龍姫終焉譚ー滅びの運命を破壊する者ー   作:龍姫の琴音

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第十三話観測された異変

琴音が修行を続けていると、天照と月詠から呼び出しを受け、観測室へと向かった

 

「お呼びですか?師匠、先生」

 

「待ってたぞ琴音。ちょっとこれを見てくれ」

 

天照が空中に二つの画面を表示する。そこにはぬ数の数字の羅列が映し出されていた

 

「何の数字ですか?」

 

月詠が右側の画面を指差す

 

「こちらは、琴音が最初に訪れた世界から算出された観測値です

“歪み“が発生すると、このような数列として反応が現れます。私達はこの数値を検知したからこそ、貴女に調査を依頼しました」

 

続けて、左側の画面に視線を向ける

 

「そして、もう一つは……私達が消滅させた世界の観測値です」

 

琴音は二つの画面を見比べる

しかし数字は無秩序に並んでいるようにしか見えず、共通点はどこにもない

 

すると月詠は操作パネルに触れて表示範囲を拡張する

 

拡張された観測値の後半部分の数値が一致した

 

「っ……!」

 

琴音の表情が変わる

 

「貴女から“違和感があった“という報告を受け、通常より深く解析した結果です

極めて微弱ではありますがこの二つの世界は“同一の歪み”の影響を受けていた事が判明しました」

 

「それって……普通じゃないって事ですか?」

 

琴音の問いに天照が真剣な表情で答える

 

「普通じゃない

“歪み”っていうのは異世界の力と世界そのもののエネルギーが拒絶反応を起こした結果、生まれるもんだ。同じ数値になるなんて本来あり得ねぇ」

 

本来はあり得ないことが起きている。それはつまり……

 

「……誰かが意図的に引き起こしている可能性が高い」

 

その言葉に琴音の背筋が凍る

 

もし、誰かが歪みを意図的に操っているとしたら、それは神に匹敵する力を持った存在という事になる

しかも、観測を逃れるほど微弱な干渉量に調整しているとしたら──相手は“観測者“の存在すら把握している可能性もある

 

月詠は二つの画面を消し、新たな観測結果を表示する

 

「そして、この世界からも同じ数値が観測されました

 

そこに映る観測値は先ほど一致した数列と同じ反応を示している

 

「誰かが意図的に行なっているのか、それとも私たちが未だ観測した事のない未知の歪みなのか……現時点では判断できません」

 

そことで言葉を区切り、二人は琴音を見た

 

「観測者として琴音、貴女にこの世界の調査を命じます」

 

天照は静かに笑う

 

「行ってこい。お前の五感全部で、その世界を感じてこい」

 

そして、真っ直ぐ琴音を見る

 

「その先で、お前自身の答えを見つけて来い」

 

初めての任務は“救済“という目的が最初から決まっていた

 

だが、今回は違う

 

見て、感じて、考え、自分で結論を出さなければならない

自分の報告一つで、その世界の命運が決まる

 

琴音はその任務の重さを理解していた

 

「……その調査、全力で遂行します」

 

本音を言えば怖い。自分の言葉で、世界の生死が決まる

だが、それ以上に嬉しかった

 

二人が自分を信じ、任せてくれた事が

 

もう二度と、目の前で世界が消える光景を見たくない

 

その思いを胸に、琴音は異世界へと繋がる門へ足を踏み入れた

 

───

 

とある異世界

桜舞う国に鎮座する城

その一室で、九つの尾を持つ女性が静かに瞳を開く

 

「……来ます」

 

その言葉に傍で腕を組んでいた大柄の男が口元を吊り上げる

 

「そうか」

 

男はまるで、待ち望んだ祭りが始まるかのように笑う

 

「なら、迎えにいかねぇとな」

 

嬉々とした表情のまま、男は隣に置いてある金棒を肩に乗せ、部屋を後にした

 

静寂の中、一人残された女性は障子の向こうで舞う桜を見つめる

その瞳には期待と不安が入り混じっていた

 

「この出会いが、この国を、世界を救う希望となるのか……」

 

一瞬の沈黙、やがて、未来を恐れるように呟く

 

「……それとも、終焉を招くのか」

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