全ての議題が終わり、会議が終了する頃には日が暮れていた
琴音は部屋に戻り一息ついていると轟鬼丸が琴音の部屋に向かってくる気配を感じ取る
琴音が襖を開けると丁度、襖を開けよとした轟鬼丸と鉢合わせするような形になった
「っと、出掛けるのか?琴音」
「いいえ、こっちに来る気配を感じたから出迎えただけ。それで、何か用?」
轟鬼丸は答える代わりに『酒』と書かれた大きな瓢箪を見せる
「飲もうぜ!」
あまりにもと突然の申し出に驚くが、戦いの最中に戦いが終わったら飲もうと約束したのを思い出す
「そういえばそんな約束したわね……喜んで申し出を受けるわ」
轟鬼丸が飲む場所に選んだのは常世桜が一望できる場所だった
今日は満月のため、空には大きな月が輝いており、月光に当てられた常世桜は神秘的な雰囲気を纏っている
「今日は満月のようね」
「酒を呑むには最高の景色だろう」
二人は並んで腰を下ろす
轟鬼丸は琴音に盃を渡すと、瓢箪から酒を注ぐ
「当主様がお酌なんてしていいの?」
「今は当主じゃねぇ。戦友としてここいる」
そう答えながら轟鬼丸は琴音の盃へ酒を注ぎ続ける
「それに、片目が見えないせいで距離感が掴めないだろう。せっかくの酒を溢されるわけにはいかねぇからな」
口ではそう言っているが常世桜の防衛という一番重要な役目を琴音に任せ、瀕死の重傷を負わせてしまった事を轟鬼丸なりに気にかけているのだろう
「なら、お言葉に甘えていただくわ」
琴音は盃に注がれた酒を一気に飲み干す
「この酒を一気に飲むとは中々の酒豪だな」
そう言うと轟鬼丸も酒を一気に飲み干た。そして空いた二つの杯に再び酒を注ぐ
「私は特殊な体質だから酔わないのよ」
「体質?」
琴音は少し考えた後、天照と月詠が神である事だけを伏せて自分の出自について轟鬼丸に話した
話を聞き終えた轟鬼丸はしばらく黙って酒を飲みんがら考える
「なるほどな。龍を宿す存在から龍と同化した存在になったて所か」
「同化……確かにそうね
人の姿をしながら血の一滴に至るまで龍と同じ。人のように成長もしないし、食事や睡眠をする必要もない
でも、美味しい物を食べれば美味いと感じるし、眠れば体力の回復も早くなる便利な体だから結構気に入っているだよね」
それに、この体になったからこうやって育て親である二人の仕事を手伝えるわけだし不満はない
「……その体でもその怪我が治るまでには時間がかかるんだな」
琴音の右腕と右目に視線を向ける
「まぁ、これは特殊な傷だからね。完治するのは今日を合わせて三日ってところかな。怪我が治り次第、若葉と一緒に出発するつもり」
「外の世界か……俺も行ってみたいぜ」
轟鬼丸なら周囲の反対を押し切ってでも外の世界に行きそうだがそれをしないという事は桜花国の当主としての自覚がしっかりとあるようだ
「もしも私が苦戦するような敵がいたら呼んであげるからそれまでは防衛に専念していてよ」
「お前が敵わない敵がいるとは思えないが楽しみにしているよ」
淡い期待を持ちながら轟鬼丸は聞き流すように答える
たった二人だけの宴会だが、二人は互いに生き残った事を喜び、今後の事を語り合った
楽しそうに話す様子を常世桜は静かに見守っていた