【カオ転三次】怠惰を求めて   作:茅薙

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蜃気楼

 石造りの迷路には一切の光源が無く、しかし全くの暗闇では無い。空間自体が薄く発光し、無明との境界線を這うような光量を保つ。

 そんな明るさのせいで、一張羅の白い軍服が嫌に目立つ。

 

 修行場異界中層。

 ガイア連合の抱える大異界。その中でも、ショタおじによる試験を受けねば入ることの許されない深度。ここに出入りするのは戦う者に足を踏み入れた一部のみ。

 

 上層にあった配慮は撤廃され、悪魔の悪辣さが正しく牙を向く。更には不思議のダンジョン形式で構造どころか環境さえも頻繁に変わる。

 

 今日は正統派の迷宮構造だ。狭くは無いが、広くもない、嫌らしい幅の通路が続くその場所で、剣を構えた。

 

 剣先が指し示すのは【軍神 ヨシツネ】。鎧甲冑と刀で分かりやすい近接物理型。この辺りでは高い方のレベルだが、搦手が無い素直な相手だ。

 

『我こそはッ』

 

 悠長に名乗りなんぞしようとする相手に、音に気を遣いながら(亜音速)の踏み込みで放った斬撃は、紙一重で躱された。更には肩当てを使って流され、重心を崩すカウンターとされる。

 

「何だっけ? 源氏の狗?」

 

『奇襲はそれで終いか?』

 

 追撃を諦め、走り抜けるように距離をとって再度向き合う。戦闘中の会話なんぞ、互いに好き勝手言葉を投げ合うドッチボールみたいなものだ。噛み合ったら負けみたいなもんである。

 

 名乗りに邪魔し、挑発をしても鎌倉武士は冷静だった。

 首を飾り付け(デコレーション)と勘違いするような蛮族だ。名誉だの何だのは二の次なのだろう。

 

 そして、奇襲と同時に準備は済んでいる。

 白を基調とした軍服から、襟毛(ファー)以外が形式ばった黒のロングコートへ。時計を抱いた三女神を従え、傍らには半身たる魔導書(エキドナ)

 

 細身の剣を携え、裾の靡くロングコート。全身が黒に統一され、更には悪魔の頭骨のような仮面までつけた、中二病の化身がここに完成した。

 なんのことはない。従える女神が示すように俺はペルソナ使いであり、その方式が怪盗団(P5)だったというだけだ。

 

『何時ものは完了した。存分にやりたまえ』

 

 パスを通じた念話に、無言で感謝の意を返す。

 

 駄目じゃないか。敵にこんなにも時間を与えたら。

 奇襲の一行動(【マハタルカジャ】)会話の一行動(【マハスクカジャ】)、おまけに読み合いの一瞬(【テトラカーン】)。【獣の眼光】系列の認識時間加速(プレスターン増加)に追従する後衛は、既にダンスの準備を整えたぞ。

 

『むっ!?』

 

 一撃目とはギアの異なる動きに、ヨシツネが呻く。

 超音速でありながら、慣性を無視する機動。それから繰り出す無数の斬撃。

 それでも押されはしても耐えているのは流石といったところ。代名詞が【八艘飛び(超速8連撃)】なだけはある。

 

 孤剣による連撃を放つも、刀で流され、肩当て()で受けられ、頻度は低いが反撃まで入れてくる。

 

 両手の刀に加えて肩当てを盾のように使い、四刀流とでも言わんばかりの武芸。順調に傷を増やしてはいるものの、有効打は入らない。

 

「鬱陶しいな」

 

 あまり時間をかけるのも良くない。こいつ1体倒したところで旨味はたかがしれてるし、音で他の悪魔が寄ってきても面倒だ。

 

「援護解禁で」

 

『承知』

 

 今日は剣術の気分だったので縛っていたが、出し惜しみするほどではない。自分はただの剣士ではなく、本領は別のところにあるのだから。

 

 眼を開く。

 空色(アズール)の瞳がブレ、三重の重瞳となる。それが見るのは光ではなく、過去の重なり、現在の動き、未来の分岐。

 常時見続けると気分が悪くなりそうな景色であるために閉じていた視野を開く。

 

 そこからは一方的だ。

 

 動き出し、まだ力の乗っていない段階を軽く払ってやる。

 隙を誤魔化す行動は呪い(【ムドオン】)で阻害し、隙を広げるだけの悪手となる。

 たまらず距離を取るのに張り付くように前進し、間合いを支配し続ける。

 

 海流を見られるならば、舵を取り、航路を選ぶのは実に容易いこと。

 あらゆる行動を先読みし、対処が最も容易な段階で潰す。未来を見る者と戦うには、これを超えねば話にならない。

 

 しかし、中々にしぶとい。

 適性が偏っていて一撃の軽い俺と、多彩な手を持つが直接火力に劣るエキドナの、火力不足コンビなのでしょうがないのだが。

 

 まぁ、この体ともそれなりの付き合いだ。弱点をそのままにはしておかない。

 方法は様々あれど、俺の場合は得意を徹底的に伸ばすことにした。初期から高位のスキルに目覚めるほどの適性なら、それが一番効率が良い。

 

「カバーよろしく」

 

 エキドナの返事を待つより速く、ギアを上げる。

 瞬間的に加速倍率を増幅し、連撃系スキルを同時並行で行使する。九つの斬撃を一つの斬撃へと変えるその技に、憧れを込めてこう名付けた。

 

「"射殺す百頭(ナインライブズ)"」

 

『……お見事』

 

 あやかった技に違わず、防御も鎧も一切を切り裂いて、その斬撃は悪魔の命脈を断った。

 末期の言葉を残せるようではまだまだ修練が足りんね。

 

 

 

 

 

【Tips】修行場異界

 奥へ進むほど難易度が上がる、現実に存在するエンドコンテンツ。レベル1から100オーバーまで、難易度ごとに悪魔が出現するため、成長にはこれ以上ない環境だ。

 その実態は、魔界へ直通する大穴を異界で塞いだもの。底から現世を目指す悪魔を食い止める、人類守護の砦である。

 

 

 

 

 

【地元を】地方防衛総合 part10【守れ】

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453:バッハ

滅却師システム販売ですが…無期限延期です

 

454:名無しの地方勢

残当

 

455:名無しの地方勢

残念でもないし当然

 

456:名無しの地方勢

てかあの噂マジ?

 

457:名無しの地方勢

>>456

どの噂かは知らんが、鳩の加護はマジ

 

458:名無しの地方勢

メシアに汚染されたってこと?

 

459:バッハ

>>458

汚染はされてない

天使共の干渉が無いことは確認済み

 

460:名無しの地方勢

でも元締めにちょっかい出されてんじゃん

 

461:名無しの地方勢

一神教とメシアは別物ってそれ散々言われてるから

 

462:名無しの地方勢

メシア関係無くても持ってるだけで天使誘引機になるのはね……

 

463:バッハ

>>462

加護を貰ったからって気配を出す機能は無いから大丈夫なはず

 

464:名無しの地方勢

確か一神教系統の概念で作ったんだっけ?

他のバリエーションとか作れないの?

 

465:名無しの地方勢

カタログスペック的には結構魅力的だったんだけどなー

 

466:バッハ

>>464

それだと性能は下がっちゃう

利便性は変わらないけど、低レベルでも十分な火力になる神秘否定エンチャが出来なくなるからね

 

467:名無しの地方勢

一神教の他宗教征服を軸にしてるんだっけ?

 

468:名無しの地方勢

>>463

言い切ってくれ

 

469:バッハ

>>467

他宗教の神を貶めるやつからの派生だね

どっちかというと物理法則の押し付けのほうが近いけど

 

470:名無しの地方勢

俺ルール

四文字以外の超常は存在しない!

って感じね

 

471:名無しの地方勢

>>466

使わせれば木っ端でも最低限の戦力になるのは結構大きめの利点だったから残念

 

472:バッハ

不幸中の幸いというか、性能は上がってるから安全に使える工夫の後にまた販売を考えるわ

 

 

473:名無しの地方勢

こういうトラップもあんのか

 

474:名無しの地方勢

広まってから発覚じゃなくて良かった

 

475:名無しの地方勢

やっぱ金よ

地方でやってくなら金が無いと始まらない

 

476:名無しの地方勢

わかるけどさぁ

ある程度人数いないと地域の防衛とか出来んよ

 

477:名無しの地方勢

名家を取り込めばどっちも手に入るぞ

 

478:名無しの地方勢

才能ミソッカスだし

マッカじゃないから連合にいい顔されない

 

479:名無しの地方勢

そのくせ因縁とかは残ってる

 

480:名無しの地方勢

政治力を使って動こうにも動くための金が無い

 

481:名無しの地方勢

そこで修行場異界ですよ

ドロップを売って一気に稼げる

 

482:名無しの地方勢

そんな稼げるほどレベル上げてない

 

483:名無しの地方勢

あんまり地元を開けられないし

 

484:バッハ

まぁ、頑張って

 

 

 

 

 

 

【Tips】地方防衛

 金は無く、物も無く、問題は尽きない。

 人も物も富も、豊かな場所へ集まることをやめられぬ。

 それでも恵まれた環境に背を向け、荒野に道を切り開く者は皆、勇者である。




旧版でここスキ頂いた文章
鳩「よっしゃ、いいシステムやんけ!ちょっとワイのサイン書いたろ!」
メーカー「ひえっ…(販売中止)」
これもう営業妨害だろ。神を訴えられる弁護士いないの?
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