龍姫終焉譚ー滅びの運命を破壊する者ー   作:龍姫の琴音

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第八話龍を纏った一閃

あれから数日が経ち、琴音達は修練場にいた

この場所は世界と隔離されており、外部からの干渉を受ける事も、内側の影響が外に漏れる事もない

そのため、全力を出す事が出来る

 

「再試験、お願いします師匠」

 

「前と何が違うか見せてもらおうか──閉ざせ、天岩戸」

 

天照は防御結界を展開すると、琴音は静かに抜刀の構えを取る。その様子を少し離れた場所から月詠が見守っている

 

(琴音は、私達のヒントに気づいて修行を始めてまだ数日……大丈夫なのでしょうか?)

 

月詠は不安を抱くが、天照は嬉々として再試験の申し出を受け入れた

 

抜刀の構えを取った琴音は、一度大きく深呼吸をして心を落ち着かせて目を閉じる

視覚を遮る事で周囲の気配がより鮮明に感じられる

目の前で結界を張る天照の気配は強く感じ、少し離れた場所にいる月詠の不安な感情を琴音に向けているのが分かる

 

(流れが、分かる……)

 

龍とは、自然エネルギーを取り込み、それを龍力へと変換する存在

更にそれを龍気に変える事でブレスを放つ事が出来る

その一連の行為を龍達は無意識に行なっている。無意識に行えるという事は最も効率的にエネルギーを取り込めるかを本能で知っているからだ

 

(自分から集めに行くんじゃなくて、自然の流れに身を任せる)

 

かつては龍力を得るため、自ら自然エネルギーを集めに行っていた

しかし、それは流れに逆らう行為であり、結果として力を取り溢してしまう

 

流れを身に委ねる──その瞬間、琴音を中心に自然エネルギーが集まり始めた

それらは体内で龍力へと変換され、更に龍気へと昇華されていく。そして、全てが龍葬へと収束されていく

 

(自然エネルギーを龍力に、龍力を龍気に、そして、龍気を龍葬に集約させる)

 

それを工程として分けるのではなく、一つの“流れ“として繋げる

そうする事で力は一切の滞りもなく、力の全てが龍葬へと収束される

 

「──行きます」

 

静かに目を開き、そう告げた瞬間、龍葬から龍気が溢れ出す

その光景を見た天照は笑みを浮かべ、好戦的な目を琴音に向ける

 

「面白い!お前の本気を見せてみろ!」

 

天照もまた全力で応えるべく、防御結界に一層の力を込める

空気が震え、その振動が極限に達した瞬間──ピタッ!と空気の震えが止まり空間内が静まり返る

 

それが合図だったかのように琴音が動く

力強く地面を蹴り、天照との間合いを詰め、全力の一撃を叩き込む

 

「龍刃閃!!」

 

放たれた一撃が結界と激突した瞬間、凄まじい衝撃が修練場全体に衝撃波となって広がった

 

「なんという衝突……」

 

月詠は咄嗟に結界を張って自分を守る

衝撃波を受けた結界は激しく震え、その威力の凄さを物語っている

勝負の行方を確認するために月読は二人の方に視線を向ける

 

「あ……」

 

そこには琴音の一撃を天叢雲剣で防ぐ天照の姿があった。琴音の一撃が天照の結界を破壊したのだ

 

「合格だ琴音」

 

「ありがとうございます師匠」

 

互いに武器を収め、試験が終わったのを確認して月詠も二人の元へと歩み寄る

 

「合格おめでとう琴音」

 

「先生もありがとうございます。ですが……あの技はやっぱり実践向きじゃ無いですね

溜めが長すぎますし、その間は無防備になります」

 

今回は試験という前提があった

琴音が攻撃するまで天照は何もしないという状況だから出来たけど実戦ではそうはいかない

 

「確かに実戦では使い物にならないな

だが、神の防御ですら破壊できる力であるという事に変わりはない。後はお前がどう工夫してその長い溜め時間を克服するかだ」

 

「天照の言う通りです

私も見ていましたが琴音は流れを見極めて効率的に自然エネルギーを取り込めていました。後は、工夫と経験、知識を積めば心身共に貴女はまだまだ成長出来ます」

 

「はい!」

 

ここは終着点ではない

ただの通過点に過ぎない

自分はもっともっと強くなれる──

その確信を胸に、琴音はさらなる修行へと闘志を燃やした

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