その周波数は「響き渡る」のか?   作:つヴぁるnet

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日刊ランキング9位ってマ??



第5話

 

あ、ありのまま今起こった事を話すぜ?

 

おれは ミソラに起こされてると思ったら

 

まったくしらない女の子に起こされていた

 

な、何言ってるかわからねーと 思うが

 

俺も 何を言ってるか わからねぇんだ

 

頭がどうにかなりそうだった

 

コスプレとか 幻覚だとか

 

そんなチャチなもんじぁあ 断じてねぇ

 

もっと恐ろしいものの片鱗を味わ___

 

 

 

「マスター!いい加減起きろしー!」

 

「ぐへっ!!!?」

 

 

 

頭をポルナレフしていたところから更に部屋へと乱入してきたのは赤色のヘルメットを被った女の子であり、しかも飛び乗ってきた。

 

黄色の子よりは2回りほど身体が大きく、活発的で乱暴な雰囲気を思わせる。

 

てか、この子もだれだよぉ!!?

 

 

「まぁすたぁ…おはよー、ふわぁぁ…」

 

「え、え、も、もう一人…??」

 

「んんっ…お布団…ふかふか…」

 

「ちょちょちょ3人分は!?ぐぅぉぉあ!!」

 

 

次々と増える見知らぬヘルメット女子に怯えていると、新たに青色のヘルメットを被った女の子が目元をこすりながら部屋に入ってくると、そのままボフンと布団に上半身を乗っけて眠り始める。

 

サイズはバラバラとはいえ普通に3人分は重量があるので仰向けの状態でこれは苦しい。

 

 

「むぅぅぅ!!ますたぁー!!起きてよ!!」

 

「ああああああああーー!!痛い痛み痛い痛い痛い!痛いんだよぉ!」

 

「起きろよオラァァ!」

 

「ねぇやだ!やだ!ねぇちょっと!やだ!ねぇだった!ねぇって!もうほんま無理ぃ!」

 

「ん、3人に勝てるわけない…」

 

「馬鹿野郎お前ぇ俺は勝つぞ!!」

 

「あ、お兄ちゃん!ミソラも仲間に入れてよ!」

 

「ふぁ!?なんだこのシスターは!?」

 

 

 

起きて欲しいのか、抵抗して欲しいのかわからないし、なんならミソラもいつのまにか俺の寝床に乱入して5人でわちゃわちゃする。

 

 

 

 

朝から身体がキツいぜ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てかなんでミソラは普通に順応してんだよ」

 

「んー?なんでだろう。でもこの子達がメットール達なのは分かったから人の形になってあまり気にはならなかった…かなー?」

 

「普通そこは第一声として『貴方達誰!?』的な感じで知らない子達に驚くよな?なに朝から便乗して兄を苦しめるわけ?」

 

「楽しそうだったから!」

 

「うーんこの」

 

 

良くも悪くもミソラは深く気にしすぎないサバっとした側面もあるため、俺の寝床に強襲した女の子達も雰囲気的にメットールと理解したことであまりミソラも慌てなかった流れらしい。

 

お兄ちゃん、妹の未来が心配です。

 

あと俺のことも心配しろ。

 

 

「マスター!!もっとそれ食べたい!!」

「まぁすたーぁ!わたしもほしぃーい!」

「ますたー、わたしももう一枚…良い…?」

 

 

「お、おう。分かった。急いでホットケーキ増やすから、ちょっと待っててくれ」

 

「お兄ちゃんわたしもー」

 

「あー、はいはい。でも一枚ずつしか焼けないから順番待てよ。とりあえず先に欲しがった赤色のヘルメット娘からな」

 

「なんだよそれ!変なあだ名付けんなぁー!」

 

「いや、キミ、名前無いし?」

 

「なっ…!!」

 

「はいはい!私が名前付けるよ!」

 

「お!ミソラが付けてくれるのか!?そりゃいいな!」

 

「みぃそらぁー、わたしも欲しいぃー!」

 

 

と、昨日と比べてかなり喧しくなった朝食に俺は疲れを感じる。何せ増えたんだ。住人が。

 

 

「……」

 

 

ホットケーキを焼きながら、ミソラ以外にもいつのまにかこの家にいる女の子3人に目を向ける。

 

ああ、断じて誘拐したなどではない。

 

正しくは勝手に着いてきたし、誘拐以前に最初からいた者達である。

 

 

「ヘルメット…か」

 

 

もう答えと言っても過言ではないこの3人娘達のトレードマークたるヘルメット。

 

しかもヘルメットそれぞれに見覚えのあるシルエットが刻まれていた。

 

黄色い子にはドラゴン、赤色の子にはライオン、青色の子にはユニコーンのマークだ。

 

これがなんなのかは前日の記憶が全て教えてくれるし、何が原因かもわかる。

 

 

 

結論から言おう。

 

この3人娘は____メットール達だ。

 

 

何故か女体化してるけどなァァ!!

 

なんでさ!?

 

 

 

「じゃあ黄色の貴方はカノンちゃん!」

 

「わーい!やったぁー!やったー!」

 

 

 

幼子らしく喜ぶのは黄色のカノン。

 

見た目は小学生の低学年くらいか?

 

ミソラよりも四つほど歳下のイメージだ。

 

まだまだ小さい子供って感じだな。

 

 

 

「お次に赤色の貴方はシオンちゃん!」

 

「おおー!シオンか!なかなか良いじゃん!」

 

 

ちょっと喧しいのが赤色のシオン。

 

見た目は小学生の高学年くらいだな。

 

つまりミソラと同じくらいか。

 

またわんぱくなのが増えたな。

 

 

 

「マスター」

 

「?」

 

 

ちょんちょん、と指で突いて問いかけてくるのは青色のヘルメットを被った女の子だ。

 

てかいつのまにか横にいたんだ?

気づかなかったぞ。

 

 

「私も、名前欲しい……ダメ…?」

 

「俺が??…ミソラじゃなくて??」

 

「ん。マスターが付けて…」

 

「そう?…そうか。名前ねぇ…」

 

 

一度フライパンに視線をも戻し、焼き加減を確認しながら頭の中では彼女の名前を考える。

 

それでもう一度横にいる彼女を見る。

 

少し眠たげにしているヘルメットを被った女の子だけど、身長で言えば俺より2回りほど小さいくらいである。中学生くらいか?少なくともミソラよりは身長はあるな。

 

 

「じゃあ、リンネで」

 

「え?」

 

「『(りん)』の『()』と書いてリンネだ。俺もミソラと似たようなネーミングで決めてみた」

 

「??」

 

 

カノンは、花音。

 

シオンは、朱音。

 

リンネは、凛音。

 

全員に『音』って字が入っている。

 

これは歌が好きなミソラのこだわりだ。

 

ならば俺もそれに習わって付けるべきと考えた結果として『凛音(リンネ)』である。

 

 

 

「ん、良い名前」

 

「そうか。それは良かった」

 

「………ん」

 

「ちょ、料理中はやめんか、こらっ!」

 

 

ギュと後ろからハグされてしまう。

愛情表現は嬉しいが料理中は危ない。

 

俺はリンネに戻るようヘルメットをコンコンと叩いて促すと、メットールの頃からあまり表情に変化を見せないリンネだが、今は残念そうに表情を見え隠れさせなぎら元の席に戻った。

 

あー、目に見えて落ち込んでやがる。

 

早くホットケーキ焼いてリンネの機嫌取り戻してやらないと。

 

 

「ミソラ、とりあえずこの子達が何なのか分かってるようだから説明は省く。ただし、まだどのようにして人の形で生活を成すのか分からないからちゃんと協力するように。良いね?」

 

「うん!分かった!私、しっかり3人のお姉ちゃんするからね!」

 

 

ミソラがお姉ちゃん…か。

 

まあ、この世界の子供って一人暮らしできるくらいには強かに教育されてるから、小学生5年生のミソラでもしっかり者としてちゃんと導いてくれるだろう。

 

もちろん俺も協力する。てか響家の長男だからむしろ俺が率先的にこの3人娘が生活に馴染めるようモラルガイド等を務めないとならない。

 

 

まったく……あのサテライトの管理者共め。

 

そりゃあ「会話できたら良いなー」的なことは願ったけどよぉ、だからと言って人の形にしてしまうかぁ?

 

それも感情多感な年頃の女の子に変えるか?

 

電波体に近づけたその得体に、更にギフトを施したことで普通のウィルスでは無くなった的なことは聞かされていたが、まさか会話能力を確保するために人の形としてメットール達を変化させるとは思わなんだ。

 

正直、朝ごはんに取り掛かるまで頭の中混乱しっぱなしだったぞ。

 

 

「ほれ、ホットケーキ出来だぞ」

 

「「「!!」」」

 

 

順番通りに待てないようなのでミソラを含めてホットケーキを四等分にしてやると、それぞれ好きにシロップやジャムなどを付けてホットケーキを楽しむ四人の女の子。

 

ちなみにカノンがマーマレードで、シオンが苺ジャムで、リンネがブルーベリー、ミソラはチョコレートを垂らしている。朝ごはんというかスイーツだな。朝から重たいものを食えるのはまさに若者の特権だろう。

 

まぁでも、賑やかな光景だ。

 

俺はやれやれと軽く笑みながら、再びフライパンに火を灯してホットケーキの種を流して四人のおかわりを作ることにした。

 

 

こうしてあと二回ほどホットケーキを焼いて賑やかな朝ごはんは終了。

 

俺は4人分を満足させた後にゆっくりと朝ごはんを食べることになったし、4人分を頑張ったキッチン周りはホットケーキの香りに包まれていた。だから今日は換気が長くなるな。

 

 

 

 

……4人か。

 

親が生きていれば、父と母に俺とミソラで朝ごはんを囲っていたのかもしれないな。

 

 

 

「みそらぁ、あそぼあそぼー」

「ミソラ!なんかしようぜ!」

「ミソラ…一緒に、お昼寝…」

 

「はいはい、仲良く一人ずつね!」

 

 

 

 

 

そして今は5人か。

 

こりゃ生活が大きく変わりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これはもう少し変数を減らしてみるか…」

 

 

朝ごはんを終え、食器を片付けてから自室または作業場となっている部屋に戻り、ゲーミングチェアに腰掛けてパソコンを展開する。

 

今日もバトルカードの制作だ。

 

素材は揃ったのでしばらくフィールドワークに出る必要もなく、買い出し以外は家に篭って作業に集中できそうだ。そう考えてしばらく作業をしていると、コンコンと扉から鳴る。

 

 

「どうした?ミソラ」

 

「あのね、お兄ちゃん。ちょっと話があるの」

 

 

何やら重要な話だ。俺は作業を止めてミソラと向き合う。ミソラは俺のベッドに腰掛けると持ってきた内容を話し始めた。

 

 

「私ね、お兄ちゃんと一緒ならこの古いアパートでも楽しいんだよ。配信場所もお兄ちゃんと一緒に飾って、機材もそのために兄ちゃんが用意してくれて不自由なんてなかった。私いつも楽しいよ」

 

「そうか。そう言ってくれて嬉しいよ」

 

「うん。でもね、もしこれからね、カノンちゃんと、シオンちゃんと、リンネちゃんがね、前のように電波世界だけじゃなく現実世界でも過ごすようになるならね、このアパートは楽しい以上に大変なことがあると思うんだ」

 

「まぁ、そうだな。3DKのアパートだからな」

 

「お兄ちゃんの部屋と、私の部屋と、あと配信部屋だね。それとキッチン。二人で住むには充分な間取りだと思う。でもこれからは…」

 

「5人になるな。母が生きていた3人までならまだこのアパートでなんとかするけど、今はそれよりも2人多い5人となると、この部屋数では限界が出てくるな。一応彼女達は電脳世界に行き来できるから意図的に減らすことはできるけど…」

 

「ダメ!3人とも人の姿で私達と共に過ごしたいって思っているんだよ!だから人の姿を願ったんだって!腕に巻かれたトランサーだけの世界だけじゃなくて、その腕に触れる事ができる孤独感の少ない世界が欲しいって3人は言ってたんだから!」

 

「!!」

 

 

そうだ。彼女らはウィルスだった頃、放棄された人工衛星に残され、長い時間を漂いながらいつしか孤独感を覚えるようになった。

 

それをAM星の賢者たちが察知し、彼女達を地球に戻してくれた。

 

その際にメットールを電波体に近づけ、今の時代で生きていけるように順応させた。

 

 

でもその順応が、それ以上の感情を生んだ。

 

孤独感を恐れるようになった存在。

 

感情をより正しく、感情をより表面に映す。

 

それを人の形で引き出せるようになり、孤独感とも向き合えて抗えるような、そんなウィルス以上のナニカとして彼女達は完成した。

 

 

もう彼女達はメットールじゃない。

 

彼女達はカノン、シオン、リンネの名前を得た俺たちと同じヒトでもあるんだ。

 

 

 

「分かった。____引っ越そうか」

 

「!!」

 

「今よりも大きな家だ。5人の住める家」

 

「お兄ちゃん!!」

 

「大丈夫、そのために俺はこの2年間稼ぎに稼ぎまくったんだ。ミソラが中高大で一番良い学校に入れれる位には懐は厚く備えている。なら貯めた金はいま()()()()()()使おう」

 

「うん!うんっ!!」

 

 

ミソラはベッドから飛び起きると俺に向かって手を広げて抱きついてくる。いま一度頼もしい兄と思ってくれただろう。それが嬉しく思う。

 

 

「と、なると作業とかしてる場合じゃないな。物件探しをしないとまず家は見つからない。どんな家にしようか?」

 

「4LDKとかは?もちろん一軒家!!」

 

「随分とデカく来たな。まぁ、そのくらいあった方がいいか。これまで通りに配信部屋とかも確保するなら大きな家が良いもんな。しかし4LDKのお手頃な物件ねぇ。ちょいと田舎寄りの余った家を探すのが話早いか…?」

 

「私は田舎ど真ん中でも大丈夫だよ?私って通信学習だから通学とかあまり考えないし、外にもあまり出ないし。代わりにお兄ちゃんは外出する時に遠くて大変かもだけど…」

 

「言うて遠出することはそうそう無いけどな。ウィルスバスティングシステムの定期メンテナンスなんて2ヶ月ごとだし、フィールドワークも素材集めが不要なら毎日出る必要も無い。そう考えると俺たちの生活って遠出先に依存はしてないんだよな。だから街から離れた田舎町でも不自由なく完結するんだわ」

 

「じゃあ一軒家の4LDKの良さげなところが第一目的だね」

 

「その前に4LDKとか田舎にあるかな?…あるわ。調べたらそれなりにあるわ。やっぱ技術発展したニュータウンに募集が掛かりまくるからそのため古い場所は空き家があるって」

 

 

探せば結構出てきた。

 

代わりに都内から離れた町々だ。

 

でもインフラはちゃんとしている。

 

不自由はそれほどないな。

 

 

 

「……なら、この辺は?」

 

「ココか?ふむ。この場所はコダマタウンからそれなりに離れた街…いや、()だな」

 

 

 

 

たしか、その名は。

 

 

 

 

 

 

___ 秋原町 だったけか?

 

 

 

 

 

120年前までニホンで5本指に選ばれるレベルのニュータウンとして栄えてた【デンサンシティ】に属する古き良き町だ。

 

 

 

今は……過去の栄光だ。

 

時代は変わる。それは属する地域も。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、引っ越し先が決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワタル___聞こえるか?」

 

 

「アーアーキコエナーイ、キコエナーイ。ワイは寝まーす」

 

 

「そうか。聞こえてるようだな。続けるぞ」

 

 

「このペガカスがよぉ…」

 

 

 

物件探しやら、内見やらで、この数日間は引越しのため慌ただしく動き回っていた。

 

そして今日なんとかひと段落付いたので枕高くグッスリ眠ろうとして、これである。

 

あと今回は手乗りサイズではなくちゃんと大きなサイズで登場した。

 

 

 

「あれ?他二人は?」

 

「今日は私だけだ」

 

「ああそう。じゃあ…良いや。ならペガサスだけに言うわ」

 

「何をだ?」

 

 

 

 

俺はすぅぅと、息を吸い___そして。

 

 

 

 

「何やってんだお前ぇえええ!!!」

 

 

 

 

俺はどこぞの海賊王みたく叫ぶ。

 

 

 

「何をだ?」

 

「何をだ?じゃねーよョォォ?!!お前いきなり急に女の子をぶち込んできたよなぁ!?お前メットール達が女体化やぞ!?艦隊とか武器とかの女体化は知ってるけどウィルスの女体化って前代未聞やぞ!?それをガチでするんかええええ!?」

 

 

今はなんとか整理ついているが、それでも最初は感情の処理やら、状況の把握やら追いつかなくてまあ大変だった。

 

てか唐突に女体化させてきたコイツらのせいで引っ越しにも追われた。

 

もう少し手順とやらをだな???

 

 

「それはあの者達が望んだ姿だ。孤独感と向き合うがため、また孤独感を知るために、人の姿として貴殿達と同じ姿形を望み、そして我々はあの者達が電波世界と現実世界に順応できるように施した故のアンサーである」

 

「え?じゃあ何?メットールだったあの子達が人の姿形に成るにあたって女性を選んだと??」

 

「そうだ。____勧めたのは我々だが

 

「やっぱお前らが原因じゃねぇぇか!!馬刺しにするぞテメェ!?」

 

 

時刻的には静かな夜だがココが夢の中であることが分かったので遠慮なくギンギンに叫んでやることにした。てか本当にコイツらさぁ…!

 

 

「だが最終的に選んだのはあの者達だ。響ワタルの近くにいる響ミソラの姿を見たことがあの者達の選択の後押しになっている」

 

「…どういうことだ?」

 

「分からぬか?…貴殿の妹、響ミソラが妹として兄ワタルと共にいる幸福感が孤独感を拭う為のピースとして理解しているからだ」

 

「!」

 

「人の形として得るなら男性という選択はあったのだろう。だが響ワタルとの仲の良さを…兄と共にいることで孤独感を感じさせない響ミソラの姿はあの者達にとって参考となり、望みの架け橋となった。ならばあの者達も響ミソラと同じ女性(いもうと)として姿形に変えることは至極普通であろう。まだヒトを完全には知らぬ生き物だからな」

 

「……」

 

 

なんとなくだけど、察してはいた。

 

特にリンネが、そんな感じだ。

 

この数日間、時間を見つけては家猫のようにそろりそろりと近づいては密着して甘えてくる時が度々あった。かわいい。

 

一番小さなカノンも膝枕って好意を覚えてからは楽しげに甘えてくる時もあったし、シオンもツンツンしながらもミソラに導かれてソファに並んで座ったりと、孤独感を埋めるためにコミニュケーションを取ってくる。

 

 

でもその中でもリンネの行動は……半年前までのミソラを思い出す。

 

母親を亡くして、もう母と会えない孤独感に苦しんで、兄の俺に向かって沢山泣いて、しばらくは勉強も手を付けられず、寂しくて寂しくて俺と一緒にいる時間は多かった。

 

ある程度時間も経って感情の処理も出来たかと思ったら、夜寝ている時に気づいたら寝床に潜り込んでいて、寂しさを埋めていた。

 

 

今は歌で乗り越えることですっかりと元気になっているから半年前のような状態は無い。

 

まあそれでも急に甘えん坊な時はある。

 

ミソラはむだ小学生の子供なので家族()に甘えたくなる時もあるだろうと考えて俺は受け止めているが。

 

 

だから既視感として、リンネの行動は孤独感と向き合った結果による半年前のミソラだった。

 

サテライトの管理者の言う通り、リンネは俺とミソラの仲睦まじい瞬間をトランサーで見ていたからだろう。

 

寝てばかりと思っていたがよく見ている。

 

 

 

「あの者達はとても早い速度でありとあらゆる感情を知る。元より【孤独】という強い感情を覚えたことで人間と同じ心持ち抱くようになっている。これからもっとヒトらしくなるだろう」

 

「ヒト…か」

 

「人間にはならないがな。だが人間らしいさ抱いていく。それが心を知った者の行先だ」

 

「アンタ達は……はぁ。随分と身勝手だな」

 

「……否定はせん。だが…」

 

「いや、言わなくても良い。分かってる。俺が君達と同じ立場であり力を持っていたら同じことしていただろうし。そして託せる者を探していたんだろう。それが今回俺だった。それだけ」

 

「…」

 

「驚きもしたし、戸惑もしたし、呆れもあったが、でも俺はあの子達を向かい入れた事に関してはなんら後悔はない。

むしろ___運命力上等じゃねぇかよ」

 

「!!」

 

 

俺は響ミソラの兄だぞ?

 

二度目の人生として与えられた行先で、それで両親を亡くしてしまった女の子の__それの兄として俺は都合よく生まれた。

 

 

何度も思ったさ__俺はこのために産まれた。

 

 

響ミソラを孤独にさせないために俺は彼女の兄として命を授かった。

 

ロックマンの世界であることはまあオマケだとしても、されど俺は兄ワタルであり、この運命力と使命感に向き合って17年間を生き続けているんだ。

 

父に託されて、母に願われた。

 

__家族を頼む。

__家族を守って欲しい。

 

それを響ワタルに与えられた使命。

 

ならば…っ!!

 

 

 

「ああ、構わないさ。孤独感を覚え、孤独感に怯え、孤独感と向き合うとする。そんな家族が近くにいるのなら俺は響ワタルだからこその運命力に向き合う。護るさ。家族はこの俺が!」

 

 

改めて決意する。

 

響家に向かい入れた家族は俺が護る。

 

孤独など!

無縁と思えるそんな居場所として!

 

 

 

 

「___認めよう、汝は権利があると…!」

 

 

 

 

すると空間がグラグラと歪む。

 

な、なんだ…!!?

 

 

 

すると、シュタッと目の前に誰か現れた。

 

それは…

 

 

 

「マスター…?」

 

「ふぁ!?__リンネ!?」

 

 

なんとリンネが夢の中に現れた。

 

しかも見たところ記憶の中に現れたリンネではなく、そのリンネ本人ある。

 

 

 

「AM星の賢者として、心を抱いたこの者に権利と崇高を与える。受け取るが良い!孤独に向き合う者よ!この運命力と共に!」

 

「なっ!?」

「え…!?」

 

 

また急にこのサテライトの管理者は!?

次は何をする気だよ!?

 

足元に魔法陣が展開される。

驚いた俺とリンネは動けずにいた。

 

 

 

「貴殿を闘う者と証明し、リンネと名を秘めたこの者に、我はAM星の賢者として電波世界の特権を与える!さぁ、受けよ!!」

 

「ぁ…ぁぁ!!」

 

 

リンネは青く光り輝く。

 

俺はその光に目を眩ませていると、その光が俺の体を包み込み、そして…

 

 

 

 

「マスター、私は貴方に…ぁぁ!ワタル…!」

 

「っ!!?」

 

 

 

 

 

 

そして、俺は_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、本当にココで良いんだね?」

 

「ああ。ココで良いよ。ニュータウンから離れた秋原町の辺地だけど、でも今の俺にそれほど距離とか関係無くなったからな」

 

「どういうこと?」

 

「それは……まぁ、今度教えるさ」

 

 

ミソラの頭をポンポンと叩いて誤魔化す。

 

それよりもこれから住む家を眺める。

 

ミソラのご要望通りに4LDKの一軒家。

 

個室も、小さいのが2つ、中くらいが1つ、大きいのが1つと、それぞれ都合の良い部屋が与えられるため、とてもありがたい。

 

月々の家賃はそう無理のない値段である。

 

何せココは秋原町の辺境地。

 

120年ほど前まではニュータウンとして栄えていた土地だが、今はコダマタウンとか、ヤシブタウンとか、更に言えばショッピングモールやアウトレットモールが並ぶシティーモールに新築地に人が住まいを求め、この辺はあまり人が住んでいない。

 

 

なので想定よりも安めに契約できた。

 

代わりに大型ショッピングモールのような賑やかな場所は電車で1時間の距離だ。

 

まあスーパーマーケットは近くにあるので日々の買い出しはそれほど酷ではない。

 

つまり言うほど問題は無いのだ。

 

俺もミソラも、仕事だったりライブ配信だったりと基本的に家で過ごしているパターンの方が多いからな。これが通勤が必要なサラリーマンや営業マンだったら住んでられないけど。

 

 

「さ、今日中に引っ越し作業終わらせるぞ」

 

「うん!私も頑張るね!」

 

 

トラックからそう多くない荷物を引っ越し屋さんが次々と運び、俺たちは荷解きをする。

 

ミソラもダンボール箱などを開封し、状態確認をする。しかしその脇で…

 

 

「すごーい!ひろいねぇー!」

「前よりも住みやすいな!」

「日差しが良い…ん、眠い…」

 

 

と、好き勝手遊んだり、探索したり。

 

その際に引っ越し屋さんとぶつかったりするのだが、しかしすり抜ける。

 

何せ、彼女達は電波体だから。

 

それでいて…

 

 

「ねぇお兄ちゃん?」

 

「どうした?」

 

「いつも思うけど、なんで私はカノンちゃん達が見えるのかな?」

 

「なんだ?今頃気になったのか?」

 

「えへへ、自然すぎてあまり気にしなかった。でもこうして外に出て、引っ越し屋さんの往来を眺める機会ができたけど、よく考えたらカノンちゃん達はぶつからずにすり抜けるし、普通なら見えないもんねぇ、って再確認しちゃって」

 

「ふむ、そうだな…」

 

 

荷解きを進め、フライパンを取り出す。

 

すっかりとホットケーキの香りが染み付いてしまった調理器具だ。

 

洗い足りないか?と、スンスンと確かめながらミソラの質問に答える。

 

 

「ミソラにも素質があるんだよ」

 

「素質…?」

 

「ああ。響ミソラならではの周波数さ」

 

「周波数…??」

 

 

荷解きを進めながら俺はとあるダンボールに手をかけて、表面のガムテープを剥がす。

 

 

「まぁなんだ。ミソラとカノン達は同じ。だから伝わり合うんだ」

 

「その同じ、ってのは?」

 

 

 

俺はこれから賑やかになる場所を眺めながらミソラに答えた。

 

 

 

 

 

__孤独と向き合った者同士、だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁ、新生活が始まる。

 

 

 

 

 

 

つづく

 






コイツら夜の電波変換(意味深)したんだ!


って事で、こんな展開になりました。まぁロックマンの作品なら別にこんなこと起きてもおかしくないし…ま、多少はね?

なのでこの作品でも作者の趣味によりメットール達は女体化された3人娘(さんにんむすメ)ットとして【カノン】【シオン】【リンネ】の名前で家族にしました。過去作知ってる人ならまぁ予想してた展開ってヤツだ。歴史は繰り返す。作者も繰り返す。ちなみに過去作では赤色メットールが活動報告のアンケートにてレオナって名前で選ばれたのはなんとなく覚えている。


とりあえずこの5話目で連続投稿は終了です。
次回から不定期に『土曜日(20:00)』の更新となります。
来週あたりに、またよろしく。


じゃぁな!









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