龍姫終焉譚ー滅びの運命を破壊する者ー   作:龍姫の琴音

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第七話力の流れとその行方

天照の修行を終え、琴音は城内に設けられている大浴場に身を沈めて、修行の疲れをしていた

湯気の立ち昇る天井を見つめ先ほどの天照の言葉を思い出す

 

「届いているのに届いていない……」

 

防御を破るだけの龍気は出せていた。でも、実際は破る事は出来なかった

 

「なにが違うのかな……」

 

手応えは確かにあった。でも、結果は失敗だった。どうしてダメなのか後一歩で分かりそうだがわからない

手を伸ばした先に答えがあるのに掴む事ができないもどかしい気持ちになる

答えの出ない自問を続けていると風呂の扉が開き、全裸の天照が入ってきた

 

「なに難しい顔して悩んでんだよ。風呂っていうのは体と心を癒す場所だぞ」

 

「天照!タオルを巻きなさい!」

 

遅れて月詠が体にタオルを巻いて入り、全裸の天照を叱る

 

「風呂に入る時にどうせ脱ぐんだからいいだろう?」

 

「貴女には羞恥心というものがないのですか!?」

 

「羞恥心もなにもここにはお前と琴音しかいないんだぜ。互いの裸なんて何回も見た事があるんだから今更気にする必要ないだろう」

 

「淑女の嗜みってものがあるでしょう。まったく……」

 

天照は身内しかいないから問題ないと思い、月詠は身内でも無闇に裸を見せるものじゃないと正反対の考えを持っている

 

「まぁ、風呂に入っちまえば同じだろう」

 

笑いながら天照は掛け湯をしてから風呂に入り、琴音の右隣に座り、月詠はタオルを外して掛け湯をしてから琴音の左側に座る

風呂は三人が入っても余裕があるほどに広いが三人で入るとなった時はこれが定位置となる

 

「はぁ〜……仕事終わりの風呂は最高だな!」

 

湯船に浸かり、腕を伸ばしてリラックスする

 

「貴女がもう少し力加減をしてくれればもっと早く修復作業が終わるはずだったのですよ」

 

月詠が小言をいうが天照はまったく気にした様子もなく風呂を堪能している

 

「先生、修復作業って何ですか?」

 

「技のぶつかり合いの余波で吹き飛んでしまった庭園の修復作業です」

 

「あっ!」

 

あの時は技が通用しなかった事しか頭になくて気づかなかったが、あれだけの力がぶつかり合えば周囲に多大なる影響が出るのは当然の事だ

 

「琴音が気にする必要はありません

本来であれば修練場でやらなければならない事を興が乗ったという私的理由でやらせた天照に全ての責任があるのですから」

 

「だからちゃんと私が責任を持って直しただろう」

 

「結果的にはそうですが私が問題視しているのは過程の方です

貴女はまとめて修復していましたが、それでは修復しなくてもいい余計な所にまで力が及んでしまい時間がかかります

まとめてではなく、修理したい箇所にのみ力を注げば回数は必要ですが修復時間は少なく済みます」

 

「それが面倒なんだよな。力任せにドン!済ませた方が早いし楽だろう」

 

「その結果、時間がかかってしまったら意味がありません。余計な力が入れば、流れが乱れてしまうでしょう」

 

(余計な所……流れが、乱れる……)

 

「あ……」

 

二人の会話を聞いていた琴音は何かに気づき湯船から立ち上がる

 

「お?どうしか琴音」

 

「師匠!先生!ありがとうございます。自主練してきます!」

 

「ほどほどにしておけよ〜」

 

「善処します!」

 

二人を残して風呂から上がり、残った二人は顔を見合わせる

 

「これで良かったのかしら?」

 

「自分で気づき、実行し、反復して体に刻む。これが強くなる為の修行法だ。あいつは私達の会話の中でそれに気づいた。なら、後はあいつ次第だ」

 

「修行となると厳しいわよね貴女は」

 

「月詠は逆に講義の時は優しいが、それ以外だと厳しいよな」

 

「なら、互いに飴と鞭になっていいんじゃないかしら?」

 

「はは、違いねぇ」

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