居なくならなければならない   作:徒然の連れ

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新人と幻想体

いよいよ支部へ入ったが、なかなかの腐臭だ。

 

いたるところに瓦礫が散乱し、壊れた扉には旧L社のロゴが描かれている。

 

仕事では血の匂いはよくしたものだが、腐臭は久しぶりだ。

 

「うぇっ…臭いがひどい…」

 

シンクレアもこの臭いは応えるようだ。今にも吐きそうな顔をしている。

 

「今は飴玉しかないが、舐めるだけでも気が楽になるだろう。」

 

そう言い、イチゴ味の飴を渡す。

 

「ありがとうございます」

 

なぜ私がこのようなものを持っているのか少し疑問に思っているのかもしれない。少し唖然とした表情をしていたが、意外と甘党なのだよ私は。仕事柄糖分もよく摂取していたし。

 

「あ~ロレンス、私にもくれない?」

 

「もちろん」

 

そう言いコーヒー味の飴を渡すが、甘くないのがお気に召さなかったらしい、しかし私のポケットから何味が出るかはランダムなのだよ。ちなみに一番のはずれは卵味だ。

 

「ふむ…五臓六腑に染み渡る空気なり。却りて頭が清浄さる臭いやしれん」

 

ふむ、イサンはこのような臭いが好みなのか?そんなわけがないか。これは彼なりのジョークなのかもしれない。

 

異常な略語を使う良秀といい、若い子との会話には謎が多いな…努力せねば…

 

「もう一度申し上げますが、この中で死ぬと戦闘が終わっても生き返ることはできません」

 

「生き返る?」

 

「あはは、きっと流行りのジョークなんでしょ~。もう最近都市にどんな話が出回っているのか追いつけなくなっちゃった~」

 

確かに常識があればあるほど信じがたい技術であるな、鏡技術といい背後関係が気になるところだ。特色をこのような役割につける時点で圧倒的な懐事情が垣間見られるが…

 

虫と戯れながら暫く進み、私のポケットの飴も底をついたころ

 

「総員止まれ、前方に挙不者多数」

 

旧G社の者たちか、入り口にも屯しているのを見るにここは彼らの寄り合い所なのかもしれない。入口でもグレゴールのことを敵視していたのを見るに戦闘になるか?

 

「ご対面といこう」

 

暫く話したが、やはり彼らはグレゴールを敵視しているようだ、どうやら施術の後遺症なく過ごしたのが要因のようだが…敵となるならこの槌を振るうしかあるまい…

 

 

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その後も同じように戦っていると、今まで見たことのない造形をした敵と遭遇した。

 

「あれは何だ?旧G社の技術にはこのようになるケースもあるのか?」

 

「いや…俺の知る限りこんなになった奴はいない」

 

「私も見たことがありません。幻想体でしょうか?」

 

グレゴールやユーリでもこのような存在は知らないらしい。であるならば例の事件により生まれた「ねじれ」の一種なのだろうか、それとも「幻想体」の一種なのだろうか。

 

それよりもメガネの…ホプキンスだったか?ぐちぐちユーリに文句を言っているようだが

 

エンケファリンをくすねているお前が言えるセリフか?

 

この分だと役に立ちそうにないが…きっと案内人が居ないのもこのようなことを学ばせるためなのだろうな。

 

私が低級フィクサーだった頃はこんな考えで生きてきたわけではないが、都市では彼の方が一般的なのだから。

 

またしばらく進む。戦闘と探索を続け、戦闘にて死人が出て初めて蘇生したとき

 

時計が回る音と共に血が、肉が、内臓が巻き戻り元に戻っていく様子に対し、

 

「わあ~それすごいですね~」

 

「これくらいなら、と、特異点レベルだよ…。いったいどんな翼が裏に…」

 

ダンテが頭を押さえているようだが…ホプキンスの視線が気になるのか。確かにこの技術は欲しくなるだろうな。さすがにそこまではしないだろうが。

 

その後も歩を進めると、倒れている男に遭遇した。どうやらユーリの知り合いのようだがかなりの重体のようだ。

 

ファウスト曰く、この男は助からないとのことだが…アヤさんが

 

「あぁ~むしろそれでよかったよ。」

 

「お腹に穴が開いても生き返れるなんて、そっちの方が怖いでしょ」

 

「いや、むしろ運がいいか。お腹に穴が開いたら数秒で死ぬからね~」

 

そういう彼女の足元では蔓が蠢き、鋭い先端を作ろうとしていた。

 

やはりまだ「期待の新人」だな、自分が狙われているのに未だに気づかないとは。

 

昔の自分も本来このようにあっさりと死んでいたのかもしれない。人生の、フィクサーの先輩として手本を見せなくてはな!

 

「全員停止!」

 

そう叫ぶと杖を変え、アヤの腹を狙う枝を叩き潰す。やはり鋭いが固くはない。対処しやすい部類の敵だろう。

 

彼女含め大半の囚人も驚愕しているようだが、説明している暇はない

 

『戦う用意をして!』

 

「管理人様の命令だ手下ども!」

 

管理人の号令に合わせ、他の囚人も戦闘準備に入る。

 

私の数倍はありそうな体格だが、足元には鋭い蔦がびっしりと張られており、その上には白い林檎を模した頭がある。

 

「これが本物の幻想体か…噂には聞いていたが。報告書のよりは弱そうだな」

 

私は人格を被り、リウ協会のように拳を握る。さあ、始めようか。

 

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戦闘が終了し、人格を外す。

 

「あれ、こんなもんか?」

 

「幻想体は簡単には制圧できないくらい強力だって聞いたんですけど…」

 

ヒースクリフとイシュメールがファウストに尋ねる。確かに、先ほどの敵はあまりにも弱い気がするが…。

 

「このエリアではクリフォト抑止力が効いているようです。」

 

「クリフォト抑止力は幻想体たちを弱化させる力です。隔離室にて、より安全に幻想体を管理するために使われます」

 

道理で、しかし裏を返せば抑止力がなければ青天井に強さを得る可能性があるのか…。もう辞めてしまったが、パイプだけでも確保してから来ればよかったな。

 

まあ、後で手紙でも送っておこう。

 

その後も幻想体についてユーリさんから説明された後、私たちはさらに深い階層へと足を運んで行った。

 




???「切られたいです?骨が溶けます。肉が弾けます?死にはしません。」

???「すみませんでした。もうやめます。」
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