第22話
「みんなで海に行きたいっす」
食堂でそう言い出したのは雷の巫女、雷月ひかりだった
まるで夏休みを楽しみにしている子どものごとく、目をキラキラと輝かせながら話すひかり
おそらくだがリア充の過ごす夏の海での輝く時間を想像しているのだろう
例えばスイカ割り、流しそうめん、花火に海水浴まで…
しかしながら、その言葉を聞いていたしずく、みらい、あかねは全員顔を曇らせる
「露出はちょっとなぁ…」
あかねがそう言って断ったのを皮切りに
「明るいところは嫌いね」
みらいが断り
「そもそも私、なんか海が苦手で…」
しずくも断る
ひかりは「え〜…」と不満そうな声を漏らす
と、ほぼ同時に反対側のテーブルに座っていた巫女が突然立ち上がった
青いロングヘアにはところどころ白い波のような模様が入っていて巫女服は正当な青と白のもの
少しお姉さんな見た目のその巫女はテーブルを叩く
「海が嫌いとは聞き捨てなりません!」
「え?」
目が点になるしずくに詰め寄る青い巫女
彼女はしずく達のテーブルの横に立つと再びテーブルを叩きながらもう片手を胸に当てる
「私は「海の巫女」海月くらげ! あなた、海が嫌いと言いましたね!?」
そう言い寄られたしずくは慌てながら言い訳を始める
「だ、だってなんか、魚はいっぱい出し、波かなんか嫌で…」
「さかなのどこが怖いのですか!?」
「ぅ…」
しずくの口から漏れる「ぅ…」の声。単に「面倒な人間に絡まれた」という気持ちの現われだった
あかねとみらいも「苦手なものは人それぞれだから」とくらげを止めようとするが暴走気味のくらげは止まる気配を見せない
するとひかりが便乗するように立ち上がる
「海、いいっすよね! やっぱり夏のバケーションと言えば海っす!」
「若いのに見どころがあるわね、あなた。海に行きたいと言ってましたよね、もしよければみんなで私の実家の砂浜に遊びに来る?」
「是非!」
盛り上がる陽キャ達を見ながらしずく達陰キャ側の巫女は頭を抱える
巻き込まないでと言いたいがそう言えば言ったでくらげの長い説教が始まりかねない
「…ボク、当日風邪ひこうかな?」
ボソッと呟くあかね
完全に頭を抱えている
「私も…」
便乗するようにしずくが呟いた
夕食に野菜炒めを出された時くらい顔色が悪い
「ダメね、バレる未来が見えるわ…」
みらいもいつも以上に暗い顔をしながら床を見つめる
太陽のように明るく話すひかりとくらげの横でまるでお通夜ムードになる3人なのであった
続く
次回「夏だ、海だ、氷月だ!」編に続かない