その周波数は「響き渡る」のか?   作:つヴぁるnet

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流星のロックマンの新作(リメイク)が出たことで大昔に書いてたことを思い出したのでとりあえず初投稿です。




第1話

 

カタカタカタ、と旧世代に扱われたデータを復元させながらコーヒーを片手に啜る。

 

それを今現代のバージョンに引き出せるよう書き換え、プログラミングを施し、3Dでシミュレーションを行う事で電脳世界にその効果を実現化させる。

 

しばらくして設定が完了するとHP2000に設定したダミー人形の前に先ほどプログラミングした試作データを放り込み、そして文字通りの『種』を放り込むことで正常に稼働するかを確認する。

 

 

準備はできた、あとは作動させるだけ。

 

 

 

 

そして___

 

 

 

 

 

 

ピガガガガガ!!

チュドドドドド!!

 

ピキィーーーン!!!!

 

 

 

 

とんでもない速度で削れるHPと共にデータ容量は許容範囲を超え、そしてモニターの画面が吹き飛んだ。

 

 

 

「どひゃぁぁぁあ!!!??」

 

 

 

それに驚いてドンガラガッシャーン!と椅子から落ちてしまう。

 

 

 

そしてドタドタと廊下から走る音が聞こえる。

 

 

 

 

「お兄ちゃん!?大丈夫!?」

 

「ぐえー、死んだンゴー」

 

「あ、けっこう大丈夫そう」

 

「いやいや、後頭部がいてーよ」

 

 

 

扉を開けて安否確認してくれたのは俺の妹だ。

 

それよりも部屋着じゃなくて、見栄え良いピンク色の可愛らしいパーカーを着ている。

 

そうか、時間的にそろそろか。

 

 

「あー、配信の立ち上げ、手伝おうか?」

 

「お兄ちゃんこそ大丈夫なの??」

 

「大丈夫だ。すぐに用意する」

 

「うん!わかった!」

 

 

クマ耳の付いたお気に入りのピンク色のパーカーを揺らしながらトタトタとした足取り。

 

ところどころ廊下からギィギィと音がするのは住まいが古いからだ。これは仕方ない。

 

しかしそれでもこの古いアパートは妹のお陰で色鮮やかに日々を映してくれるから、居心地が悪いなど考えた事ない。

 

しかし現状を考えれば今よりも綺麗な家に引っ越したい欲求はもちろんある。

 

とりあえずクラッシュしてスクラップになったモニターを適当に片付けると、妹専用のライブ配信のために用意した隣の部屋に移動する。

 

改めてココは古いアパートだが、ある部屋だけは配信映えするよう内装を綺麗に飾っており、その部屋の真ん中には妹が丸椅子に座ってマイク付きヘッドホンを頭に付けながらベースの弦と音源を調整している。

 

俺も配信用のノートPCを起動させ、半年前に亡くなった母から託されたこの世で一番かわいい妹の姿をミリとも逃させないためにカメラの位置を調査する。

 

 

そして短く打ち合わせを行うと配信開始。

 

 

配信が終わるまでは部屋を閉め、彼女だけの空間を作り、邪魔をしないようにする。

 

2時間弱で終わるだろう妹の配信だ。

 

それまでに俺は夜ご飯の仕込みをしながら隣部屋から聞こえる弦の弾く音と、あといつも通り配信に遊びに来てくれるリスナー達との談笑を作業BGMに俺は包丁を進める。

 

 

 

「母さん、あなたの娘は今日も元気だ」

 

 

病床な日々で寝込んでいた母親だけど、体調が良い日はこうしてキッチンに立つとトントンと包丁で音を奏でながら、お歌の大好きな娘のため楽しげに料理を作っていた。

 

その姿を少し離れたところで見ていた俺は見ていた。その光景はちゃんと覚えている。

 

だから今もこうして娘のために母が買ってあげたベースを弾いては好きな歌と曲を天国に奏でている。

 

その姿を……母に見せたい。

 

それよりも早くに亡くなってしまった殉職の父にも俺達は大丈夫だと知らせたい。

 

 

しかし今ここには俺と妹の二人だけ。

 

両親を亡くした『響』の名の兄妹だけ。

 

だから二人で生きていくだけ。

 

 

 

 

 

 

まぁしかし、それにしても…だ。

 

 

 

「いやはや。まさかこうなるとはなぁ…」

 

 

 

しんみりしてた気分は既に何処ぞへ、俺はこの現状にやや呆れ返りながらも、しかし便利すぎるこの世界を窓の外から眺めて懐かしむ。

 

だからつい包丁だって止まる。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()はともかく、まさか()()()()()()()……ってのは少しだけ語弊があるかもしれないが、でも結局は世界は同じ、か…」

 

 

 

唐突だが_____俺は【転生者】である。

 

何故そうなったのか、どうしてこうなっているかも分からず、ただ唐突に、それこそ前世で暇つぶしに漁っていた二次小説ハーメルンのようによくありげな展開の中で俺は産まれた。

 

唐突な転生息子にしばらく気持ちが追いつかなかったが、しかし人は慣れる生き物。

 

状況を理解しようと俺は知る。

 

この生まれたこの世界は前世と比べて非常によく発展した世界であり、それでいて比較的見覚えのある地球とお国柄に安心感を覚えながも同時に俺はある違和感を得た…いや、既視感を捉えていた。

 

その既視感とは、あまりにも唐突だった。

 

 

 

 

 

 

『メトメトォ?』

 

 

 

 

 

 

__いやメットールおるやんっ!!??

__ええええええええええ!!!???

 

 

 

 

最初は何かの見間違いかと思った。

 

しかしネットワークが良く発展した世界。

 

あと電脳技術。

 

そして技術的にも乗り物が宙を浮いていたりと俺の知る大和(ニホン)な世界よりも何百年と技術進歩している、そんな優れた時代背景。

 

まあだからか。

 

とてもアニメで漫画のような世界だなぁ、と感心していたらヘルメットを被ったウィルスを見た時は何かの見間違いかと思った。

 

そりゃあ随分と発展したすごい世界だなぁと感心しながら、この唐突な二度目に心躍らせていたが可愛らしいヘルメットのウィルスが視界にダイナミックエントリーである。ついでにツルハシまでブンブンと振り回していた。

 

 

 

ああ、もちろん、俺は知っている。

 

てかプレイしたことがある。

 

ロックマンという作品を。

 

それでいて【EXE】という作品を。

 

 

まあプレイ自体は随分と昔で、それも転生してから何十年前と時を重ねた魂故に記憶としてはEXEの内容どころか、正確にどのナンバリングをプレイしたかもあまり覚えていない。

 

なにぶん小さな子供の頃の話だ。

 

なのでにわかとして扱われても差し支えない知識程度しか持ち合わせていない。

 

けれど『ロックマンEXE』がどんな作品なのかを俺は覚えている。

 

そのEXEの中でも代名詞…と、言うほどになるのかはわからないが、しかし敵キャラの中でもマスコット的な扱いとなるウィルスの存在は覚えている。

 

それがメットール。

 

まあこの世界では『メットリオ』らしいが。

 

ともかく記憶に根付いてたこのキャラクターを見て俺はひどく驚き、この世界観を知識と照らし合わせながら調べに調べて、理解した。

 

 

 

___ここ、ロックマンの世界やん!

 

 

EXEではないけど、でもロックマンの世界。

 

前世と比べて凄まじい発展と共にウィルスも多様化されたゲームのようで漫画のような世界。

 

しかもこの数年間で更にウィルスの種類が増えている。最初はメットリオくらいのウィルスしかいなかったが、便利を求めて宇宙にコスモウェーブとやらを繋げてからはウィルスにも多様性が生まれたのか今は見たことないウィルスが地球にすごい勢いで増えている。

 

 

なので俺はそれに対するための、とある仕事を請け負うようになった。

 

元々趣味の範疇だったが、今となっては多様に化してきたウィルスに対抗するべく俺の趣味は仕事と化した。

 

お陰でロックマンな世界だと実感する。

 

デリートなんて言葉久しぶりに使ったもん。

 

 

ま、そんな感じだ。

 

それが俺の生まれた世界であること。

 

これが二度目の人生。

 

技術発展と共にネットと電脳が脅かされてしまう便利とリスクの競り合いが止まらない世界。

 

 

 

そして。

 

そこに加えて___もいた。

 

 

7つも年下の妹だ。

 

目に入れても痛くないほどに可愛らしい妹が家族の一員で、俺はその【兄】として今この場にいる。まさか二度目の人生で妹がいるとはな。

 

前世では一般的な消費者かつ納税者として生きていた一人っ子の俺には随分と祝福された二度目であるもんだな。

 

まぁ、その代わり両親は亡くしてる身だが。

 

 

 

 

 

オロローン♪

 

 

 

「??」

 

 

 

この17年間のあらすじに振り返っていると腕から外してテーブルに転がしていたトランサーから通知オンが鳴る。

 

ちなみに今のはオロロンというウィルスの電子音だ。音源化したら人間にはこう言う風にオロロンが聞こえるらしい。

 

ただし妹を除いて他の人にはあまり聞こえないらしいが。

 

生まれつきの性質なんかね?まあ良い。

 

 

 

「お?天地さんからメッセージか。急にどうしたんだ?……うぇ!?もうウィルスバスティングの効き目が下がったのか!?おいおい先月更新したばかりやぞ…」

 

 

この世界はなんと言うか、ロックマンの作品を知ってる者からしたらこの世界ってのは結構頻繁に事件が発生しやすい。

 

特にネットや電脳の関係。

 

ネットワークの発展とインフラの進化速度が凄まじい分、ウィルスが荒らしやすい場所も増えてしまい、しかもコスモウェーブの開拓を始めたことで更にこの数年でウィルスが種類豊富に生まれたりしている。

 

そのためこの数年間はファイアウォールやウィルスを迎撃するためのバスティングシステムの更新が高頻度で行われている世界だ。

 

腕のトランサーだってそう。

 

しかし用意されたはずの対ウィルスシステムは次々と現れるウィルスの環境に追いつかないことが日常的であり、そのため電波環境を守るために拡大化されたサテラポリスも有休消化できてるか心配になるレベルで毎日のように出動している。

 

それでも職業ランキング最上位なお仕事だから人員は豊富である…とは、言えないレベルで発展凄まじい今のニホンはウィルスの被害が非常に多い。なので治安維持のためにそこらではバトルカードや特殊な掃除機やレーザー光線銃などでウィルスを撃退するサテラポリスの姿はよく見かける。

 

前なんか突然建物の壁が壊されたり、バスが勝手に走行したり、無人のモノレールが半壊したりと、便利な分の代償が大きすぎる。

 

 

ウィルスの勢いは収まりを知らない。

 

 

「ま、あの研究所は半年前に完成したばかりの施設だからな。あの山地に適応してあるウィルスも全て把握したわけじゃないし、そりゃ更新続きなのはこの時代の定めですけれどもぉ…」

 

 

とりあえずご要望通り明日は研究所へ向かう旨をメッセージとして送り、料理を続行する。

 

それから妹の配信が終わり次第いつでも食べれるように料理を完成させると火を止めながらトランサーを起動し、明日向かう研究所に使われているウィルスのバージョンと種類を確認しながら予定を再確認。

 

 

「もしかしたら無属性専用のミサイルでは火力過剰だったか?そうなるとバルカン系を混ぜて雑兵を蹴ちらせるようにするか?いやその前にシステムの容量足りるかなぁ。いや研究所にあるファイアウォールからウィルスの侵攻データを拾わないとウィルスの行動記録と傾向わからんし、詳しいのは明日現地でいいか…」

 

 

エプロンを外しながら明日の予定を考える。

 

ポットからお湯を出してお茶を啜り、持っていくバトルカードのデータと、それに見合った容量を計算しているとガチャリと扉が開く。

 

 

配信をやり終えた妹の姿だ。

 

とても清々しい気分で姿を見せ、同時にお鍋から漂う夜ご飯の香りに表情を喜ばせる。

 

 

「もしかして肉じゃが!?」

 

「ああ、そうだよ。あと配信お疲れ」

 

 

歌うのもエネルギーを使う。

 

だから腹も減っただろう。

 

なので早めの夜ご飯として俺はコンロに火をつけて肉じゃがを温め、冷蔵庫のご飯を電子レンジに放り込んで準備をする。

 

手を洗い終えた妹は二人分の箸を用意して先に座っており、夜ご飯を待ち侘びる。

 

それから用意を終えて共に頂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、いつもありがとうね」

 

「んぁ?…ああ。兄だからな」

 

 

食べ終えて、それから二人分のお茶を用意して広くなってしまったソファーに腰掛ける。

 

俺が座れば、横に2回りほど小さな妹がちょこんと座って同じソファーでくつろぐ。

 

配信では活発に演奏しても、1日のエネルギーを使い果たせば年相応の甘えん坊である。

 

 

まだまだ小学生で11才の子供なんだ。

 

母を亡くしてからの孤独感は誤魔化せない。

 

 

 

まぁ……それは俺も同じ。

 

この身は二度目の生であり、その事実を隠してるような俺はとんでもない親不孝だが、母は愛情を注いでくれた。

 

それよりも早くに亡くなった父も愛情を注いでくれたし、そして残された男ひとりの俺に家族を任せると託してその生を終えた。

 

 

だから今は二人だけ。

 

この妹と_____ミソラの名を母からもらった彼女と共に残された安いアパートでどうにか元気にと彩り響かせる。

 

 

「わたし、お兄ちゃんが居てよかった。もし居なかったらどうなっているか分からなかったから」

 

「ミソラは強い子だ。わんぱくで元気で、あと食い気が強いから一人でもしぶとく生きるさ」

 

「もうっ!最後のは余計だよ!」

 

「冗談だ。でも半年前に母を亡くして、普通なら苦しくて悲しくて仕方ないのに、それでも落ち込まずに歩んでいる。俺はミソラを立派だと思っている」

 

「ううん…違うよ。わたしはお兄ちゃんが居てくれたから、今もこうして好きな音楽と向き合いながら母さんに届けられている。でもそれはお兄ちゃんが私のために育成学校を中退して、お金を稼ぐためにお仕事を始めたから私は好きなことができる。出来るなら私だって…」

 

「別にこだわりがあったわけじゃないし、俺は良いんだ。それに今の仕事だって元は趣味として楽しんでいたものだ。なんにも気にしちゃいない。それに出来るって話なら、ミソラが配信してるおかげでそれなりの収益があるんだよ?生活は君も支えている。日によっては俺より稼いでるぞ?」

 

「でもこうして好きな音楽で配信活動が出来ているのはお兄ちゃんがそのための環境を用意して助けてくれるからだよ。もし、わたしがお兄ちゃんもいなくて、一人孤独だったら何も分からなくて、それで多分良くない人に捕まっていたんだと思う。前なんてスカウトが来て、それで私の歌は儲かるから一緒にやろうって言われたくらいだし…」

 

「スカウトか。ミソラは頷いたのか?」

 

「ううん、断った。約束だもん。もし表舞台でも活動するならお兄ちゃんと相談するって」

 

「覚えてたんだな、偉いぞ」

 

 

わしゃわしゃと頭を撫でてやると「うぇへへ」とだらしなく笑うミソラ。

 

そしてそのまま甘えるようにゴロリとコチラの膝の上に頭を置いてミソラは寝転がる。

 

食後だからリラックスしているし、ご満悦。

 

 

そのうちで構わないがその時が来たらちゃんと兄離れしてくれるだろうか??そこが心配だ。

 

 

 

 

あ、俺はいつまでもシスコンでいるつもり。

 

父と母に託されたんだ。

 

だから、この大事な妹を守護(まも)らねば…!!

 

 

 

「あー、また変な顔してるー」

 

「ミソラが?食べた後だもんな。だらしない」

 

「もう!お兄ちゃんの方だよ!」

 

「『うへへぇ』ってしてる顔でどの口が言うか」

 

「これはいつもの事だからノーカン」

 

「さいですか、我が妹君」

 

「くるしゅうないぞ兄上。もっと撫でよ。そしてこのままアイスクリームも贈呈せよ!」

 

「アイスクリームは風呂上がったらな。冷凍庫から好きなの食え」

 

 

いつも通りのスキンシップ。

 

夜ご飯を食べ終わったらソファーで肩を並べて寄り添って、食後の幸せを追加の味付けに兄妹として少しだけ和やかに戯れ合う。

 

これが1日の終わり。

 

 

「ミソラ。スカウトとかで相談するようにと言ったのは俺だが、それでも最終的には俺の意思関係なく自分のやりたいを決めるんだよ?俺はあくまで未来までの時間稼ぎ。スタート地点とゴール地点はミソラ自身が用意するんだ。良いね?」

 

「うん、分かった。でも…今はこの生活で考えていたいから、まだそういうのは大丈夫だよ」

 

「そっか」

 

「うん。じゃ!お風呂入ってくるね!」

 

 

そう言って膝下から体を起こすとお茶を飲み干して風呂場まで駆けるミソラ。

 

妹の重みが消えた開放感と共にソファーに寝転がり、古びた天井を眺める。

 

そして風呂場から微かに聞こえるミソラの鼻歌を子守唄代わりに一眠りした。

 

 

 

 

さて、明日は軽く遠出だな。

 

あ、なんならあの場所まで寄り道するか。

 

素材も集めたいし。

 

遅くなるなミソラには伝えておかないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬわぁぁぁぁん、つかれたもぉぉぉん!!」

 

 

前世の知識から引っ張ってきた如何わしい語録と共に研究椅子にもたれかかりぐんっと背伸びする。

 

テーブルに置いてあるストローが突き刺さった飲み物に手を伸ばし飲もうとしたが、ストローは空気を吸って飲み物の中身が空であることを知らせる。

 

うへー、外まで飲み物買いに行くかー。

 

 

「お、お疲れ様、ワタルくん。た、大変な作業を煩わせて申し訳ありません」

 

「あ、宇田海さん。疲れ様でーす。あと別に大変では無いぞ。ただ…更新が面倒なだけだ!」

 

「は、ハッキリ言うんだね…」

 

「だってここ去年建てたばかりでしょ?NAXAでの伝手と資産はあったにしろ、未だアナログな部分はあるし、まだウィルスバスターの適応が完璧じゃないから研究幅も狭く、なんならロジックツリーも現代進行形で組み上げ中。あと主軸となる宇宙科学も去年やっと手をつけた段階だったりとまだまだ地固め足りないし。高技術を扱うにしてはもっとセキュリティー面を立ち上げ進めないと何処かでぶっこぬかれてしまう羽目になる。いやいや大変ですなー、現場作りってのは」

 

「でもワタルくんのお陰でウィルスの被害は出てないよ。お陰で仕事も進むし、本当に助かるよ」

 

「ご依頼の報酬額が結構良いからな。お得意様のために頑張りますとも」

 

「な、何か飲むかい?」

 

「奢ってくれるのか?宇田海さん優しいー」

 

「や、やさしい!?そ、そんなことは、別に僕は…」

 

 

 

ガチャ

 

 

 

「おっと、悪いけどボクが買ってきたよ。ほら二人とも差し入れ。ここまでお疲れ様」

 

「あざっす!マモル先輩!」

 

「あ、あ、ありがとう、ございます」

 

 

扉を開けて入ってきたのはこの天地の研究所の創設者である『天地 守(アマチ マモル)』さん。元NAXA職員とかいうエリート。

 

それから疑心暗鬼にオドオドしてるのは『宇田海 深祐(ウタガイ シンスケ)』さん。こちらも元NAXA職員でマモルさんの後輩。最近NAXAから引き抜いてきたようだ。

 

他にも研究所の職員はいるが主にこの二人と作業することが多い。

 

 

 

「バスティングシステムの調子はどうだい?」

 

「良好ですよ。それにここのウィルスはそれほど強くないのでローコストで運用できます。つまり軽めに設定可能ですね」

 

「そうなのかい?それはとても助かるよ。いやー、NAXA職員にも対ウィルス専門のプログラミングはいるんだけど中々伝手が捕まらなくてね。なので僕達だけで立ち上げる必要があったんだけど僕も宇田海くんも流石に対ウィルスは専門外だからね。だから応募で来てくれた君で助かったよ」

 

「いえいえこちらこそ!報酬も良いし、俺も継続して承りたいね!はっはっは!」

 

 

マモルさんから飲み物を受け取りながらこれからも付き合い長くご贔屓にしてもらうようゴマスリしつつ、隣でペットボトルの蓋を開けるのに苦戦している宇田海さんのペットボトルにコツンと当てて「宇田海さんかんぱーい!」とコミニュケーションを取りながら俺は一気に飲む。

 

そのアクションに宇田海も控えめに「か、かんぱーい」と言いながら差し入れを飲む。

 

それを見ていたマモルさん表情が柔らかいのは気のせいじゃない。

 

 

「ところでワタル君、妹さんは元気かい?」

 

「ミソラですか?ええ。今日も元気に配信活動とかしてますよ。勉強の方も通信で学び、たまに通信学校に顔を出しながら義務教育を果たしています」

 

「い、妹さんは通信学なんだね。一人で勉強は少し大変そうだね……ひとり、か…」

 

「まあ一人で勉強は大変ですが、しかしミソラはああ見えて要領が良くてね。わからないところは放置せずにちゃんと俺に尋ねるし。勤勉な方ですよ。それ以外は抜けてますけど」

 

「はははっ、可愛い妹だね」

 

「せやで!俺の妹は宇宙一可愛いんや!」

 

 

ミソラが通信制なのは元々だ。

 

病床の母を助けたいため、家で勉強を済ませれるなら通信制で済ませると言ってからは小学一年生の頃から続いている。

 

しかし母が亡くなった今、通信制の必要性は無いに等しい状態だが、しかし今更学校には行く気が無いらしい。

 

仮に行くとしても中等部になってから本格的に考えると本人は言ってた。なので小学卒業までは通信制で義務教育を済ませる流れ。

 

彼女が決めたのなら俺から言うことない。

 

 

ただ俺としては、ミソラには配信中に遊びに来てくれるリスナーだけじゃなく、ちゃんとした同年代の友達を増やして欲しい気持ちはある。

 

このご時世、人間が機械や電脳だけに囚われぬよう人間同士の社会性を高めるためにもブラザーバンドなんてシステムと概念を用意しているくらいだ。

 

まあそんなシステムが無くても人付き合いはあった方がよい世の中であるが、感情多感な少年期だからこそ多くの人間と出会って欲しい気持ちは元社会人だった俺からしたらある。

 

まあそのうちで良い。

 

ミソラにもリア友が増えたらと願う。

 

もしリア友を作るために学校に通い始めるというのなら、そのためのお金は用意する。

 

だから俺には仕事が必要だ。

 

親がいない今、働き手は俺だけ。

 

 

「ワタル君は、その…双方ご両親も亡くなってしまって…だから兄一人で大変ですよね…」

 

「俺はいいんですよ。自分は大丈夫です。ただ妹のミソラだけが心配なんだ。俺はちゃんと親に託された通りに出来ているかそれだけが心配なんだ…」

 

「ワ、ワタルくん…」

 

「俺も1日だけミソラと泣いた。不公平極まりないと恨んだ。でも涙が枯れたあとはストンと覚悟が決まったんだ。妹を。たった一人の家族を守ると決めた。母から最後に託されたんです。だから俺は兄として強くあると決めた。それが響ワタルの使命。そして俺は多分___」

 

 

 

 

 

 

__()()()()()()()()()()んだ。

 

 

ミソラを1人にさせないために。

 

そのために兄として生命を授かった。

 

今はそう思っている。

 

 

 

 

 

なーのーで!!マモルさぁぁん!!もしこのウィルスバスティングが上手くいったら報酬に色付けてくよな!!どうかよろしくよろしくぅ!!」

 

「うわっ、急に切り替わるじゃないか…」

「び、びっくりした…」

 

「言ったじゃん。涙は枯れきった。今は兄として役割を果たさんと抱く。それだけだ」

 

 

 

不幸自慢をする気はサラサラない。

 

したところで救われる世界でもない。

 

俺はミソラの兄として生まれたこの意味と、ミソラの兄として与えられた権利と、両親から託されて頼まれた家族のためにこの二度目を強みに生きていくだけ。

 

それが例え、既視感(EXE)があった世界だとしても俺は『響ワタル』としてのご都合主義(二度目)を大事な妹のために使おう。

 

これはただそれだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、午前中に天地研究所(アマケン)でのご依頼(お仕事)を終えてからは手ぶらになった。

 

帰ったら前日の続き、仕事にも趣味にもなる新種のバトルカードを開発する作業だ。

 

と、言っても素材が足りなくなった。

 

 

 

なーのーで。

 

 

 

「来たぞ!ガラクタ置き場(お宝の山々)ぁ!!」

 

 

足を運んだのは【ゴミ集積場】である。

 

ココには家電品やPCなど壊れて使われなくなった電子機器が多く集まり、そこらでスクラップの山、もしくは島になっている。故にアイランドなんて表現もされているとかなんとか。

 

さて、ココで俺は何をしに来たのか?

 

簡単だ。

素材を探しに来た。

 

と、言っても探すのはスクラップ用品とかジャンク品ではなく、それらをスクラップの山として築き上げた時に発生してしまう残留電波に惹かれたウィルス達を目的としている。

 

 

これから行うはウィルスバスティング。

 

ウィルスを狩って、そこからデータを集めて、バトルカードとしてコピーすることが目的。

 

そうして集めた素材で新たなるバトルカードを開発するのが俺の趣味であり、同時に仕事でもあるのだ。

 

何せ売れるからな、バトルカード。

 

数年前まではダミーを使ったウェーブバトルやコレクションのように娯楽以外でそれほど重要視されてなかった代物だが、生活をもっと便利にすべくペガサス、レオ、ドラゴンの管理者名を持った3つのサテライト打ち上げと同時に世界の電波回線は更に良くなった。

 

しかし同時に風通しが良くなったことでウィルスの種類も増加したため、そのため対ウィルス用としてバトルカードが売れるようになった。つまり今よりも必要とされる時代が訪れたわけだ。

 

だからバトルカードは売れる。

 

個人で開発したものでも量産が安定するなら公式に売り出せるし、一度限りしかない使えないバトルカードでも強力な代物なら非公式だろうとマニアが好んで高値で買い取ってくれる。

 

仮に買い取りがなくても、先ほどのアマケンのように対ウィルスバスティングで使用してオリジナルのバトルカードでウィルスを撃退すればその腕が買われてお得意様とかも生まれる。

 

これでも何件かお得意様を手に入れてある。

 

あるスキー場のリゾートホテルとか、高級マンションとか、午前中に向かった天地研究所ことアマケンもそのうちの一つだ。

 

俺はこうして収入を得ているわけだ。

 

お陰でミソラがお腹いっぱい食べれるくらいには稼ぎはあるが、それでももっと貯めておく必要がある。

 

今よりも良い場所に引っ越したいからな。

それが今の目標。

 

 

 

「さて____視るか」

 

 

 

俺は目を閉ざして呼吸する。

 

あまりゴミ集積など空気が悪い場所で肺いっぱいに詰め込むのはよろしくないが、まあ少し耐えるだけ。意識を切り替えれば深呼吸は不要。

 

心臓の鼓動、この身と響を重ねて。

 

 

 

 

そして____周波数を合わせた。

 

ウィルスが()()()()()()ようになる。

 

 

 

 

 

「さぁ、ウィルスバスティングの始まりだ」

 

 

 

 

 

 

 

今一度、紹介する。

 

俺の名は____響ワタル 。

 

 

妹の響ミソラの兄である。

 

それと同時に転生者でもある。

 

 

だからこの世界が【ロックマン】というコンテンツであることを知るのと同時に、二度目の強みを家族と己のために使い、この世界ならではの向き合い方をこの身に秘めた響家の長男。

 

 

 

 

そして___ウィルスが視える身体。

 

 

 

 

「バトルカードスタンバイ。ソード、ロングソード、ワイドソード。プログラミングアドバンス。チェンジオーバー。ドリームソード!」

 

 

 

 

 

 

 

 

景気に一発と、出し惜しみは無し。

 

目の前のウィルスを一掃した。

 

 

 

 

 

つづく





登場人物紹介


【 響 ワタル 】(17歳)
響ミソラの兄として生まれたロックマンシリーズは知ってる転生者。ただし幼少期に幾つかのEXEをプレイをするもその後の作品はノータッチなため、今回転生した『流星作品』に関しては全く知らない。両親を亡くし、孤独になりそうだった妹ミソラのために己は兄として生まれたんだ!と使命感を持ちながら、趣味でバトルカードを造り、同時にそれを仕事にしたりと人生二週目を活かす。どうやら独自の周波数を持っているためビジライザー無しでウィルスが視えるらしい。ムー人かな??

【 響ミソラ 】(11歳)
原作通り両親を亡くしたが、この世界では兄の支えがあり、前向きに生きようと孤独に苦しむ事が無くなったため、ゲームとアニメの雰囲気を足して2で割ったような性格で落ち着いている。ただし原作と変わってやや過保護な兄の提案により表舞台で自分の歌を広める流れは無くなり、配信活動の枠組みで留めている。それでも天才シンガーとして一部界隈では有名なため最近は登録者数は6桁を超えたようだ。ひとりでは生きられない自分の存在が兄の()()()()()を諦めさせた原因と感じてるため、ある種の心苦しさを抱いている。兄のことが大好き。

【響(母)】
原作通りに病弱で亡くなった響家の母。息子のワタルにミソラを託し、娘のミソラに歌を望んだ。実は原作と変わって子供を2人も産んだことで体に負担が掛かっており、そのため原作よりも数ヶ月早めに亡くなっている裏設定だけど、まあこの設定は作者と読者の皆様だけが知ってれば良い内容なのでこの世に生まれちまったワタルくぅんはキミが響家の兄としてイレギュラーに生まれた事でミソラの母の死が早まった事実を知らずに親に託された使命感を抱きながら生きてどうぞ(人類悪)

【響(父)】
詳しい公式設定無いので、この作品のみで勝手に構成された響家の大黒柱。しかしある出来事によりコチラも母同様に亡くなっている設定にした。いつも家族の無事を案じてる素晴らしい父なので自分が何かあったときは息子のワタルに家族を守るように託している。そんなこともあってワタルが妹絶対護るマンと化すようになった一種の呪いでもある。あとミソラが生まれた10日後に亡くなったりと重い扱いにした(オリチャー発動)けど、流星のロックマンってそういうところあるし…ま、多少はね?

【 天地 守 】
アマケンの創設者であり、この作品ではこの1話の一年ほど前にアマケン設立した設定である。しかし目まぐるしく変化するウィルスの環境に対して対ウィルスシステムをアマケンの方で用意できておらず、またインフラ整備したばかりの新地はウィルスがその地と電波に適応しようと入れ替わりが激しくなるため、対ウィルスの専門家を必要として募集すると数分で食いついた響ワタルと契約を結ぶ。それ以来は響ワタルと関係を持ち、仕事以外でも良好な友人関係として続いている。とても腕が立つので響ワタルのことはその内アマケンへ正式に社員としてスカウトしようか考えているらしい。

【 宇田海 深祐 】
原作通り、天地守にNAXAから引き抜かれてれてやってきたアマケンの社員。雇われの響ワタルとはただの仕事関係として最低限の付き合いに留めようと考えていたが、両親を亡くすも男ひとりの腕で残された妹を支えようと奮起する響ワタルの姿を知ってからは、日常会話が出来る程度には付き合いが深まっている。同時に親を失った孤独の子供(あに)は妹のために働くその姿は、人付き合いに恐れて孤独感を持つ深祐にとっては眩しい存在で、尊敬でもある。






【作者 と 過去作(くろれきし)
まだ作者が作者としてヨチヨチ歩きだったハーメルン活動中の2作品目として過去(9年前)に【流星のヘルメット】的な題材で流星のロックマンを書いたことあるが、まぁこれがいま腑に痛みを走らせるレベルの圧倒的黒歴史ッ!!ムー大陸と共に沈んで滅んで封印されて欲しいくらいの黒歴史ッッ!!まあ6年前に旧アカウントがバックアップ毎デリートされたのでガチで一緒に沈んだ過去作品なんすけど初見さん。ともかくあんなお粗末な作品は二度と書けねぇよ!と言った具合に流星のロックマンから離れていましたが、しかしあれから時代は進み令和になった8年後に登場したのは流星コレクション。いや神かよ。それで学生時代に1と2はプレイしてたが実は3だけはやってなかったので即購入すると見た目だけでブラックエース(見た目カッコいいのに対戦環境では苦行ってマ?)を選んでから「あぁ〜^たまらないぜ」とガキンチョの頃の懐かしさに耐えきれずお布団の上でゴロゴロしていたら気づいた時にはこんなの書いてしまいました。ほんまこの作者9年前から変わんねぇな??太いぜ。


あと流星3はまだプレイ中なのでこの作品にどの程度3の要素を加えるとか未定です。突然何かしら加えると思います。


あとしばらく
5日連続更新(20:00)なので怯えろ。



じゃぁな!
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