誰かが言った。
真に富めるものは自らが利益を生み出すのではない。利益を生み出す仕組みを創造するのだと。
確かそうだった。そうだったはず。そうだったと思う。
「精密チェック終わったよ。
性能に問題はない。むしろハードウェア的な限界値まで高まっていると言っていい。術式規模、展開速度、応答速度、霊力効率その他全てが理論値だ」
エキドナからの報告を受ける。
ついつい考えることを面倒くさがってしまう自分のために、彼女の作製に使ったのは知恵と助言の女神メーティス。本来の姿は分厚い本で、美少女となっているのはメーティス由来の高い変身能力によるもの。作製当初の期待通りどころか、期待以上に役に立ってもらっている。
「理論値と言っても実験機だし、せいぜいLv10〜15を10人程度だろ?」
「例えその程度でも1支部の黒札を抜いた戦力は倍増するからね?
それに自己拡張プログラムもある。加護の限界がこの程度とは思えないし、再稼働すれば更なる機能向上が見込めるだろうね」
そう言われ、システムの本体を見る。
巨大な水晶のようなものと、その中心に埋まる四肢のない人影。それがクラウド型で霊能を提供するサーバー。
名付けて霊王。
自我を皆無にまで削って降霊した悪魔を元に、演算装置兼封印装置である水晶で囲ったもの。
仕組みとしては、要請された術式を滅却十字を目印にして遠隔転送する方式。多数並列処理は水晶側が担当する。
メリットはインターネットクラウドと同じ。クライアント側のスペックが足りなくともサーバ側で動かすことができるし、容量もクラウド側持ち。デメリットはサーバに依存することと遠隔故のラグといった所。
現在水晶のほとんどはハリボテで、リソースの増加と共に演算装置化していく予定だった。加護のせいでリソースは余っているが、拡張の方も止めている為そのままだ。
「どうやらこの素体に加護が授けられたようだね。
同一の物を新しく作っても自動で加護を授かることはないだろう。同じようにちょっかいをかけたらわからないけどね」
「大量生産して加護毟れたりしない?」
「大人しくするのではなかったのかい?」
パッと思いついたことを口に出せば、呆れ半分困惑半分の返事。流石にそこまで暇ではないのでやらないけど。
よく考えれば別にガイア連合に限る必要無いな。
メシア教に押されて弱った一神教や、メシアの穏健派閥に使わせてもいい。
本体である霊王の制御権さえあれば何時でも止められるし。セキュリティはショタおじに協力してもらう必要があるだろうけど。高位天使が出てきて乗っ取られましたは笑えない。
「タイミング外したしゆっくりでいいかな」
だが、いろいろ考えた結果面倒くさくなって先延ばしを選択。
そもそも一神教に伝手がないし、ただでさえ暴れまわってるメシアに与えたら管理面倒そうだし。
いっそ自分用にチューニングするのもいいかもな。並列処理に割いていたリソースを一つに集中すれば使えないこともないだろう。
ひと仕事終えたからか、エキドナがティーセットを取り出してケーキを並べ始めたので、同席する。
俺が単純に甘いものは好きだし、優雅な一時って感じも好きなのを知っているからか、時間が空くとよくティータイムが始まる。それ用のアイテムバックもあるくらい。買ったの俺だけど。
「熱田の人らには悪いことしたね」
前世も今世も愛知出身。そのこともあって縁の出来た霊能組織が熱田神宮。例のごとく碌な才能持ちはいなかったが、なんとか組織が残っていた所謂ガンギマリ勢。草薙神剣を祀っていたのが良かったのか、最悪の事態には至っていないといった感じ。
ガチャのハズレや趣味の手慰みで作った霊装を横流しするくらいの関係ではあるが、今回は実験機の稼働テストをしてもらっていた。その結果、巫女候補の一人が半分くらい改宗してしまっている。これに関しては、霊装が霊的弱者に与える影響を軽視していた俺が悪い。
八百万の神々カテゴリに四文字が含まれた感じに認識してるといいんだけど。
「これだけ優遇しておいてなお不平を叫ぶほどの恥知らずはいるまい」
早速ケーキを一口食べ、紅茶の香りを嗅いで固まる。
僅かな硬直を見逃さず、エキドナがクスリと笑って種明かし。
「探求ネキ*1のオカルト農業産の果物。それをふんだんに使ったケーキと皮を煮出したフレーバーティーさ」
どおりでやたら香り高いと思った。幾らになるんだこれ。
お小遣いの範疇で買ってきたんだろうけども。
「これからもテスターやって貰うなら心象は良いに越したことないだろ?」
いたずらが成功したと微笑みを深める彼女を努めて無視しながら、話を元に戻す。
地方霊能組織を下敷きにした地方支部創設やジュネスの建設が次々と進んでいる中、今のままの距離感を保つためにことを荒立てたくない。
これからも多数に最低限戦える力を与える方面で商品を作るつもりだから尚更だ。かと言って支部を作ってその長に収まるのは普通にめんどい。出来れば印税とか特許料とか土地代とか、権利だけで食っていきたい。
働いたら負けでござる。
現在連敗記録更新中。
【地元を】地方防衛総合 part10【守れ】
453:味覚糖
えー、滅却師システム販売ですが…無期限延期です
454:名無しの転生者
残当
455:名無しの転生者
残念でもないし当然
456:名無しの転生者
てかあの噂マジ?
457:味覚糖
>>456
どの噂かは知らんが、鳩の加護はマジ
458:名無しの転生者
メシアに汚染されたってこと?
459:味覚糖
>>458
汚染はされてない。ショタおじ保証つき。
ただ鳩の加護がついた。
460:名無しの転生者
鳩(物理)じゃなくて「あの」鳩?
461:名無しの転生者
え、待って。ショタおじが保証してるってことは汚染はないんだろ?
でも鳩の加護があるんだろ?
矛盾してないか? 概念がゲシュタルト崩壊するわ
462:名無しの転生者
>>461
一神教とメシアは別ってそれ散々言われてるから
463:名無しの転生者
【悲報】ワイ、期待のコスパ兵装を諦め、地道に金策することを決意
464:名無しの転生者
鳩「よっしゃ、いいシステムやんけ!ちょっとワイのサイン書いたろ!」
メーカー「ひえっ…(販売中止)」
これもう営業妨害だろ。神を訴えられる弁護士いないの?
465:名無しの転生者
でもよ、加護があるってことはメシア教の連中には特効入るんじゃね?
制御外れた天使たちを、正規の聖四文字パワーで黙らせる…
あれ? これ最強の対メシア教兵器になったんじゃね?
466:味覚糖
>>464
術式に一神教由来の概念使ったのがいかんかった
>>465
一神教による他宗教征服の原理で神秘否定するようにしてるから天使に効くか微妙。
最初は効くようにしてたんだけどね。鳩の加護がついちゃったからね。
467:名無しの転生者
なんならメシア日本支部に売りつけてやれよ
ぼったくっても泣いて喜ぶだろ
468:名無しの転生者
ペ天使「主の物は私のもの」
こういうオチ
469:名無しの転生者
あっ(察し)
世界征服の原理を転用とか、そりゃ鳩も「ええやん気に入ったわ」ってサインしに来るわ
470:味覚糖
システムを見直して、ショタおじチェックを受けた後にサービス開始を考えてるよ。実機の販売じゃなくてクラウドサービスになりそう。
>>468
それも有りだけど、管理がめんどい。
471:名無しの転生者
>>466
「天使に効くか微妙」って言ってるけど、それペ天使とかメシア教の狂信者が使ってるパチモン奇跡には特効だろ?
あいつらが信仰してんの「ぼくのかんがえたさいきょうのかみさま」だぞ?
472:名無しの転生者
術式を一神教由来じゃないやつに書き換えられないの?
あの値段で、覚醒さえしてれば才能ゴミでもちゃんと戦えるようになるのは魅力的なんだけど
473:名無しの転生者
>>472
一神教並みの「他宗教(神秘)を全否定して上書きするパワー」持ってる概念なんて、
そうそう無いだろ。
あったとしても、別のヤバい上位存在が釣れるだけな気がする。
474:味覚糖
>>472
無理。
レベル1以下でも使える燃費にするには一神教くらいの出力がいる。
475:名無しの転生者
販売された時のスペック見てまた考えるわ
476:名無しの転生者
デモニカ買うしかないか
477:名無しの転生者
まだ高っけぇし待ちもあるから期待してたんだけどな
478:名無しの転生者
そう上手い話はないってことかよ
ガチャのハズレ(ガイア連合基準)
手慰み(Lv40台霊能者基準)