があるから…」
まだ迷子中途は言えないしずく
しかしいろはの事を応援したいのも事実である
その提案にいろはは…
「あ、あの、私、誰かと、訓練したこと、なくて…」
「それなら尚更ちょうどいいよ。明日の9時に庭の花壇のところにいるから、もしオッケーなら来てね?」
「は、はい、絶対行きます…!」
こうしてしずくといろはは一緒に訓練をすることになったのだった
翌日
朝9時丁度に花壇の前に行くと既にいろははしずくのことを待っていた
しずくはそんないろはに声をかける
「おはよう、いろはちゃん。朝ごはんはもう食べた?」
「あ、しずく様…おはようございます。その、ちゃんと食べてきました」
それを聞いたしずくは「よしっ」といろはに手を差し伸べる
「じゃあ、行こうか」
「は、はい!」
いろはは手を握り返すと2人でグラウンドへ向かう
そして、そこで改めて2人は自分たちの術について話し合う
「私はこうやって雪や氷、水も操れるよ」
「わ、私は歌で仲間の力を強めたり…あとは歌で相手を倒したり、色々起こせたりします」
サポートタイプかな、と思いつつもしずくは質問をしてみようと口を開く
「色々って…」
しかし、その質問は
「しずく、大変だ!」
走ってきたあかねの声にかき消される
「あ、あかねさん、どうしたの、急に…」
「みらいが妖怪に捕まっちまった! 崖の下に巣があってボク達だと近づけないんだ!」
「え!?」
それを聞いたしずくは顔色を変える
それを見ていたいろはも驚いた評定をした後…
「い、行きましょう。しずく様なら、氷でこの間みたいに崖を降りれますよね…?」
「うん…急ごう!」
こうして、緊急任務、来月みらい救出作戦が始まった
はたして、しずく達はみらいを救うことができるのか
続く