たくさんの方が書かれてるので、どんな要素が既に出てるのか把握しきれないので、間違いなどあればすいません
異界
情報生命体たる悪魔たちのホーム。森型のそこで、狩人は木々に紛れながら滑るように獲物に近づく。
手には弓。青白い光を僅かに放つそれを持ち、同じ光を発する板に乗って空中を進む。
霊力を限界まで押さえ込んだが故に、獲物は接近に気づかない。
位置につき、弓を構える。同時に周囲の気配を探り、敵の増援がないことを確認。
「主よ、悪魔を打ち払う力を」
祈りを唱え、弦を引く。応えるように現れる矢。それをつがえ、狙いを定める。
一瞬の後、矢は放たれた。
「だめだね」
「ですよねー」
その映像を見る俺とショタおじ。
俺は転生者、山田優羽。見た目は卍解斬月*1頭脳は平凡。
不労所得を目指して金のなる木を作っていた俺は、ついに一つ目の成果を挙げようとしていた。
未来の怠惰に夢中になっていた俺は、背後から近づく白い影に気づかなかった。
システムは鳩に加護を授けられ・・・
内心でふざけてないとやってられないね。
「幸い、天使の干渉は無いようだし、今すぐ破壊しなきゃいけない事態ではないかな。
でも、再稼働したいならセーフティを付けて僕のチェックを受けること」
「あざっす」
メシアに汚染されていれば、気づいた時点で流石に破壊する。天使の気配はしなかったから、一時停止後にショタおじチェックで済まそうとしたわけだけど。
「まぁ、これに懲りたら欲張りすぎないようにね」
「見透かされてたよなー」
ハンドルに手を添えるだけの運転席で呟く。
ガイア連合の超技術によって完全な自動運転を可能とした車は、本来それすらも必要ないのだが。
「あわよくば信仰をかすめ取ろう、なんてのは強欲に過ぎたね」
助手席から言葉が帰ってくる。
真っ白のロングヘアと色白の肌に、黒の瞳と服が映えるモノクロの色彩の彼女はエキドナ。見た目はリゼロの強欲の魔女。俺のシキガミで、魔法系統のサポート要員。今回のシステム構築では彼女に大いに役立ってもらった。
あわや腹切り案件になるところだった問題のシステムの名は、中央制御型後天的霊能付与システム。
長ったらしいので、提供する術式から取って滅却師システム。
媒体を用いて使用者から霊力を吸い上げ、中枢から使用者に術式を提供する。その際にいくらかの手数料をもらうことで維持費と利益とする。そんな思想のシステムだ。
これによって本人の才能に依らず一定の効果を発揮できる上、中央からの制御によって簡単に力を取り上げられる。
何よりペンダント一つ持っているだけでいいのはメリットだろう。かさばらず、小回りの効く手札を半オートで使える。ガイア連合の高レベル帯は必要としないだろうけど、そこそこの需要もあったはずだ。
四文字の加護がなければ。
何を隠そうガイア連合はメシア教が大ッキライな人ばかり。天使の気配が無くとも一神教関連は近づきたがる人間は少ないだろう。少なくとも他にも選択肢があればそちらを選ぶ。なんなら破壊しに来る人もいるかもしれないね。
流石にそこまではないか。
「いい案だと思ったんだけどな〜」
当初見込んでいた客層は、支部を持った黒札。
転生者以外は霊能の才能ある人間がほぼいない中で、本人の才能関係なしに一定の力を発揮できるのは魅力的なはずだ。それも、簡単に取り上げられるし、コストもかからないならなおさら。
「あそこまで利用しておいて、干渉してくるなってのは虫が良すぎたんだよ」
「確かに」
ショタおじにも注意されたし、流石にやり過ぎたか。
「当分は似たことはやらないほうがいいだろうね」
「そうだな。修行場異界に篭もるか」
そう返した俺をエキドナはジト目で見てくる。
「働きたくないんじゃなかったのかい?」
「仕事の絵と趣味の絵は違うって言ってるだろ」
「これは失礼」
修行場異界
恐ろしく深いダンジョン。悪魔達が現世に這い上がろうと絶え間なく押し寄せる異界を、難易度別に分けた修行場としてしまうショタおじの神業が光る場所。
傍らに本を浮遊させ、超音速での戦闘。
自分の適性は時間と運命。
初期スキルが【獣の眼光】となる程のそれは、研鑽を経て理不尽な速度を実現した。
それでも戦闘は続いている。
適性的に対策を持たない相手には一方的だが、この階層ともなると大抵対抗手段を持っている。
無心になって剣を打ち合うのも、様々な権能への攻略を考えるのも、どれも前世では到底味わえない楽しみだ。
だが、正確な体内時計がそろそろ夕飯の時間だと告げている。
「終わりにしよう」
(サポートするよ)
加速した時間の中、返事を期待しない呟きに、福音書となっているエキドナは返事をしてくれた。
【運命 ノルン】
時計を飾る3柱の女神。その姿を象ったペルソナが形を崩す。鎧のようにペルソナを纏う。
ペルソナが変じた外套が現れる。顔の上半分を覆いながら、視界の一切を邪魔せず、それどころか視界を劇的に拡げる仮面。無数の瞳を持つ外套は、主に時を超えた視野を与える。
どちらかというとポンチョだよなと頭の片隅に浮かぶが無視。
「近眼なのが玉に瑕だな」
(その分多く見えるだろう?)
それまで互角だった打ち合いは一気にこちらが有利になる。
動く未来を先読みして動き出しを潰す。
それへの対処も先読みして裏目になるよう立ち回る。
バックステップに張り付くように前進。
仕切り直しの全方位技をエキドナに妨害させる。
あらゆる行動を先読みし、対処する。運命の操作によってそれの成功を確約する。
流石にこの階層の悪魔はしぶとい。
適性が特化している分攻撃力が低めなのが同格帯ではやはり響く。エキドナも魔法で援護してくれているが、攻撃力よりも応用力を求めたが故の器用貧乏さが出ている。
(そろそろ決めてくれたまえよ)
流石に大技無しで削り切るのは面倒か。
隙を晒すがしょうがない。
高位の霊能者なら、苦手をそのままにはしておかない。
方法は様々なれど、切り札を必ず持っている。
だから、俺は得意を伸ばした。
初期から高位のスキルが出るほどの適性なら、それが一番効率がいい。
極まった時間操作によって、同じ事象を同一座標に積み重ねる。
9つの斬撃を一つにまとめたその技は
「
ここまでよく耐えた悪魔は、今度こそ耐えきれずに粒子となって消えていく。
「やっぱご飯が美味しいのが一番だよね」
ガイアカレーを食べながら、そう実感する。
もっと考えて戦ったほうがいいのかな〜。
でもつい無心になって
ハムハムといえばハム子ネキに断りの連絡入れなきゃな。タルタロスも良さそうだけど夜固定なのがなー。もうちょい気ままにやりたいしなー。
思考を取っ散らかせながら、食を進め、おかわりも食べる。
そんな俺をエキドナはいつも楽しそうに見ている。