龍姫終焉譚ー滅びの運命を破壊する者ー   作:龍姫の琴音

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第十五話桜花国からの旅立ち

水平線から朝日が昇り、桜花国を明るく照らす

朝日に照らされながら琴音は右腕を動かして正常に動く事を確認する

 

「腕の状態は良好。右目もしっかりと見える。問題なし」

 

身体が万全の状態に戻った事を確認すると、琴音は部屋を出て城の厨房へと向かった

 

厨房では若葉が旅に必要な荷物をまとめていた

 

「準備は出来た?若葉」

 

「はい!」

 

若葉はいつもの給仕服ではなく旅装束に身を包み、背中には大きな鞄を背負っている

 

「それじゃあ行こうか」

 

二人は城を出て港へと続いく城下町を歩き始めた

 

すると、福乃と源蔵が店の前で琴音達を待っていた

 

源蔵は小さな包みを琴音に差し出す

 

「握り飯だ。旅の途中で食ってくれ」

 

「私達がしてやれる事はこれぐらいしかないけど……無茶するんじゃないよ。必ず、無事に帰ってくるんだよ」

 

福乃は心配そうな表情を浮かべながら琴音達を見つめる

 

「勿論、全部終わらせて若葉と一緒に帰ってくる。約束する」

 

琴音は包みを受け取り、二人に向かって強く頷く

福乃と源蔵に見送られながら琴音と若葉は海岸へと向かった

 

海岸に到着すると轟鬼丸、葛葉、織葉の三人が二人を待っていた

 

「準備は万端か?」

 

轟鬼丸が尋ねる

 

「いつでも出発出来るよ」

 

「私も、忘れ物はありません」

 

二人がいつでも出発出来ると答えると織葉が若葉の前に両手を差し出す

織葉の手の中には全身が真っ白な小さな子蜘蛛がいた

 

「貴女を守るための特別な力を込めた私の子供です。きっと貴女を危険から守ってくれます」

 

織葉の手から若葉の手へと移った子蜘蛛はそのまま腕を伝い肩の上まで移動する

 

「ありがとうございます!」

 

若葉はお礼を言い、織葉は満足そうに微笑んだ

 

その様子を見ていた琴音は葛葉の隣に移動して織葉に聞こえないように小声で尋ねる

 

「ねぇ、あれって大丈夫なの?桜花国の防衛に支障が出ない?」

 

桜花国の至る所に織葉の子蜘蛛が情報を集めるために動いている

その力を若葉を守る力に回したら桜花国の防衛に支障をきたす恐れがある

 

「普通やったらそうや。せやけど、織葉はそこを上手く調整するんや

子蜘蛛一匹当たりの力を抑えてその分、子蜘蛛の数を増やす。抑えた力をあの一匹に集中させる事で国の防衛力を落とさずにあの一匹を生み出したんや」

 

「……つまり、葛葉も文句のつけようのない方法だと?」

 

「せや。そこまで考えられたら、うちも文句は言えへんわ……」

 

葛葉は小さくため息をつく

 

国の防衛に支障を来さないよう、あらゆる手段を講じた上で若葉を守るための特別な子蜘蛛を用意した

その執念とも言える過保護ぶりに琴音は関心と同時に絶句した

 

「まぁ… …若葉の安全が確保出来るなら良してしましょう」

 

これ以上とやかく言うと織葉が何をしでかすか分からないので琴音はこれ以上の追求をする事は止めた

 

それぞれが別れの挨拶を済ませ、出発の準備が整うと琴音と若葉は船に乗り込む

 

「それじゃあ、出発するよ若葉」

 

「はい!」

 

帆を張り、船は風を受けて琴音達を載せて大海原に向かって進み出した

 

琴音と若葉の旅が始まった

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