ちょっとした設定なんかをTipsで場面転換の時に入れるようにしました。
編集でここ好きがちょっとずれました。すいません。
「助かった。これでいくらか楽になる」
「他ならぬ君の頼みだ。問題はないとも。
良ければまた来てくれ。今度は正式に歓迎させて貰うよ」
今日初めて会った司教殿に別れを告げ、教会を後にする。
メキシコシティ。強い日差しが鋭く肌を刺すものの、吹き抜ける風が清涼感を与えてくれる。ジメジメとどこまでも不快な日本の夏とは違い、気持ちのいい暑さ。
こんな時期に個人的理由で海外遠征なんぞしているのは、占術で近々デカイことが起こると出ているからだ。それが何なのかまでは不明瞭だが、後回しにして終末でも来てしまったら、海外なんて行けるか分からないからね。
日本では絶賛大規模異界攻略中だが、幸いこちらに外せない用事はない。熱田神宮は神代から神剣を祀ってきた神社だけあり、周辺の地脈は長年制御され続けている。そもそも今回の大異界攻略も地脈制御をしやすくするためなので、名古屋周辺には異界攻略の必要が無く、他所の応援でもなければ出番が無い。
そうした事情で、中米はメキシコまで来たのだ。
中継地点のメキシコシティで暫しの情報収集に勤しんだので、そろそろ本命へと向かおうかというところ。
変化で人型となったエキドナと腕を組みつつ、街の中心から外縁へと向かう。人目が無くなれば縮地と空中歩行を併用して一気に目的地に向かう予定。黒のオフショルと白のロングスカートのエキドナ*1と、胸元を開いた
「月島さんごっこ? だっけ
期待以上の収穫だ」
「誰だって恩人には口が軽くなるからね」
装備類をアップデートしたのがつい先日。
それで出来そうだった記憶改竄を用いることで、司教の恩人となって情報を引き出した。
月島さんのように対象の過去に自身を挟むのではなく、記憶に隙間を作ってこちらが恩人というだけの雑な記憶を埋め込むことで、勝手に補完してくれる感じ。
自分が体験した出来事では無いので、どんどん膨らむ知らんエピソードに話を合わせるのが大変だった。彼の恩人はどんな超人なんですかね。
「メシア教が隕鉄採掘に手を出すとは」
「あれも資源だからね、むしろ遅いくらいだよ」
メシア教と目的地が被ってしまったが、今遠征の目的は隕鉄採取。それも、あわよくばヴィブラニウムを手に入れたいといったもの。
「ただの隕鉄だろう。悪魔や異界由来でもないのに、ヴィブラニウムなんて採れるのかい?」
「そのものがあればいいけど、多分創ることになるかな。その時に、産地と隕鉄と言う来歴が重要になる……はず」
衝撃を吸収発散し、存在するだけで周囲の植物を変質させるような金属が自然発生してたらちょっとこの世界を見直さないといけない。
ありえないと言い切れないのが霊能の世界だが。
マーベルにおいて登場するこの幻想金属*3は、作中において採掘場所が2ヶ所明示されている。
しかし、ワカンダは作中でも場所を明言されていないし、タロカンは大西洋の海底国家だ。これだけでは絞り切れない。そこで、隕石からの採掘物というのが手がかりとなる。
アフリカは多神連合の大敗から間も無いため避け、タロカン帝国のルーツとされるユカタン半島の隕石落着地点を探せば、有名なものが一つ。
恐竜絶滅の最も有力な原因とされる巨大隕石。その痕跡である、チクシュルーブ・クレーターが今回の目的地。
「それにしても、
「メシア教は全体的に雑だからかな。
征服に忙しかったんだろうし、遥か昔に支配下にした地域に目を向けなかったとしても不思議では無い」
それでも500年弱生き延びて来たのは凄い。特に、アステカなんかは生贄を必要とする信仰だから、隠れ続けるのは難しいはず。何か絡繰があるのだろうか。
せっかくだからということで観光しつつの道行きは、夕暮れにやっと街外れに辿り着いた。ちょっとのんびりしすぎた感があるが、一刻を争うような用事では無いし、そうかからず着くだろう。
「E.D.I.T.H. ナビ宜しく」
『通信感度良好、目的地設定、最短ルートをAR表示。
電霊の愛人でもいたのかい?』
元ネタ*4に沿って伊達眼鏡に指示を出せば、すぐさまノイマンから皮肉と共に作業の完了を告げられる。
「じゃあ行こうか」
準備の完了を告げれば、エキドナは変化を解かず、両手を広げて所謂ハグ待ちの姿勢。
これはアレか?
「夕焼けの中、男女二人で空の旅。なんともロマンチックじゃないかい?
一度やってみたかったんだ」
思わず漏れた苦笑に不満げな表情を浮かべる相棒をお姫様抱っこする。
「フライトは約1時間の予定となっております。落ちないようしっかり捕まってくださいね。
「多少遅れたって問題ないさ」
空から見た夕焼けは、綺麗だったとだけ。
【Tips】男女の関係に水を指すものは馬に蹴られる。
光差す聖堂。天におわす主に見守られながら、教えに生きる証である法衣に身を包んだ彼らは、吉報を喜び合っていた。
彼らの中心には世界地図が広げられ、勢力図を示すように色が塗られている。北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパと広大な範囲が同一色に染まったそれへ、新たにアフリカが加わった。
「アフリカもひとまず落ち着いたな」
「忌々しい悪魔共からようやく解放してやることが出来た」
「洗礼を施す準備も整ったと報告がある。直ぐにでも始められるだろう」
人的資源を蕩尽して目的へと邁進するメシア教にとって、供給源が増えたのは喜ばしいことだ。
「新たに掌握した地脈を使えば、大天使様をもお迎えすることが出来るやも知れぬ」
「吉報が続くな。やはり神は我らを祝福してくださっている」
「天使様もお喜びになるだろう」
重ねて、神の加護を確信する3人。
世界は我らの側にあるという認識を改めて共有し、次なる使命に取り掛かる。
「であるならば、次は南か」
「あそこはコソコソと鬱陶しい羽虫が、いつまで経っても飛び回っている。以前天使様も落胆されていた」
「それはいけない。
早急に片付けなければ」
一人が地図の一点を指し、彼らの視線が集まったのはアメリカのすぐ南。二つの大陸を繋げる橋のような部分である中米。遥か昔に征服し、支配下においているものの、地下にて抵抗勢力の残る地だ。
相手は長年潜み続けた組織。動きを察知されにくい少人数かつ圧倒的な戦力で、電撃的かつ徹底的に叩くのが最も良い。
「HM-01を送るのはどうでしょう」
「確かに、彼ならば必ずや使命を遂げてくれるでしょうな」
「今の本国なら他の成功作で十分だろう。何より天使様もおられる」
メシア教は、いずれ来る救世主を求める一神教系列のカルトだ。成立の過程で既に一神教とは呼べぬほどに天使崇拝に傾倒し、その勢いで人倫をも置き去りにした。
彼らは救世主を迎えるために、文字通り何でもする。
人間を苗床とし、天使の子を孕ませる。
──さすれば人間同士より救世主様の生まれる確率も高かろう。
人間牧場を運営し、多数の人間を産んでは使い潰していく。
──たとえ小数点の彼方であろうとも、救世主様が生まれるまで続ければいいのだ。
支配を広げ、才ある女を連れ去る。
──救世主様が生まれる可能性のある胎盤は多く確保しなければ。
救世主はそれでも一向に現れない。
当たり前だ。彼らの偉大なる主が定めた刻限を、どうして早めることができようか。
遂に痺れを切らした彼らは、自ら作り出す決断をした。強化兵士の欲しかったアメリカ軍とも協力し、人体を肉体的、霊的に改造した。失敗作も多いが、成功したものだけであっても数多い。
通信機で呼びつけた神の尖兵が来るまでの間、彼らは自らの偉業を誇るように語りだす。
「やはりV型覚醒剤は傑作だな。神の子をあれだけ生み出せるのだから」
「我らの聖なる奇跡を習得出来ないのは難点だが、彼らの賜った能力もまた一つの奇跡と考えれば良いか」
「しかし、人工救世主の最高傑作たる彼をしても、天使様は
彼らの言う救世主は、いつしか世界を救う者から、ただの超人へと成り下がっていた。
そんな彼らに水を差すように、部屋の扉が開かれた。
入ってくるのは、肌に密着する青い生地に金の装飾と赤の差し色が入ったスーツに身を包み、アメリカ国旗をマントとして羽織る偉丈夫。
「待たせてしまいましたか?」
法衣を纏った三人ともが、そちらに視線を向けざるを得ない。
取り繕ったような爽やかな笑みで、同じく響く声色で軽い謝罪を口にする。しかし、目は笑ってはいなかった。
彼こそは、人の手でメシアを作り上げるという狂気の到達点。
アメリカ軍とメシア教、二つの組織の持つあらゆる肉体的、霊的改造に適合し、我がものとした唯一無二の存在。
怪力、飛行、超耐久、熱線、透視、超五感。
いくつもの奇跡を押し込められた、模造の救世主。
──Artificial Messiah Project
──Hybridization Method
──HM-01
「ホームランダー。参上しました」
【Tips】人工救世主計画
メシア教が進める、あまりに本末転倒な計画。天使ほどの視座を持たない教会上層部が、自らの生きるうちに救世主を求めた末の産物である。
エキドナ
ちょっと羨ましかった。
優羽
結構ノリで動いてる男。スタークタワーから始まり、アメコミ関連のアイテム再現に最近は凝っている。
ホームランダー
元ネタ ザ・ボーイズ
詳しくはまた今度。
マーベル闘魂でデップーが悪魔博士いじりしてて笑いました。
後ペニー・パーカーがかわいい。思わず設定考えちゃいました。まだ出せる場面がないですけど。